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AHL再編中

NHLにとって、3Aリーグに相当するAHLで再編が進んでいます。

傾向としては、こんな感じです。
(1)「1対1」化:NHL1チームにつき、そのトップファームとしてAHL1チームという方向性
(2)「より近く」:西海岸のチームが、東海岸の端っこのトップファームを経営・・・というパターンから脱却するチームが続出中

(1)については、経費縮小という名目から、他NHLチームとファームを共有するパターンが近年は多くもありました。しかし、そうするとなかなかファームから選手が成長してこないというジレンマが経営陣としては当然あったわけです。特にNHLでは、ヘッドコーチによって採る戦略も様々。よって単独でファームチームを直接経営、あるいは提携を結ぶことにより、若手選手たちはファーム時代から1軍での戦略を徹底されることになるのです。そして、いざ1軍昇格の運びになれば、そうした若手が戦略理解に苦しむことはない。ファーム上がりの選手は、すんなり1軍のプレーに溶け込めるというわけです。

(2)については、ひとつのチームのファンになって、その地元の新聞記事などをじっくり追いかけている方なら、その有用性はもうお分かりでしょう。1軍で故障者が続発した場合に、ファームから選手が供給されるわけですが、そのファームチームが遠隔地にあったりすると、昇格した選手が試合に間に合わないなんてケースはざらなのです。また、そのファームでの若手の成長をGMらがスカウティングするのに、遠隔地だと当然旅費もかさみます。近場にあれば、車でちょっとドライブすれば、すぐにファームの試合を見られる・・・なんて便利な環境になるわけです。

そんな事情もあって、リーグ開設70周年という記念すべき来季(2005−06年)のAHLでは、以下の4チームの新加入が決定。これでチーム数はNHLと同じ30チームとなる予定です。

*アイオワ・スターズ:来季からNHLダラスのトップファームに。元NHLハートフォード、ピッツバーグのオーナーでもあったハワード・ボールドウインが共同オーナーを務める。スターズとは5年契約。ボールドウインはケンタッキー州ルイビルにチームを所有していたが、そのチームは運営を休止に。これをアイオワ州デモインに移転させることで、スターズのファームとして生まれ変わることに成功した。スターズ社長ジム・ライツと、ボールドウイン氏が古くからの知人であったことも、この提携実現を後押しした模様。本拠地は、現在建設中のウエルズファーゴアリーナ。今季スターズは、トップファームとしてAHLハミルトンとAHLヒューストンを併用している。

*ピオリア・リバーマン:昨季小原大輔選手(現コクド)が所属したことでも知られるECHLチームだが、来季から同ミズーリ州に位置するNHLセントルイスのトップファームとしてAHLに加入する。今季までブルースのファームはAHLウスター(米マサチューセッツ州)であったが、このフランチャイズ営業権をリバーマンが買い取り、チームをピオリアに移転させた形で、実質的ECHLからAHLへの昇格を成功させた。リバーマンは、廃止となった3AリーグIHLにも加盟経験があり、過去にブルースのトップファームとしての経験を5シーズン有する。

*トロント・マーリーズ:来季からNHLトロントのトップファームに。カナダ・ニューファンドランド州セントジョンズから移転し、それに合わせてチーム名称も改めた。
改名のためにメイプルリーフスは、2004年10月にファン投票によるコンテストを実施。6000件の応募の中、このマーリーズという名前はトップ3に入る人気名称だった。
この「マーリーズ」という名称は、1904年にイングランドのマールボロ公爵にちなんで名付けられたのを、1927年当時のリーフスオーナーだったコン・スマイスが買い取り、リーフスのファームチームとしたという歴史あり。しかしこの先代マーリーズは、80年代に人気が下火となったため、1989年にリーフスが手放し、チームはその後ハミルトンに移転。さらに91−92年にはゲルフ・ストーム(現在OHL加盟)へと名前を変え、現在に至っている。本拠地はトロント市内のリコーコロシアム。

*オマハ・ナイツ:来季からカルガリーのトップファームに。以前カルガリーのファームであったニューブランズウイック州セントジョンのフランチャイズ(2003年4月営業停止)を、米ネブラスカ州オマハに移転させ、フレームスにとって待望の単独トップファームが復活した。ここ2シーズン、フレームスは、米マサチューセッツ州ローウェル・ロックモンスターズ(AHL)を、カロライナと共有していた。
オマハのシビックオーディトリアムは改装済でダウンタウンに位置。オマハには過去30年間プロホッケーチームが存在していなかったが、1930年代後半から存在していたマイナーリーグチームが、このオマハ・ナイツだった。このチームのオーナーグループである「Ak-Sar-Ben財団(注:Ak-Sar-Benとは、Nebraskaを逆に綴ったものだそう)」が、新チームに対し、フレームスと共同出資する。
前身チームは、1970年代初頭には、カルガリー・フレームスの前身チームであるNHLアトランタ・フレームスのファームチームだったことも。またゴーディ・ハウ、スコッティ・ボウマンが所属したことでも知られる。
新チーム立ち上げにより、チーム名は改称される可能性あり。

・・・というわけで、どこも「より近く」の傾向を重んじているわけです。特にファームチームがNHLチームと同都市に位置するのは、これでフィラデルフィア、エドモントンについで3つめ。もちろん近いに越したことはないのですが、NHLが存在する都市にAHLチームを設けて、果たしてちゃんと観客は確保できるのか? という運営的問題も、忘れてはなりません。

実際、2003−04年にAHLトロント・ロードランナーズ(エドモントンのトップファーム、今季からエドモントンに移転)が、リコーコロシアムを本拠地とした際には、ファームにしては割高感があったチケット価格も災いし、トロントのホッケーファンがそっぽを向いて、チーム経営が悪化したという事情がありました。その結果、ロードランナーズは、今季1軍と同じエドモントンへの移転を強いられたわけです。
ただしマーリーズは、あくまでメイプルリーフスのファームチーム。として地元トロントのファンを惹き付けるだけの魅力は十分あるとチーム関係者は睨んでいるようで、シーズンチケットは発売初日で1300席を受け付けたとの話も報道されています。

