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今季のNHLチームキャプテン(その2)

前日からの、今季NHLキャプテンにまつわるミニストーリー、後編です。

ミネソタ:NHLの中で唯一フルタイムのキャプテンを設けず、チーム創設以来月替わりでキャプテンを指名する方式はもうお馴染み。
今季10月のキャプテンはアレックス・ヘンリー。短いチームの歴史で実に13人めのキャプテン就任となった。ヘンリーは2003年ワシントンからウエーバーでワイルドが獲得した選手。恵まれたサイズを生かしたフィジカルなスタイルのDFであるヘンリーは「OHLでプレーすることすら難しいと言われた僕がここまで来れたとは・・・最高さ」と地元紙「スタートリビューン」にコメントしている。
で、ワイルドのチーム内キャプテン予想大会では、このヘンリー就任を唯一GKドゥエイン・ロロソンが見事的中。ただしチーム内ではまだ地味な存在のヘンリーだけに、トレーニングスタッフが「誰のジャージにCマークを縫ったか?」という㊙情報を、ロロソンを提供したのでは? との疑惑が沸いてるらしい。
Aマークはブライアン・ロルストン、ウェス・ウォルツが着ける。

ナッシュビル:グレッグ・ジョンソン。2002年10月9日にプレデターズのキャプテンに就任。現在ではエクスパンションドラフト時からチームに残る3人のうちのひとり(他スコット・パーカー、トーマス・ボクーン)となっており、プレデターズとしての通算出場試合記録を更新中。
ほぼ毎年キャプテンの顔触れが替わるアトランタとは異なり、1998年チーム創設のプレデターズにおいて、ジョンソンはトム・フィッツジェラルドに次いでまだ2代めのキャプテン。Aマークはスコット・パーカー、キモ・ティモネンが着けている。

ニュージャージー:キャプテン職は空席のままシーズン突入。2003−04年までのキャプテン、スコット・スティーブンスが引退を発表、その後継者と目されていたスコット・ニーダーマイヤーがアナハイムに移籍している。Aマークは、ジョン・マッデン、ブライアン・ラフォルスキー、アレクサンダー・モギルニーが着けている。

NYアイランダーズ:アレクセイ・ヤシン。これまでのキャプテン、マイケル・ぺカがエドモントンに移籍し、その後任としてスティーヴ・スターリングコーチはヤシンを指名した。Aマークはマーク・パリッシュ、ブラッド・ルコウィッチが着ける。
ヤシンはオタワ在籍時の1998−99年もキャプテンを務めていたが、そのシーズン終了とともにオタワとの契約が残っているにもかかわらず年俸アップを要求し、翌99ー2000年はプレーせずという経緯があった。そして2001年8月アイランダーズに移籍後は、10年9000万ドルという途方もない契約を結んだが、近年スコアリングは鳴りを潜めてしまった。
そのため、アイランダーズのオーナー、チャールズ・ウォング氏とGMマイク・ミルベリーは、今夏ヤシンをバイアウトすることも考慮に入れた。しかしヤシンとの契約はまだ向こう6年(5400万ドル)も残っており、バイアウトするには3600万ドルを要する。これは今季から導入された1チーム毎のサラリーキャップ(3900万ドル)、つまり1チームの年間選手予算に相当するもので、さすがにIT長者のウォング氏もこれを思いとどまった。代わりに、ヤシンのオフェンス起爆剤として、ミロスラフ・シャタンをFAで獲得している。
で、当のヤシンは、今季ここまで5試合では2ゴール2アシストという数字。プレシーズンでは5試合で3ゴール4アシストと好調だったが、さて今季復活なるか?

NYレンジャーズ:マーク・メシエが引退後はキャプテン職は空席に。現在はヤロミール・ヤーガー、ダリウス・カスパライティス、スティーブ・ルーチンがAマークを着ける。先にもお伝えしたが、ヤーガーにはキャプテン就任への白羽の矢が立ったらしいが、ヤーガー本人は「キャプテンはメディアやファンと話すのも仕事の一部なので、英語のネイティブスピーカーの方がいい」と、キャプテン職には興味なさげ。このヤーガーの論理でいくと、リトアニア出身のカスパライティスもキャプテンには向いていないことになる。ルーチンはアナハイムでキャプテンを務めていたが、今季移籍したばかりということで、Cマークについての決断は焦らずに・・・というのがコーチングスタッフのスタンスらしい。

オタワ:ダニエル・アルフレッドソン。前述のアレクセイ・ヤシンが契約上の不満を訴えてセネターズに合流しなかった1999−2000年シーズンに、セネターズの暫定キャプテンとして活躍。翌2000−2001年、ヤシンはセネターズに戻ってプレーしたがキャプテンの称号を剥奪されたため、アルフレッドソンがそのままキャプテンを務めた。
そのアルフレッドソン自身も、2001年秋には契約交渉のもつれでチーム合流が遅れた。セネターズには一時「アルフレッドソンを放出し、手薄なセンター獲得に至るのでは?」というトレード話まで出たが、結局アルフレッドソンは9月21日1年300万ドルに合意。この一連の問題ゆえに、アルフレッドソン本人はCマーク返上も考えたらしいが、当時のジャック・マルタンコーチ(現フロリダ)やチームメートとの話し合いにより、そのままキャプテンの座に留まったという経緯あり。Aマークはズデノ・チャラ、ウエイド・レッデンの2人で定着。

フィラデルフィア:キース・プリモー。2001年10月23日、エリック・デジャーデンが突然プレッシャーに耐えかねて自らCマークを返上。その後、プリモがキャプテンとしてフライヤーズを引っ張ることになった。
キャプテン就任後は素晴らしいリーダーシップを発揮している。2002年プレーオフファーストラウンド惨敗後には、当時のビル・バーバーヘッドコーチについて「選手との関係に致命的な亀裂があった」とチームオーナーのエド・スナイダーに直訴。結果、バーバーコーチは解任となった。
当時は、選手が自らの権限の枠を飛び越えてオーナーに直訴し、ヘッドコーチをクビにするとは何事か? と論議を呼んだものだった。
しかし近年、プリモーは自ら素晴らしいプレーで、リンクの外だけでなくリンクの中でもチームにとってかけがいのないリーダーだいう事実を見せつけた。相手のトップラインを抑える仕事を請け負いながら、すごい気迫でここぞという局面でゴールを決めるそのプレーは、頼もしさに溢れている。
Aマークはシモン・ガニエ、キム・ヨンソンとフレッシュな顔触れに、デリアン・ハッチャーが着ける。

フェニックス:シェーン・ドーン。2003年9月10日コヨーテズのキャプテンに就任。ウイニペグ時代から数えて通算15代め、96年フェニックス移転以来3代めのキャプテンとなった。現在のコヨーテズのメンバーで、ウイニペグ時代を知る唯一の選手でもある。
Aマークは、ブレット・ハルとショーン・オドネル、デレク・モリス、マイク・リッチが着けているが、リッチが故障、ハルが突然の引退宣言なんてニュースもあって今後はどうするのだろうか?

ピッツバーグ:マリオ・ルミュー。ペンギンズ加入4年目のトレーニングキャンプでキャプテンに指名されて以来、途中病気療養(1994−95年:ホジキン病の放射線治療の後遺症のため欠場。ロン・フランシスが代わりにキャプテンを務める)、そして現役引退(1997−2000年:ロン・フランシス、ヤロミール・ヤーガーがキャプテンを務める)のブランクはあったものの、ペンギンズのCマークを長年務めている。Aマークはマーク・レッキ、ジョン・ルクレアとベテランで固める。

サンノゼ:パトリック・マーロー。2004年1月5日からキャプテンを務める。当時、オーウェン・ノーラン、テーム・セラニとベテランが去ったシャークスの中で、マーローは静かなるリーダーとして台頭。当初マーローのキャプテン就任は10試合限定であったが、以降チームが好調だったことから、その後も継続就任となった。24歳でのキャプテンはチーム史上最年少。マーロー自身、キャプテンに任命されたのは実にピーウィー時代以来だったとか。Aマークはアリン・マコーリー、スコット・ハナンが着ける。

セントルイス:ダラス・ドレイク。トレーニングキャンプ突入前の9月14日に、ドレイクのキャプテン就任が発表された。アル・マキニスが引退し、マキニス負傷後にキャプテンに戻っていたクリス・プロンガーもトレードでエドモントンに移籍。この2人の後を継ぐというのは大役ではあるが、チームメートから好かれ相手から嫌われるタイプのドレイクのキャプテン就任には、チームメートが皆納得というところ。Aマークはバレット・ジャックマン、ダグ・ウエイトが着ける。
ドレイクに難くせつけるつもりは毛頭ないが、本来ならこのキャプテン職にキース・カチャックが収まるはずだったのでは? と考えるファンも多いのではないだろうか? ご存知の方も多いだろうが、今季カチャックは、トレーニングキャンプにオーバーウエイトで参加し、体力測定で不合格。ブルースから出場停止処分を言い渡された後は、個人トレーナーと別メニューをこなしていた。そして9月29日、再び体力測定を実施し今度は合格。その後はロッカールームでチームメートに謝罪した。
今季はリーグ最高レベルの760万ドルという年俸をもらっているカチャックだけに、メディアの矛先はそれは鋭いもので、「カチャンキー(Tkachunky)」だの「カチャビー(Tkachubby)」だの、様々な呼ばれ方で揶揄されていた(注:chunkyもchubbyも、ともに「太っている」の意。多少ニュアンスは違いますが・・・)。
そんな一件があったブルースだけに、カチャックともフェニックス時代から仲良しという意味でも、ドレイクのキャプテン就任はまずまずの人選ではなかろうか?

