NHL Notebook

コクドが優勝、クレインズは涙

アジアリーグ
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アジアリーグ・プレーオフファイナル第5戦は、コクドが4−3と日本製紙クレインズを振り切り、2年連続優勝となりました。 試合をざっと振り返ると、クレインズがまず2−0と第1ピリオドに先制。PPのチャンスにプラントが元NHL選手の片鱗を見せる巧みなシュートで、コクドGK菊地は美味しいリバウンドを出し、そこをすかさず伊藤雅俊がグラブサイド上へ見事に決めて1−0。(余談ですが、この日の伊藤雅俊はいつにも増してデンジャラスでありました)さらにまたまたPPで、クレインズはゴール右から佐藤匡司がディフレクションで決め、2−0で第1ピリオドを終了しました。 しかし、コクドは第2ピリオド序盤、PPのチャンスを活かして攻め続け、クレインズのPKユニットは1分30秒間全くチェンジできず。足が止まったところで、ゴール裏鈴木貴人からゴール前のパーピックに渡って、1−2と反撃を開始しました。 クレインズとしては、この1点は仕方ないにしても、次の5オン5での失点は痛かったのではないでしょうか? Dゾーンでパックを奪ったパーピックからロングパスで相手ブルーライン手前のユールに繋ぎ、ブルーラインを越えたところでユールが鈴木貴人にドロップパス。そこから鈴木が放ったミドルシュートが決まり、第2ピリオド4分すぎにして2−2の同点に。 こうなると、コクドのイケイケ展開になるかと思われたのですが、コクドは再び自らのペナルティで自滅モードに。しかしその後のPPのチャンスで、コクドG菊地の要所要所の好セーブと、コクドの選手がリバウンドをがっちり拾う得意のプレーオフモード戦闘態勢に阻まれ、クレインズは勝ち越し点を挙げられませんでした。 そして第3ピリオドでは両チームともに1点を追加し、3−3の同点。コクドは15分すぎに得たPPで、河村のパスからキャプテン鈴木貴人が左サークル付近から叩いたシュートがゴールに収まり、これが決勝ゴールに。クレインズは終盤6人攻撃をかけるも、コクドゴールを破ることはできず。試合終了と同時に、ベンチにいたコクドの選手たちが雄叫びを挙げ、リンクになだれ込むセレブレーションを、うつろな瞳で見つめるクレインズの選手たち。 例年のプレーオフでは、困った時のベテラン主力頼みという傾向があるコクドでしたが、今季プレーオフ、殊にファイナルに関しては成長してきた若手や、渋め仕事人たちにある程度任せることができていました。例えば、プレーオフでは毎年かなりのアイスタイムを背負うことになる藤田がケガを抱えてのプレーとなっても、彼を4つめに配することで負担を軽減することができると同時に、クレインズにとっては4つめといえども全く気が抜けない布陣(好調の外崎、今に藤田。並のチームならトップラインも務められそう・・・)を相手にすることになっていたわけです。 もちろんクレインズの4つめも、ベテラン竹内を配していたわけで、それなりの豪華さはあったのです。しかし、今季クレインズのプレーオフでの数字を見てみると、サードライン以下の選手は守りに徹しているせいか、ほとんどスコアリングに絡んでいない(6試合で山野1ゴール、佐藤博史1ゴール、酒井1アシストのみ)。また、2つのラインから叩きだすゴールも、強力なPPで挙げるというケースが多かった。ちなみにファイナル5試合での計17点のうち、半数以上の9ゴールがPPでの得点によるものでした。 4つのFWラインを、はっきりオフェンシウ゛ラインとディフェンシウ゛ラインに分けるか否か? これも昨日書いた「ラインをシーズン通じて固定するか否か」と同様なお題目であって、それぞれにメリットとデメリットが混在します。よってどちらが優れているかなんて議論は所詮水掛け論であり、全てはケースバイケースである。ただし、ディフェンシウ゛なラインからゴールが生まれれば、そのチームにとっては大きなボーナスであることは間違いありません。 シリーズ敗退決定後、記者会見でクレインズの田中監督はこう語っていました。 「こういう結果になって、何をいっても言い訳にしかならないので、しっかり受け止めてチームを再建するしかないです。プレーオフで王手をかけても勝てなかったけれど、その差は小さな違いだったはず。ただ小さな違いといっても、それが一番の違いだったと思うのですが」 「釧路で3つ勝てていれば・・と気持ちがどこかでありました。で、本来の力が出せなくなって・・・それを乗り越えるだけの力が無かったということです」 その一方でコクドの選手が、ベテランから若手まで、最後の最後まできっちり動けていたのには、正直予想外でした(コクドの選手の皆さん、ごめんなさい)。コクドとしては、チームスタッフ、選手にトレーナーが一丸となって、「シーズン中にピークをどこに持ってくるか」ということに、ひとつの焦点を置いていたとのこと。1回めのピークは試合スケジュールがキツかった11月、2回めのピークは全日本選手権。しかし、全日本選手権では無駄なペナルティを連発し、クレインズの強力PPにしてやられるはめになった。 ただこの全日本選手権での苦い経験をもとに、コクドの選手は「とにかく無駄なペナルティをしてはならない」と、コーチ陣も選手も心に言い聞かせていたわけです。本当にシンプルで当たり前のことだったと思うのですが、それを実践する方は大変だったと思います。ともすれば、氷上での沸点低すぎに思われるパーピックでさえも「とにかく冷静にプレーして、ペナルティを少なくすることがウチにとっては勝利のカギなんだ。相手にPPのチャンスをやらなければ、ウチは勝てるんだ」と、繰り返していたことからも、それは明らかでした。 コクドでは、シーズン中に主力が長期欠場していた間に、普段重要な局面でプレーする機会がない選手が成長しているという話を、こちらでも以前にお伝えしました。そういった逆境を肥やしにする精神も、今季のコクドには生きていたと思います。またケガで休んでいた選手にとっても、大きな意味のある優勝だったようです。 「ここ4年間で一番報われた優勝だった。クレインズは素晴らしいチームで、そのプレーには本当に脱帽する思いだけど、自分としてはケガで3ヶ月プレーしなかったシーズン。最後はゴールも挙げられて最高の気分だよ」 そう記者会見で語るパーピックの右手は、しっかりとテーピングされたままでした。 で、会見終了後は、恒例の祝勝ビール掛け。「ペペ」こと河村が褌一丁で登場、外崎は水着にスイミングキャップといういでたちで、異彩を放っていました。 (写真は#40藤田キヨシ選手(右)と、ずぶぬれになった岩崎監督(左)。我々メディアも何度か危ない目に遭いましたが、ガラス戸でシャットアウトして事なきを得ました)
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