と、決定している話はここまでですが、さらに現AHL加盟チーム間での、NHL提携チーム・シャッフル大会が実施されようとしています。

まずは、今季を以てAHLハーシーとの提携を終了したNHLコロラド。AHLハーシー(東海岸のペンシルバニア州に位置しています)の立地条件の悪さもあってか、今季アバランチからハーシーに送られていた選手数は12名以下で、現在に至ってはたった4名という少なさだとか。アバランチは、今後は同地区のCHLチーム(コロラド・イーグルズ:デンバー近郊ラブランドに位置)との提携が噂されています。

さらにコロラドが見捨てたAHLハーシーを、NHLワシントンが来季トップファームチームとするのでは、との憶測もあります。ハーシーは戦前よりマイナーリーグのホームチームとして長年栄えて来た、いわばマイナーチーム中の古豪であります。しかしキャピタルズには、向こう1年AHLポートランド(米・メイン州。ハーシーよりはワシントンから遠いです)との契約が残っている模様。通常契約下のファームとの契約破棄となれば高い違約金が必要となるのだそうですが、来季はアナハイムがこのポートランドとの契約を結ぶのではとの噂もあるそうで(現在アナハイムはAHLシンシナティ・マイティダックスがトップファームです)。

この慌ただしいAHLを含めたマイナーリーグ再編成。毎年恒例行事ではありますが、今季は特に新加入チームの存在もあって、例年以上にややこしくなりそうです。


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by hockeyworldjapan | 2005-03-30 11:40 | NHL overall

労使交渉その後情報

ちょっとNHLの労使交渉情報をおさぼりしてしまったので、ここで最近の動きについてのお知らせを。といっても、状況は膠着状態からさらに悪化しつつあるというわけで、なんら好転しておりません(泣)。

まず3月21日から3日間、NHLPAはカリフォルニア州ペブルビーチにて「秘密会合」を実施しました。「秘密会合」というのは、メディアをシャットアウトし、一切開催場所についても公表されなかったから。かの「2.19事件(詳しくはこちらでチェックしてください)」で学んだ教訓でしょうか。NHLもPAも、メディアに情報を漏らすことで交渉に混乱をきたしたり、交渉を不利に持ち込まれないように、最近は非常に過敏になっているのです。そんな中、この会合の参加者からの電話の着信通知がペブルビーチの宿泊施設だったことから、やっとメディアは会合の開催地を察知することができたんだそうです。

会合出席者はトレバー・リンデン、ビル・ゲリン、ビンセント・ダンフース、ボブ・ブグナー、アルツールズ・イルベ、トレント・クラットら、NHLPA幹部の面々。さらにPAトップのボブ・グッドナウ、シニアディレクターのテッド・サスキン、その他顧問弁護士らも出席していたとか。しかし先にも触れた通り、厳しい箝口令もあって、その会合内容はほとんど伝わってきておりません。

そうこうしてるうちに、今度は「NHLが、NHLPAを不当とし、米・連邦労働関係評議会に提訴(3月25日)」というニュースが舞い込んできました。

NHLの争点は、NHLPAが「代理選手として出場する用意のある選手には、ロックアウト中にPAから選手へ支給された手当(月額5000〜1万ドル)を返却してもらう」との方策を講じており、これが不当労働行為にあたるというものだそう。まあ、この提訴によって交渉を有利に運ぼうという戦略なのかも知れませんが、もしこの話が真面目に法廷に持ち込まれることになってしまうと、その判決が下るまでに長い期間を要することになってしまうそうです(そのあたりは以前にも触れていますので、こちらをご参照下さい)。そんな流れで来季まで労使紛争が食い込むようになったら、もう最悪のシナリオ。それだけは、なんとか回避して欲しいと思います。

またその前日の3月24日、NHLはオタワでのドラフト(6月25、26日予定)の順延を決定しました。ドラフト開催には膨大な数のホテル予約(約4000室)が必要になるのですが、その予約を宙ぶらりんにするわけにもいかず・・・ってことで、NHLは順延を早期に決定した模様です。

順延というのは、完全に中止ではないということ。ということは、もし近い将来に労使協定が整えば、オタワでの縮小版ドラフトを開催することも可能なんだそうで。例えば、2巡目までオタワでの指名を実施し、残りの指名は電話会議にて実施するという案があるんだとか。逆に2005年ドラフトが完全に中止となった場合には、オタワは2008年までのうちいずれかの開催権を有することになっているそうです。ただ2006、2007年ドラフトはすでに開催地が内定済といわれているので、2008年開催が有力視されています。

ドラフトが完全中止となると、NHLでは1963年にモントリオールのクイーンエリザベスホテルで第1回アマチュアドラフトが開催されて以来、史上初となってしまうそうです。そうなると気になるのは、すでにカナダではスーパースター扱いのジュニア選手、シドニー・クロズビーの処遇。クロズビーの代理人パット・ブリッソンは「これで彼が制約なしFAになるのなら理想的」と語っているそうですが、NHLナンバー2のビル・デイリーは「クロズビーが制約なしFA宣言をすることはできないし、CBAが整っていない限りどのチームも彼と契約に至ることはできない」と明言。クロズビー本人はWHA加入もほのめかしてはいたのですけどね・・・NHL契約がダメならAHLチームに加入させたらどうか? という意見も巷にはあるようです。

「NHLPA秘密会議」のニュースを原文で読む
「NHL、NHLPAを提訴」のニュースを原文で読む
「ドラフト順延」のニュースを原文で読む

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by hockeyworldjapan | 2005-03-29 10:49 | CBA

コクド存続問題とアジアリーグの今後

まずは、コクドのアジアリーグ優勝、おめでとうございます!