タンパベイ:デイウ゛・アンドレチャク。2004年プレーオフでは「まだまだやれる」というところを見せつけ、チームをカップ獲得に導いたアンドレチャクは、今夏8月25日に2年契約延長にサイン。夏の間はバッファロー地区で他のNHL選手たちとスケーティングを毎日実施していたとあって、コンディションは良好とか。
9月に42歳となり、今季NHLではクリス・チェリオス(デトロイト)に次ぐ年長プレーヤー。10月8日の試合出場で史上7人めのNHL通算1600試合を記録しており、これは現役選手では最多の数字でもある。
Aマークはヴァンサン・ルカヴァリエ、フレデリック・モディンが着ける。

トロント:マッツ・サンディン。しかし今季開幕戦vsオタワでパックを顔面に受け、現在は左目負傷と眼窩骨折で欠場中。現在は外見上の腫れは収まりつつあり、骨折部分の手術は不要と診断されているが、まだ視力が十分に戻っていない状態とか。このサンディンの負傷が、現在のNHLでのバイザー着用義務化についての論議を再沸騰させたことは間違いない。Aマークはトーマス・カベルレ、ブライアン・マッケイブが着ける。

バンクーバー:マーカス・ナズランド。カナックス全体でスウェーデンにトレーニングキャンプに出かけた2000年の9月15日、故郷スウェーデンでマーク・クロフォードコーチからキャプテン就任のニュースを聞いた。マイク・キーナンがカナックスのヘッドコーチを務めていた時代は、キーナンがあまり起用してくれずトレードを申し出たこともあったほどのナズランドだが、1998−99年に36ゴールと爆発。以来カナックスには不可欠な存在となっている。
今夏はスウェーデンに戻ってプレーするのではとの憶測や、幼なじみのピーター・フォースバーグとセットで同じチームでプレーしたいとの願望もあったそうだが、8月3日にカナックスと契約延長(3年1800万ドル)。ご存知のようにフォースバーグは、同日8月3日にフィラデルフィアと契約に至っている。
Aマークはブレンダン・モリソン、トレウ゛ァー・リンデン、トッド・バーツッジ、エド・ジョウ゛ァノフスキー、リチャード・パークが着ける。

ワシントン:ジェフ・ハルパーン。9月23日キャピタルズの12代めキャプテンに就任したハルパーンは、地元ポトマック出身で、子供時代から「リトルキャピタルズ」で少年ホッケーをプレー。父メルは1974年からキャピタルズのシーズンチケットホルダーという、筋金入りの家族揃ってキャピタルズファン。1999年にFAでキャピタルズと契約した際には、地元でプレーできるということで他チームの高額オファーを蹴っていた。
このハルパーンのキャプテン就任は、キャピタルズのファンの集いで発表されたもの。その一方でAマークは、ラインナップ表を見る限り発表されていない。2003−04年途中では、6人の「A」(ピーター・ボンドラ、ブレンダン・ウイット、セルゲイ・ゴンチャー、ロバート・ラング、マイク・グリアー、ヤロミール・ヤーガー)を抱えていたキャピタルズなのだが・・・(新しい情報お持ちの方、お待ちしています)。
話はハルパーンに戻そう。ユダヤ系選手として知られるハルパーンは、10月12日vsカロライナ戦は、ユダヤ教の教えによる最も神聖かつ厳粛な1日(Yom Kippur 贖罪日)にあたり、断食を守るため欠場している。ちなみにNHLでの過去5シーズンは、この贖罪日には試合が入っていなかったのだそう。過去に同じくユダヤ系選手のマシュー・シュナイダーも、この贖罪日には欠場した経験ありとか。
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by hockeyworldjapan | 2005-10-16 16:53 | NHL overall

今季のNHLチームキャプテン(その1)

シーズン開幕したNHLですが、やはり日本でTV放送がないというのは、寂しい限りですね。

ネットラジオを聴いてても、ルール改正の恩恵で今季はリードしても「安全圏」というのがないので、すぐ試合がひっくり返るエキサイティングさがあります。ただ、そういう内容を実際に目にしないと、それについてここで書くのもなんだかな〜というのが私の本音ではありました。だからNHLについては、正直いろんなニュースを目にしながらも筆は重かった。

そういうことで、TV放送が始まるまでか、もしくは私本人が現地に赴いて実際の試合を目にするまでは、実際のプレーまで突っ込んだ内容ではなく、小ネタ繋ぎになるとは思いますが、よろしくお付き合い下さい。

で、今季目についた事象として、NHLのチームキャプテンの動きでもまず紹介しておこうと思います。新キャプテンがかなり多いですし、その他のキャプテンについてもちょっとしたトリビア系情報をお伝えするにはいい機会かなと思いまして・・・

結構長文なので、2回に分けての掲載です。

アナハイム:スコット・ニーダーマイヤー。8月3日FAでマイティダックスと4年2700万ドル契約で移籍後、10月3日にキャプテン就任。弟のロブ、フェドロフがAを着ける。ニーダーマイヤーは2003−04年シーズンもニュージャージーで、キャプテンのスコット・スティーヴンスがシーズン後半脳震盪のため欠場中に、Cマークを着けていた。古巣ニュージャージーからは5年契約、しかも現労使協定枠内最高額の年俸780万ドルと提示されていたが「弟ロブと一緒にプレーしたい」との理由で、デビルズよりも低い提示内容だったダックスを選んだ。弟ロブは4年800万ドル契約に今夏合意済。
マイティダックスは2002−03年まではポール・カリヤ、2003−04年はスティーヴ・ルーチンと、キャプテンマークを着けた選手が移籍するという一時のモントリオール・カナディアンズ状態になっていたが、ニーダーマイヤーは4年契約で今後は安泰そう。

アトランタ:スコット・メランビー。9月28日にキャプテン就任(スラッシャーズ創設6シーズンめで5人めのキャプテン)。ピーター・ボンドラ、ボビー・ホリク、スラヴァ・コズロフの3人が、Aマークをローテーションで着ける。2003−04年はショーン・マケクランがキャプテンを務めていたが、マケクランはボストンに移籍していた。メランビーがC若しくはAマークを着けるのは、これが12シーズン連続。

ボストン:ジョー・ソーントン。8月12日に3年2000万ドル契約合意(ノートレード条項含む)。現在背中を痛めて欠場中だが、重症ではなさそう。
2002年10月8日、ブルーインズの17代キャプテンに就任。シーズン開幕直前にチーム練習施設の外に当時のヘッドコーチ、ロビー・フトレクに呼び出され、10分ほど他愛ののない話のあとで、キャプテンに指名されて驚いたとか。そして感激して早速両親に電話したらしい。レイ・ボークという偉大なキャプテンの後で就任したジェイソン・アリソン(現トロント)は、ブルーインズのキャプテンという仕事の重圧に対応できなかったと言われており、フトレクコーチはソーントン指名までかなり時間をかけた。そしてソーントンが近年スコアラー&リーダーとして台頭し、不振に悩む選手にまでケアできる性格であることも考慮に入れ、キャプテン指名に至った。

バッファロー:9月15日ダニエル・ブリエール、クリス・ドゥルーリーの2人で務めることが発表された。2003−04年セイバーズは「ミネソタ方式」で、ミロスラフ・シャタン、ドゥルーリー、ジェイムズ・パトリック、JPドゥモン、ブリエールの5人で、Cマークを月毎ローテーションし、ドゥルーリーは2003年11月と2004年3月、4月に、ブリエールは2004年2月にキャプテンを務めた経験あり。この2人は試合毎にC若しくはAマークを交互に着ける。

カルガリー:ジャローム・イギンラ。8月3日3年2100万ドル契約に合意。2003−04年シーズン年俸(750万ドル)からはわずかに減俸となっている。
イギンラは、2003年黒人選手として初のNHLでのチームキャプテンに就任。フレイムズのキャプテンとしてはチーム史上18代めで、現在フレイムズ在籍期間もチーム最長となっている。それまで「C」マークを着けていたコンロイが、イギンラにこれを譲る決断を下し、GM兼任コーチのサターもこれを容認したもの。

カロライナ:ロド・ブリンダモア。8月25日にキャプテン就任。Aマークはグレン・ウエスリー、ケビン・アダムス、コーリー・スティルマンが着ける。ブリンダモアはチーム内最高年俸選手であり、2000年1月にカロライナ移籍以来ずっとAマークを着けており、かねてからリーダーシップとトレーニング好きには定評のあるベテラン。フィラデルフィア在籍時代にも、エリック・リンドロスが故障欠場時にCマークを着けたことも。ハリケーンズのキャプテンの座は、2004年3月にロン・フランシスが移籍後は空席となっていた。

シカゴ:エイドリアン・オコイン。8月2日FAでブラックホークスに移籍(4年1600万ドル)、10月4日キャプテン就任。チームメートの投票後、ヘッドコーチのトレント・ヨーニーの承認を経て就任となった。カイル・コルダー、マルタン・ラポイントがAマークを着ける。
オコインはNYアイランダーズ時代もAマークを着けていた。ブラックホークスでは2004年2月に、アレクセイ・ジャムノフ(「静かなるキャプテン」だったが、リーダーシップ欠如が指摘されていた)が移籍以来、キャプテンが空席となっていた。
ニーダーマイヤーといい、このオコインといい、移籍直後のオフェンス力のあるDFがキャプテンに就任とは、今季のNHLの傾向を象徴しているのかも。

コロラド:ジョー・サキック。チームがまだコロラド移転前のケベック時代(1992−93年)からのキャプテンで、当時のノルディックスにはマッツ・サンディン(現トロントキャプテン)、オーウェン・ノーラン(元サンノゼキャプテン)も在籍していた。ケベックでのルーキー時代には、背番号88を着けていたことも。ソン後ケベックは91年ドラフトでエリック・リンドロスを全体1位で指名。しかしリンドロスが、当時万年「ドアマット」状態のケベックで88番を着けることは一切なく、1試合もプレーしないままトレードでフィラデルフィアに移籍したのは周知の通り。
サキックの同一チームでの在籍期間(1988〜)は、現役選手ではスティーブ・アイザーマン(デトロイト)に次ぐ長さ。

