カテゴリ:CBA( 33 )

NHL労使交渉。で、今の争点は何?

・・・と言われそうなので、一応書いておきます。

もちろん「サラリーキャップ」の導入の有無もひとつの焦点であることは変わりないのですが、選手の中には「NHL提案の通りとはいかないが、キャップという概念は受け入れてもいいのでは?」「キャップ&贅沢税の双方をシステムとして取り入れたらどうか?」という人たちも出て来てはいるのです。ただしそういう選手たちが、全体の何%に相当するのか、またその選手たちであっても「キャップ容認派」と一括にしてしまうのは、実際に難しいというのが現状ではあります。

で、PA側として、NHL提案の中で一番の問題になっているのが、「リーグ総収入の53〜55%を、選手年俸総支出とする」という部分。理論だけをとってみれば、このNHLの主張は至極正当のように思われますし、各チームのキャップ額を算出するためにこうした技法を取るのは、基本中の基本ではあります。

ただし、これをNHLの現状と照らし合わせてみると、PAにとってはこのシステムの即座導入は非常に痛いタイミングなのです。というのも、NHLでは(1)アメリカでのTV放映権収入の大幅ダウン、(2)ロックアウトの余波によるその他の収入の激減、などの背景により、近々リーグ総収入が大幅ダウンする可能性が大であるからです。

ひとつの例をここで挙げておきます。

現在のNHL提案で妥結したとして、来季2005−06年はフルシーズンが戦われたとします。しかし、先に挙げた(1)、(2)の理由で、リーグ総収入は30%ダウンしたとしましょう。

2005−06年でのチーム別サラリーキャップ額は、3200万ドル〜4200万ドル(福利厚生費を除いた純粋な年俸額では、約3000万ドル〜4000万ドル)。しかしその翌シーズンのキャップ額は、リーグ総収入の30%ダウンを加味した額、つまり30%ダウンの2100万ドル〜2800万ドルとなるのです

もちろんリーグ総収入が実際に30%もダウンするのかどうか・・・という議論も必要だとは思われるのですが、キャップ上限2800万ドルというのはPAにとってはかなり低い数字であることは間違いありません。というわけで、PA側がこの「リーグ総収入の53〜55%を、選手年俸総支出とする」というコンセプトに猛反駁しているのは、そういう背景があるからなのです。

さらにPA側としては「選手たちはロックアウトされた方。ロックアウトによる収入減の責任はオーナー側にある」という議論もあるでしょうが、それは正直お互い様だと思う。逆にPA側としては、待てば待つほどリーグ総収入減の可能性が増えて行くわけだし、NHL側としてはPA側にプレッシャーをかける上でいい材料になっているような気がします。

いずれにしても、(1)このまま交渉しない日々が続き、タイムリミットを迎える →(2)今季全面中止宣言がなされる →(3)どうせ来季は9月までキャンプもないし・・・ってんで緊迫感が薄れる → (4)交渉がさらに膠着状態になる →(5)ファン置いてきぼり化がさらに進行する・・・といったシナリオを、私は一番恐れています。(「ホッケー食べて、飲んでる」カナダでもファン離れが進行してます)

この際はっきり言いましょう。
別に今季開幕しなくたっていいんです。
でも、これだけは言いたい。交渉だけは続けろと。

PA側がロックアウトの余波を気にするなら、NHL側は最初の2年は暫定的にキャップ額を据え置くとかの措置も提示してやれば? とも思う。それと引き換えにNHL側は他の条件で強く出られることでしょうから。そういうのが「交渉」ってもんじゃないかと思うのですが。

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by hockeyworldjapan | 2005-02-09 14:27 | CBA

まだまだ引っ張る? いえ、もう限界?

2月3日、4日の連日の会合もむなしく、NHLとNHLPAは決裂してます。

こうなると「じゃあシーズン全面中止宣言はいつよ?」という報道が今度は過熱するわけです。

まずは、ESPNマガジンのEJラデック記者が「あるオーナーが『今後48時間以内にシーズン全面中止になる』と語った」と報じました。が、まだいまのところ中止宣言は出されていません。ただし「そうなるのも時間の問題」というニュアンスの記事が後続を断たないことも確かです。

はたまた、JRことジェレミー・ローニックは、ESPNとのインタビューで「サラリーキャップ制の下でも、NHL選手たちは生き延びることができるかも(「現在提示されているような甚だしいレベルでないものだが」と、JRは付け加えてはいましたが、これが選手によるキャップ容認宣言と受け止められてみな大騒ぎ)」「個人的には選手投票に賛成」と発言。これが呼び水となって、今度は「選手全員による、NHL提案についての投票を実施しろ」という後続記事が後を断たず、さらには「ベットマンをクビにしろ(トロントサン紙の記事:「ビル・デイリーの株が上がってる。デイリーはウイニペグ出身ででホッケーに馴染みあり。でも一番の後任候補はルー・ラモリエロ」だってさ)」「グッドナウをクビにしろ」系の記事も続出。こうなるとどさくさに紛れてやりたい放題、混乱の極みです。

さらにバンクーバー地元紙は、「世論調査によるとトレバー・リンデンの好感度がアップした」と報道。1月28〜2月2日に339人を対象とした面接調査で、コアなNHLファンのうち41%、ホッケーファンでない人のうちでも30%が、以前よりもリンデンに敬意を抱くようになったとか。逆に「敬意を失った」としたコアファンは18%、非ホッケーファンは17%だったらしい。日本のプロ野球でいう、古田敦也の人気がアップしたのと似たような現象でしょうか?(争点は全く違うんですが)

ま、そのあたりの報道は、「あ〜、やってるな〜」と適当に流しておいてよろし。

ただし、この報道だけには、ついに眉間に皺を寄せてしまった(寄せたくな〜い!)私なのでありました。

このままNHLが開幕せずに今季全面中止となった場合、アメリカの労働法によりNHLは2004年9月のロックアウト宣告以来12ヶ月後の2005年9月には、トレーニングキャンプを実施し代理選手を送り込むことになる。
(注:カナダの労働法はアメリカのそれと異なる。ケベック、BCの2州では代理勤務者を立てることは禁止されているが、両州での労働局関係者によるとNHLPAは労働組合として公的に認められていないとの話も)

そうなると今度はNHLPAがこのNHLの行為を「不当」とアメリカ全国労働関係委員会(労働条件を監視する独立機関)に訴えることになるだろうと、法律専門家は予測。そうなってしまうと、この問題解決には非常に長い時間を要するであろうということなのです。つまり、公的機関に裁定を仰げば仰ぐほど、法廷でケリがつくのに時間がかかってしまうという意味であります。