優勝を決めた3月27日(日)のプレーオフ決勝第4戦は、見事な試合運びだったと思います。
「第1戦こそGK二瓶次郎の守りで完封されたが、それがいい発奮材料になった」という高木監督の言葉通り、以降シリーズの流れを掌握しての3連勝。チーム存続問題で揺れる中、選手たちがよく試合に集中してプレーした証の優勝でした。

この日も大活躍のユールは、コクドの選手たちの集中力をこう表現していました。
「全盛期のグレツキーが復帰して相手に加入しても、ウチは勝てると思っていたよ」

とはいっても、一連のコクドの不祥事が発覚し、ホッケー部存続が問われ出した頃は、どの選手もスタッフも大きな苦悩を抱えていたようです。試合後の記者会見で、宮内キャプテンはこう語っていました。

「長いシーズンだった。会社の方もいろいろ問題があって、年末は一時選手が元気なかった時期もあった。でも僕たちは優勝することが会社のためにも、ファンのためにも一番いいことだと思い、新たな気持ちで後半戦を戦うことができた。全日本選手権には優勝できなかったが、アジアリーグで勝てて本当によかった」
「選手だけのミーティングもあった。年末、年明けも2度、3度とありました。チームメートからは、表向きは頑張ろうという気持ちは伝わってはきたが、不安が見える部分もあった」

優勝を決めたプレーオフ決勝第4戦には、次期西武鉄道社長に内定している後藤高志氏が、観客席で試合を観戦。優勝決定後は、リンクサイドで選手たちを「再生のシンボルとしてこれから一緒にがんばりましょう」と出迎えました。後藤氏の目前で優勝を決められたことは、チーム存続に向けての絶大なアピールになったと願いたいです。

ただ、まだチーム関係者に対し、チーム存続への具体的な内示があったわけではありません。優勝後にいったんは安堵の表情を見せていた高木監督も「後藤さんとお会いしたのはこれが初めて。選手の前でああ言っていただいたのには感謝しています。ただ正式な話はまだ決まっていないので・・・」と、不安も覗かせていました。

また、チーム存続に至ったとしても、年間予算大幅削減は否めない状態。大幅予算削減は、大幅人員カットをも意味するわけで。リーグ終了2週間後には、リーグ規約により今季を以ての退部者をリーグ側に通告しなければならないという時期にさしかかるため、選手たちは誰もが不安な日々を過ごすことになるわけです。

試合後の記者会見では、日ア連会長であり、アジアリーグチェアマンである冨田正一氏も姿を見せ、「コクドの件については、時期をみて正式に、結論を出せる方にお会いするつもり。できる限りを尽くしてチーム存続について努力したい」とコメント。アジアリーグの覇者コクド存続をバックアップする姿勢を見せていました。

そして、そのコクドの優勝で幕を閉じた第2回アジアリーグですが、今季は日本の4チームに、韓国からハルラ、ロシアのアムールに、中国2チームの、8チームという大所帯でのリーグ運営になりました。これまで日本リーグという枠内だけでも、各チームから派遣された運営委員のメンバーたちが忙しく働いていたわけですから、今季は本当に大変だったと思います。まずはお疲れさまでした。

しかし、アジアリーグ全般を見通すと、やはりチーム間の実力格差というのが歴然としている問題があります。試合終了後の記者会見で、冨田チェアマンはこう言及しました。

「チェアマンとしては、参加するチームが全部同じレベルにないと、ファンにもメディアにも関心を持っていただけない。チーム間に大きな差がありすぎると関心が落ちる」
「アジアリーグとしては、少ないファンの前でプレーするのは選手にとっても気の毒」

今季開幕当初は、中国の2チームにも外国人選手が加入することでチーム間均衡は保てるとリーグ関係者は予測していました。しかし結局外国人選手は断念することに。その後、冨田チェアマンは過去4ヶ月の間に中国関係者と折衝を図ってきたそうです。中国側としては「うちには18歳の選手が5人もいるから、今後は日本に勝てるチームだって作れる」「アジアリーグ参戦が選手作りに役立っている」と、アジアリーグ参戦の意義を唱えているそうですが、来季加盟を希望しているカンウォンランドの扱いも含め、今後のリーグのあり方については多くの課題が残った模様です。

そのため、4月12〜15日には北京で各チーム代表者が集い、今季の反省会と来季についての議論を実施するそうです。コクド存続問題の行方とともに、こちらの動きも非常に気になるところです。

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by hockeyworldjapan | 2005-03-28 13:23 | アジアリーグ

3月17日は○○の日。3月18日は××の日。

3月17日はなんと、「リシャール暴動」の50周年でした。

「リシャール暴動って何?」と興味を持たれた方、詳しくは管理人の書籍レビュー「リシャール=ケベックのカリスマ=一種の宗教」をご覧頂けたら幸いです。

その3月17日、NHLとNHLPAの会合がNYで実施され、NHL側から以下の2つの提示がなされました。

1)サラリーキャップ3750万ドル
2)もしくはリーグ収入の54%

このいずれかをPAが受け入れるわけはないと思われますが、PA側は翌週の内部会議を理由にこの提案についての即答を避けています。一方NHL側は、代表者会議を4月20日に予定しており、ここでドラフトや代理選手などの議題が議論される予定だそうです。

・・・と相変わらずソッポ向いてる両陣営ですが、それに反発しようと一部のファンが運動しています。

その主要メンバーとして活動中なのが、2003年に設置されたNHL「ファン・オブ・ザ・イヤー」の最初の受賞者に輝いたというロジャー・ファリナ氏。イラク戦争時に従軍した最中に、大好きなNYアイランダーズの快進撃で心を癒していたというファリナ氏は、現在NHLロックアウトについてファンの憤りを訴える活動「Fans Strike Back!」の主宰者のひとりとして頑張っているのです。(「Fans Strike Back!」のHPはこちら)

HPを見ると、ドラフトを開催するまでに労使妥結が間に合わなければ、シーズンチケットは解約するように」となどと呼びかける強硬活動も辞さないこのグループですが、なによりも大切にしているのがファン同士の結束です。まずは、奇しくもリシャール暴動50周年の翌日である3月18日を「National Day of Hockey」と命名し、仕事や学校で、NHLのジャージやグッズなどを身につけることを提案。その他、車を好きなチームのカラーで彩ったり、マイナーリーグやジュニアホッケーの試合に行こうなどと呼びかけているのです。この3月18日には、NYとトロントでの集会も予定していたそうですが、その正式許可が降りなかったため中止となったとか。NHL早期再開を求める署名運動も継続中です。また以前にご紹介した「Free Stanley」のサイトとも、連携を取っての活動を実施しているようです。