コロンバス:ルーク・リチャードソン。2003年9月11日にキャプテン就任。36歳でかなりスローダウンしているため、2005年夏はバイアウト候補にも名前が挙がっていたが、なんとかチームに残留。今季ブルージャケッツにはアダム・フットが移籍したため、フットがキャプテンに就任するのではという憶測もあったが、ジェラード・ギャラントコーチはリチャードソンの顔を立てた。Aマークは、リック・ナッシュ、フット、デヴィッド・ヴィボルニーがローテーションで着ける。

ダラス:マイク・モダノ。キャプテン就任1年目の2003−04年は、自己NHLキャリア最悪のシーズンに(14ゴール30アシスト、マイナス21)。
今夏はチームとの契約延長交渉が難航。一時は移籍の可能性もあった。ブレット・ハルのいるフェニックスにボストン、はたまた故郷ミネソタなどが移籍先候補に挙がったが、いずれもモダノほどの選手を抱える資金的余裕がなかったり、他の安い選手と先に契約に至ったりという状況で、モダノ陣営は厳しい現実を思い知らされた。その後、スターズオーナーのトム・ヒックス氏直々にモダノ陣営と接触し、モダノは8月4日5年1725万ドル契約延長に合意。結局ダラスに留まった。
ちなみにモダノの契約を単純割りで年俸に直すと1年350万ドル程度。モダノの市場価格は年俸約500万ドルと言われている。さらにスターズは今季のルール改正を考慮し、モダノよりもズボフにモダノより高い評価(3年1200万ドル)を与えてさっさとサインしていたので、モダノとしては大層面白くなかったはずだが、契約合意後は一応そうしたわだかまりを水に流した格好に。
その後、今季もキャプテンに留まるか否かを、GMダグ・アームストロング、デイヴ・ティペットコーチとミーティングを持ったが、そこでモダノが「今季もキャプテンを続けたい」と意思表示した。モダノもすでに35歳。スターズとの契約が切れる頃には、引退も考えられる。
アイザーマン、マリオ、サキックよろしく、ひとつのチームで骨を埋める数少ない選手となるか?(サキック、モダノはチーム移転のため、実質2チームをまたがっています。念のため)

デトロイト:スティーヴ・アイザーマン。今季1年契約で最後のシーズンが囁かれる。今季序盤は太もも付け根故障で欠場していが、10月13日@ロサンゼルス戦で今季初出場。2004年5月1日にはパックを左目付近に当てており、その後NHLはロックアウト突入。一時はそのまま引退も予想されていた。8月2日1年契約(175万ドル)に合意。2006年トリノ五輪カナダ代表入りも、ウエイン・グレツキーからすでに太鼓判を押されている。

エドモントン:ジェイソン・スミス。今季はクリス・プロンガー、マイケル・ぺカと、次々とキャプテン格の選手がオイラーズに移籍したが、いずれの選手もAマークすら着けず。従来通りジェイソン・スミスがキャプテンに収まり、Aマークはライアン・スミス、イーサン・モローと、従来のオイラーズメンバーが着ける。
プロンガーは移籍後、クレイグ・マクタヴィッシュコーチとCマークについての議論をした際に「自分の個性を発揮するのに、CマークやAマークが必要というわけじゃない」と説明したとか。またライアン・スミスは、世界選手権カナダ代表でのキャプテンとしても知られるが、2002年大会でぺカが負傷後にCマークを着けて以来、キャプテンを務めることになったという縁あり。

フロリダ:オリ・ヨキネン。2003年10月7日にキャプテン就任。歴史の浅いパンサーズにおいては、ブライアン・スクルードランド、スコット・メランビー、パヴェル・ブレ、ポール・ロウスに次いで5代めキャプテン。今夏は契約更改が遅れて心配されたが9月11日に合意(1年250万ドル)。ただ1年契約で今季終了後は制約なしFAとなる可能性があるだけに、今後の動向は要注目。ヨキネン本人は「フロリダで今後も長い間プレーしたい」と意思表示しているが、マイク・キーナンGMの心の内は? ヨキネンはキーナンGMとの確執は否定している。今季序盤は太もも付け根故障に悩まされながらも好調を維持。

ロサンゼルス:マティアス・ノーストロム。今季序盤はハムストリング負傷と高熱により欠場していた。2001年10月1日にキングズの12代キャプテンに就任。キングズではロブ・ブレイクがトレードされた後はキャプテン職が空いていた。Aマークは、ルュク・ロバタイユ、アーロン・ミラー、ジェレミー・ローニック、クレイグ・コンロイがローテーションで着ける。

モントリオール:サク・コイヴ。1999−2000年開幕前にカナディアンズのキャプテンに就任。選手たちの投票による選出で、シェーン・コーソンを僅差で破った。1904年チーム創設以来28代めキャプテン。2001年9月5日にガンを宣告され、その後の検査の結果、腹部の非ホジキン型リンパ腫と判明。12日から抗がん剤による治療を開始し、2002年1月15日に化学療法終了。2月7日には寛解宣言し、2002年4月9日地元でのvsオタワ戦で復帰した。
カナディアンズでは、1993−94年以来、ギイ・カルボノ、カーク・マラー、マイク・キーン、ピエール・タージョン、ヴァンサン・ダンフースと、めまぐるしくキャプテンが代わっていたため、「カナディアンズのキャプテンになると移籍することになる」とのジンクスまで一時は出来上がっていたが、現在はコイヴで安泰。
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by hockeyworldjapan | 2005-10-15 14:28 | NHL overall

福藤選手、元気に練習復帰

昨日から管理人、LA入りしております。昨日の段階で「福藤選手が朝9時の氷上練習に出る」とキングズ広報担当者さんから情報を頂き、今朝はキングズ練習リンクのトヨタスポーツセンターに足を運びました。

まずは福藤選手のルーキートーナメント以来の状況を、ここで簡単にまとめておきます。

9月10日のルーキートーナメントvsサンノゼ戦で左膝を故障。その後11日決勝戦vsアナハイムには出場せず。13日ロサンゼルスで開幕したメインキャンプ初日は、福藤選手本人は参加したかったものの、トレーナーに制止されてお休み。しかしその後2日めから練習に復帰。キャンプ4日の16日には、チーム内練習試合の3試合め30分に出場して、わずかに1失点。その失点もパスアクロスからバレリ・ブレに決められたもので、ゴーリーとしてはなんともし難いゴール・・・ということで、福藤選手の株はキングズ首脳陣の中では確実に上昇していました。そのため、翌17日アナハイムとの対戦ではNHLゲームの前座のAHLゲームに出場が決定、さらにその出来いかんでは、翌々日18日サンノゼでの試合の出場の可能性もあったのです。

しかし、17日試合当日の朝の練習で、福藤選手は左太腿付け根を痛めてしまいました。
そのため、この日予定されていた試合出場は取り消しに。以来2日間氷上練習を休んで、この日練習復帰となったのです。

キングズは今夜、フェニックスでロードゲームが予定されていますが、そのゲームロースターに入っていない選手がこの日の朝9時からの練習に参加していました。氷上にいたゴーリーは、福藤選手を含め3人(他ラバーベラ、ブラスト)。練習時間は1時間と比較的短いものでしたが、GKコンサルタントのアンディ・ノウィッキ氏の指揮の下、例によって居残り練習によるハードなシゴキが待っていました。これに病み上がりとは思えないような動きで応える福藤選手。その動きには頼もしさを感じる一方で、「病み上がりなんだからあんまり無理しないで〜」という親心(?)が複雑に入り交じってしまいました。

練習終了後、ノウィッキ氏に話を聞くと「まだ故障箇所が少し痛いとは思うが、ハードに練習していた。とても粘り強くいい動きをしていたよ。最後のドリルでは10本中10本を止めたんだ」と、これまた例によって自分の愛弟子がいいプレーを見せた後の誇らし気な表情をみせてくれました。

さて、福藤選手に、現在の状況について伺ってきました。

HWJ:病み上がりからいきなりハードな練習でしたが・・・
「まあしごかれることは分かっていたんで・・・そんなに調子も悪くなかったんで言われるままにやってみました」

HWJ:太腿付け根をケガした状況は?
「特にぶつかったとか、パックが当たったとかではありません。左脚を思いっきり伸ばしたときに、固まっていたのが伸びてしまった感じです。ケガしたのは左太腿の付け根ですが、左膝をかばってプレーしていると、他のところもケガをしやすいんです。今は、右の腰にも張りが出て来ています。練習の中に自然にパックを止めていたら『グキッ』と来ました。まだ完璧じゃないし今は70%くらいの回復ですが、氷上練習はもう出来るので、やリながら直していきたいです」

HWJ:今はどんな治療をしていますか?
「電気を流したり・・・超音波治療と、あとはアイシング、ストレッチです。昨日は、上半身のトレーニングと治療をしました」

HWJ:キャンプここまでを振り返ってみてどうですか?
「ケガしたりツイてなかったですが、ここまでいいアピールができていると思います。このまま調子を維持して、どんどんいいアピールができたらと思います。強い相手の方が気合が入るんで・・シュートの精度が違うし、マイナーリーグとはパスの速さとかも全然違うんで、そのへんはもっとレベルアップしないといけないと思いました。

HWJ:ローニックをはじめ、スター選手がメインキャンプに揃ってその雰囲気はどうですか?
「みんな声とかかけてくれますよ。特にアドバイスとかはもらってませんけど、ああゆう人たちが来て、ルーキーキャンプにはない雰囲気になってます。今は面白いですね」

HWJ:ギャロン、ラバーベラ、ハウザーについては?
「う〜ん、みんなやっぱりうまいですよね。身長もあるし・・・僕なんかよりずっと上のレベルでやってきたので、見習わなければいけないところがたくさんある。でも負けてないところもきっとあると思う。あとは僕に足りないところを身につけて、追い抜けたらいいなと思います」

