<   2006年 01月 ( 5 )   > この月の画像一覧

レギュラーシーズンも終盤、プレーオフは?

昨日は、日光まで足を伸ばしてきました。

最終戦とあって、日光・霧降アリーナはもうオレンジ一色。かなりの盛況ぶりでした。
この日のアイスバックスの対戦相手は、2日前の神戸でも顔を合わせたコクド。神戸ではバックスが橋本三千雄の好セーブもあって快勝しましたが、この日のコクドは序盤から気合十分。「もう、秒殺されちゃいました」というバックスGK春名の言葉通り、コクドが第1ピリオドから一挙3ゴールという展開。結局このリードをGK菊地が守り切って、3−0とレギュラーシーズン最終戦を飾りました。

しかし、試合後のコクド・岩崎監督は、このリベンジにも満足がいかない様子でした。

「今日の試合は1ピリは良かったがその後がよくなかった。この教訓をプレーオフに役立てたいです。2ピリ以降、楽しようという動きになり、反則も増えてしまった。今日は最後の試合なのでプレーオフホッケーをしようというテーマだったのに、それが20分しか続かなかった。今後の課題ができました」

プレーオフでは例年圧倒的な強さを発揮するコクドではありますが、それがどうも逆プレッシャーとなっているらしい。岩崎監督が後でちらりと漏らしたところによると、「まあ、コクドはレギュラーシーズンはこんな感じでも、プレーオフでは締めるんじゃないの?」と、周囲から冷やかされることしきりなのだとか。

「年明けも、いいプレーが続いたと思ったら何試合か落としてしまった。まだウチのスタイルのホッケーじゃない。このままプレーオフに備えるのは不安です。疲れている選手もいるので、いったんリセットしたいと思っています」

そうはいっても、コクドの最終順位はまだ確定していない。可能性として2位か3位ではあるが、2位ならファーストラウンド免除で3月9日からセミファイナル、3位ならいきなり2月16日からファーストラウンドと、日程的に大きな違いがでるのです。調整するにしても、全然違った内容になりかねない。

「ウチはケガ人も多いので、2位になれればと願っているのですが、こうなったのは自業自得。来週はまず疲労をとることを中心に、再来週から試合に向けていつものルーティーンで準備していきますよ」

そこまで言うと、また岩崎監督は、この試合のコクドの不完全燃焼について語り出した。

「気持ちの中に甘えがあるんでしょうかね? 大事な試合と口に出してみるものの、プレーにそれが出ていないんです。点差や勝ち負けよりも、内容を今日は重視したかったのに、残りの40分で納得いかないプレーになってしまった。そこは選手の気持ちの問題ですし、選手のモチベーションの上げ方が間違っていたかも知れないですが・・・プレーオフでは言い訳なくベストで臨みたいです」

そうは言っても、この日のコクドにはひとつの収穫がありました。
パーピック、内山、佐藤翔と、オフェンシブな面々を欠くコクドとしては、PPをどうするのかという一件に対峙し、PPのファーストユニットにユール、鈴木貴人、藤田の最強トリオ、セカンドユニットには、今に小原、石黒というフレッシュな選手を送り出しました。そしてこの狙いが見事的中し、外からのシュートをゴール前の石黒が押し込んでコクドの2点目となりました。

岩崎監督によると、この試合の前日にPPのメンバーを変えた模様。もちろん休んでいる3人が復帰すればまたPPの陣容は変わることが予想されるにせよ、代わりを務めた選手がスコアリングに絡んでくれるというのは首脳陣としては喜ばしいことではないでしょうか?