・・・と、北米のファンの活動についての情報でしたが、日本のホッケーファンの皆様。このたびは、HWJ掲示板に多くのご意見を頂きありがとうございました。

私としては、まずは緊急課題であるはずの「東伏見改善策」という比較的焦点を絞ったお題でコラムを書いたのでしたが、多くの方々からホッケー界全体の問題であるとか、連盟の運営、チームの運営に至るまで多岐に渡るインプットを頂戴しました。

こうした有意義な議論の場として、HWJ掲示板をご活用いただければ私の本望といたすところであります。公の場でご意見を発表していただくのは、いろんな意味で勇気の要ることだと思います。他の意見を持っている方と話が食い違うことはあるでしょうし、あるいは同じ視点で話をしていたとしても捉える角度が違うために、大きな乖離があるように思えることがあるかも知れません。

ただ、個人が「こうすればいいのに」と自分の心の中でアイデアを暖めているだけでは、何も生まれないのです。それにこうして議論しているうちに、「それはいい!」と思えるアイデアが創出される可能性は十分あると思うのです。

ちなみに、日本でも「○月×日はホッケーの日!(曜日が悪ければ「○月の第●週日曜日とかでもいいのです)」と銘打ち、メディアに働きかけて宣伝してもらうというのも、ひとつの手であるかと。で、それこそ会社や学校にホッケーグッズを身につけて出かけてもらい、自家用車はホッケーカラーで彩ってもらう。日本では4会場全てでホッケーの試合を実施してもらい、会場でもなんらかのプロモーションをする。試合に友人を誘えるように、4人組で来場してくれたファンには4人めは入場料無料とする・・・「ホッケーの日」と端的に分かりやすくPRすることも必要ですし、その裏でキメ細かにフォローをするのが大切だと思うのです。

いかにお金をかけずに(注:労力、サービスは不可欠です)、いいPRができるか? そのあたりをお時間のある方は議論していただけないでしょうか?

今後とも、よろしくお願いいたします。

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by hockeyworldjapan | 2005-03-20 10:39 | CBA

プレーオフ準決勝&東伏見改善策

昨日は、プレーオフ準決勝第2戦取材のため、東伏見に行ってまいりました。

試合の方は、0−2とリードされた地元コクドがその後追いつくという展開。まずいペナルティもあって、その後にゴールされるという内容は反省点も多かったかも知れませんが、押され気味の第1OTをよく耐え凌ぎ、第2OTでの劇的逆転勝利でした。OTゴールを挙げたのは、今洋祐選手。パーピックのシュートのリバウンドを、右ゴール前でうまくバックハンドですくいあげ、アムールGKオグレシニコフのグラブハンドを破りました。やられたGKオグレシニコフ、しばらくショックのせいでゴール前に突っ伏してましたね・・・

今回の準決勝は、第5戦まで至ると8日で5試合という超ハードスケジュール。これに加え、ハバロフスクと東京間のきつい移動、さらに勝負がつかなければ延々サドンデスのOTを繰り返すプレーオフフォーマットゆえ、コクドとしては第3戦で決めて、王子とクレインズとのシリーズが長引くのを高見の見物と行きたいところでしょう。

チーム存続問題もあって、微妙な心理状態で戦っているはずのコクドですが、その本拠地の東伏見に加え、他の首都圏のリンク2つ(東大和、新横浜)の存続も問われている今、この第2戦を取材して「これでいいのか東伏見?」と真面目に考えざるを得ない私でした。

かつて「品川ギャル」からホッケーファン歴をスタートさせた私にとっては、東伏見全体の環境が、果たして訪れるホッケーファンや、あるいはリンクの利用者にとって魅力があるものなのかどうか、改めて問うてみたいと思ったわけです。

「遠い」「寒い」という問題は当然ある。ならばそれを凌駕するような利点をアピールせねば、ファンには足を運んでもらえません。

「寒い」については、会場で膝掛けサービスがかなり徹底され、このサービスを利用されているファンの方も徐々に増えて来たと思う訳です。こういう地道な努力は高く評価したいとは思います。そうしたサービスがあるだけで、ファンの方にはある種の温かさが伝わるいい手段であると考えます。

ただ、まだ改善点は山ほどある。例えば売店で販売されている食べ物。ここ数年代わり映えのしない内容です。昨日改めてあそこのうどんを食べてそう思いました。売店で仕事をされてる方たち、ごめんなさい。実際に販売に携わる方々を批判をする気は毛頭ありませんので、どうか誤解されないように。これはあくまでマーケティング的、もしくは経営判断的な問題なのです。

品川時代を振り返ると、ホッケー会場で販売されてる肉まんに、カレーライスが名物でありました。私は個人的に品川で食べる肉まんが好きだったし、選手たちもあのカレーライスを楽しみにしてたという話をよく耳にしました。

ただこれだけ飽食時代となった今、当時と同じ味を再現して販売しても、もはや名物としては通用しないでしょう。つまり、そういう名物を開発して、販売しようという気概はないのか? そういうものを作ろうとするマーケティング戦略すらないのか? というのが、私の意見であります。お金がないから出来ないという言い訳はここには通用しません。枯渇しているのは、資金ではなくアイデア。「貧しても鈍さず」であって欲しいと思います。

売店での食べ物も含め、周りの文化がどんどん進化しているのに、東伏見だけ80年代の遺物を引き継いでいる印象を受けるのは私だけでしょうか? 同じことが軽井沢のスケートセンターにも言えると思います(こっちは70年代かな?)。もっと言えば、プリンスホテルグループの施設全体に言えることかもしれません。これじゃあどんどん外資系のホテルにやられるばかりです。

東伏見だけの問題ではありません。新横浜についても同様です。個人的に気になるのは、アリーナ隣にある飲食店。プリンス系のレストランカフェとして現在営業中ですが、現在プリンスホテルというブランドイメージが著しく損なわれている中、正直今回の一連の問題が発覚する前から、あそこのメニューは魅力的とは思えなかった私としては、あのレストランカフェをスポーツバーに変貌させるなどの大改革を提言したい。で、試合中に「お食事でご利用の方に無料ドリンク進呈」かなにかのチケットを配布する。それくらいの商売魂がないとダメでしょう。試合中だけじゃありません。リンクを練習などで利用してもらった人たちにも、どんどん足を運んでもらう。名物スポーツバーとして、近隣オフィスビルのOLさんなどにもランチやアフター5にも足を運んでもらい、ついでにホッケーの試合やスケートリンクでの滑走をしてもらう・・・くらいの戦略が欲しいものです。