この記事にはこんな記述もありました。

1994−95年MLBのストライキ時には、オーナーは95年春のキャンプに代理選手を導入しようとしたが、この全国労働関係委員会(NLRB)へ選手たちが訴えたことで、結局オーナーは再び交渉の席に付く事になった。逆にNFLの場合は、1987年にNFL側がNLRBに「PAがちゃんと交渉に応じようとしない」と訴えた。ただNLRBによる審議が長引く間に、NFLは合意の得られぬままサラリーキャップを導入した上で、代理選手も雇用した。そしてついにPAが音を上げてストライキを止めたという一件もあったそうです。

つまり、この法的介入というのは、どっちに転ぶか分からんという代物らしいのです。いずれにしても決着するまでに、時間がかかり過ぎるのがイタイ。そんなことしてたら、今季だけでなく2005−06年シーズンも危ぶまれてしまうかも・・・というわけです。


・・・で、NHLはそんなんですが、マスコットはちゃんと仕事してますからっ!
君、レイオフされなくってよかったね。この記事内にある「偽物巨大スタンレーカップ優勝リング」ってのを早く観たいです。

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by hockeyworldjapan | 2005-02-06 18:45 | CBA

NHL提案の全貌

2月2日のNHL提案の全貌(あくまで概要ですが)を、こちらに書き込んでおきます。

TSNすっぱ抜き内容と、多少相違点もあるかと思いますので、じっくり読んでみてください。私もあれこれ言いたいことはあるのですが、他にお知らせしたいこともあるので、今日はこれくらいでやめときます。

で、現在のNHL労使交渉なのですが、現地2月3日には遂にNHLベットマン、NHLPAグッドナウの両巨頭が復帰して、なんと9時間近くもミーティングを実施。2月4日も引き続き会合を実施するとのことです。


2月2日のNHL提案
1)適用期間:2005年シーズン残りと、その後6年間(2010−11年まで)

2)NHLPAの契約再交渉権:NHLPAは発効4年目(2008−09年)終了後に契約再交渉権を有する。この権利はNHLPAのみが有する(@つまりNHL側からの再交渉権は提案されていない)。

3)エントリーレベルシステム(@すなわちルーキーサラリーキャップ)
*ツーウェイ契約で4年間を義務とする(@従来は3年間)
*85万ドルを最高年俸とする。この年俸には基本給、出場試合数見合ボーナス、契約料を含む。
*契約料の最高額は以下の通り。
ドラフト全体1〜5位選手:10万ドル
ドラフト6位〜15位選手:7万5000ドル
ドラフト16〜30位選手:5万ドル
ドラフト31位以上の選手:4万ドル
*ボーナスA類の最高額は合計で25万ドルとする(ボーナスA類とは?:FWなら滞氷時間、ゴール、アシスト、ポイント、プラスマイナス、オールスターゲーム出場。DFなら滞氷時間、ゴール、アシスト、ポイント、プラスマイナス、オールスターゲーム出場。GKなら出場時間、防御率、セーブ%、勝利数、完封、オールスターゲーム出場)
*NHLアウォード投票に関連した個人ボーナス(従来のボーナスB類)は、NHLによって支払われる(例:各個人賞(ハート、ノリス、ヴェジナ、セルキ)では1位に50万ドル、2位に40万ドル、3位に30万ドル、4位に20万ドル、5位に10万ドル。その他個人賞獲得者については、コンスマイス(50万ドル)、アートロス(25万ドル)、リシャール(25万ドル)、レディビング(25万ドル)、カルダー(25万ドル)が支払われる。さらにシーズン終了後選出されるオールスターチーム(ベストシックス)のファーストチームに選ばれた選手は、50万ドル、セカンドチームに選ばれた選手には25万ドルが支払われる。

4)制約付きFA
*年俸80万ドル未満の選手に対しては、Qualifying Offer(@権利保有のための最低提示額)は前年年俸の100%とする。年俸80万ドル以上の選手に対しては、前年年俸の75%とする。
*制約付きFA選手が他チームと契約に至った場合、その選手を取り戻すための提示額、あるいは放出を決めた際の見返りについては従来CBAに準ずる。
*選手、チームは、トレーニングキャンプ開幕後14日以内に契約に至らねばならない。契約に至らなかった場合はシーズン残りはプレーできない。

5)年俸調停
*選手側、チーム側いずれも年俸調停申請権を有する。
*グループ2FA選手は全て年俸調停権を有する(すなわちエントリーレベルの4年間を満了した選手で、制約なしFAに該当しない選手)。
*非申請側は以下の方法で年俸調停を1度だけ回避することができる。
ー選手はQualifying offerを受け入れることで年俸調停を回避できる
ーチームはその選手の前年比5%アップの1年契約を受け入れることで、年俸調停を回避できる。
ただしこの回避権は、エントリーレベルを満了したばかりの選手については、選手側、チーム側ともに行使できない。
*非申請側が契約期間を選択できる(1〜3年間)。
*年俸調停において、双方は比較基準となる選手5名(あくまでグループ2区分の選手)までのリストを提出する。そして双方は相手側のリストから2名までの選手の名前を削除することができる。
*調停結果受け入れ拒否権については以下の通り。いずれの拒否権も、非申請側のみが行使できる。
ーチーム側は調停結果を拒否することによって選手は即座にFA権を得る。だがその選手が別のチームと合意に至った契約額が、調停額の90%以下の場合は、チーム側はその同額を提示することによってその選手の放出を食い止めることができる。
ー選手側は年俸調停結果を拒否する場合、Qualifying offerの90%の額を受け入れるという選択肢もある。
*NHLは、この協定期間内のいかなる時にでも、FAグループ3資格を28歳まで引き下げることで、この年俸調停制度を廃止することができる。

6)制約なしFA
*2006−07年からグループ3FA区分は、30歳以上とする。
*グループ5、6は廃止する。

7)選手契約について
*NHL最低年俸は30万ドルに引き上げる。
*NHL最高年俸については、今後の交渉で議論される可能性あり。ここでは具体的数字は提示されていない。
*保証付き契約については従来と変更なし(バイアウト行使の場合、スキル不足なら残り契約期間の2/3、もしくは1/3を支払う。ケガの場合は100%を支払う)。
*契約期間は最高3年間とする(それ以上の期間に及ぶ既存の契約は除く)。

8)NHL選手年俸総支出割合
*選手年俸総支出は、リーグ総収入の53%以上、55%未満とする。
*毎シーズン、各チームの選手年俸のうち15%が第三者によってプールされる。各シーズン終了後の会計結果によって、このプールされた金額から選手側、もしくはチーム側、さらには選手側とチーム側双方に適正額が支払われることで、55%の枠内に収めることとする。また会計作業の結果、選手年俸総支出がリーグ総収入の53%を下回った場合、チーム側から選手側プールに追加金額が支払われることになる。