HWJ:試合に出られなかったことについては?
「結局サンノゼには行きませんでした。行ってもすることがないし、それならここに残ってトレーニングと治療に専念すべきだと・・・僕が一番残念な気持ちで一杯なんです。これまでの調子のよさで先発出場を言い渡されたと思ったし、その期待に応えらなかった。でもここで無理したらシーズンに響いてしまう。我慢しなければいけなかった。出たかった気持ちは強いけどまだこれからチャンスがあると思います。今はともすれば、我慢よりもプレーしたいという気持ちが勝っちゃうんですけどね・・でも、ここで結果を出さなきゃシーズン開幕がECHLからになってしまうかも知れないし、そう考えるとちょっと無理しても頑張らなきゃいけないですね」

HWJ:キングズではすでにファーストカットがあり、48人までキャンプでの人数が減りましたが・・・
「まあこっちでよくあることなんで・・・グループが2つになるとは聞いていましたが、テイラーは別にしても、マンスが放出されたのは意外でした。昨日のそれがあって僕も焦ったというか、『ここでやらなきゃ』という気持ちになったのは確かです。昨日、みんなバッグに荷物をまとめていました。僕のルームメート(DFライアン・マギニス:OHLプリモス)も帰ってしまいました」

と、なんか中途半端なインタビューの終わり方ですが、実は今日はこの後午後4時からも練習が予定されているのです。1日にかなりの密度の氷上練習が2回とは、さすがNHLという気がします。日本のホッケーを見下すつもりは毛頭ありませんが、こちらの練習は密度が濃くて本当にハードです。福藤選手の動きひとつにしても、選手たちのレベルの高さゆえに、日本では必要のない動きを迫られる状況がかなりあると思います。また掲示板にも書いたのですが、今季はルール改正により、ゴーリーにとっても過酷な状況が続きます。

毎日ハードなプレーを続けながら、しかもケガしないようにプレーしなければならない。ケガを抱えても、うまく付き合っていかなければならない。休んでいるうちに、ライバルが台頭して自分を抜きさってしまう危険性だって十分あるわけです。本当に厳しい戦いだと、管理人も実感しております。

それでは、そろそろ午後の練習に備えます。また新たな情報が入り次第更新いたします。

ご感想はHWJ掲示板まで
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by hockeyworldjapan | 2005-09-21 07:04 | NHL overall

使い古しの「チェコ囲い込み作戦」は通用するか?

掲示板でえむえむさんから、NYレンジャーズの今季についてご質問を頂きました。
かなりレスが長くなってしまいそうなので、こちらでお答えすることといたします。

で、レンジャーズの今季ですが、随分あっさりした布陣になってしまいましたね・・・
2003−04年開幕時からチームを去った選手を並べてみると、マーク・メシエ、エリック・リンドロス、パベル・ブレ、ボビー・ホリク、ピーター・ネドベド、ブライアン・リーチ、アンソン・カーターと、それはまあ大挙チームを脱出していったという感じでしょうか?

そんな中レンジャーズは、えむえむさんのご指摘通り、ヤーガーを中心としたチーム作り&チーム再建モードというところのようです。あのメンツでプレーオフに出場できればラッキー! というのが今季のレンジャーズではないかと思います。

実質ヤーガーのみがスーパースターのチームになってしまったレンジャーズですが、モチベーション下がり気味のヤーガーを少しでもやる気にさせるためか、このオフにはマーティン・ストラカ、マーティン・ルチンスキー、マレク・マリク、ミカル・ロズジバルと4人のチェコ人選手を獲得するヤーガー囲い込み作戦を敢行しました。かつてレンジャーズは、ネドベド、ドボラク、フラバーチのチェックメートラインを形成したことでも知られています。また、ヤーガー所属時のピッツバーグ・ペンギンズには、チェコ人選手が増えただけでなく、故イワン・フリンカ氏がヘッドコーチを務めた時期もありました。つまり「チェコ囲い込み作戦」は目新しい戦略では全くなく、過去の経緯をご存知のファンの皆さんなら「あ〜、またやってるな」という感じでしょうか?

で、今夏のヤーガーですが、どうも昨季プレーしたロシアリーグ・アバンガルドオムスクとの契約にも後ろ髪引かれていたようです。そのココロは、実は引退後の仕事をオムスクのオーナー、ロマン・アブラモビッチ氏からオファーされていたのでは? と噂もあったようです。ただし、レンジャーズとの契約がある以上、契約期間内はレンジャーズでプレーしないと契約不履行になってしまう。つまり今季どこでプレーするかはヤーガーの一存で決められる問題ではないわけです。

またメシエ引退発表後に、ヤーガーは「自分はキャプテンには向いてない。キャプテンはファンに対して語らなければならないし、それには英語がネイティブな北米出身者の方がラク」と公言。なにかと自分に注目が集まってプレッシャーになるのが嫌という部分も当然あるでしょう。そんな気分屋さんのヤーガーを、周りのチェコ人選手がどうフォローしていくのかが、レンジャーズのひとつの焦点になりそうです。

今度は、実際にヤーガーを取り巻くレンジャーズのFW陣を見てみると、その実態がよく掴めると思いますので、ここでご紹介を。

まず、FWの要であるセンター。ミカエル・ニーランダー、スティーブ・ルーチンというところはまずまずなのですが、ストラカはどうもヤーガーのラインでLWとして起用するらしく、ジェイミー・ランドマークもセカンドラインでのウイング起用ということで、3つめ、4つめのセンターは若手で埋める予定とか。今のところドミニク・ムーア(コロラドのスティーブ・ムーアの弟です)、ブレア・ベッツ、ヤルコ・イモネンの3すくみ争いが報じられています。えむえむさんご贔屓のニエミネンは、おそらく持ち味を生かしてサードライン以降でのプレーが予想されます。ジョン・ルクレア獲得にも動いていたそうですが、同ディビジョンのピッツバーグに奪われてしまいました。

GKはケビン・ウイークスに加え、ヘンリク・ルンドクイストが開幕予想されています。 キューバ系アメリカ人として最初のNHL選手を目指すアル・モントヤは、今季はおそらくAHLでのプレーになりそう。左肩負傷で両手にブロッカーを着用するダン・ブラックバーンもキャンプには来ているそうですが、開幕1軍を目指すにはかなり厳しいとされています。

Dはトム・ポティ、マリク、フェドー・トューティン、ロズシバルに、バイアウトを逃れたダリウス・カスパライティスあたりがレギュラーとなりそうです。

ヘッドコーチはトム・レニー。地味目&ディフェンシブホッケーが好きな方(チームカナダ出身。もともと洋服屋さんなので着るものは結構派手ですが)なので、今季のルール改正の下、どういう戦略になるのか注目されます。

そういえば、キャンプ先のウエストチェスターのホテルの駐車場で、ケビン・ウイークスの車が破壊行為に遭ったそうです。それだけ罵詈雑言シティ・ニューヨークでの注目度は低そうで高いということでしょうか? シーズンが始まる前からコレですから、始まったらどうなることやら・・・と考えると、凄まじいものがありますね。

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by hockeyworldjapan | 2005-09-20 15:17 | NHL overall

これまで相撲部屋、今年はカップ最右翼?

やっと目まぐるしい人事異動も収束しつつある今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? 今日もマリアン・ホッサ&ダニー・ヒートリー絡みの大きなトレードがありましたね。ほんと、まだまだ気が抜けません。

記録的な選手シャッフル大会となった今年の夏ですが、徐々に各チームとも戦力全貌が見えつつある状況になってきましたので、そろそろまとめでもやってみようかなと思っております。

まずは、今夏FA戦線勝ち組チームと言われるフィラデルフィア・フライヤーズについて、スポットを当ててみます。

ちなみに、2003−04年終了時からの人事異動は、こんな感じになっています。

新加入選手:ピーター・フォースバーグ、デリアン・ハッチャー、マイク・ラスジー、マイク・クヌーブル、ターナー・スティーブンソン、クリス・テリアン、ジョン・シム、ジェフ・カーター、マイク・リチャーズ、ジェイミー・ストーア、エリック・シュイナール、アンテロ・ニーティマキ
残留選手:キース・プリモー、エリック・デジャーデン、キム・ヨンソン、ミカル・ハンズス、シモン・ガニエ、ドナルド・ブラシアー、サミ・カパネン、ロバート・エシュ、ヨニ・ピッカネン、ブランコ・ラディボイエビッチ、パトリック・シャープ、デニス・サイデンバーグ
放出選手:ジョン・ルクレア、トニー・アモンテ、ショーン・バーク、ウラジミール・マラコフ、マティアス・ティマンダー、マーカス・ラグナーソン、ダニー・マーコフ、マーク・レッキ、アレクセイ・ジャムノフ、ジェレミー・ローニック、トッド・フェドラク

GMボブ・クラークのことは正直、これまであまり好きではありませんでした。リンドロスの一件では狂気じみたところも見て来たし。しかし今夏の補強については見事と言わざるを得ません。というのも、そもそも今年のFA解禁前にはフライヤーズはサラリーキャップ導入後は失うものがあっても、得るものは少ないのではと予想されていたからであります。地元紙も「チームの現状維持だけで精一杯。スター選手1人獲得が関の山」と予想していたほどだったのです。

それが、フタを開けてみたら、FA解禁後にササッ! と動いて他チームの度肝を抜き、この時期に至ってはすでに1軍ロースター23人と契約終了。しかもキャップ内に収まってるようです。年俸未公開の選手もいるので、実際の年俸総計はちょっと分かりませんが、今後のトレード画策を見越して、林家こん平師匠のかばんの如く「若干の余裕」がまだあるのかも知れません。

ま、そもそも、このクラークGMの快進撃は、フライヤーズのオーナー、エド・スナイダー氏に、ジョン・ルクレア&トニー・アモンテのバイアウトを許されたことからスタートしたわけです。バイアウトとはこれまで再三説明してきましたが、選手残り契約の3分の2を支払ってその選手をお払い箱にする制度であり、お金持ちチームでないと使えない技ではあります。