うわべだけのお洒落度を追求するつもりはありません。本当に見たいのはホッケーなのですから。でも、お洒落なところにしか、お金を落としてくれる顧客は集まらないのも事実です。なのに、試合直前にこれまた70年代の遺物としか思えない童謡アニメ調のチームテーマを、聞こえよがしにアリーナ内にフルボリュームで流すあのセンスのまずさには、もう耐えられません。これまであの曲が流れる時には押し黙って素知らぬふりをしてきた自分ですが、正直言ってもう限界です。

ただでさえ寒い会場をこれ以上寒くしてどうする? 変わろうとする気持ちがない人たちには、何を言ってももうダメなのでしょうか? アジアリーグを改善したい、リンクを存続させたい、そういう志のあるホッケーファンの皆様。どうか辛口批評を続けて下さい。ウチの掲示板でよろしければ、どんどんそうした意見を書き込んでいただきたい。じゃないと、真面目にこの国のホッケーは下降線を辿るばかりです。

東伏見でも新横浜でもいい。なんとか幸運にもいずれかのリンクが存続可能となった暁には、このリンクを日本のホッケーの旗艦店的存在にすべくピカピカに磨いて欲しい。といってもその文字通り床をピカピカに磨けと言ってるわけではありません。

伝統を尊ぶのでもいい。売店に名物を置くのでもいい。手法は問いません。いずれにしても、ホッケー選手&ホッケーファンが胸を張って足を運べるリンクを愛情込めて育てて欲しいのです。別に観客席を増設しろとは言いません。私が求めるのはあくまでも「貧しても鈍せず」です。どこを変えるべきか、利用者の視点になってもっと切実に考えて欲しい。それができなければ、たとえ存続が可能となっても、今後の行く末は明るくはないと断言します。


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by hockeyworldjapan | 2005-03-14 11:20 | アジアリーグ

NHL、NHLPAが交渉再開

あれだけいがみ合いを続けていた両陣営ですが、かの「2.19事件」以来、初の会談が今週中にも予定されるそうです。

NHLとNHLPAは、今週中にも会談を再開。これは3月4日のNHL側の要請をNHLPAが承諾したもの。今回の会談にはベットマン、グッドナウの両陣営巨頭も参加予定だとか(この2人が顔を合わせると、ろくなことがないんだが・・・余計に溝が深まらないだろうかと心配)。

両陣営毎の会合(3月1日)時に、NHL側は「すぐにても交渉を再開したい」という意向を語っていました。しかしPA側にはまだその申し出が届いていなかったことから、しばらく「冷却期間」が置かれるのでは、と囁かれていたところだったのです。

以前の記事で私は「NHL側が形勢有利」とは書いてみたものの、NHL側として今後交渉を急がねばならない要素はもちろんある。ちなみにシカゴ・トリビューン紙とのインタビューで、ウエイン・グレツキーは次のように語っていました。

「今季が全面中止となって、今年の夏に妥結する可能性すら疑わしい。その前に我々は収入も、スポンサーも、ESPNすら失ってしまうのか?」
「来季代理選手を導入するなんて嫌だね。NHL選手たちは(代理選手として)一線を越えることはないだろう」

つまり、解決を急ぐ要素のひとつは、代理選手問題。たとえNHLが代理選手を調達できたとしても、これで全チームのアリーナを満員にすることなど到底不可能という壁がある。それに代理選手導入によって、NHLのさらなるイメージダウンに繋がる危険性も大であります。

また、こちらでも以前からお伝えしている通り、米・スポーツ専門チャンネルESPNが、NHLに対して労使問題を早期解決するようプレッシャーをかけていることも事実として挙げられるでしょう。

そうした解決へのプレッシャー要素となる今後の重要日程を、バンクーバー・プロビンス紙が列挙していたのでご紹介しましょう。(括弧内は私の注釈です)

1)4月15日:ESPNの来季放送オプション受け入れ期限
(以前からESPN幹部はNHLからの撤退を匂わす発言を残しており、この期限までにNHL来季開催(もちろん代理選手ではなく真のNHL選手による開催です)が決定しなければ、ESPNの来季放送撤退する可能性は大となる。ESPNは今季1年6000万ドルでの放映権、これは過去5年間のESPN/ABCの1年1億2000万ドル契約の半額で、来季も同額契約でのオプションを有する)。

2)6月1日:2003年ドラフト指名でメジャージュニアに所属してきた選手との契約期限。
(これを過ぎると、各チームは指名選手への交渉権を失い、選手たちは全てFA扱いとなる。通常のシーズンなら各チームは選手との交渉に忙しくなる時期だが、今季はCBA不在という状況なので、そうした選手たちと交渉すら許されていない)

3)6月1〜31日:大部分のチームでシーズンチケット、スポンサーなどの契約更新期間となる。
(多くのチームが今季分シーズンチケットを来季分として据え置けば、その分に対して数%の利子を支払うというシステムを採用し、ファン歩留まりに努めている。だが、さすがに来季の見通しまで暗くなってしまうと、キャンセルを申し出るファン続出も予想される)

4)6月25、26日:NHLドラフト@オタワ。
(それまでにCBAが整わず、今年オタワでの開催が不可能となった場合、オタワには2008年ドラフト開催権が暫定的に与えられてはいる。もしドラフトが中止となった場合、シドニー・クロズビーをはじめ今季ドラフト有資格選手の処遇については、まだ明確なガイドラインは示されていない)

5)7月1日:NHLFA市場解禁日

6)7月14日:2005−06年スケジュール発表日

7)9月15日:NHLメインキャンプ開幕日

・・・という日程をにらめっこしながら、NHLは今後交渉の席での出方を考えなければならないわけで。単に「ロックアウトに備えて備蓄金があるから大丈夫」「シーズン開催して赤字になるよりは、開催しない方がマシっていうチームもあるから」というゼニの問題だけで、余裕があると思ったら大違いなのです。

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by hockeyworldjapan | 2005-03-08 08:16 | CBA

NHL選手、来季の選択肢は?