9)チーム総年俸枠(@つまりチーム別サラリーキャップ)
*チーム別年俸枠(下限)の決定基準:2003−04年のチーム別総年俸のうち、まず上位5チーム、下位5チームを除外する。下限額は、チーム年俸額16〜25位の数字を平均し、さらに24%ペイカットを考慮した数字とする。この計算式により新協定1年目の下限額は、2980万ドルとなる(福利厚生費を合わせて3200万ドル)。いずれのチームもこの額以上を選手年俸に費やさねばならない。
*チーム別年俸枠(上限)の決定基準:上限額は、チーム年俸額6〜15位の数字を平均し、さらに24%ペイカットを考慮した数字とする。この計算式により新協定1年目の上限額は、4000万ドルとなる(福利厚生費を合わせて4220万ドル)。
*このチーム別年俸枠は、リーグ総収入額の増減により毎年調整が実施される。
*収入分配案については、各30チームがチーム別年俸枠の選手年俸支出を満たすべく、このチーム別年俸枠内にて設置される(@よく分からない文章だが、収入分配案については策がないので、わざと分からないような文章にしているに違いない。平たくすると「年俸枠下限を払えなくなるチームが出ると困るのでそれなりに救済はするが、かといって上限を超えるレベルに贅沢税をかけるとかいう意図ははありません」という意味だとは思うが、その具体策は提示されていない)。

10)贅沢税について
NHLは贅沢税には反対。しかしPA側は贅沢税でも機能すると主張しており、NHLはチーム別年俸枠という意味において、贅沢税の導入を検討する用意はある。具体的には、税率1段階、もしくは2段階の贅沢税を、前述の年俸枠内にて導入することは可能。しかしその税率や、課税対象となる年俸額については今後の交渉を要する。
(@言語明瞭意味不明に思われるが、その裏に潜む意図は明らか。NHLはこれまで確固とした収入分配案を提示してこなかったが、実は贅沢税を導入すればその問題がある程度解決できることが分かってる。ただこれまで「贅沢税はNHLでは機能しない」とはねつけて来ただけに、素直に「じゃ、贅沢税でいきましょ!」という訳にもいかず、「PAがそんなに言うならば、部分的に贅沢税を導入してやってもいいぜ」とここで申し出ているのである。すなわち「贅沢税を収入分配案に利用することはやぶさかではない」というリーグ側の意図が見え隠れしている)

11)利益分配
選手側とチーム側は、リーグ全体利益額を50%ずつ分配する。

12)チーム収入についての共同監査
*各年度の会計報告は、NHL、NHLPA合意の下で選出された会社によって実施される。
*必要な財政情報の報告を怠ると、初めての違反の場合は200万ドルの罰金に1巡目ドラフト指名権剥奪、2度目の違反の場合は500万ドルの罰金に1巡目ドラフト権3つを剥奪される。

13)オーナー側と選手側共同評議会の設置(@詳細は述べられていない)

14)2005年プレーオフについて
2004−05年のレギュラーシーズンが短縮されたのを補う意味で、2005年プレーオフでの収入の一部を選手年俸に分配する。これによって、リーグ総収入の53%以上に選手年俸支出が届くように調整する。

15)年俸カット
*NHLPA側の「24%一律年俸カット」案をそのまま適用する。


NHL提案を原文で読む
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by hockeyworldjapan | 2005-02-04 20:53 | CBA

まだ望みあり? NHL側提案の全貌とは???

しつこくCBA関係のネタです。

まずはNHL開幕って、いつまで待てんの? という疑問について。

この後に及んで、2月21日妥結期限説というのが出て来ました。

この説によると2月21日までに妥結後、3月上旬開幕。30試合を2日で1試合ペースでこなして(カンファレンス内対戦に留まるでしょう当然)5月上旬にプレーオフ突入。4つのラウンドのプレーオフもちゃんとやる・・・というのがその案であります(詳しくはUSAトゥデイ紙の記事を見てね)

ちなみに前回労使交渉が紛糾した1995年は、1月25日にレギュラーシーズン開幕。プレーオフ開幕が5月6日で、6月24日にシーズン終了しました。ですが、そんときはデビルズのスイープだったので、この日にちにようやく留まったという感ありでした。

しかし30試合開催となると、選手たちの年俸は当然30/82になります。そして、PAの提示から行くと、そこからおそらく24%のペイカットがある。そうなると、その選手のサラリーはかなり例年よりは少ないことになり(といっても一般庶民にとっては大金ですが)、それを貰うために今季妥結を希望するのか? という問題があります。

さらにまだ昨夏FAとなったまま、契約していない選手が大勢いる。この彼らを含め、サラリーキャップ内に抑えるため各チームはいつまでに契約を完了するのか? という別の問題もあるわけです。通常シーズンなら3月上旬に「トレード期限」というのが到来し、その期限以降に契約に至った選手は、そのシーズン中にはそのチームでプレーできないというルールがあるのだけど、今年はそんな期限をどう設けるのかという難しさがあるわけで。ああ、そんな細部を考えただけでもクラクラしてしまう私なのでした。

実際、現在のところ730人のNHL選手のうち、ついに半数以上の370人がヨーロッパに流出しております。その中にはFAになったままヨーロッパに渡った選手も当然いるわけで、そういう選手との契約交渉は現在禁止されている状態。晴れて労使協定が整ったとしても、新CBAの下(ハードキャップになるかソフトキャップになるかはまだ分かりませんが)そうした選手たちと短い間に契約更改したりなど、GMらチームスタッフは殺人的スケジュールに見舞われることが予想されます。

で、肝心の労使交渉の最新情報ですが、現地時間の2月2日、NHL&NHLPAはNYで会合を予定しております。今回は双方2人(ナンバー2+顧問弁護士)ずつという少人数で、ちゃんとした書面での提案提示を双方が用意するという話もあるようです。

で、その提案内容(NHLの方ね)が、またTSNにすっぱ抜かれてるんだわこれが(笑)。
それがどこまで正しい内容だかは保証できませんが、いちおうその内容をここでご紹介。

*契約期間は6年(今季残りは含まず)。しかし4年経過後NHLPAは一方的にその内容を期間完了とすることができる。

*サラリーキャップ:リーグ総選手年俸は、リーグ全収入の55%とする。各チーム別キャップ額としては、3200万ドル〜4200万ドルの間に収める(この数字には、選手の福利厚生費も含める。福利厚生費を除くと実質チーム総年俸キャップは3000万ドル〜4000万ドルとなる見込み)。30チームの総年俸の合計がリーグ収入の55%を越えた場合には、その超過分をNHLPAがNHLに返却する。逆に55%を割った場合には、NHLからNHLPAにその不足分を返却する。また先に報道された「選手1人の年俸は600万ドル以内とする」という項目は、この提案からは除外された模様。

*贅沢税:NHL側から提案する予定はなし。ただしPA側から提案があれば交渉する用意はある。しかしPA側はコスト制限策(=サラリーキャップ)が存在する環境での贅沢税には関心がない模様。(ただし「PA側から提案があれば交渉する用意がある」という部分を、「NHLが贅沢税を受け入れる姿勢を見せている」と報道する向きもあり)