ただ、ルクレア&アモンテに未練なくばっさりサヨナラできたのは、ファームAHLフィラデルフィア・ファントムズで、ジュニア上がりのピチピチルーキー君たちが控えてるから。そのルーキー君たちが、ジェフ・カーターとマイク・リチャーズの2人であります。このあたりが、クラークGMが見くびれないところだったりするのです(ま、そうしたジュニア選手に目をつけたスカウト陣の力でもありますが)。単にスター選手根こそぎっていうわけじゃないのがすごい。しかも、このルーキー君2人の契約内容ですが、与えられたのは基本給のみ。ルーキーキャップで許されている出来高制ボーナスはチームからビタ一文支払わないんだとか。締めるところはきっちり締めてるわけです。

そして、FA解禁後はまずハッチャー、ラスジー、テリアンとD3点盛り。この時点では「お、フィリー、またまた重量化に励んでるな。ヒッチは自分もそーだけど重量級が好きだもんね。あー、どすこい、どすこい」と、まだ他チームGMたちは余裕だったかも知れません。

しかし、その翌日にフォースバーグ獲得のニュースが伝わると、一気に局面は別次元へと発展したような・・・もはやただの相撲部屋化ではない。これはカップ獲り宣言であると、誰もが信じて疑わないフライヤーズの動きでした。そのあたりの詳細が、フィラデルフィア地元紙「フィラデルフィア・インクワイアラー」に掲載しておりましたので、ご紹介しましょう。

ご存知の通り、フォースバーグは、元々フィラデルフィアに1991年全体6位で指名されていましたが、92年リンドロス獲得のためのトレードの一部としてその後は権利がケベック・ノルディックス(95年にコロラドに移転)に移っていましたから、ある意味フライヤーズは古巣ではあります。

さて今夏のフォースバーグですが、当初は他のチームとの契約話が進んでいたんだそうです。当然アバランチも彼の慰留に努めていましたが、契約提示額が4年1350万ドルと低かったことから、フォースバーグ側はこれを拒否していました。そんな時、フォースバーグは、フライヤーズが興味を示していると代理人から聞かされ、すんごい乗り気に。フライヤーズの2年1050万ドルという提示額にも即OKを出したそうです。

しかし、フォースバーグを獲得すると、どう考えてもキャップ上限をはみ出てしまうフライヤーズ。そこでクラークGMは、サラリーキャップ内に収めるためには、ローニックのトレードが必要と考え、トレード画策のために「あと3時間待ってくれ」と、フォースバーグ代理人のドン・ベイズリーに依頼したそうです。実際、ローニックの契約にはノートレード条項が盛り込まれていたそうで、まずクラークGMはトレードの可否をローニック本人に問わなければならなかったのです。

オフはフェニックス地区に在住のローニックに、フォースバーグ獲得とローニック放出の旨をクラークGMが電話で伝えると、ローニック「フォースバーグが加入した方がフライヤーズはカップに近づけるだろう」とトレードを承諾したそうです。ローニックにとっては、相当口惜しかったことでしょうね。ローニックはトレードの条件としてオフの住まいのフェニックスに近い西部のチームを希望として挙げました。

その一方でクラークGMは、フォースバーグ獲得で一時的にキャップ上限をはみ出すことを、オーナーのエド・スナイダー氏に伝えて了解を取り、さらにフォースバーグ獲得の意志をコロラドGMピエール・ラクロワに連絡。単なるFA獲得であれば、別に連絡の必要もなさそうなのですが、コロラドもローニックが希望する西部のチーム。ローニックのトレード先として十分可能性はあったのです。

しかしアバランチにはローニック(年俸494万ドル)を受け入れる金はなし。そこで、ローニックの行き先を決定しないまま、フォースバーグの契約を発表に至ったそうです。

フォースバーグ獲得が発表された頃には、すでにウエスタンカンファレンスのチームがローニックに食指を動かしていたそうです。ロサンゼルスとフェニックスが興味を示したものの、いずれのチームもローニックの見返りとして選手を放出したがっていた。どのチームもやはり気になるのは、余計な年俸カットなのです。同日9時頃には、サンノゼ、コロンバスも関心を示していたそうですが、結局行き先はロサンゼルスに決定しました。

ローニックは、かつて顎を砕かれた天敵ハッチャーがフライヤーズにやって来た時点でトレードの噂が出ましたが、フォースバーグ獲得で決定的になった感じでした。プレーオフではプリモーの方が目立ってましたしねえ・・・記者のみなさんも、彼のトークで記事が楽に書けたことでしょう。

このフォースバーグ獲得後も、フライヤーズはガニエ、ヨンソンら中堅選手と契約更改を進め、先にも説明した通り、もう23人と契約して「あがり」。「あー、開幕が待ち遠しいったら」と当面は左団扇かと思いきや、3人めのGとしてジェイミー・ストーアまで獲得。「エシュ&ニーティマキがいるじゃん! 必要ないんじゃないのお?」と突っ込み入れたくなる。余裕でフィニッシュラインでテープ切っといて、これですもん。サラリーキャップ上限内にロースター押し込み作業に汗だくな他チームGMにとっては、もはやイヤミにも受け取れる動きをしております。

そんなフライヤーズですが、あえてケチをつけるとすればどうなるか?

毎年言われてるのが、ゴーリーですよね。

2003−04年はカンファレンス決勝まで頑張ったロバート・エシュとは、めでたく2年200万ドル契約。優勝狙いのチームとしては、この年俸は破格の安さではあります。契約更改が遅れていたので、トレード志願か? とも噂されていたようですが、契約延長後エシュは「フライヤーズ以外ではプレーしたくない」と語っています。

ただ、エシュがそれ以上粘らずにサインした理由のひとつに考えられるのが、今季エシュの控えが予想されるニーティマキの存在です。昨季はAHLファントムズのプレーオフ優勝にも貢献し、フィンランド出身ゴーリー(いまや優良ゴーリーのブランドとなりつつありますし)とくれば、期待度が上がらずにはいられません。よってクラークGM、エシュの契約延長が遅れ気味だった頃に「現時点でシーズン開幕ならニーティマキを1番手GKに起用するのもやぶさかでない」と、エシュ陣営を煽ることもできたのです。フライヤーズとしてはフォースバーグの契約期間中の2年間に、ニーティマキに大化けしてもらえれば言うことなしってところではないでしょうか? で、ニーティマキがコケた時、あるいはいずれかが故障した時のために、3人めのストーアまで抑える。ちょっと憎いです。

ま、それ以外にも心配材料はあります。

気になるのは、フォースバーグの過去における故障歴でしょうか。過去には脾臓破裂、足首故障など、故障歴も多い選手であり、ロックアウト中の昨季も手首を脱臼、脳震盪を負っています。実に1995−96年以来、フルシーズンをプレーしていないという事実があるのです。

その他、ガニエ(25歳。まだ来季はFAになれないので調停に持ち込むか?)、キム・ヨンソン(29歳。今季終了後UFAになれます)の2人はQO1年契約だから、来夏がまた面倒なことになるかもねという不安はありますが、この程度の心配の種など他チームに比べれば微々たるもの。やっぱ、今季のフライヤーズはまぎれもなく「東の横綱」ってことで。

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by hockeyworldjapan | 2005-08-24 19:39 | NHL overall

セントルイス、プロンガーのトレードの背景とは?

いや〜、今夏のNHLFA市場は、予想通り未曾有の大々シャッフル大会となりましたね。

類型化すると、今のところこんな感じでしょうか?

その1:選手放出という苦渋の決断を強いられたチーム(コロラド、デトロイト、セントルイス、トロントなど)

その2:これまでの買い控えモードから一気にお買物モード(シカゴ、エドモントン、ピッツバーグ、ボストンなど)

その3:放出が必要だったけど資金力に任せて新陳代謝も活発なチーム(フィラデルフィア)

その4:スタートダッシュに乗り遅れてるチーム(ワシントンがダントツで出遅れ。ここまで7人と契約して700万ドルちょいしか使ってない)

その5:サラリーキャップ上限に関係なく我が道を行く。目指すはキャップ下限到達(ミネソタ)

その6:お買い物は豪華1点主義(アナハイム=スコット・ニーダーマイヤー、ナッシュビル=ポール・カリヤ。アトランタ=ボビー・ホリク。とはいっても、アナハイムはすでにキャップ上限に近づきつつあり)

その7:昨夏ですでにお腹いっぱい。今夏は物見遊山(フェニックス)

その8:RFA選手待ちで動けません(オタワ、タンパベイ)

・・・などなど、かなりチームごとに明暗分かれる展開となっております。

めぼしいUFA(制約なしFA)選手が動き、後はRFA(制約つきFA)選手の契約更改に、年俸調停申請へと、今後はニュースが推移していきそうなのですが、その前に気になったニュースを掘り起こしていこうかと思っております。

今日は、セントルイス・ブルースについて、取りあげてみます。

2005年6月17日、米・大手スーパーマーケットチェーン、ウォルマートの相続人として知られるビル&ナンシー・ローリー夫妻は、夫妻が所有するセントルイス・ブルースを今後売却するという方針を発表しました。1999年9月にブルースを買収以来、6年足らずの間に累積してしまったチーム赤字に音を上げたというのが、どうもその真相らしい。過去2年だけで6000万ドルの赤字を計上するなど、チーム経営はかなり傾いていたそうです。

赤字の原因は、元オーナーから引き継いだサビスセンター建設費用を拠出するための債券(チーム側が1億3500万ドル、セントルイス市が3500万ドルを拠出)を、ローリー夫妻がチーム買収時に一緒に背負い込んだこと。この債券を引き受けることでアリーナの実権を握った夫妻の狙いは、セントルイスへNBAチームを招致することだったのですが、これが失敗に。赤字だけがむなしく積もっていったのだとか。