両陣営が「3.1会議」で貼りボテながらも団結を固めた後は・・・っと。

形勢的には、やっぱりオーナーの方が有利という声はやはりある。その切り札となるのが、やはり代理選手導入。「3.1会議」後の会見でNHLベットマンコミッショナーは、「来季は10月に開幕させる。もちろんその前に労使協定が妥結していることが望ましいが」と、暗に代理選手導入の可能性を匂わせてました。

この代理選手導入、3月2日のNHLPAと代理人たちの会合でも議論されてました。この会合には、代理人側からNHL有資格159人のうち67人が出席。この会合後、IMGのJPベリー氏(ヤーガー、ソーントン、サンディンらを顧客に抱えるスーパーエージェントのひとり)は、「代理選手は顧客にしない」「顧客選手が『代理選手として契約したい』と言ったら、その選手はもはや私の顧客ではない」と断言していました。また可能性として、代理選手の契約を世話した代理人から、NHLPAが代理人資格を剥奪することも十分に考えられるようです。

そんな環境下で、来季まで労使交渉がもつれるとなると、気になるのが来季の選手たちの所属先。今季は400人近いNHL選手がヨーロッパに流出したわけですが、来季は必ずしもそうは行かないらしい。というのは、多くのヨーロッパのチームが来季は「通年契約」、つまり途中でNHLが開幕した際でもヨーロッパでシーズン最後までプレーすることを、NHL選手たちに求めて来ているそうなのです。ヨーロッパのリーグとしても、新規スポンサー獲得など、来季をさらなる拡大の機会と見ており(IIHF主導で新ヨーロッパリーグ設立の噂もあったが、これはIIHFが否定)、そのためには選手を通年確保したいという意志があるのは、当然でしょう。

するとNHL選手にとって、残された選択肢というのはどうなるんでしょうか? ここに列挙してみました。

(1)トーナメントを企画する
「3.1会議」では、来季PA主催の小規模リーグ、もしくは大会ツアーをカナダで開催する提案もなされた模様。またすでに今年4月上旬にはIMG主催イベントが企画されており、これが世界選手権に出場する選手たちの肩慣らしとなるそうです。このIMG主催イベントでは、6〜8チーム対抗戦という形式で、カナダ国内でNHLアリーナ以外の施設にて試合を開催するんだとか。CBCでの放送予定の可能性もあるそうです。IMGには、すでに今季ヨーロッパツアーを実施という実績があります。ただし、今季序盤に企画されたOSHLというトーナメントリーグは、あまりに試合の真剣味が足らないということでファンが激怒し、早々に姿を消しました。こういうことが続くと、選手側のイメージダウンにも繋がりかねないというリスクはあります。

(2)マイナーリーグに流れる
今季AHLでプレーした若手選手は、資格的に来季も問題なくAHLでプレーできそう。というわけで、今季同様AHLではまた面白い試合が観られることになりそう。また、今季すでに数名が経験したように、ECHL、UHLなどでプレーするNHL選手が来季は増えるかも。すでに今季全面中止となった後、ベイツ・バタグリアがECHLミシシッピに加入しています。ただ、例によって「マイナーリーグの選手たちの仕事を奪うのか? 自分勝手なNHL選手め」というイメージをファンに植え付けてしまうというリスクがあるのは否めません。

(3)代理選手としてNHLに参加する
NHLが代理選手導入に至った場合に「団結破り」して参加するというパターンがこれ。代理選手となり得る選手は、通常の考え方だと経験の浅い若手選手(しかも来季NHL昇格の可能性の薄い選手)、もしくはマイナーリーグやヨーロッパを転々としているベテラン選手・・・という感じになるのでは、と思われる。もし、現在NHLPAの一員がこれをしてしまったら、それはもうモロ「団結破り」となります。過去MLBのストライキで代理選手として参加した選手は、当時はメジャーリーガーではなかったにも拘らず、現在も選手会加入を拒否されているという事情あり。選手会加入が許されないということは、選手年金やその他の手当も受け取れず、「あいつは造反分子」という烙印を一生押され続けるとのことになるわけです。

(4)WHAなど、新リーグに流れる
いまだに開催を声高に叫んでいるWHA。過去70年代にNHLのライバルリーグとして立ち上がったWHA(詳しくはこちらを参照)は、今季リーグ復活を目論んでたのですが、NHL代理人から全く相手にされずに、結局今季はリーグ開催に至れず。ドラフトまで開催したのですが「あれって、ファンタジーホッケーのドラフト?」なんて嘲笑の的になってたほど、ヴァーチャルな蜃気楼的存在に収まってました。
しかし今季NHLが全面中止となり、このWHAの存在がまたにわかにクローズアップされてきました。さらに、上記の理由でヨーロッパのチームからNHL選手が締め出される可能性も出て来た今、彼らにとっては今が仕掛け時なわけです。
今季UHLに加入したクリス・チェリオスは、「来季はWHAなどのライバルリーグに加入しよう」と選手たちをけしかけているとの報道も。チェリオスによると、UHLとWHAが合併するという話もあるようです。チェリオスの他、大物選手では、ブレット・ハル、マイク・モダノ、ジェレミー・ローニックといったところがWHAでのプレーに興味を示しているとか。
で、問題はWHAの具体的なリーグ構想なのですが、現在15のグループがチーム営業権に興味を示しており、ケベックシティ、ラスベガス、ハミルトン、グリーンズボロが、すでに来季加入決定(・・・と今季も同様に報じられていたので、だからといってリーグが開催される保証はどこにもありませんが)。今後はシドニー・クロズビー獲りにも行くとリーグオーナーは公言して憚らない。リーグコミッショナーは相変わらず、ボビー・ハルが務めています。
この景気付けイベントとして、まずは今年5月、6月にフィル・エスポジトがWHA関連大会を企画。賞金として優勝チームには200万ドル、各出場選手には2万ドルのギャラが支払われるとの触れ込みもあります。チェリオス、ショーン・バーク、マーク・レッキ、ロバート・エシュ、アンドリュー・レイクロフトが、すでに大会参加の意志を表明しており、現在マルタン・サンルイにも交渉中だとか。試合はコップスコロシアム@ハミルトン、リコーセンター@トロント、カナダ西海岸のアリーナのどこか、の3会場だそうです。6チーム対抗戦で、かつてのWHA時代のユニフォームを着用して試合するなんて趣向も凝らされる予定。


ま、こうなってしまう前に労使交渉が妥結してくれれば、それが彼らにとっても最良の選択肢であることは言うまでもありません。はあ〜。

WHA関連記事をWHAの公式HPで見る
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by hockeyworldjapan | 2005-03-07 09:39 | NHL overall

$45million騒動の顛末は?

