NHL労使交渉大筋合意

現地7月13日、ついにNHLは労使交渉大筋合意を発表しました。

妥結に至るまでのNHLとNHLPAの会合は、重ねること実に82回。そして最後は、NYでの24時間を越える連続会議の結果、301日のロックアウトが幕が閉じました。

新協定の詳細はまだ明らかにされていませんが、6年契約、チームごとのサラリーキャップ1年目は下限2100万ドル、上限3900万ドルと推測されています。2年目以降は、選手総年俸はリーグ総収入の54%と定め、収入の増減によってキャップ額も変動するようです。

また選手のリーグ最高年俸は、チームキャップの20%にあたる740万ドルとし、リーグ最低年俸を45万ドルとすることにも、NHLPAは合意したと伝える報道機関も。
その内容は600ページにも渡る複雑なもので、過去にこちらでもお伝えしたLAタイムスが報じたものとほぼ同じらしいのですが、詳しくは正式合意後の発表を待ちたいと思います。

正式合意はオーナー側(NYで7月15日会合実施)、選手側(トロントにて7月14、15日会合実施)双方の批准後、7月21日に発表されると予想されております。ちなみにPAの批准は公式HP上での電子投票(非公開)となるんだとか。過去にもお伝えしたように、選手の中には当然不満も多かろうが、これで批准しないとさらなる兵糧攻めに遭う。もう1シーズン働かないでいられるほど、蓄えなどない・・・とゆーわけで、選手側からも批准されるであろうというのが、大方の読みだそう。

これでNHLの狂乱年俸時代はひとまず終焉し、NHLのマクロ経済は安定化に向かう(といっても安定するのは支出面だけですが)ことが予期されます。また選手個々の年俸を抑えるだけでなく、何らかの形での収入分配策(お情け程度の内容のため、大した格差是正にはならないという声も。正式発表を待ちたい)も導入されるため、大市場かつ高収入チームと、小市場で低収入チームというチーム間格差は、前協定と比較するとかなり縮まると見られています。

新協定下では、サラリーキャップ導入を待ちわび、これまで爪に火を灯す思いで切り詰めて来たチームなら、かなりの購買力を発揮できるでしょう。特に今夏は大量にFA選手が市場に出回るので、ロースターを一気に刷新することができ、いきなり優勝を狙えるチームに変貌する可能性すらある。逆にこれまで資金力に任せてスター選手を揃えていたチームは、FA選手放出だけでは間に合わず、現契約下にある選手をもバイアウトしなければ、サラリーキャップ上限内にチーム総年俸が留まらない。そのため、安い選手(往々にして得点力は少なめで地味)を獲得しつつ、チーム戦略修正を強いられることだってありましょう。

ただ、選手たちもあっさり契約合意するかどうかというのを考えると、キャンプ開幕(9月中旬)までに大方のFA選手が片付くのかどうか、つまりチームの全貌が見えるのはいつ? という問題もあります。まずは、例年のFA市場解禁日(7月1日)を後ろ倒しし、各チームとFAになる可能性のある選手との契約期間を設ける。その後FA解禁となるでしょう(8月初旬という声あり)ですから、例年なら2ヶ月半あるFA市場取引が今年は1ヶ月ちょっとしかない。掘り出し物の選手には、買い気満々のチームが殺到するでしょうし、高額スターは様子見ということで値が付かず、しばらく放置される可能性もありましょう。

そんなニュースの第1陣として、マーカス・ナズランドが、バンクーバーを離れるかも? という報道あり。いまやカナックスのキャプテンとして、さらにリーグを代表するスコアラーとなった彼ですが、今夏は制約なしFAとなる身。アナハイムGMに就任したブライアン・バーク(前バンクーバーGM)とともに、アナハイム行きなんて予想もあるようです。カナックスは、バーツッジ、ジョバノフスキー、リンデンの3人のみが現在契約下で、その合計は1060万ドル(24%ペイカット込)。なので金額的には3900万ドルのキャップ上限を考えると、ナズランドと契約延長する余裕は十分ある。ということはナズランドの代理人が「彼をさっさとキープしないと知らないよん」と、カナックスに対して揺さぶりをかけてきたんでは? とついつい深読みしてしまいます。

そして開幕後の最大の課題は、北米メジャースポーツ初となった労使紛争による1年間のブランクをどう取り戻すか。同じく労使紛争にて長期シーズン中止となったMLBは、その人気を取り戻すのに10年近くを費やしたと言われています。

ホッケーが深く根付いているカナダはまだいいが、心配なのは24チームが属するアメリカの事情。それだけに、今回の労使妥結のニュース発表は、MLBオールスター明けでニュースの少ない日を敢えて選んだのではという見方もあるほど。開幕後は、ルール変更を実施し、得点アップの展開にホッケーを変えようという試みも、確かに行われてはいます。しかし、アメリカでのTV放映権事情が非常に厳しい今、今後は選手たちのホッケー振興を含むチャリティなど、地道な活動からファン拡大を狙うことが必要だという声も高まっているようです。

というわけで、開幕(ほぼ)決定となっても、お祭り気分には到底なれない私なのでありました。

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by hockeyworldjapan | 2005-07-14 15:36 | CBA


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