これまで相撲部屋、今年はカップ最右翼?

やっと目まぐるしい人事異動も収束しつつある今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? 今日もマリアン・ホッサ&ダニー・ヒートリー絡みの大きなトレードがありましたね。ほんと、まだまだ気が抜けません。

記録的な選手シャッフル大会となった今年の夏ですが、徐々に各チームとも戦力全貌が見えつつある状況になってきましたので、そろそろまとめでもやってみようかなと思っております。

まずは、今夏FA戦線勝ち組チームと言われるフィラデルフィア・フライヤーズについて、スポットを当ててみます。

ちなみに、2003−04年終了時からの人事異動は、こんな感じになっています。

新加入選手:ピーター・フォースバーグ、デリアン・ハッチャー、マイク・ラスジー、マイク・クヌーブル、ターナー・スティーブンソン、クリス・テリアン、ジョン・シム、ジェフ・カーター、マイク・リチャーズ、ジェイミー・ストーア、エリック・シュイナール、アンテロ・ニーティマキ
残留選手:キース・プリモー、エリック・デジャーデン、キム・ヨンソン、ミカル・ハンズス、シモン・ガニエ、ドナルド・ブラシアー、サミ・カパネン、ロバート・エシュ、ヨニ・ピッカネン、ブランコ・ラディボイエビッチ、パトリック・シャープ、デニス・サイデンバーグ
放出選手:ジョン・ルクレア、トニー・アモンテ、ショーン・バーク、ウラジミール・マラコフ、マティアス・ティマンダー、マーカス・ラグナーソン、ダニー・マーコフ、マーク・レッキ、アレクセイ・ジャムノフ、ジェレミー・ローニック、トッド・フェドラク

GMボブ・クラークのことは正直、これまであまり好きではありませんでした。リンドロスの一件では狂気じみたところも見て来たし。しかし今夏の補強については見事と言わざるを得ません。というのも、そもそも今年のFA解禁前にはフライヤーズはサラリーキャップ導入後は失うものがあっても、得るものは少ないのではと予想されていたからであります。地元紙も「チームの現状維持だけで精一杯。スター選手1人獲得が関の山」と予想していたほどだったのです。

それが、フタを開けてみたら、FA解禁後にササッ! と動いて他チームの度肝を抜き、この時期に至ってはすでに1軍ロースター23人と契約終了。しかもキャップ内に収まってるようです。年俸未公開の選手もいるので、実際の年俸総計はちょっと分かりませんが、今後のトレード画策を見越して、林家こん平師匠のかばんの如く「若干の余裕」がまだあるのかも知れません。

ま、そもそも、このクラークGMの快進撃は、フライヤーズのオーナー、エド・スナイダー氏に、ジョン・ルクレア&トニー・アモンテのバイアウトを許されたことからスタートしたわけです。バイアウトとはこれまで再三説明してきましたが、選手残り契約の3分の2を支払ってその選手をお払い箱にする制度であり、お金持ちチームでないと使えない技ではあります。

ただ、ルクレア&アモンテに未練なくばっさりサヨナラできたのは、ファームAHLフィラデルフィア・ファントムズで、ジュニア上がりのピチピチルーキー君たちが控えてるから。そのルーキー君たちが、ジェフ・カーターとマイク・リチャーズの2人であります。このあたりが、クラークGMが見くびれないところだったりするのです(ま、そうしたジュニア選手に目をつけたスカウト陣の力でもありますが)。単にスター選手根こそぎっていうわけじゃないのがすごい。しかも、このルーキー君2人の契約内容ですが、与えられたのは基本給のみ。ルーキーキャップで許されている出来高制ボーナスはチームからビタ一文支払わないんだとか。締めるところはきっちり締めてるわけです。

そして、FA解禁後はまずハッチャー、ラスジー、テリアンとD3点盛り。この時点では「お、フィリー、またまた重量化に励んでるな。ヒッチは自分もそーだけど重量級が好きだもんね。あー、どすこい、どすこい」と、まだ他チームGMたちは余裕だったかも知れません。

しかし、その翌日にフォースバーグ獲得のニュースが伝わると、一気に局面は別次元へと発展したような・・・もはやただの相撲部屋化ではない。これはカップ獲り宣言であると、誰もが信じて疑わないフライヤーズの動きでした。そのあたりの詳細が、フィラデルフィア地元紙「フィラデルフィア・インクワイアラー」に掲載しておりましたので、ご紹介しましょう。

ご存知の通り、フォースバーグは、元々フィラデルフィアに1991年全体6位で指名されていましたが、92年リンドロス獲得のためのトレードの一部としてその後は権利がケベック・ノルディックス(95年にコロラドに移転)に移っていましたから、ある意味フライヤーズは古巣ではあります。

さて今夏のフォースバーグですが、当初は他のチームとの契約話が進んでいたんだそうです。当然アバランチも彼の慰留に努めていましたが、契約提示額が4年1350万ドルと低かったことから、フォースバーグ側はこれを拒否していました。そんな時、フォースバーグは、フライヤーズが興味を示していると代理人から聞かされ、すんごい乗り気に。フライヤーズの2年1050万ドルという提示額にも即OKを出したそうです。