とりあえず、「$45million騒動」もしくは「2.19事件」とでも命名してみました。

もちろん、かの2月19日の件です。

いったん2月16日に「今季全面中止」を発表したNHL。しかしその後「4500万ドルのサラリーキャップで妥結目前」との報道がまことしやかに流れ、多くのホッケーファンは2月19日のNHL&NHLPAの会合に期待したものです。しかし結局のところ、噂に反してこの4500万ドル提示はPA側からなされず、その後はNHLvsNHLPAの罪のなすり合い大会が繰り広げられました。(詳しくは<過去ログ「一転、二転、三転・・・結局再開なし(見込み)」「シラケムード濃厚。でも真相は闇の中」をご参照ください)。

で、3月1日、NHL(@マンハッタン)、NHLPA(@トロント)と各陣営の会合が開催されました。NHL会合では、例の投資会社の「NHLまるごと買収案」が提示され、これが大きな反響を呼んだ(オーナー陣はシカトを決め込んでる人が多かったですが)のは、既にお伝えした通りです。

じゃ、その一方で、同日のNHLPA会合では何があったのか? そして「45million騒動」について、なんらかの説明はここでなされたのか? というのも、当然気になるわけで。なので、そっちの情報を少しお伝えしようと思います。

まずはその背景の話から。例の「4500万ドルで妥結」という誤報は、どうも選手側からの情報がメディアに伝わったもので、その裏にはPA内部での造反分子(クリス・プロンガー、ジャローム・イギンラ、ジェレミー・ローニック、ロバート・エシュらの名前が挙がっていました)の動きがあったと、数紙が報道していました。この造反分子は、代理人らを通じて直接一部チームと交渉話を進めたり、プロンガーに至ってはNHLナンバー2のビル・デイリー副会長に電話連絡を入れたとの情報も報じられていました。こうした造反分子に立腹した選手らは「あいつらには説明を求めるつもり(ブライアン・スモリンスキー)」と、この会合開催前のPAはかなりの分裂様相を呈していたわけです。

で、その続報が期待された3月1日の会議終了後。
どうも箝口令が敷かれたってことでしょうかね?
それらしい情報というのは、以下の3点に限られているようです。

その1:プロンガーが「『造反分子』というのは、交渉妥結を願っていたメディアや人間たちの創作である」とコメント。その造反メンバーと目されていたプロンガーは、これを全面否定し、選手間の団結を強調した。

その2:ローニックが、10年ぶりに参加したPA会合で、集まった150人以上の選手の前で謝罪。「ここ3週間、オレは喋りすぎた」

その3:ブライアン・バーク(現在TSNコメンテイター)「PA会合では、2人の選手が取っ組み合いのケンカになり、他選手によって制止されるという一幕があった」

この3つの情報を併せて考えると、やっぱり「その1」のプロンガーの発言がウソ臭いんですけど・・・ま、「オレは関わってないから」という主張であり、確かにそうなのかも知れません。その一方、ローニックは、この謝罪のために、わざわざ10年ぶりにPAの会合に出て来たってとこが、彼らしくもあります。

で、一番気になるのは「その3」の「取っ組み合いになった2人の選手」は誰か? ということでもあったりして・・・ああ、そんなことに興味津々な自分に鬱! 


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by hockeyworldjapan | 2005-03-06 11:49 | CBA

NHLリーグ全体を買いたい会社

NHL、お前もかっ?! 

・・・などとつい、つぶやきたくなってしまったこのニュース。

日本では、ライブドアvsフジテレビ対決の構図が毎日賑々しく報道されているわけですが、NHLでも先日こんな話がスクープされてました。

NHLリーグ全体を、35億ドル(約3675億円です)で買収を申し出た投資会社が出現したのです。1チームだけではありませんのよ、NHL30チーム全部。

さてそのあらましをこちらで説明しましょう。

NHL、NHLPAが交渉決裂後、初めて各陣営会議が実施された3月1日。NHL代表者会議(つまりオーナー会議ですな)において、ウォールストリートで名を馳せる投資会社ベインキャピタル社が、ボストン地区スポーツコンサルティング会社であるゲームプラン社とともに、NHL全30チームを35億ドルで買収する案を提示していた、とトロントスター紙トロントサン紙の両紙が伝えました。

ただその会議の場では、この両社のプレゼンに対してのオーナーたちの反応は薄く、プレゼンはわずか30分で終了。当初は「まともに取り合うオーナーはいない」との報道でした。しかし一夜明けて、またトロントスター紙が「この2社の買収案、提示額を35億ドルからアップする用意あり」との続報が出て、「可能性ゼロ」という雰囲気から「決してあり得ないとは言い切れない」レベルに真実味を帯びて来た様子です。

そもそもこの2社のうち、最初にこのアイデアを思いついたのは、スポーツコンサルティング会社のゲームプラン社。昨年NHLが発表した「レヴィット報告(注:NHLの要請で、リーグ全体の赤字額、収入に対する支出割合74%・・などという数字を、かつて政府要職にあったレヴィット氏がまとめた報告書です)」に基づき、ゲームプラン社がビジネスモデルを作成し、これをベインキャピタル社に持ち込んだのだとか。そして5ヶ月前には、ベイン側からNHLに対してこの草案が説明されていたらしい。そしてNHLがシーズン全面中止を発表した今、好機とばかりに今回のプレゼンに至ったというのが、裏事情のようです。

ただし、この提案の承認には、NHL全30チームからの賛成票が必要となるため、その実現可能性は限りなくゼロに近いと推測されています。両社はボストンを基盤とする会社だそうですが、この件についてボストン・ブルーインズのジェイミー・ジェイコブズオーナーは「現実的とは思えない。ブルーインズを売る気はない」と早々に断言しています。また、儲かってるチームのオーナーであれば、絶対売る気はないでしょう。フィラデルフィア(エド・スナイダー氏)、デトロイト(マイク・イリッチ氏)といった大市場チームのオーナーも、「あり得ない話」と共に一蹴しています。

