NHL労使交渉。で、今の争点は何?

・・・と言われそうなので、一応書いておきます。

もちろん「サラリーキャップ」の導入の有無もひとつの焦点であることは変わりないのですが、選手の中には「NHL提案の通りとはいかないが、キャップという概念は受け入れてもいいのでは?」「キャップ&贅沢税の双方をシステムとして取り入れたらどうか?」という人たちも出て来てはいるのです。ただしそういう選手たちが、全体の何%に相当するのか、またその選手たちであっても「キャップ容認派」と一括にしてしまうのは、実際に難しいというのが現状ではあります。

で、PA側として、NHL提案の中で一番の問題になっているのが、「リーグ総収入の53〜55%を、選手年俸総支出とする」という部分。理論だけをとってみれば、このNHLの主張は至極正当のように思われますし、各チームのキャップ額を算出するためにこうした技法を取るのは、基本中の基本ではあります。

ただし、これをNHLの現状と照らし合わせてみると、PAにとってはこのシステムの即座導入は非常に痛いタイミングなのです。というのも、NHLでは(1)アメリカでのTV放映権収入の大幅ダウン、(2)ロックアウトの余波によるその他の収入の激減、などの背景により、近々リーグ総収入が大幅ダウンする可能性が大であるからです。

ひとつの例をここで挙げておきます。

現在のNHL提案で妥結したとして、来季2005−06年はフルシーズンが戦われたとします。しかし、先に挙げた(1)、(2)の理由で、リーグ総収入は30%ダウンしたとしましょう。

2005−06年でのチーム別サラリーキャップ額は、3200万ドル〜4200万ドル(福利厚生費を除いた純粋な年俸額では、約3000万ドル〜4000万ドル)。しかしその翌シーズンのキャップ額は、リーグ総収入の30%ダウンを加味した額、つまり30%ダウンの2100万ドル〜2800万ドルとなるのです

もちろんリーグ総収入が実際に30%もダウンするのかどうか・・・という議論も必要だとは思われるのですが、キャップ上限2800万ドルというのはPAにとってはかなり低い数字であることは間違いありません。というわけで、PA側がこの「リーグ総収入の53〜55%を、選手年俸総支出とする」というコンセプトに猛反駁しているのは、そういう背景があるからなのです。

さらにPA側としては「選手たちはロックアウトされた方。ロックアウトによる収入減の責任はオーナー側にある」という議論もあるでしょうが、それは正直お互い様だと思う。逆にPA側としては、待てば待つほどリーグ総収入減の可能性が増えて行くわけだし、NHL側としてはPA側にプレッシャーをかける上でいい材料になっているような気がします。

いずれにしても、(1)このまま交渉しない日々が続き、タイムリミットを迎える →(2)今季全面中止宣言がなされる →(3)どうせ来季は9月までキャンプもないし・・・ってんで緊迫感が薄れる → (4)交渉がさらに膠着状態になる →(5)ファン置いてきぼり化がさらに進行する・・・といったシナリオを、私は一番恐れています。(「ホッケー食べて、飲んでる」カナダでもファン離れが進行してます)

この際はっきり言いましょう。
別に今季開幕しなくたっていいんです。
でも、これだけは言いたい。交渉だけは続けろと。

PA側がロックアウトの余波を気にするなら、NHL側は最初の2年は暫定的にキャップ額を据え置くとかの措置も提示してやれば? とも思う。それと引き換えにNHL側は他の条件で強く出られることでしょうから。そういうのが「交渉」ってもんじゃないかと思うのですが。

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by hockeyworldjapan | 2005-02-09 14:27 | CBA


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