ローリー夫妻は、ロックアウト中に「NHLのリーグ全体を買収する」と名乗り出たことで知られるゲームプラン社を、買い手候補探しのために起用。サラリーキャップが導入されて、将来的にオーナーにとっては経営が安定する見込みが立ち、実際には買い手市場であるはずのNHLチームなのですが、ブルースのチーム赤字&アリーナ債券という「双子の赤字構造」には、どうも逡巡しているというのが現状とか。1994年新アリーナ開設以来、チームとアリーナを合わせた赤字合計額は、2億2500万ドルにものぼるそうです。

チーム財政不振の理由には、ローリー夫妻の放漫経営や、セントルイスへのNBAチーム招致失敗もさることながら、地元自治体からの援助が得られなかったことが指摘されています。例えばブルースの試合のチケットには、州から課せられる販売税(7.6%)、市から課せられる興行税(5%)が含まれており、ローリー夫妻はこの軽減を求めていたが、認められなかった。この2種類の合計税率(12.6%)は、アメリカ国内のプロチームのチケットに課せられるものでは最大であり、このあたりも新オーナー招致に向けての足枷になりかねません。

しかし皮肉なことに、NFLラムズについては、チーム誘致のために州、市、郡の地方自治体からフットボールスタジアム建設、スタジアム維持費、練習場費などが拠出されている。またMLBカージナルスは来季新スタジアムをオープンするが、道路やインフラ整備に公的資金が注入されており、カージナルスに課せられるはずの5%遊興税も免除されるという優遇ぶりだそうです。

そんなブルースを、さらに厳しいニュースが襲います。2000年8月以来アリーナの名称権を有してきたIT関連会社のサビスが、その契約打ち切りを発表したのです。サビスとの契約は20年7200万ドルですが、違約金550万ドルを支払えばサビスは残りの契約を破棄できるんだそうです。アリーナには債券がついて、名称権がない。これでは、未来の買い手候補が渋る気持ちも分かります。

そんな中、これまで報じられている買い手候補としては、地元セントルイスでは、元ブルースオーナーの息子、マイク・シャナハンジュニア(現UHLミズーリ・リバーオターズのオーナー)。チーム移転も可能ということになれば、カンザスシティ(公的資金で現在アリーナ建設中)、ヒューストン、ウイニペグあたりの投資家がNHLチームを欲しがっているとの噂は、相変わらず根強くはあります。

また7月初旬には、トリニダードに本社を構えるカジノフォーチュン社(オンラインゲーム関連)が、セントルイス・ブルースの買収に名乗りを挙げたと報じられました。ドナルド・トランプ所有のカジノ株の取得や、NASAのスペースシャトルのシート購入を試みたこともあるというこの会社、過去にもNBAクリーブランド、フェニックスの買収を試みたようですが、「筋違い」とNBAデビッド・スターンコミッショナーにきっぱり却下されたそうです。プロスポーツの世界にとって賭博とは禁忌ものですからねえ。この会社の関係者は、数年前と比較するとオンラインゲームはかなりの事業規模に成長しており、会社の財政状況は以前ほどいぶかしくはないと主張しているそうです。ただやはり、ギャンブル関連の会社がチーム買収となると、賭博などのマイナスイメージに繋がることが容易に考えられるため、NHLがこの買収話に合意するとは考え難い。よって、あくまでもこの会社は、買収話が報道されることによってパブリシティを得ることが、そもそもの目的あったのではないかとまで囁かれています。

さらに、7月15日には、IT長者でNBAダラスのオーナーとしても知られるマーク・キューバン氏が、ブルース買収に関心を示していると地元紙「セントルイスビジネスジャーナル」が報道。その続報が出てこないところを見ると、しばらくは様子見ということなのか、はたまたキューバン流の単なるリップサービスなのでしょうか?

いずれにしても、チーム売却予定となると、ローリー夫妻はもうこれ以上赤字を抱えるのはご免と言わんばかりに、GMラリー・プローに緊縮財政を命じました。理想論から言えば、よりいい買い手を探すにはよりいいチーム造りが望まれるのですが、ここではそんな余裕はありません。チーム再建のためには、キース・カチャック、ダグ・ウエイトあたりの高額ベテラン(2人合わせて年俸1330万ドル)のバイアウトも可能性としてあったのですが、GMプローはバイアウトを許されず。カチャック、ウエイトはチーム残留としながらも、今季チーム年俸は3100〜3400万ドルに抑えろとのオーナーからの指示に基づき、UFAのパボル・デミトラ放出、さらにDクリス・プロンガーのエドモントンへのトレードに至ったわけです。

さて、プロンガーのトレードで、見返りに獲得したのが、Dエリック・ブリュワー。セントルイスでのプロンガーの滞氷時間の長さはよく知られていましたが、ブリュワーも2003−04年はDF部門リーグ10位(24分38秒)の平均滞氷時間を記録。プレーオフでは30分を超える時間に出場しており、PPではポイントマンもこなします。またこのトレードでは同時に、プリュワーの他に2名の若手DFも獲得しており、コストカットのトレードにしてはまずまずの釣果だといえるでしょう。

ただ、ブリュワーにプロンガー同様の働きを要求するのは、最初から酷な気もする。ブリュワーはエドモントンに在籍していたからこそ、その技量がむしろ過大評価されて2002年ソルトレーク五輪、2004年ワールドカップカナダ代表入りなどに繋がったのでは? という声もある。ある時期株が急上昇した後は、やや辛口批判の対象になった選手でもあり、巷でトレードの噂が頻出していたことは確か。なのでその実力のほどは、セントルイス移籍後に改めて問われると思います。

とはいえ、セントルイスでのマキニス&プロンガー時代が終焉し(マキニスとの契約延長の可能性はまだゼロではないようですが)、26歳のブリュワー(どっちか言えばオフェンス型DF)と、24歳のバレット・ジャックマン(こっちはディフェンシブなプレーが得意)が、ブルースのDFの顔となる日もそう遠くなさそうです。

プロンガーは移籍後、エドモントンと5年3125万ドル契約に合意しました。年俸にして約620万ドルは、ブルースのQO(制約つきFA交渉権保有ための提示:722万ドル)よりも少ない。しかし、このエドモントンと同レベルの契約をブルースが受け入れることは、現行キャップ内ではほぼ不可能でした。それに、プロンガーはあと1年でUFAとなる資格がある選手。今季はQOで契約したとしても、1年後にタダで失うくらいなら、見返りの取れる今トレードするしかなかったという事情もありましょう。

で、余談でしたが、こんなエピソードが地元紙「セントルイス・ポストディスパッチ」に掲載されていたので、ご紹介を。

8月2日深夜にエドモントンへトレードされたプロンガーですが、その翌朝セントルイス郊外のスターバックスで、なんとGMプローはプロンガーの妻ローレンさんと鉢合わせしてしまったそうです。ともすれば一触即発の間の悪さではありましたが、GMプローが「僕のことを憎んでるだろうね」と声を掛けると、ローレンさんが「いいえ、全然」と答えたことで「気分がとても楽になった。あの一瞬は絶対忘れることはないだろうね」と漏らすGMプロー。チームを牛耳るGM職とはいっても、時として中間管理職的哀愁や苦悩が漂ったりするのですよね。

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by hockeyworldjapan | 2005-08-07 16:41 | NHL overall

アメリカTV放送はどうなる?

みなさま、ダレン・パングって、覚えてますか?

そう、毛髪が薄い&元ホッケー選手にしては超小柄という容貌をネタに、自虐的ギャグを繰り返す、あの人のことです。ESPN解説者として、ここ数年得意の早口でまくしたてるような喋りで活躍してきたパング氏ですが、今季はフェニックス・コヨーテズの地元TV解説者として3年契約を交わしました。

引退後は、シカゴを拠点として解説者生活を営んでいたパング氏ですが、いきなりフェニックス行きとは思い切ったもんです。これも、今季ESPNがNHLを放送するという見通しが極めて暗いという現れなんでしょうか? ESPNがNHLドラフト抽選の模様を放送していたので「元サヤか?」と考えてもいたんですけど・・・

で、もしESPNがダメなら、NHLはどの放送局と契約する可能性があるのでしょうか?

その有望な候補として、まことしやかに名前があがっているのが、アメリカ全国規模で2150万世帯で視聴されているコムキャスト。コムキャストといえば、フィラデルフィア・フライヤーズの親会社でもあり、昨年はESPNやABCの親会社であるディズニー社買収に動いたことでも知られています。このコムキャストが、数ヶ月後にスポーツ専門チャンネルを立ち上げるのではとの憶測があり、そのコンテンツとしてNHLが候補に挙がっているというのです。
 
その他、「スパイクチャンネル」、ターナー、若しくはNHLが既に契約を結んでいるNBCの傘下である「USAネットワーク」「MSNBC」が、NHLと接触中・・・と、さまざまな報道がなされています。

とはいえ、専門家たちは「ESPNとコムキャストの一騎打ち」という意見を強めています。両社のうち、NHLに高い提示をした方が勝ちだと。NHLベッドマンコミッショナーは、労使妥結の記者会見の場で、このTV問題については「早々に解決の見込み」と語っていました。どんな結論が出るのか、とっても気になります。

さあて、日本時間の明朝(現地時間7月30日)は、いよいよエントリードラフト@オタワですね。今年はどんなドラマ(&トレードなどなど)が生まれるんでしょうか?


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by hockeyworldjapan | 2005-07-30 12:52 | NHL overall

新オーナー、新CBA、そしてクロズビー! ピッツバーグに春が来た?

冬枯れの時代を、清貧に甘んじていたペンギンズ。
そのペンギンズにやっと訪れた春・・・でしょうか? そうだと信じたい!

