NHL Notebook

NHLにおける新儀式?

NHL overall
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アトランタ・スラッシャーズがシュートアウトの場面でやり始めた新儀式、みなさんご存知でしたか? MLBの「ラリーキャップ」よろしく、シュートアウトの最中にはベンチにいる選手がヘルメットを前後逆に被ってチームメートを応援。1月11日vsナッシュビル戦で初めて試したこの儀式が効を奏したのか、今季5回めにしてシュートアウト初勝利を飾っています。カリ・レートネンも故障が直って出て来たし、イリヤ・コヴァルチャクは今季60ゴール達成しそうな勢いでゴールを量産。パトリック・ステファンがこうなっていたのにはちょっと驚きでしたが(スタッツではなくって外見上の話ですみません・・・)、現在のところ同ディビジョンのディフェンディングチャンプ、ライトニングを抑えて2位、プレーオフ進出圏内を走るという健闘ぶり。晴れてプレーオフ進出となれば、チーム創設6シーズンめにして初の快挙となるわけです。 こういう儀式というか、なんらかの現象が生まれるチームは、どこかいい流れがあると経験上思うのです。1996年@フロリダ(ネズミ投げ儀式)、1997年@デトロイト(タコ投げ儀式の再燃)はいずれもファン主導のものでしたが、2005−06年はもうひとつ、選手主導のこんな儀式があるようです。 この記事によると、NYレンジャーズは地元MSGでの試合後、センターアイスでスティックを掲げ、ファンに挨拶するのが今お約束の儀式になっているとのこと。アジアリーグの試合でも、日本のチームはスティックを掲げてファンに試合後挨拶するのは、定番の流れであり、我々にとっては何の違和感もないことなのですが、そういう慣習がないNHLにおいて、ヨーロッパ出身選手主導(「A」を付けてるヤーガー&カスパライティスが始めたらしい)でこれを始めたというところに、新NHLの薫りを感じます。 ヤーガーは「オレたちは、新CBA導入で24%ペイカットされて、さらに12%天引きされてる(注:NHLでのプール金。今季収入が予定より上回ればまた選手にペイバックされる)。だからファンには足を運んでもらわなければ」とジョークを飛ばすが、これはおそらくヤーガー独特の照れ隠し。「ヨーロッパでは試合の勝ち負けに関係なく、ファンに来てくれてありがとうと感謝するのは、多くのチームがやってる」というカスパライティスのコメントが、公式コメントとして相応しい。 しかし、ここで一番注目すべきは、あのマンハッタンに位置するMSGで、欧州化が起こっているという事実。つまり明らかに、ヤーガー&カスパは「レンジャーズ文化の欧州化」の共犯者なわけです。いや、共犯者などというと語弊がありますが、チェコ人選手をはじめ、ゴーリー、ヘンリク・ランドクイストはスウェーデン人だし、ヨーロピアンの多い今季のレンジャーズでは、カルチャー自体が「新世界」から「旧世界」に傾いても何らおかしくはない。それにNYといえば元々人種の坩堝なのですから、こういうのもアリかな? と思うのです。 すなわち「レンジャーズに入れば、ヨーロッパ出身選手に従え」状態。これに対して、Aマークを付ける唯一の北米出身者、スティーヴ・ルーチンは「だせーよ」とカスパライティスに漏らしてるそうです。でもねえ、ルーチンがどう文句いおうと、これが実はグローバルスタンダードなのだよねえ・・・と、東洋の孤島に住む私は俯瞰する。(NHLらしくないといえばそれまでだけどね) レンジャーズといえば、1月12日にマーク・メシエの永久欠番セレモニーを実施した。NY地区だけでなく、カナダからも多くのメディアが集ったこの舞台で、ヤーガーはOTゴールでレンジャーズに勝利をもたらし、「今のレンジャーズはヤーガーのチーム」という印象づけた。奇しくもヤーガーは、グレツキー引退試合(1999年4月18日、この時はまだヤーガーはピッツバーグ在籍)にもOTゴールを挙げている。 現在レンジャーズでは、依然としてキャプテンなしのA3人状態が続いているが、ヤーガーは「僕としてはCマークとつけていようとなかろうと、関係ない」と相変わらずの調子。ペンギンズでも5年Cを付け、2002年ソルトレークでもキャプテンを務めたが、それ以来チェコ代表のキャプテンは拒否しているそうです。 そういう側面もあってか、レンジャーズはブライアン・リーチ再獲得に乗り出しているとの噂もあり。12月にはすでにボストンに対し、トム・ポティを見返りに提示したらしいが、ブルーインズGMマイク・オコネルはこれをはねつけたらしい。リーチは今季ケガの多いシーズンを送っており、現在もふともも付け根故障と苦しいシーズン。トリノ五輪アメリカ代表からも漏れています。 ボストンの地元紙は「キャリアをボストンで終えたい」とリーチが語ったとしていますが、リーチの現契約は1年限り(年俸400万ドル)。よってリーチ獲得に出るチームには、来季以降の契約を背負うリスクはないわけで、なにかと後腐れがない。ちなみにレンジャーズ、サラリーキャップ上限までにはまだ若干の余裕があるようです。 リーチが来てくれれば、ルーチンにとっては貴重な援軍になるかも知れませんが・・・新しい儀式はそのまま続行に一票。そもそもこれまでは何事も一流を求め過ぎる「レンジャーズ主義」が、自縄自縛の根源であったと思う。それが、トム・レニーのヘッドコーチ就任で崩壊しつつある(決してレニーが二流だというわけではありません。ヘッドコーチ就任前にレンジャーズの基準に満たないと言われていただけの話)今、香ばしい伝統をぶちこわす破壊的エネルギーが地盤下に満ち満ちているのが、レンジャーズの昨今ではないかと思われます。
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