*利益分配:これまで触れられていなかった新しい要素。全利益をオーナーと選手とで50%ずつ分けるというコンセプト。これを可能にするために、NHLはPAとの合意の上で監査役を任命する。収入、利益を過小計上したチームは、罰金、ドラフト指名権剥奪などにより、厳重に罰せられる。
(HWJ管理人のコメント:フォーブス記事が以前暴いていたように、オーナーの計上する収入に関してはその透明性と正当性が大いに疑われていました。そしてそうした問題を追及するための第3者による監査システムはNHLには不在。その必要性をNHLが気づいたのは正直遅過ぎという感もあるが、それを敢えてNHL側から提案するつもりなら評価したいです)

*収入分配:またもや具体案なし。小市場チームが3200万ドルのキャップ底値を捻出できるようにするとだけ触れられてるそうだが、詳しい説明はないらしい。予想では、やはり噂通りプレーオフでの収入を分配することが主流になるらしい。
(HWJ管理人のコメント:プレーオフ収入分配という策は、以前にも書いたが反対である。もちろんプレーオフでの成功だけがフランチャイズの成功ではないが、チームにとって大きな成果物であるプレーオフでの収益を収入分配にもっていかれるのはどうか? と思う。収入分配策を明らかにしていないこと、これがここまでのNHL提案の一番の罪だと思う。その私の考えは当初から変わっていない。エクスパンションから設立年数の浅いチームがあることも確かだが、エクスパンションチームの多く(除:コロンバス&アトランタ)はすでにプレーオフ進出を果たしているのだから「成熟度の浅いチームを救うためにもプレーオフ収入を分配すべき」という議論は通用しないと思う。このあたりはまた後日ゆっくり説明したい)

*年俸調停:チーム、選手双方から調停に持ち込める(現行CBAでは選手側からのみ申請可能)。調停額に制限は設けられないが、チーム側は1人の選手について一定期間内のうち一度の調停結果受け入れを拒否することができる。その場合その選手は制約なしFAとなる。同様に選手も調停結果の受け入れを拒否することが可能だが、その場合その選手はチームからのQualifying offer(権利保有のための最低額提示)を受け入れる必要がある。

*Qualifying offer(制約つきFA選手権利保有のための最低額提示):制約つきFA選手の場合、前年年俸の75%を提示することにより、チームはその選手の権利を保有することができる。
(HWJ管理人コメント:現行CBAでは100%(平均年俸以上)か110%(平均年俸以下)という数字だった。これは年俸高騰防止に直結する策だとは思う。しかし現在制約つきFAとなってる選手は、この案が通ると、PA提案の一律24%ペイカットに加え、さらに25%ペイカットを被ることになりかねない。するとその選手の年俸は前年比の半額近く(57%)になってしまうわけで・・・選手側はこの数字には猛反駁するでしょう)

*ルーキーサラリーキャップ:現行の3年間から4年間へと延長。その年俸額は85万ドル以内とする。これに加えて2段階のボーナスの設定(10万ドル、25万ドル)が可能で、これを合わせると最高120万ドルの年俸が可能となる(現在は基本年俸こそキャップ額が明記されているが、ボーナスは実質無制限となっている)。

*Guaranteed contract(保証付き契約)
バイアウト、つまりダメ選手の残り契約買い叩きについては、現行CBAに準ずる。つまり残り契約の2/3を支払う。
(HWJ管理人コメント:NHLがNFLスタイルのハードキャップを望むなら、NFL同様にGuaranteed contractを無効にしないと実施が難しい。というのは、ハードサラリーキャップを設定してしまったら、その枠内に選手を収められないチームが当然出現する。その場合の措置として、NHLは分配ドラフト(DispersalDraft)を実施すればよいとPA側に提示したそうですが、それは多分機能しない。例えば、働きの悪い5年4500万ドル契約男(誰とはいいませんがね、ええ)を欲しがる他チームがあると思いますか? 放出する方のチームは「貰ってもらえればしめたもの」と思うだろうけど、そんな選手の引き取り手があるとは思えません)

*制約なしFA:現行の31歳から30歳へと引き下げ。
(HWJ管理人コメント:ま、NHLとしてはこれくらいの譲歩はPA側にくれてやれ! ってことなんでしょうけど、94−95年交渉で大きな焦点のひとつだったこのFA権は、今回の労使交渉では大勢に影響ない分野に成り下がりました。なんか時代の流れを感じるわ)。


あくまでこれは、TSN及びボブ・マッケンジー氏のスクープ内容であり、彼の主観によるところが多いかも知れませんと断っておきます。なので「紛らわしいことは読みたくない」という方は、この内容を忘れてください。そして妥結後のCBA内容だけ読んでいただければと・・・(「っつっても、もうここまで読んじまっただろうがっ!!!」という方が大半ですね。すみません)。

あ〜〜!!! まだまだ言いたいことはいっぱいある。NHLPA提案が出て来たら、そっちにもいろいろツッコミ入れたい。その他「なんでMLBでは贅沢税が機能してないのか?」「 なんでNFL型サラリーキャップはNHLにそのまま引用不可なのか?」その理由もクドクド書きたいのですが、それはまた改めて後日。

TSNの記事を見る
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by hockeyworldjapan | 2005-02-02 20:04 | CBA

NHL労使紛争その後の顛末

タイムリミットは刻々と迫り・・・ん? もう過ぎてるような気もしますが、無理矢理延ばしてるのかな?

1月26日@トロント、1月27日@ニューヨークと、2日連続で会合を持ったNHLとNHLPA。前回の会合(1月19日@シカゴ、1月20日@トロント)の参加者6名に加え、今回はPA側の要請により、オーナー側からニュージャージー・デビルズGM兼社長のルー・ラモリエロがそのメンバー入りしていました。

でもその結果はむなしく「合意には至らず」。合意に至らずどころか、両陣営には依然として大きな隔たりがあるとも報じられています。

今回の会合でNHLは、書類ではなく口頭で以下の3種のサラリーキャップをPA側に提示したと伝えられています。
*各チーム年俸は3200万ドル以上4200万ドル以下に抑える。
*リーグ総年俸はリーグ総収入の54%以下に抑える
*選手個人の年俸は600万ドル以下に抑える(注:この選手個人キャップについては提案されなかったという報道も)

12月14日のリーグ提案では、チーム単位のサラリーキャップは3460万ドル〜3860万ドルの間とされていましたが、今回の提示では多少の融通が効くような内容には変更されています。これはNHL側のわずかな譲歩とは取れますが、大勢には影響がないでしょう。

