NHL Notebook

大市場vs小市場

CBA
元のサイトで完全版を読む
大市場vs小市場。永遠なる課題でありますなあ。 グレ様&マリオも参加した2月19日のNHL労使交渉会議。この2人が、その会議に至るまでに水面下で糸を引いていたという噂は、どうやら事実らしい。 2人の所有するチームは、共にアメリカの小市場チーム。例えば、マリオの所有するピッツバーグ・ペンギンズの社長ケン・ソーヤーは「(NHL提案の)4250万ドルというサラリーキャップを持ってしても、最初の数年ウチは苦しい財政となるだろう。長期的には改善されるとは思うが」とコメントしている。ただ、オーナーのマリオ自身は「ベットマンコミッショナーを信頼している」という姿勢を表向きには打ち出していた。一方、グレツキーが一部所有するフェニックス・コヨーテズは、シーズンチケット保有数たった2000という報道もあるほど、郊外の新アリーナに移転して以来観客動員で不振を極めるチームである。低め天井のサラリーキャップを欲する一方で、このままホッケーの存在が希薄化すると真面目にチーム存続だけでなく、アリーナを中心に開発した都市計画全体まで共倒れだ。そんな深刻な事情をコヨーテズは抱えている。 そんな事情も手伝ってか、グレ様はマリオとともに、同類の小市場チームを妥結に取り込むロビー活動に勤しんでいたと言われている。つまり2つのチームのオーナーが会議に参加した背景は、多くのメディアが書きこぞったような「この2人のオーラで奇跡を起こせ!」というハリウッド的趣旨のものだけはなかったのだ。(グレツキーは、公には自分のそうした役回りについて語りたがらなかったそうだが) その一方で、2月19日の会合実施をNHLベットマンコミッショナーにせっついたのは、NYレンジャーズ、デトロイト、フィラデルフィア、トロントといった、一連の大市場チームのオーナー陣だった。これらのチームは、シーズンを開催すれば儲かるのだから、開幕したいというのは至極当然である。小市場と大市場の統一見解の下、妥結に向けて動き出したNHLだったが、そこで猛反発したのが、フロリダ、ナッシュビル、エドモントンといった小市場強硬派。実際にナッシュビルのオーナー、クレイグ・リオポルド氏は、NHLの最終提案で収入と選手年俸のリンクが除外されたことに激しく反発していた。実際にNHLは19日会合ではサラリーキャップの最低額提示を取り下げていたし、それがこうした小市場強硬派からの反発に対応したものであることは容易に察することができる。つまり、グレ様&マリオのロビー活動むなしく、こういうチームを説得しきれなかったわけである。 オーナー側も選手側も、二極化がこれだけ進んでいる今、ひとつのシステムでは誰も満足しない。私としては、これ以上この二極化を助長するシステムだけは次期CBAには盛り込んで欲しくないと思ってはいた。金持ちチームのゴリ押しによって前回CBAが妥結した背景もあって、今回は数の上でも優勢な小市場チーム寄りの考えを持っていた私ではあるが、小市場チームの要求を聞き続けているだけで、リーグ全体の経営は果たして改善するのか? という疑問も正直ある。 そういうチームを救うには、収入分配策、支出抑制策は確かに必要だ。ただそうした待遇を全てモラトリアム的に与えていいものだろうか? 誤解しないで欲しい。ほぼ恒久的に援助すべき部分があるのは事実である。たとえば市場のサイズはどう転んでも小市場チームにとっては克服できない障害である(その根底には、その市場にチームを与えたのは誰か? という問題がある。ただチーム営業権を与えた限り、その張本人、つまりNHLが責任をとるべきである。またそのチームを、オーナー会議で承認した他チームも同罪)。なので、市場サイズに見合った収入分配はあくまで必要だという私の考えは変わらない。 ただしそんな背景はあるとしても、頑張れば改善できる部分(たとえばシーズンチケット販売数)での努力を怠っているチームに対しては、ある程度の猶予期間を与えるのはいいが永久に援助をすべきなのだろうか? と思う。各フランチャイズには異なる歴史があり、各地区のファンの成熟度も当然違う。ただ、チーム設立から数年が経過しても一向に経営が改善しないチームに対しては、鞭打つ制度も必要である。 例えばNHLは19日提案でチーム年俸最低額を取り下げた。おそらくこれは、収入と選手年俸のリンクを取り下げたことへの対応措置ではあると思うが、個人的にこの最低額取り下げには猛反発したい。いくら経営状態が悪いからといって、チーム年俸が他チームの数分の1で、いつまでたっても1軍半のようなロースターなんて、ファンがそっぽ向いて至極当然だからだ。こういう制度には、もし実施するにしても期限付にしないと、そのチームはこの制度に甘え続ける。そしてそのロースターはよぼどのビジネス才覚のあるGMに恵まれない位限り、永遠に1軍半のままである。 私はどちらかというと、NHLベットマンコミッショナーに対しては、批判的ではあったと思う。ただ彼が実施した過去の政策には、いい内容もなかったわけではない。例えば、カナダのチームに対する援助策がそれだ。カナダドルの価値が極度に落ち込み、スター選手が続々とアメリカのチームに流れてしまう窮状を、ベットマンコミッショナーは「シーズンチケット販売で一定数を達成すれば、NHLから助成金を与える」という制度を打ち出した。もちろん昨今の選手年俸の恐ろしい高騰により、この助成金の価値(せいぜい300万ドル)はないがしろにされてしまった感はあるし、「ベットマンコミッショナーのカナダのチームに対するゴマスリ」と揶揄されたこともあった。だが、それでもこの制度は、フランチャイズに関わる人間やファンの意識を新たにしたと思っている。 選手とオーナー間だけでなく、オーナーだけをとっても様々な類のエゴが渦巻いている。これを統一するのは容易な作業ではない。だが、少しばかりの創造力でクリアできる問題もあるとも思うのだが。 NHLは、3月1日にオーナーを招集して会議を実施予定だそうです。その会議でどうオーナーが団結、もしくは分裂するかが見物ではあります。(PA側も同様ですが) ご感想はHWJ掲示板まで NYポストの記事を読む テネシーアンの記事を読む TSNの記事を読む
もっと見る