ピッツバーグ・ペンギンズの2003−04年は、30チーム中で最下位の30位という成績。チームワースト18連敗(うちNHL記録のホームでの14連敗)をどん底を味わいました。わずか2200万ドルというチーム総年俸は、リーグトップのデトロイト(7800万ドル)の3分の1以下というつつましさでした。言わずもがな、平均観客動員数は11877人と、地を這っていました。

この数字だけでいけば、どうみてもペンギンズはNHL30チーム中、負け組中の負け組。チーム資金難に、新アリーナ建設計画が暗礁に乗り上げ、ずぶずぶと負け組スパイラルに陥ってのいわば仮死状態でした。

しかし、そんな中でも、ペンギンズ首脳たちは、まだ見ぬ新CBA後のNHLを見据えて、こんな呪文を繰り返していました。
「1シーズン犠牲にしても、この冬を絶対乗り切る。新協定締結後はきっと有利になる」

当時、これを聞かされたペンギンズファンは、心からこれに賛同できたでしょうか? 新協定の内容が生温いものだったらどうしよう? 新アリーナ建設が頓挫したら、あとはチーム移転しかないのか? それよりマリオがチームを売り払って「いち抜けた!」状態になりゃしないか・・・などと、見通しの悪い不安に苛まれていたんではないでしょうか?

が、そんなペンギンズに、ここに来て状況を打開してくれそうな新展開3連発が! これでいきなり「負け組中の負け組」から一気に「NHLきっての勝ち組」への道が開けてきたような・・・それが錯覚じゃないかどうか、ここでひとつづつ検証してみたいと思います。

まずは6月上旬。アメリカ西海岸を基盤とする投資家が、ペンギンズの大株主になることに興味を示したのです。

次に7月13日。NHLがNHLPAと大筋労使協定合意と発表しました。前協定に比べ、ペンギンズのような小市場チームにとってかなり魅力的な内容に、ピッツバーグ地元紙は「うまく行けば1年でスタンレーカップを目指せるかも」と、ちょっと気が早いけどあり得ないシナリオではない話を、得意げに書き立てました。

そして7月22日。2005年エントリードラフトの抽選で、見事全体1位指名権をゲット。2005年ドラフトの目玉といえば、誰もが全体1位指名と疑わないシドニー・クロズビーであります。

新オーナー、新CBA、そしてクロズビーと、ペンギンズにとっては近年まれに見る追い風三種が吹いて来たというわけで。まるでドラマか映画を見るかのような舞台装置の早変わりぶりです。

まあ、彼らのこれまでの苦悩を考えると、「ホントよかったね〜」と、素直に祝福したいのが本心であります。でもね、いちおう心配点なぞあげつらっておこうというのが、私のような人間のスタンス、っつーか悲しい性だったりする。

とゆーわけで、まずは7月30日ドラフトでペンギンズが間違いなく指名するであろうシドニー・クロズビーという選手について。

以前にもどこかで書いたかも知れませんが、「NHLの救世主」との声もあるが、そこまで期待してよいのか? という疑問が当然あります。

マリオ、レッキと攻撃力あるベテランがいるチームにドラフトされたのは、彼にとって朗報でしょう。おそらく1年目は、マーク・アンドレ・フルーリーよろしく、たぶんマリオ宅に下宿でしょうか? クロズビーにとっては、NHLでの機微をいろいろ教わる絶好の機会となり得ます。

昨季はQMJHLにて62試合出場で168ポイント。1試合平均2.71という数字は、メジャージュニア史上マリオ(4.03)に次ぐ好成績だそうです。そんなポイント製造機であるクロズビーにとって、よりオフェンシブなホッケーを目指した今季のNHLルール改正も、有利に働くとも言われています。

7歳で最初の新聞インタビューに応じ、14歳でカナダ全国放送で報道され、15歳でスポーツマーケティングでは超有名会社のIMGと契約。そんな天才児には、NHL加入前ながら、リーボック、ゲータレードに、カナダの電話会社と、すでに複数のスポンサーが。うちリーボックとの契約が5年250万ドルと最大。さらに10社が契約を求めて接触中なんだそうで、すでに彼の個人サイト(www.crosby87.com)もオープンという凄まじさです。

私個人としては、NHLでまだ1試合もプレーしていない選手にここまで騒ぐというのもどうよ? という気持ちが正直あります。

「ネクストワン」と期待されたエリック・リンドロスの場合は、NHL加入前に91年カナダカップでカナダ代表としてプレーし、NHL入り後のプレーも多少は予想がついた。でもクロズビーについては、そういったトップレベルの選手と一緒にプレーする機会はこれまで皆無。またマリオやリンドロスといった選手と比べると、サイズ面では絶対劣るというハンデがある(お尻の大きさはチャンピオン級ですが)。それだけにいきなりNHLの世界に放り込まれたらどうよ? と、ついつい訝し気な態度に出てしまうのです。

実際、私自身、昨年7月のLAのルーキーキャンプに特別参加していたクロズビーを、生で観る機会がありました。「確かに16歳としてはすごい。スケーティング、テクニックはあるけど、プレーを支配するタイプではない」というのが私の印象でした。

とはいえ、一緒にプレーする周りの選手のレベルが上がれば上がるほど、素晴らしいプレーを引き出せる力をもった選手というのは、いるものです。実際、真の天才とは、そういうところで恐るべき力を発揮するんだと、2004年ワールドカップのビンセント・ルカバリエのプレーを観て、思い知った次第です。

なので、クロズビーもそういうタイプなのかも知れません。できればそうあって欲しいと願うわけなのですが・・・

で、そのクロズビーと取り巻くペンギンズの環境としては、まずは2004年1巡目指名(全体2位)のエフゲニ・マルキンが、同じ代理人(IMGパット・ブリッソン)が担当しているんだそう。だからといって、契約交渉が早く進むのか、逆に時間がかかるのかは分からない。というのは、「新協定でのルーキーサラリーキャップが以前よりかなり厳しくなる」という報道直後に、「クロズビーはスイスのチームと交渉中。3年1000万ドルのオファーあり」と、この代理人がチクリと刺した。つまり「NHLがルーキーの処遇を悪くするならヨーロッパに行っちゃうよ!」と、NHLに揺さぶりをかけたのです。結局この話題は、その後クロズビー本人が「僕はなによりNHLでプレーするのを優先する。代理人は、ロックアウトがこのまま続いてしまった際の選択肢として、ヨーロッパの話をしただけ」と弁解して事なきを得ましたが、この代理人陣営、かなりの胡散臭さがあることは確かのようです。

なにはともあれ、この2人が揃ってペンギンズでプレーすることになれば、それはとっても楽しみではある。ちなみにポジションは2人ともセンター。マルキンとの交渉は、NHLとIIHF間の移籍に関する協定が最終決定待ち(これまでロシア連盟がゴネてました)という状態らしい。そもそもプレーメイクのできるセンターが必要だったペンギンズだけに、マーケティング的部分だけではなく、チーム構想的にもかなりのインパクトとなるのでは、と期待されています。

ただ「NHLの救世主」というのは、やはりどうよ? と思うのです。

仮に、クロズビーがグレツキー&マリオの域に達するプレーを見せたとします。
でも、今季からNHLでは、異なるカンファレンスのフランチャイズを訪れるのは、3年に1度のみ。すると、全リーグ的影響はそれほどでもないんではないか? という気もする。まあ、TV報道はいつも東偏重で、西はないがしろにされ気味なのは、今や公然たる事実でありますけどね。

ここで話題を変えて、ペンギンズの新大株主となる予定の方のご紹介を少し。
カリフォルニア州サンノゼ出身の事業家であるウイリアム・デルビアッジオ氏(37)がその人で、マリオとはゴルフ友達という仲。またこれまでマリオとともに、USホッケーリーグのオマハ・ランサーズを有し、またサンノゼのトップファームであるAHLクリーブランド株も一部保有している、いわばホッケー筋のお金持ちセレブらしい。またシャークスの株式も一部所有らしく、ペンギンズのオーナーとして承認されれば、シャークス株は手放すことになる。デルビアッジオ氏が晴れて大株主となった後も、マリオは5%のペンギンズの株式を有し、チーム代表取締役に留まる予定だそうです。

で、このデルビアッジオ氏のチーム買収と、クロズビーのドラフト指名が、新アリーナ建設計画へ弾みになるのでは? との説がありますが、実際にこの「新アリーナ建設計画」の実情について、ちょっと説明したいと思います。

老朽化が進むペンギンズの本拠地メロンアリーナ。現存するNHLアリーナでは最古で最小の収容人員という事情もあって、マリオは「ペンギンズのチーム財政健全化には、新アリーナ建設は必要条件」と、近年訴え続けてきました。

しかし、このマリオの訴えも虚しく、地元自治体はペンギンズにはそっぽを向いたまま。しかも、野球とフットボールのスタジアムにはちゃっかり資金拠出しまくったのですから、そりゃマリオも怒ります。2001年、ペンギンズは市内の病院跡地を新アリーナ建設地として800万ドルで購入していたのですか、ノリの悪い地元自治体ゆえにアリーナ建設計画はいったん無に帰しました。そこで、この土地を1500万ドルで売却を試みたのですが、買い手はつかず。窮地で辿り着いた次なるアイデアは、スロット営業権を得て、その土地にカジノを建設し、そのカジノの収益を新アリーナ建設費に充てるというちょっと気の遠くなるような話であります。

で、現段階では、まだそのカジノ営業権も入手できていない状態。ただ、デルビアッジオ氏のチーム買収や、クロズビーのドラフト指名というニュースが、このスロット営業権を決定する地元政治家たちに好印象を与えることは確かだというところに留まっています。

「あちらの世界」への道、まだまだ長そうです。

また、新協定は諸刃の剣とも言われています。そのひとつがFA制度であります。新アリーナ完成時には、クロズビーが制約なしFAになっちゃう(新協定では、最速で7年後に制約なしFAになれるのです)なんてオチがつかなければいいが・・・と、重箱の隅をつついてみる。そんな意味でも、ペンギンズファンの懊悩は、心の底でまだ続いているのではないでしょうか?

