2004年 12月 26日 ( 2 )

NHL、いよいよ今季幕引き準備か?

NHLは年明け1月14日にNHLオーナー会議を実施予定だそうです。

この1月14日に、NHLは30チームの各オーナーに対して「今季シーズン全面中止」を言い渡すのではと囁かれています。

NHLの場合、1シーズンを成立させるには、最少40試合が必要と考えられています。そのため妥結に至るための期限が、オーナー会議が予定された1月14日前後とみられています。つまりこの日までに妥結を見なければ、シーズン全面中止となるわけです。

前回ロックアウトとなった94−95年シーズンには、95年1月11日に労使妥結が見られ、1月25日から48試合にてシーズン開幕したという経緯がありました。なので、まだ今季開催への望みが100%消滅したわけではありません。ただし現時点では今後労使双方の会談は未定と、厳しい状況です。

NHLがこの会議日程を公表したことで、NHLPAにプレッシャーをかけた形であることは確かです。そうしてNHLは強気姿勢を崩さず。そう来られたらPAだって意地があります。「参りました。シーズン始めましょう」なんて、すり寄るなんて真似は出来ないでしょう。とゆーわけで、管理人予想では今季NHL開催確率は限りなく少ないと申し上げておきます。

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by hockeyworldjapan | 2004-12-26 08:42

バーツッジ裁判その後

なんだか暗いニュースばかりですみません。

でもこの一件について、状況が変わったので一応報告ということで。その前に、まずはあの忌まわしい事件を振り返らなければいけません。

2004年3月8日バンクーバーでのvsコロラド戦にて、トッド・バーツッジ(バンクーバー)が、相手選手のスティーブ・ムーアを後ろから殴るという事件がありました。被害者のムーアは氷上で流血してしばらく倒れたまま動けず。担架で運び出されるという事態に。その後、頸椎2カ所にヒビと脳しんとう、顔の裂傷という診断を受けています。危害を加えたバーツッジには、NHLから「プレーオフを含むシーズン残り出場停止」の処分が課せられました。

そのバーツッジの刑事裁判が、当初は1月17日に予定されていました。しかしバーツッジは有罪答弁取引(軽い休憩など検察側による譲歩と引き換えに被告側が有罪を認めること)に応じることに方針を変え、12月22日バンクーバーの裁判所にて有罪を認めたのです。これによってバーツッジには、これまで前科がないことから条件付き釈放(1年の保護観察、80時間の地域サービス)という判決が与えられたのです。

しかしこれに猛反駁したのが、被害者のムーア側。22日当日ムーアが裁判所に出頭できなかったことについて、翌日ムーア側はトロントの弁護士事務所にて記者会見を開き、不満を表明したのです。ムーアの弁護士によると、この有罪答弁取引についてムーア側に通知があったのが、12月20日の遅い時間。そのためムーアの弁護士は「実質1日の準備期間では、ムーアを審議のために22日バンクーバーに向かわせることができなかった」と語り、日程の変更を申し出たが拒否されたと、ブリティッシュコロンビア州司法長官を暗に批判しています。

直接法廷に出向く代わりに、ムーア本人と両親は被害者側声明文を作成し、これが有罪答弁取引中に検事側から朗読されました。その内容をここでちょっと紹介しますが、かなり痛々しいものでした。

「自宅では過去に病に倒れた妻が泣き叫び、神経衰弱寸前に。(スティーブの兄)マークは親戚に電話しまくってスティーブの容態を探し出そうと必死になり、自分は心臓手術から回復中の身で、ショックのため座ったまま固まっていた。心臓発作にならないように精一杯落ち着こうと努めていた・・・夜中にあのシーンが何度も目に浮かんで目覚めたこともある。(父ジャック氏)」

また、母のアンナさんは「NHLとNHLPAは、息子が退院後はまったく連絡をよこして来ない」と、両陣営を非難しています。

会見では、バーツッジの判決内容について、ムーア本人はノーコメント。また今後の民事裁判の可能性については、ムーア側弁護士は「現在は考えていない。体調を回復してホッケーをするのが優先順位」とコメントしているものの、その後の回復が芳しくなければ民事裁判に至る可能性も示唆していました。

3人が全てハーバード大学出身という秀才3兄弟で知られるムーア家。マーク(兄)ドミニク(弟)とともに記者会見に応じたムーア本人は「首の負傷はいい具合に回復しているが、まだ脳震盪の後遺症がある」と自らの体調を説明していました。民事裁判の期限は2006年3月8日。もしムーアがこの事件が要因で今後現役復帰が無理となることがあれば、NHLとNHLPAから障害保険(18万ドル)が給付されるそうですが、もちろんそれだけでは足りない。となれば、事態は民事裁判に持ち越されるということになるわけです。

現在ムーアは、自身が卒業したハーバード大学近くのボストンでリハビリ中だそうです。昨季はコロラド・アバランチでプレーし、今夏は契約が切れてFAとなっている彼ですが、そのリハビリにかかる治療費はアバランチが引き続き負担しているらしく、この記者会見でもアバランチに対する感謝の意が述べられていたそうです。

メディア全般は、このムーアの状況に同情的でした。
しかしTSNではブライアン・バーク(バーツッジ事件時はカナックスGMだった)が、バーツッジのこの動きは「皆によってベストの方法」とコメントしました。確かに以前から「NHL内部の問題は裁判所の手をかけずにNHL内部で処理すべき」という声もあり、これ以上法廷での審議期間を長引かせてはNHLだけでなくホッケーというスポーツのイメージに大きな傷が付くことを懸念している人も多いのです。

ですが、このバーク発言は「ムーア側にあまりにも配慮なし」と捉えられ、多くの記者やファンが反論。さらに記者によっては「かつてNHL副会長という立場にいたバークだけに、今後の職探しも含めてのNHL寄りの発言」と皮肉る記者も出て来ています。

ただし、実際のところムーア側弁護士を非難する声も少なくないのです。ムーアがこのバンクーバーでの有罪答弁取引に参加できなかったのは、ムーアの分のバンクーバーまでの旅費は裁判所側が負担できても、弁護士分の旅費はムーア側が負担する必要があったこととも報じられており、それゆえにバンクーバーでの出廷が「無理」だったのではなく「出廷しないことを自ら選んだ」のだと、指摘する記者もいました。

さらに、この有罪答弁取引が22日に実施されることは、すでに12月18日にはカナダのメディアで全国的に報じられていたそうで、「いまさら『1日の準備期間では出廷できない』という言い訳は通用しない」と書く記者も出て来ています。

いずれにしても、次の焦点は(1)バーツッジのNHL復帰時期(2)ムーアの回復状況と民事裁判の可能性、の2点になると思います。

(1)については、今回具体的に判決結果を得たことで、バーツッジ側はまず復帰への最初のハードルをクリアしたと考えていることでしょう。とはいえ、肝心のNHLは現在ロックアウト中ですから、労使交渉妥結の方が問題としては先なのですけどね。

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by hockeyworldjapan | 2004-12-26 08:25 | NHL overall