ちなみに4200万ドルという上限は、選手側が24%ペイカットを了解後の額ですから、よくよく考えてみると寛容ではある(以前はペイカットの話題が出る前で3100万ドルが上限なんていわれましたから)のですが、この額にはどうも条件がある模様。NHL30チームの大半が、この4200万ドル上限ぎりぎりまで選手年俸を費やした場合、リーグ全体収入に対する総年俸の割合が54%を越えることは確実となる。そうなった場合は、4200万ドルという数字は今後引き下げ必至らしいのです。(「らしいのです」という曖昧な表現に留まっているのは、NHL、NHLPA双方とも、今回の提示についてはその内容を一切公表していないためです)

サラリーキャップ以外についても、NHL側から提示はあったようです。例えば年俸調停について、NHL側は「年俸アップ率の上限を25%と定める」と提示したとか。これには当然PA側は猛反発しました。例えばある選手がスコアリングの数字を前年比3倍アップしても、調停では最高25%アップしか貰えないという仕組みだからです。これだったら、選手としては調停に持ち込まない方がマシとなるでしょう。

またNHL側としては懸案のひとつになっていた収入分配策について、NHLから何らかの提示があったそうだが、PA側は「取るに足らない」とこれを批判したそうです。

というわけで、「ひょっとして今季中の妥結もアリか?」という淡い期待をもたらした両巨頭不在の一連の会合でしたが、どうも事態は大して進展していないというのが現状のようです。

「何をいまさら」を十分承知で報告しますが、今回の会合に先立っては、かなり明るい見通しも報道されていたのです。カナダのスポーツ専門ケーブルTV、ロジャーズスポーツネットでは、アメリカABC解説者としても知られるジョン・デビッドソン氏の見解として「NHLはサラリーキャップと贅沢税を組み合わせた案を提示するだろう」と報じていました。

ちなみにその内容とは以下の通りです。

*チーム総年俸3800万ドル〜5000万ドル:100%の贅沢税を課す
*チーム総年俸は5000万ドルを越えてはならない。

つまりソフトキャップ(贅沢税)と、ハードキャップ(5000万ドルの越えてはならないサラリーキャップ)の2層構造を、NHL側が提案するだろうというのが、デビッドソン氏の見解だったのですが、これはどうも実現しなかった模様。これが全くガセだったのか、あるいは一部オーナーから実際に提案されたものの合意に至らなかったのか、はたまた一部オーナーたちの案がNHL御大から却下されたのか。その真相は闇に葬られています。

そんなこんなで、相変わらずメディアの報道合戦がすごいったら。
1月26日トロントでは、NHLナンバー2ビル・デイリーが宿泊したサットンプレイスホテルに、メディアが50名ほどロビーに押し掛けてホテル側は大迷惑。両陣営とも会合の開催地を極秘にしたことが、この報道合戦の火に油を注いでしまったものと思われます。

さらに、トロントでの会合にマリオ・ルミューも加わるのではとの憶測もありました。マリオは、マイク・ウイアー(ご存知カナダが生んだUSPGAプレーヤー)とのゴルフ大会(ボブホープクラシック)でのラウンド予定を辞退し、その後トロント入りが目撃されていたようです。そのココロは「友人のタイ・ドミに会うため」のトロント訪問だったらしいのですが、マリオってドミと仲良しでしたっけ? マリオはご存知のようにNHL唯一の「オーナー兼選手」という特異な立場にありながら、これまで労使交渉の席では「招かれない客」だったわけです。が、しかし、ここに来てマリオが両陣営の架け橋役として期待されているのでは? との説も出て来ています。で、気になるマリオのドミ訪問の意図ですが、ドミを通じて、マリオはトロントで他のPAメンバーに会っていたのでは・・・などという噂があるようです。

いずれにしても、時はまた刻々と過ぎ去っていきます。

仮に今後バタバタと交渉が妥結を見たとして、例えばレギュラーシーズン20試合のみのNHLシーズンを皆さんは見たいですか? まあ20試合とはいえ今季シーズン開催に漕ぎ着ければ、来季はちゃんと10月から開幕できるという保証はある。そんな意味では、今季開催は大きなメリットはあるとは思うのですけどね。

ただその20試合シーズン、こわいもの見たさで惹かれたりもする。もちろん優勝チームは「ああ、あれは20試合のシーズンだったからさあ・・・」と永久に言われる。そしてリーグ記録には、例によって全て「*」が付く。たとえ20試合でもシーズンが成立すれば、NHLはアートロスやウ゛ェジナ、ハートなどの各賞を真面目に表彰するでしょうしね。そう考えると意外なる展開が待ち受けてる可能性があるわけです。20試合なら30ポイントもあればアートロス射程圏内ですから、今頃ヨーロッパで絶好調な伏兵がそのビッグタイトルを十分狙えます(モリソンあたり、いけるかもね)。

あ〜、ついに私の妄想癖もここまで来てしまった。まだ時差ぼけが直ってないせいでしょうか、どうかこの愚態ぶりをお許しください。

壊れついでに一言。ちなみにセルキは、例年のごとくジョン・マッデン予想ってことでお願いします。あくまでジョン・マッデンです。でも最近はクリス・マッデンの方が私的にはポイント高いかも。

(注:クリス・マッデンは、ECHLロングビーチのゴーリーです。セーブ率.950近い数字残してるのがスゴ過ぎ。NHL禁断症状に喘ぐ皆様、ECHL観戦もまた一興です。箸休め的存在として一度どうぞ!)

TSNの原文を読む
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by hockeyworldjapan | 2005-01-29 17:57 | CBA

トロントでの会合物別れと、ガセネタ続出

あ〜! またまた空しさの嵐が襲って来た!!!

前回お伝えした通り、NHL&NHLPAのフィーリングカップル3対3・・・ではなくって(あ〜!!!)、両巨頭を除いた幹部3名同士による会合は、1月19日、シカゴ・オヘア空港にて5時間近く実施されました。その詳細については明らかにされなかったものの「いい雰囲気の中で対話がもたれた」と参加者の弁。よってその翌日20日もトロントにて会合を続けることになったのです。(場所をシカゴからトロントに移したのは、この会合の参加者のひとりでPAナンバー2として知られるテッド・サスキン氏の母がトロントで逝去したことを配慮したからだそうです)

しかしこのトロントでの2日目、会合の席では楽観的雰囲気が消え失せてしまったらしいのです。

「2日間いい対話ができたが、考え方の開きは依然として大きい(NHLナンバー2のビル・デイリー氏)」

結局議論はまた「サラリーキャップありき(byオーナー側)」「贅沢税でなんとか(by選手側)という概念的レベルに戻ってしまったのでは? と伝えられています。

今後も話し合いは続くとのことですが、サスキン氏の状況を考慮して、翌日1月21日には会合予定はなし。サスキン氏、そんな状況でも過去2日間は仕事を優先してきたんですかね・・・いくら要職にあるとはいえ、なんか同情してしまいます。

さて、その過去2日間において「NHL今季開幕目前!」の誤報が飛び交うという悩ましい状況がありました。

まずはアメリカのTVネットワーク局であるFOXが、「8年契約で最初の4年は選手側が年俸カット、その後4年は贅沢税という内容で妥結目前」と報じたそうです。しかしこれは、FOXの担当者がカナディアンプレスの記事の一部『業界関係者が8年間のハイブリッド契約を提案した』という内容を、完全にはき違えて報じた誤報であることが分かったそうです。さらにオタワサン紙も「NHLPA側が6年契約(最低3年間はサラリーキャップなし)を提示した」と報じたり、はたまた「ダックスとコヨーテズの選手たちがもう用具を準備して開幕に備えろと言われた」とか報じるメディアもあり・・・しかし全てがガセネタと判明したようです。

あ〜、もう空しさ倍増。心が荒みます、真面目に。

これから福藤選手取材で、ちょっくらリフレッシュしてきます。
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by hockeyworldjapan | 2005-01-21 12:50 | CBA

NHL今季開幕最後の望み?