デトロイトの場合はちょっと異なるのですが、こうした大市場チームは多くの場合、チームの親会社がケーブルTV局を抱えている、もしくはメディア会社そのものであるというケースです。例えばNYレンジャーズ(ケーブルビジョン)、フィラデルフィア(コムキャスト)、さらに今季からオーナーがチーム専門スポーツチャンネルを開始したコロラド、傘下に「リーフスTV」を抱えるトロントも同類です。よってそのTV局のコンテンツとしてチームは絶対に必要であり、そうした利益構造を手放すはずはないわけです。

ただ、トロントの場合、ちょっと特異な状況になり得るようなので、ここで注釈を加えておきます。まずはトロント・メイプルリーフスのオーナーは誰か? ということに言及すると、それは「オンタリオ州教師年金組合(リーフス親会社株58%を所有)」。そう、あまり知られてないようですが、リーフスの現オーナーは先生たちの組合なのです。で、このベインキャピタル社は、以前にこの教師組合の資産運用として、99年カナダ最大のドラッグストアチェーンを買収した際にも、一役買っていたんだそう。ベインキャピタル社は、投資元を募る際に「カナダ資本ももちろん流入するアテがある」と言明しており、それがこのリーフスのオーナー会社、つまり教師組合なのではないかとの推測もなされているそうです(ただし組合当局者はノーコメント)。ただ、さらに複雑なことに、リーフスというチームは単体で売却できるチームではない。というのは、その親会社は、本拠地エアカナダセンターに加え、NBAラプターズも所有しているから(てゆうか、リーフスという母体に、エアカナダセンター&ラプターズが加わったという形態)。そんな面倒な構造もあり、また、30チーム全部の合意を得られることは不可能だという背景もあって、実現の可能性が薄い今、ここでアレコレ考えるのも時間の無駄という気もします。

正直な話、小市場で経営がうまくいってないチームのオーナーの中には、チームを手放したくて仕方ないという状況もあることでしょう。しかし今のところ小市場チームのコメントとしては、フロリダのオーナーが「売る気なし」、ピッツバーグの経営陣は「ノーコメント」という感じ。さらに売りに出ていたアナハイムでは、新オーナーが一足先にチーム買収を宣言したばかり。再三危ないと言われているフェニックス、ナッシュビルあたりがどう反応するかに興味はあるのですが、新CBAがオーナー有利にまとまれば、今後のチーム財政は健全化する可能性はあるわけですし・・・そう考えるとこの2社による買収の可能性は、やはりゼロに近いでしょうか。

ところで、提示額の35億ドル(当初は30億ドル、33億ドルという報道も)は、ロックアウト前のフォーブス誌推定NHL30チーム市場価値合計額(49億ドル)を大きく下回ります(ただしフォーブス誌の数字には、アリーナの資産価値も含まれる場合があるとか)。これは、ロックアウトの影響でNHLのブランドイメージが低下し、投資会社としては「今が買い頃?」と食指を動かしてもおかしくないという時代の現れと考えられる。むろん「今が底値」という意味なら、今後は上昇しかないわけなので、声をかけてもらったことは、ありがたい話でもあるのだけど・・・

ところでこのベインキャピタル社ですが、前マサチューセッツ州知事ミット・ロムニー氏によって84年創業、現在は仏銀行ソシエテジェネラルの一部門となっています。過去にバーガーキングなどの会社を買収し、経営体質を改善して利益を上げた後に会社を転売、もしくは株式公開することで実績を挙げて来たそうです。で、今回もそれまでの事業同様、ベインキャピタル社単独の資本だけでなく、他の同様な投資会社、もしくは投資銀行からの資本流入が予測されています。ちなみにベインの幹部にNBAボストン・セルティックスの共同オーナーがいるそうです。

ちなみに、プロスポーツリーグが、ひとつの資産に集約されているケースは、WNBA、メジャーリーグサッカー(MLS)などの先例ありで、各選手たちは個々のチームではなくリーグとの契約を交わしています。また大義では、NASCARも、一元化されたオーナーシップによって経営されているスポーツのひとつになるとか。もちろん北米メジャーリーグでこうした形態を有するリーグは存在していません。

こうしたリーグ形態になれば、各チーム間経済格差は一気に解消されるし、CBAによる各チーム年俸管理の必要性もなくなります。ただし提案内容によると、ドラフト、ボーナスシステムなどは依然残るとのこと。また地方TV放送などの放映権料もテリトリーとは関係なしに、全収入を等分分配するんだそうです。

現在年間収入(21億ドル)のうち75%(他のメジャースポーツは50〜68%)を選手年俸支出にとられているNHLではありますが、この支出カットにリーグが勤しめば、リーグ全体としては大きな利益が得られる。そこがこの2社の目のつけどころであることはいうまでもありません。

まあ、支出はこれで管理できることは間違いないですが、それで収入アップに繋がるのか? というのが、NHLの場合いささか疑問でもあります。

それに何で今時この話をオーナー会議ですんの? という問題もある。当然、NHLベットマンコミッショナー承認のもと、この2社はプレゼンを実施しているわけで・・・「お前らオーナーたちの経営はなってない。ここは思い切ってチームを売り払い、あとはプロの手に任せてみませんか?」なんてプレゼンを目の前に突きつけられてるようで、どのオーナーもいい気はしないと思うんだけど。ま、そもそも投資&転売が目的だったオーナー(元カナックスの某オーナーとかね)であれば、「いい値をつけてもらえるなら、とりあえず話は聞く」という態度を見せたのかも知れませんが。

いずれにしても繰り返しになりますが、可能性の薄い話なので、あーだこーだここで議論するのは、時間の無駄だとは分かってます。が、放置しておくわけにもいかずってことで、長文書いちゃいました。ま、日本のマスコミを賑わす例の問題と共通点がなきにしもあらずですしね・・・

どーでもいいけど、ここは本来ホッケーを語る場所。いい加減、経営&経済系の話題以外を取り上げたいなっと。

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by hockeyworldjapan | 2005-03-05 13:19 | NHL overall