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by hockeyworldjapan | 2005-07-26 15:28 | NHL overall

2005−06年におけるルール変更とは?

2005−06年シーズンに採用される新ルール(概略)は以下の通りです。

*5分間のOT後、3選手ずつのシュートアウト(PS戦)を実施。これで決着がつかない場合はサドンデスでシュートアウトを続行する。シュートアウトで勝利した場合のスコアは、OT後勝利同様1点を加点して試合結果とする。

*ツーラインパス:これまで禁止されていたツーラインパスが可能に。センターラインはオフサイドのジャッジにおいては無視される。

*タグアップオフサイド(国際ルールでのディレイドオフサイド):パックよりも先に攻撃側の選手がアタッキングゾーンに入った場合は、いったんブルーラインまで戻って再度アタッキングゾーンに入ることができる。

*ゴーリーに関する規制
GK防具サイズは、約11%縮小される。レッグパッドについては幅1インチカット(11インチに)、ブロッカー、上半身用プロテクター、パンツ、ジャージなどもサイズ縮小される。規制外用具を使用したGKは、2試合出場停止に25000ドルの罰金、トレーナーも1000ドルの罰金が課せられる。
GKがゴール裏でパックを処理できる範囲は、ゴールポストから6フィートの地点から斜めにエンドボードまで下がった地点の台形エリア(底辺28フィート)に限られる。

*オフェンシブゾーンの拡大
各オフェンシブゾーンを拡大するために、2本のブルーラインの間隔を狭める。これによってニュートラルゾーンは、これまでの54フィートから50フィートとする。ゴールラインは、エンドボードから11フィートの場所に下げる。ブルーライン、レッドラインの幅は従来通り。

*アイシングの変更
アイシングしたチームは、そのすぐ後のフェイスオフでのラインチェンジは認められない。タッチアイシングで従来通りアイシングが宣告されるが、ラインズマンはアイシングを無効にするため、これまで以上の裁量を与えられる。

*インスティゲイターについての変更
試合終了前5分間でインスティゲータペナルティを課せられた選手(乱闘を煽動した選手)は、ゲームミスコンダクトに加え、自動的に1試合出場停止となる。2回目以降は、出場停止期間が倍増する。またそのチームのコーチは1万ドルの罰金となり、2回め以降はこの額が倍増する。

*レフェリージャッジの強化
インターフェアランス、フッキング、ホールディングなどの妨害行為の徹底取り締まり。GKが所定の範囲外でパックハンドリングした場合には試合遅延ペナルティを、また不必要なパックフリーズをした場合も試合遅延ペナルティを課せられる。さらにディフェンディングゾーンからガラスボードを直接越えるパックを打ち込んだ選手も、試合遅延ペナルティを課せられる。

*アンスポーツマンライクコンダクト
ダイビングなど、相手の妨害プレーに対して、ペナルティを取ってもらえるようアピールする演技プレー、故障したふりした選手には、ペナルティを課す。初回違反者には書状で警告を通知し、2回めには1000ドル、3回めは2000ドルの罰金、4回めは1試合の出場停止処分とする。判定に関する公での文句、ホッケーの品位を損なうコメントにも、罰金が課せられる。

*競技委員会の設置
競技委員会(GM4名(ボブ・ゲイニー、ケビン・ロウ、デビッド・ポイル、ドン・ワデル)、オーナー1名(エド・スナイダー)、NHLコリン・キャンベル、選手4名(ロブ・ブレイク、ジャローム・イギンラ、トレバー・リンデン、ブレンダン・シャナハン)に、NHLPAからマイク・ガートナーが参画)

・・・というわけで、あれだけ派手にいろいろ試行した割には、目新しいのはシュートアウトの導入、GK防具&GKのゴール裏の動き規制、ツーラインパス許可、タグアップオフサイド再導入くらい。あと、アイシングを犯したチームにメンバーチェンジが認められないというのは、守備側チームにとって結構キツそう。

ツーラインパス&タグアップオフサイドの導入によって、国際ルールに同調したことになったわけなので、これまでホッケーを見て来た立場としては安心して見ていられるというのはあるけれど、今回のルール変更が、果たしてリーグが掲げる懸案の「得点アップ」のための速効策となるか? と言われるとかなりの疑問がある。特に毎年お約束で項目に挙がる「妨害プレーの取り締まり徹底」なんて、ファンもメディアもさんざん騙されてるから、もうみんな信用してないんじゃなかろうかと。

極太ブルーラインや、拡大版ゴールネット、3オン3のOTなど、過激案は結局採用されませんでした。まあ、ルール変更についての議論は継続実施されるようですし、過激案についての議論が将来復活する可能性もなきにしもあらず・・・ということを付け加えておきましょう。

あ、ついでというにはあまりにもビッグニュースですが、ドラフト抽選の結果がでましたね。全体1位はピッツバーグに決定! クロズビー&マリオの競演が今から待ち遠しい・・・なんて、早くも私の脳内は先走り妄想中であります。詳しい話はまた後日。

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by hockeyworldjapan | 2005-07-23 12:21 | NHL overall

デトロイトにバブコック? 驚くのはまだ早い

労使交渉妥結が近づき、各チームとも動きが活発になってきたとの旨は、以前にもお伝えしましたが、最近驚いたのが「デトロイトの次期ヘッドコーチにマイク・バブコックで決定!」というニュースではないでしょうか?

これまでデトロイトでヘッドコーチを務めてきたデイブ・ルイスはすでに解任ということで、レッドウイングズGMケン・ホランドから話を切り出され、今後はスカウトとしてチーム内に留まるか否かという状況らしいです。

この話の経緯を順に追っていくことにしましょう。

まずは、アナハイム・マイティダックスは、これまでのディズニー社に代わり、地元出身の大富豪サムエリ夫妻が新オーナーに就任。そして前バンクーバーGMのブライアン・バークを新たにGMへと迎えました。

バークGMは就任後、マイク・バブコックコーチに1年契約オファー(昨季と同額)をしましたが、バブコックコーチは「まずは考える時間が欲しい」と要求。バンクーバーではオフェンシブなホッケーを標榜していたバークGMですし、2003年にディフェンシブなホッケーでダックスをスタンレーカップ決勝に導いたマイク・バブコックコーチとどう噛み合うのか、その行方が注目されていたところに、このキナ臭い展開でした。

そしてバブコックに与えられた期限の1週間が過ぎようという頃、バブコック側からダックスGMバークに対し、「考える時間の期限延長を」との申し入れがあったそうです。実際バブコック側とすれば、時間を稼ぐことでダックスの契約額&契約年数提示アップを目論んだものとも考えられますが、バークGMはこれを断固拒否しました。

その時の状況について、バークGMは地元紙LAタイムズに以下のように語っています。

「(数年契約提示は)最初のデートで結婚のプロポーズをするようなもの」
「(代理人の期限延長、契約アップ要求について)どっちもはっきりノーと言ってやった。かなり強調しつつ、放送禁止用語を混じえてな」
「デトロイトからは何も連絡なしだ。こっちに挨拶の電話もないうちに先にバブコックを雇ってしまったのならショックだ。エチケット違反だ」(注:とはいえ6月30日でバブコックとダックスの契約は切れている。バークGMが怒ってるのはあくまで儀礼的な部分)

バンクーバー時代には「ミネソタ・ワイルドとはカルトである」等に代表される名言を残したバークGMですが、アナハイムでも就任当初から飛ばしてます。むふふ。

さて、バブコックに背を向けられたダックスですが、今後のヘッドコーチ候補には、マイク・ジョンストン(バンクーバー・アシスタントコーチ)、ランディ・カーライル(AHLマニトバコーチ)といったバークGMのバンクーバー繋がり、ティム・ハンター(サンノゼ・アシスタントコーチ)、ジョン・スティーブンス(AHLフィラデルフィア・ヘッドコーチ:今季AHL優勝に導く)などの名前が挙がっているようです。

しかし、レッドウイングスにバブコックですか・・・これまでのプレースタイルや、あの街の雰囲気を考えると、彼が馴染むにはちょっと時間がかかるかも知れません。実際、解任となったデイブ・ルイスは、アシスタントコーチとしてでなく、選手としてもレッドウイングスでプレーしたというデトロイトとは深い絆を持つ人物。「スター選手=エゴの固まり」のような側面もある一方で、なぜか家族的な雰囲気があったのは、ルイスがアシスタントコーチ時代にスコッティ・ボウマンと選手たちの間の緩衝剤的存在になっていたという部分もあったはず。ただ、ヘッドコーチの器としてはどうか? という命題に常に苛まれていたことも確かでした。

プレースタイルという部分で考えると、新協定締結後はレッドウイングズも高額選手を大量に放出しなければならない状況が避けられません。するとこれまでのオフェンシブな戦略だけで突っ走れるのかと考えると大きな疑問が残る。もちろんルール変更の恩恵は多少はあるかも知れませんが、デトロイトのファンはこれまでの派手なレッドウイングスの異なるタイプのチームを、今後は目にすることになるわけです。

その手始めの強烈メッセージが、バブコックヘッドコーチ就任という動きなのでしょう。バブコックコーチ就任はまだ正式発表されていませんが、記者会見が実施される頃には、スティーブ・アイザーマンの去就についてもある程度話が進んでいるんではないかと思います。まあ、2006年トリノ五輪に向けてのカナダ代表キャンプに招待されているアイザーマンだけに、バブコックからあっさり肩たたきにあうとは考えにくい。アイザーマンとしても、目を負傷したまま引退する気は毛頭ないでしょうが、レッドウイングスとしてはサラリーキャップという避けられない課題もありますし・・・

・・・と、たいそうな書き方をしてしまいましたが、デトロイトの例はほんの氷山の一角。妥結後は、全リーグ的に、FAにバイアウトの連続で驚愕&混乱の展開が予想されそうです。みなさま、どうぞ心のご準備を。

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by hockeyworldjapan | 2005-07-09 15:29 | NHL overall