こういうのを一縷の望みというんでしょうかね?

昨年の12月14日以来、まったく会談が行われていなかったNHLとNHLPAが、緊急に次回会合開催を予定しました。

NHLPA選手会会長のトレバー・リンデン(バンクーバー)は、NHLとの「小グループによる」会合を1月19日に実施するよう急遽呼びかけ。この会合には、両陣営から各3名のみ参加するもので、ベットマン、グッドナウのNHL、NHLPA両巨頭は出席しないとの内容になっています。会合場所は当初明らかにされていませんでしたが、その後の報道でシカゴでの開催が噂されています。

PA側からはリンデンの他、ナンバー2のテッド・サスキン、外部顧問のジョン・マケンブリッジ氏が参加、NHL側からは、NHL代表者会議議長を務めるハーリー・ホッチキス氏(カルガリーのオーナーのひとり)、NHLナンバー2のビル・デイリー、外部顧問のボブ・バターマン氏が参加の見込みとなっています。

この会合での具体的議題は明らかにされていませんが、特筆すべきはやはり両巨頭を含めない会合形式でしょう。これについてリンデンは「グッドナウ氏は問題ないと言っている。こういう会合は稀というわけじゃない。過去の労使交渉において、こうした形態をとったこともある」と説明しています。

さらにリンデンは「この会合はPR目的で招集したわけではない」ともコメント。つまり「見込みのないリーグ再開に向けて、NHLPAがその姿勢だけ一般世間に売り込んだ」と受け取られたくないという、リンデンの強いメッセージが感じられます。

この会合で双方がどこまで腹を割って話をするかが、大きな焦点であることは間違いありません。ベットマン、グッドナウという「番犬」不在の環境で、選手側、オーナー側ともに分裂が囁かれる中、双方の提案に関して各々が直接率直な意見を交換する機会になるのでは・・・と期待されています。ただしそれが労使妥結に直ちに結びつくとは、正直考えにくいわけで、今季開幕への可能性は依然として極めて少ないままといっていいと思います。

ただ、下手をすれば2005−06年シーズンまで危ぶまれるのではとの声も出て来た昨今、この種の会合はたとえ手探り状態に終わったとしても、持たれないよりはまったくマシと考えるべき。同様に1月17日には、ブレンダン・シャナハン(デトロイト)が、マンハッタンのレストランでNHLベットマンコミッショナーとお忍びで会談していたとの報道もありました。その会談内容は労使協定ではなく、今後のルール改正についてだったそうですが、これがリーグ側とPA側が少なくとも再び交渉の席につくための手がかりになれば・・・と願うわけです。

さてここで、前回の投稿からしばらく経ってますので、その間の経緯も少し説明しましょう。

まずは1月11日、カロライナ・ハリケーンズのオーナー、ピーター・カーマノス氏の「自分が思うにもう今季はない」発言。その一方で、同時期、フィラデルフィア、NYレンジャーズ、ダラス、トロント、デトロイト、コロラドといった高収入6チームが、ベットマンコミッショナーに対して「早くリーグを開幕するように」と不満をぶちまけたという報道もありました(フィラデルフィア・インクワイアラーの記事を読む)。そのため、NHLはこの分裂をカモフラージュするために、カーマノス氏と仕組んでNHL側のスタンスを明らかにさせたのではとの見解もあるようです。94−95年ロックアウトの際には、94年スタンレーカップを獲得したレンジャーズ首脳が、NHLに対して「早期開幕を」とプレッシャーをかけたという経緯がありますし、以前も説明した通り今回もこうした分裂から交渉妥結に向かう可能性は十分あります。

かと思えば、その翌日にはマイク・モダノ(ダラス)がカナダ全国紙のナショナルポストに「10月になって『今後も団結は固い』などと言うのは難しい。『オレたち何やってるんだ』という選手たちが出て来るだろう」と語ったと報じられましたが、これに対してモダノは後日「自分のコメントが心外な形で使用された」と反論していましたが、「団結」が伝えられていた高年俸選手からもこうした発言が出て来たというのは、選手側のさらなる団結崩れを現す証拠といっていいでしょう。

しかしこうした流れを抑えるように、1月15日にはNHLPA代表グッドナウ氏が「選手たちは今季および来季のNHLシーズン中止に備え、ヨーロッパなどでの仕事を探すように」と通告したとの報じられました。代理人によっては、すでにヨーロッパのチームと来季の契約話を進めているとか、また故障のため北米に戻ってきていた選手が再びヨーロッパに渡るなどという報道もちらほら。ヨーロッパリーグへの移籍期限は1月31日となっており、それまでにさらに多くの選手たちがヨーロッパ目指して旅立っていくことと思われます。


ところで、前回の投稿で「NHL今季開幕の可能性があるとすれば、オーナーと選手がクーデターを起こすしかない」と書きました。

「クーデター」という表現は、非常に野蛮だったとちょっぴり反省しています。自由主義社会じゃあ他にやり方はあるわけですから。親玉の逆鱗に触れることなくスマートにこの種の会合開催に至ったリンデンは、ある意味偉いと思います。

他にも、こんな提案をした人がいました。
1月12日、スタン・キャステン氏(元NHLアトランタ・スラッシャーズ、NBAアトランタ・ホークス、MLBアトランタ・ブレーブス社長)は、両巨頭にある提案書簡を送付。その内容は以下の通りです。

*NHLベットマンコミッショナーから選手たちに対して、NHLPAグッドナウ代表からオーナー陣に対して、最新の提案内容を直接説明する機会を設ける。
*説明会終了後、オーナー側、選手側それぞれ無記名投票を実施。その結果を公表する。

この提案、NHLとPAそれぞれから即座に拒否されたのですが、実現してもらって無記名投票の結果を見たかった。それに少なくとも、私の野蛮なクーデター案よりはずっとスマートな提案でした。

いずれにしても、現地19日の会合内容が気になります。

(19日の会合についての現地記事を読む)
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by hockeyworldjapan | 2005-01-19 14:42 | CBA