「パックコントロールのうまい洋介(今)、大輔(小原)に加え、大(石黒)はフィジカルなプレーといいシュートを打てる。この3人でポイントが挙げられれば大きいですよ。キレイなプレーは求めてないですし、今日はいい仕事をしてくれました。ケガ人が戻った後でも、彼らの経験値はどこかで生きると思う。上のラインでプレーする選手たちがうかうかしてられないような押し上げをしてくれればと・・・」

この3人は、この試合でかなりのアイスタイムを貰っていた。今の場合、PPでの出場は通常通りですが、小原と石黒にとっては大きなアピールのチャンスでもありました。

だが当の小原は、試合後明かしたところによると「今日は朝6時にいきなり嘔吐したんです。体調が悪くって・・・でもこんなに出させてもらったんで、いいプレーがしたかったです」。

一方、石黒は、「気持ちが前に出過ぎることがあるんです」。そもそも抑制の効いた攻守に優れる選手というイメージの石黒であったが、選手層の厚いコクドにおいては「目立たないと試合に出られないと思って、以来フィジカルプレーに徹するようになったんです」という。

西武廃部により、コクドが大所帯を構えていた頃、出番のない自分の身を憂いて「札幌の友達が今ホストをしているんですが、僕もいっそのことそっちに転向しようかと・・・」(「アホかっ!」と即どやしましたけどね、はい。)などと、ほざいていた頃の石黒が懐かしい。ただ、この「ホスト転向説」はどうも彼特有のポーズだったようで、密かに自分がラインナップに食い込むためには何をすべきか、いろいろ模索していたのだそう。

そして現在では意識的に「ガツガツ行く」プレースタイルに変えた彼は、アドレナリン噴出のコントロールに苦労してしまっているというから、ホッケーというスポーツは面白いですよね。いずれにせよ、FWが小粒化しているコクドにおいて(除:パーピック)、石黒のゴール前での粘りあるプレーは貴重な存在なのです。

さて、この試合で欠場したコクドの主力FW3人ですが、プレーオフには問題なく出場できるそうです。

「日光遠征にパーピックは来てませんが、もうシュートも普通にできるし、フェイスオフも大丈夫。スラップショットもバンバン打っていますよ。内山についても、ほとんど不安はありません。明日がプレーオフなら出られる状態です。この2人は、チーム遠征中も東伏見のリンクを貸し切り状態でバンバン練習していたんです。なので、この試合に出ているメンバーより、ある意味コンディションはいいかも知れないですよ。佐藤翔も大事を取っただけで、すぐ試合には復帰できると思います(岩崎監督)」

というわけで、最終順位がいずれになろうと、今年もプレーオフのコクドはかなりの手強さになると予想できます。

一方のアイスバックスはどうか? 5オン5での攻防はコクドとほぼ互角(これは大いに評価されていいと思うのです)。とはいえ、決定力不足は永遠の課題のように思われますが、その中でも改善の余地が大いにありそうなのがPPでした。

この日の試合でも、いったん相手ゾーンでセットした後に、ゴール前での存在が薄いために、なかなか内側へ展開することができず。外側にパックを回すだけで時間が経過してしまう・・・というシーンが目につきました。バックドアにDF松田がスルスルと入って来るプレーは非常に有効に思えたのですが、他のバリエーションがないとこれも相手に読まれてしまいます。まだプレーオフファーストラウンドでの対戦相手は決定していませんが、このあたりの調整が求められるんではないでしょうか? まあ、私ごときが指摘する前に、バックス首脳陣はすでにその必要性を重々承知し、対策を講じるべく動いていることでしょう。

それにしてもバックスにとって、対戦相手がどこになるかという問題は、試合だけに限ったものではないようです。資金難に苦しむバックスとしては、相手がハルラやバイキングズという国外チームになると、その移動費を捻出するのもひと苦労なのだそうです。

余談ですが、バックスのクリス・パラダイス選手夫妻。真面目に面白すぎ。
もうすっかり日光に馴染んでるこの夫婦、試合後の食事は「らーめん」。奥さんのエメリーさんは、一見すると典型ホッケーワイフなのですが、話し出すと実は大したコメディエンヌであることが解ります。

