世界選手権もろもろ(その2)

世界選手権、毎年悲喜こもごもなのが、順位決定戦であります。
今回は日本が出場していない分、冷静に見届けた感はありますが、地元オーストリアとドイツの降格を事前予想した人は、少なかったんじゃないかと思います。

まずは地元開催で降格決定となってしまったオーストリア。今年のチームは特に故障者が多かったそうで、得点力のなさに苦しんだようです。結局今年の大会では0勝1分5敗とまったくの不振。ホスト国が勝ち星なしに終わったのは、長い世界選手権の歴史でも初の出来事だったそうです。

最終戦vsスロベニア戦は、オーストリアが8点差以上をつけて勝利しないとAプール残留ができないという、かなり厳しい状況でした。もし8点差で勝利できていれば、オーストリアはドイツとポイント、当該試合(2−2で引き分け)、得失差、得点の4項目で全く並ぶために、順位決定のためのゲームウイニングショット戦が行われるところだったとか。しかしあえなくオーストリアはvsスロベニア戦に2−6と敗れ、前代未聞の順位決定GWS戦は未遂に終わりました。

さてもうひとつの降格組ドイツ。大会開催地インスブルックが、1976年五輪で銅メダルという思い出の地だったのですが、オーストリア同様今大会では不振を極め、ディビジョン1へ降格してしまいました。

ドイツといえば、2004年チェコ大会で9位に終わったことで、これまで6年間代表コーチを務めたハンス・ザックがメディアからバッシングされて辞任。今大会は39歳のアメリカ人グレッグ・ポスが後任についた後での、最悪の結果となってしまったのです。問題は新システムへの順応失敗が指摘されています。ポスコーチは、従来のザックコーチの戦略に反して、オフェンス重視のシステムを掲げていたそうですが、それがうまくいかなかったために大会直前に守備的戦略に戻したため、余計に選手たちが混乱したという声も聞かれています。さらにスターム、ウストーフ、コルジグらの主力故障欠場も痛かった。2006年はこのドイツが、ディビジョン1にて日本と同ブロックで戦います。手強い相手であることは確かです。

ただし、今回のIIHF総会で、ドイツはすでに2010年の世界選手権Aプール開催権(コロン、マンハイム)を得ています。そういう意味では、また今後に向けて新たなビジョンで立て直して来ることは必至でしょう。ドイツはベラルーシとの決戦投票で89対18で勝利。当初はスロバキア、スウェーデンも立候補していたが途中棄権したそうです。これでドイツでの開催は1930、1955、1975、1983、1993、2001年以来6回め。1936年には冬季五輪(当時は世界選手権を兼ねる)も開催している。コロンのアリーナはホッケー用としてはヨーロッパ最大の収容人員を誇る(18500人)そうで、今秋完成のマンハイムのSAPアリーナも15000人収容だとか。やはりこうした世界的スケールの設備がないと、世界選手権の開催は難しいのでしょうね。

ちなみに2006年はラトビア、2007年はロシア(モスクワ、セントペテルスブルグ)、2008年はカナダ(ケベックシティ、ハリファックス)、2009年はスイスの開催が既に決定しています。

・・・と、この2国が降格になったということは、そう。「ホッケー選手登録人口わずか888人」のスロベニアが、A残留を決めたのです。

スロベニアにとっては、大会最終戦となるvsオーストリア戦で勝てばA残留。引き分けでは降格というシナリオでした。オーストリアは地元チームでありますから、完全アウェイでの6−2という勝利は、オーストリアが8点リードで勝利しなければならなかったハンデを考慮しても、素晴らしい精神力の賜物と言えるでしょう。
しかもその前のvsデンマーク戦では1−3から逆転勝利。ドイツには1−9と完敗したのですが、ドイツがそのデンマークに負けてくれたことでチャンスが到来し、気持ちをきっちり入れ換えてのvsオーストリア戦勝利はすごいです。やはりディビジョン1で揉まれてきたチームならではの強さなのでしょうか? また旧ユーゴ諸国は、かつては日本と肩を並べていた諸国でもありますが、戦争と民族独立運動による国家分裂により、旧ソ連邦諸国同様にどん底からランキングを上げて来たわけで、そのあたりがこの逞しさの秘密なのでしょうか?


さらに、70年ぶりの2大会連続メダルは叶わなかったアメリカ。
優勝したチェコに準々決勝で敗れはしたものの、シュートアウトにもつれての惜しい負けではありました。まあ、チェコにとっては昨年地元開催での大会で、準々決勝でアメリカに痛い負けを食わされてもいたので、いいリベンジにはなったと思います。

で、話はアメリカvsチェコ戦に戻ります。
シュート数ではチェコが53−27と圧倒的な展開だったものの、アメリカGKディピエトロの活躍で、クロスゲームに持ち込まれていました。試合は負けはしたものの、ディピエトロはその働きを評価されて、各チームから3名選出される優秀選手(アメリカからは他にパリッシュ、クヌーブルが選ばれています)に名前を連ねていました。

実はこの試合前には、このディピエトロか、はたまた昨年銅メダル獲得に貢献したGKコンクリンを先発させるべきか? という小さな論争があったのです。というのも、これより先にアメリカ代表ピーター・ラビオレットコーチは、決勝ラウンドvsウクライナ戦の1−1同点で得たPSという大事な場面で、20歳のザック・パリシー(2003年ニュージャージー1巡目指名選手)を指名するというギャンブルに出ていたのです。結局パリシーはこのチャンスを生かせず。ベテランたちからは当然不満の声が上がり、指名されたパリシーは落ち込む・・・というイヤな空気がチーム内に蔓延していたのでした。まあラビオレットコーチとしては、当然勝利すべきウクライナという相手に対して苦戦していたことについて、ベテランたちへ檄を飛ばす意味でパリシーを指名したのでは? という声もあったのですが、その作戦が思い切り裏目に出たのは言うまでもありません。

しかし、負けはしたもののvsチェコ戦のラビオレットコーチの決断は正しかったと思います。アイランダーズを指揮していた頃から、ラビオレットコーチは、ディピエトロのことをよく知っていたはずでもありますしね。そのディピエトロ、今季はドイチェランドカップでアメリカ代表として出場した以外は、ちゃんとしたチームでのプレーはしてなかったそうな。ロングアイランドのローラーホッケーリーグで、なんとFWとしてプレーしていたというから面白いではありませんか。おそらく得意のパックハンドリングでも磨いてたんでしょうね? 

また日本代表関連にもなりますが、大会期間中のIIHF総会では、2006年世界選手権ディビジョン1の開催地、グループ分けなども発表されていました。

2006年ディビジョン1大会開催地は、グループAがフランス(アミヤン)、グループBがエストニアに決定。日本はグループA(ドイツ、フランス、ハンガリー、イギリス、日本、イスラエル)の大会開催をフランスと争ったのですが、66対27で決戦投票の結果開催権を逃しました。グループB(オーストリア、ポーランド、オランダ、エストニア、リトアニア、クロアチア)はエストニアとポーランドの争いで、56対45でエストニアが勝ち取ったそうです。

日本のいるグループA、なかなか手強い相手ばかりです。イスラエルの実力がちょっと図りかねるのですが、A復帰どころかこのレベルで対等に戦うこと自体、なかなか難しいことである気がします。

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by hockeyworldjapan | 2005-05-16 14:53 | その他


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