NHLとスポーツ弱者スパイラル

う〜ん、空しい。空しいです。

なにがそんなに空しいかというと、TSNで「いつまでに妥結すれば今季はまだ成立するか?」という議論をしてたのです。

グレン・ヒーリー:「2月に食い込んでも大丈夫。トレーニングキャンプなんて不要だ。どうせ選手たちはもうよそでプレーしてるじゃないか」
エリック・デュハチェク:「現実問題2月1日頃までに妥結すれば、1週間のトレーニングキャンプ期間を経て開幕に繋げることは可能」

ヒーリーの「トレーニングキャンプは不要。どうせ選手たちは・・・」発言に対して突っ込みたい欲求を抑えつつ、話を続けることにします。

「今季成立のための妥結期限」。これは、仮に妥結しそうな雰囲気が高まってる状況下であれば、議論としてひたすら盛り上がるお題でしょうね。しかし、いかんせん、現状は暗すぎる。全く両陣営の話し合いが持たれる様相のない今となっては、所詮虚空を切るよな議論に終わってしまう。

デュハチェク氏は冷静に続けます。
「ただし、それまでに交渉が妥結するとは思えません」

これを言い終えたデュハチェク氏、空しかっただろうな。

10年前に、NHL労使交渉が妥結したのが95年1月11日。すでにこの1月11日という指標日を踏み越えようとする今季、「まだ間に合う。40試合スケジュールで行ける」という記事を書く記者さん(トロントサン紙の記事を読む)もありました。

それは筋書きでは確かに可能です。でもそれはあくまで筋書き上の話。書いた本人も、たとえ交渉が再開したとしても、両陣営が話す具体的内容なんてもはや皆無なのは、おそらく分かってて書いてるはずです。でもこの記事によって「今すぐ交渉の席につけ!」と、両陣営をけしかけたい・・・などという願望が、そこには潜んでいたのだと察します。

もちろん今季開幕への希望への糸口が、全くないわけではありません。
内情を暴くまでもなく、NHLが仕切るオーナー側だって、PAがかろうじてまとめようとしてる選手側だって、かなりの分裂の様相を示してるのです。

ただし、それを妨げようとするのが両陣営の長たる人物たち。オーナー側が不平を公に示せば、NHLから25万ドルという膨大な制裁金が課せられる。PAにたてつけば、背信行為としてその選手(言わずと知れたロブ・レイの一件です)はPAから一方的に引退選手扱いとされ、ロックアウト中の給付金の対象外とされてしまうなんてこともありました。こうなるとどっちも包囲網ずくめの恐怖政治です。しかも、どっちのリーダーたちも、寒くなった自分のクビを守るために依怙地になっている。これでは発展的な交渉は望めません。

それでもまだ今季開催が実現するとすれば、以下のシナリオのみで可能でしょう。

オーナー側&選手側がともにクーデターを企てて、両陣営ボスを失脚に追い込む。本当の意味での両陣営の統一見解を早急に練り直し、「Take it or leave it」じゃなくって、お互いの主張を取捨選択し譲歩の必要があれば譲歩するという、本当の意味でのネゴシエーションに入る。そして奇跡的に両陣営は妥結に至る。

ただしこの「クーデター」案は、現実離れした戯言であり、戦略的には飛び道具。実際権力者が君臨しているうちには、それに阿るのが人間の性というやつ。よってこれが天文学的レベルで不可能に近いことは分かっていますし、私はそれを両陣営にけしかけるつもりは毛頭ないし、そんな力など私ごときにはありません。ほぼ妄想の世界です。それを承知で書いてますので、ツッコミ無用ということでよろしく。敢えて今季可能性があるとすればそれしかない、それほど無理めな状況だということです。

ただ先程のTSNの議論よろしく、ついついそういったあり得もしない方向に考えを馳せてしまう。そんな自分が一番空しい。

もちろん、別に今季無理矢理シーズンを開幕する必要はないという声もあります。
両陣営とも団結に綻びが見えているのだから、それが自然崩壊するのを待てばいいと。94−95年の時もそういう糸口からの妥結でしたし。

なので私も以前はこう思ってたのです。
「どうせ揉めるのなら、1シーズン無駄にする覚悟でとことんやれ!」と。
途中開幕して、レギュラーシーズン40試合程度でお茶を濁されるのも、ちょっとツライかも・・・とも思っていましたから。

でもね、それは、ここまでひどい交渉展開になるとは予測してなかった頃の話。
このまま無為に過ごす時間が増えれば、中止になるのは今季1シーズンでは済まなくなる可能性も大いにあり得る今、そんな悠長なことはもう言ってられません。

さらにUSAトゥデイの記事が、警鐘を鳴らします。

「今季NHLシーズンが労使紛争のため全面中止になった場合、残念に思いますか?」という問いに対し、50%のスポーツファンが「全く残念に思わない」と回答したとか。「とても残念(12%)」、「ある程度残念(20%)」、と答えた割合を大きく上回っています。

ある程度予期していたものの、それでも改めて考えさせられる結果でもありました。
半数の人が「全く残念に思わない」。「あまり残念に思わない(17%)」と含むと、3分の2以上の人が「NHL? 別にどうだっていい」と思ってるわけです。

90年代には「北米スポーツの中で最も高い成長度を誇るスポーツ」として、もてはやされたNHL。当時、将来はバラ色に見えたものです。アメリカの景気回復に後押しされて、チーム数の増加に、五輪へのNHL選手参戦、新アリーナの建設ラッシュに、米TVネットワークとの放映権契約などなど。「日本ではなかなかホッケー人気が向上しなくって・・・」などとアメリカで話をすれば、「そりゃあマーケティング手法が間違ってるしかないでしょう」と、ホッケーをろくに知らなそうな人にまで指摘を受けたものでした。

そのNHLが近年失速し、過去に積み上げた財産を蕩尽してしまっている。原因は、年俸高騰と逼迫したチーム経営によるチケット価格の高騰、他スポーツとの厳しい競合、試合の低得点化による一般スポーツファンへの魅力減退、ホッケー新興地域でのファン獲得に苦戦・・・などなど、挙げ出したらキリがありません。試合の熱戦ぶりがTVで伝わりにくく視聴率がとれないため、TV局側はその契約金や露出さえも控えてしまうという悪循環もあるでしょう。そして古参記者たちは、形だけ先走ってビッグビジネスに成り上がったNHLは、選手のメンタリティまで変えてしまった、とまで嘆く有様です。

ひとつ言っておきますが、私は「ホッケーは世界一魅力のあるスポーツ」と信じてやまない人間です。誰も好きなスポーツの恥部を、好んで自ら晒したりしたくない。でもそれを覆い隠して現実逃避するのはもっと罪深い。さらに言えば、現在の問題を正すには、過去の経緯を明らかにする必要もある。だからこうしてクドクドと書いてるわけで。