しかし、フォースバーグを獲得すると、どう考えてもキャップ上限をはみ出てしまうフライヤーズ。そこでクラークGMは、サラリーキャップ内に収めるためには、ローニックのトレードが必要と考え、トレード画策のために「あと3時間待ってくれ」と、フォースバーグ代理人のドン・ベイズリーに依頼したそうです。実際、ローニックの契約にはノートレード条項が盛り込まれていたそうで、まずクラークGMはトレードの可否をローニック本人に問わなければならなかったのです。

オフはフェニックス地区に在住のローニックに、フォースバーグ獲得とローニック放出の旨をクラークGMが電話で伝えると、ローニック「フォースバーグが加入した方がフライヤーズはカップに近づけるだろう」とトレードを承諾したそうです。ローニックにとっては、相当口惜しかったことでしょうね。ローニックはトレードの条件としてオフの住まいのフェニックスに近い西部のチームを希望として挙げました。

その一方でクラークGMは、フォースバーグ獲得で一時的にキャップ上限をはみ出すことを、オーナーのエド・スナイダー氏に伝えて了解を取り、さらにフォースバーグ獲得の意志をコロラドGMピエール・ラクロワに連絡。単なるFA獲得であれば、別に連絡の必要もなさそうなのですが、コロラドもローニックが希望する西部のチーム。ローニックのトレード先として十分可能性はあったのです。

しかしアバランチにはローニック(年俸494万ドル)を受け入れる金はなし。そこで、ローニックの行き先を決定しないまま、フォースバーグの契約を発表に至ったそうです。

フォースバーグ獲得が発表された頃には、すでにウエスタンカンファレンスのチームがローニックに食指を動かしていたそうです。ロサンゼルスとフェニックスが興味を示したものの、いずれのチームもローニックの見返りとして選手を放出したがっていた。どのチームもやはり気になるのは、余計な年俸カットなのです。同日9時頃には、サンノゼ、コロンバスも関心を示していたそうですが、結局行き先はロサンゼルスに決定しました。

ローニックは、かつて顎を砕かれた天敵ハッチャーがフライヤーズにやって来た時点でトレードの噂が出ましたが、フォースバーグ獲得で決定的になった感じでした。プレーオフではプリモーの方が目立ってましたしねえ・・・記者のみなさんも、彼のトークで記事が楽に書けたことでしょう。

このフォースバーグ獲得後も、フライヤーズはガニエ、ヨンソンら中堅選手と契約更改を進め、先にも説明した通り、もう23人と契約して「あがり」。「あー、開幕が待ち遠しいったら」と当面は左団扇かと思いきや、3人めのGとしてジェイミー・ストーアまで獲得。「エシュ&ニーティマキがいるじゃん! 必要ないんじゃないのお?」と突っ込み入れたくなる。余裕でフィニッシュラインでテープ切っといて、これですもん。サラリーキャップ上限内にロースター押し込み作業に汗だくな他チームGMにとっては、もはやイヤミにも受け取れる動きをしております。

そんなフライヤーズですが、あえてケチをつけるとすればどうなるか?

毎年言われてるのが、ゴーリーですよね。

2003−04年はカンファレンス決勝まで頑張ったロバート・エシュとは、めでたく2年200万ドル契約。優勝狙いのチームとしては、この年俸は破格の安さではあります。契約更改が遅れていたので、トレード志願か? とも噂されていたようですが、契約延長後エシュは「フライヤーズ以外ではプレーしたくない」と語っています。

ただ、エシュがそれ以上粘らずにサインした理由のひとつに考えられるのが、今季エシュの控えが予想されるニーティマキの存在です。昨季はAHLファントムズのプレーオフ優勝にも貢献し、フィンランド出身ゴーリー(いまや優良ゴーリーのブランドとなりつつありますし)とくれば、期待度が上がらずにはいられません。よってクラークGM、エシュの契約延長が遅れ気味だった頃に「現時点でシーズン開幕ならニーティマキを1番手GKに起用するのもやぶさかでない」と、エシュ陣営を煽ることもできたのです。フライヤーズとしてはフォースバーグの契約期間中の2年間に、ニーティマキに大化けしてもらえれば言うことなしってところではないでしょうか? で、ニーティマキがコケた時、あるいはいずれかが故障した時のために、3人めのストーアまで抑える。ちょっと憎いです。

ま、それ以外にも心配材料はあります。

気になるのは、フォースバーグの過去における故障歴でしょうか。過去には脾臓破裂、足首故障など、故障歴も多い選手であり、ロックアウト中の昨季も手首を脱臼、脳震盪を負っています。実に1995−96年以来、フルシーズンをプレーしていないという事実があるのです。

その他、ガニエ(25歳。まだ来季はFAになれないので調停に持ち込むか?)、キム・ヨンソン(29歳。今季終了後UFAになれます)の2人はQO1年契約だから、来夏がまた面倒なことになるかもねという不安はありますが、この程度の心配の種など他チームに比べれば微々たるもの。やっぱ、今季のフライヤーズはまぎれもなく「東の横綱」ってことで。

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by hockeyworldjapan | 2005-08-24 19:39 | NHL overall


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