ゆえに、たとえ奇跡が起こり、近い将来に晴れて労使妥結の運びになったとしても、NHLにとっては課題は山積です。以前から打撃を受けていたNHLのマーケティング的価値なのですから、ロックアウトが長引けば長引くほど、その価値はさらに目減りして行くだけ。ダウンした価値を再び高めるのは、容易な仕事ではないでしょう。

NHL労使交渉の実態。それは、トンネルの向こうが見えないという暗黒状態を呈しているだけでなく、そのスポーツ自体をも確実にスポーツ弱者スパイラルに突き落としているのです。

ちなみにUSAトゥデイのこの記事を書いた記者さんは、ホッケーが専門の方。厳しい内容の調査結果を掲載することによって、NHL界全体に鞭打つ決意で書いてるはずです。そのメッセージが、リーグにも選手にも届いていればいいのですが。

あ、繰り返しになりますが、私の妄想案は、他の記者さんたちとはそもそもの目的が違いますので、ひとつの読み物として楽しんでいただければと。くれぐれも取り扱いにご注意ください。
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by hockeyworldjapan | 2005-01-12 19:25 | CBA

NHL、1月14日予定のオーナー会議をキャンセル。そのココロは?

以前にもお伝えしたのですが、NHLが予定していた1月14日のオーナー会議。ここで「今季シーズン全面中止」が宣告されるのでは・・・などとの憶測がありましたが、NHLはこの会議をキャンセルすることになったそうです。

NHLナンバー2のビル・デイリー氏によると、1月14日に予定していたNHLオーナー会議キャンセルの旨を、すでに各チームに通達。NHLの見解として「PAからの新提案があるわけでなく、交渉の進展もないので、会議を実施する必要性がない」という理由と述べていました。

その裏には、そもそもこの1月14日のオーナー会議というのは、NHL側がPA側にプレッシャーを与える作戦に過ぎなかったのですが、それが効果がなかったためにキャンセルされたのではとの見方あり。あるいは、逆にこれといった議題もないまま下手にオーナー会議を開催すれば、一部オーナー側からNHLに対する批判的意見が噴出しかねない状況だけに、キャンセルしたのではないかという憶測もあるようです。

どっちにしても、この1月14日までに何も動きがなければ(たぶん何もないでしょう)、今季シーズン全面中止は必至。「会議中止なり何なりもう勝手にしてっ!」とのホッケーファンの投げやりな咆哮が聞こえてきそうなニュースでありました。
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by hockeyworldjapan | 2005-01-07 19:51 | CBA

ベットマン=グリンチ?

「Gary "The Grinch" Bettman」

ぎゃはははっ〜!!! 誰かが言うんじゃないかと思ってたら、やっぱりラリー・ブルックスが言いおったっ!(爆)

ラリー・ブルックス氏とは、NYポスト紙のホッケーコラムニストのことです。

管理人は個人的にこの人、あまり好きではない。実際ガセネタも多いですし。
ただしそのスクープ能力(間違ってることも多いですが)には定評があり、1年だけですがPHWA(北米プロホッケーライター協会)の会長を務めたこともあります。(1年だけね。その後はUSAトゥデイ紙のケビン・アレン氏が務めてます)

ブルックス氏、最近は、圧倒的にNHLPA寄りの記事を書きまくってます。かといって、お膝元であるNYレンジャーズ寄りというわけでもなく、金持ちオーナーは大嫌い。NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンはもっと嫌い・・・という個人的感情が、記事の端々に感じられる記者です。

一方、「The Grinch」といえば、クリスマスが大嫌いというアメリカのアニメで有名なキャラクターです。ジム・キャリー主演で実写版映画にもなってましたっけね。みんなが楽しみにしてるクリスマスを壊しに来る緑色の顔を持つグリンチ、なんかNHLシーズンをぶっ壊そうとしてるベットマン氏に酷似しているな〜と以前から思ってたわけで。

で、そのブルックス氏の記事の内容ですが、まず大筋としては「グリンチ」ベットマンの強硬策のお陰で、NHLPAは余計に態度を頑にしたというもの。ま、そこまでは大筋で私も同感です。

ただ、それ以外の細部も結構面白いので、読んでいただきたい。例の1月14日に予定されたNHLオーナー会議なのですが、その予定が報道された経緯を「またNHLは素人並のわざとらしさでリークを演出し(以前にも「選手会一律24%ペイカット案をNHLが拒否」というニュースがリークしました)」と皮肉った上で、「この会議でNHL側がシーズン幕引き宣言するのでは?」という一般認識は間違っていると一刺ししています。

というのは、今季が全面中止になってしまうと、各30チームは今季のシーズンチケット購入者に払い戻しが必要となること。また1月中旬という早い時期にリーグ側から中止を決定してしまうと、米国全国労働関係委員会に対して具合が悪い(NHLはまだリーグ側のCBAの全貌を提示しとらんのです)、さらにこの時期に早々と中止を決定してしまうと、NHLPAが残りシーズンにイベントを開催する自由を与えてしまう・・・などの理由があると、ブルックス氏は指摘しております。

さらに、NHLが12月の逆提示にて詳細を明かさなかった収入分配案。これについても、ブルックス氏はその中味を暴こうと試みています。

ブルックス氏によれば、NHLは8000〜9500万ドルの収入を、収入ワースト10チームに対して分配することを計画しており、その3分の1はレギュラーシーズン収入トップ10のチームから徴収し、残り3分の2はプレーオフの入場料収入から徴収するということなのです。

3分の2をプレーオフ収入からですよ! これまでは、プレーオフ収入はチーム丸取りという状況だったのです。それをごっそり持っていかれたら、チームはプレーオフに出場損じゃないですか? 特に最近頑張ってるカナダのチーム。もしこのブルックス氏の報道が正しければ、かなり怒っていいです。

さらにプレーオフ収入からの徴収は、レギュラーシーズン満員御礼時収入の90%を持って行かれるとのこと。(ブルックス氏はレンジャーズの場合を例にとって「これはあくまで仮定ですが」と、最近プレーオフに出てないレンジャーズを皮肉り)なので、プレーオフでチームが儲けようと考えたら、プレーオフでのチケット価格を恐ろしく値上げしないとダメという図式が浮かび上がって来るのです。

ブルックス氏報道を鵜呑みにしてもいけないのですが、これがもし本当だったら、クリスマスや今季シーズンだけでなく、今後数年間のプレーオフまでも「グリンチ」ベットマン氏は壊しに来るのかも知れませぬ。あ、映画の「グリンチ」って、最後はいい人になったんでしたっけ? ちなみにジム・キャリーのグリンチよりも、アニメ版グリンチの方が、NHLコミッショナーに似てるような・・・

原文'GRINCH' BETTMAN HAS UNIFIED NHLPA
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by hockeyworldjapan | 2004-12-27 09:46 | CBA