2人で日光猿軍団を訪れた時の様子を、身振り手振りを交え、口吻とがらせ、夫婦で面白おかしく再現してくれたのですが、なんかすごいシンクロしてるのですよ、このおふたり。夫クリスはダークヘア、妻エメリーさんはブロンドと違いはあれど、目元のあたりとか、なんとなく表情が似ている。似たもの夫婦とはかくあるべき・・・と実感した夜でした。

追記:JR日光線で、鹿沼〜文鋏間で右手に見える溶岩っぽいごつごつした山(って、ちゃんと名前があるのでしょうが)近くで、パラグライダーが20機ほど飛び交っている風景を、目撃しました。おそらく、この溶岩っぽいごつごつ山から、パラグライダー愛好家たちはテイクオフしたのだと思うのですが、あの山は一見して非常に険しそう。いったい、パラグライダー愛好家たちはどうやってあの山の頂に到達し、テイクオフに至ったのか・・・と考え出すと、何も手につきません。ご存じの方、教えて下さい!!!

追記その2:バックスファンでいらっしゃる方から、あの山は「古賀志(こがし)山」という名称で、その麓にはパラグライダーの学校が2つあるのだと、メールにて教えて頂きました。ありがとうございます。

追記その3:クリス・パラダイス、そういえば故ハーブ・ブルックス氏と遠縁にあたるそうで。彼のおじさんの娘がブルックス氏の息子と結婚した(んだっけ? こういうのは何回聞いても覚えられないのです)んだとか。ホッケー界は狭い! っつかー、ミネソタが狭いのか?
[PR]
by hockeyworldjapan | 2006-01-24 23:15 | アジアリーグ

NHLにおける新儀式?

アトランタ・スラッシャーズがシュートアウトの場面でやり始めた新儀式、みなさんご存知でしたか?

MLBの「ラリーキャップ」よろしく、シュートアウトの最中にはベンチにいる選手がヘルメットを前後逆に被ってチームメートを応援。1月11日vsナッシュビル戦で初めて試したこの儀式が効を奏したのか、今季5回めにしてシュートアウト初勝利を飾っています。カリ・レートネンも故障が直って出て来たし、イリヤ・コヴァルチャクは今季60ゴール達成しそうな勢いでゴールを量産。パトリック・ステファンがこうなっていたのにはちょっと驚きでしたが(スタッツではなくって外見上の話ですみません・・・)、現在のところ同ディビジョンのディフェンディングチャンプ、ライトニングを抑えて2位、プレーオフ進出圏内を走るという健闘ぶり。晴れてプレーオフ進出となれば、チーム創設6シーズンめにして初の快挙となるわけです。

こういう儀式というか、なんらかの現象が生まれるチームは、どこかいい流れがあると経験上思うのです。1996年@フロリダ(ネズミ投げ儀式)、1997年@デトロイト(タコ投げ儀式の再燃)はいずれもファン主導のものでしたが、2005−06年はもうひとつ、選手主導のこんな儀式があるようです。

この記事によると、NYレンジャーズは地元MSGでの試合後、センターアイスでスティックを掲げ、ファンに挨拶するのが今お約束の儀式になっているとのこと。アジアリーグの試合でも、日本のチームはスティックを掲げてファンに試合後挨拶するのは、定番の流れであり、我々にとっては何の違和感もないことなのですが、そういう慣習がないNHLにおいて、ヨーロッパ出身選手主導(「A」を付けてるヤーガー&カスパライティスが始めたらしい)でこれを始めたというところに、新NHLの薫りを感じます。

ヤーガーは「オレたちは、新CBA導入で24%ペイカットされて、さらに12%天引きされてる(注:NHLでのプール金。今季収入が予定より上回ればまた選手にペイバックされる)。だからファンには足を運んでもらわなければ」とジョークを飛ばすが、これはおそらくヤーガー独特の照れ隠し。「ヨーロッパでは試合の勝ち負けに関係なく、ファンに来てくれてありがとうと感謝するのは、多くのチームがやってる」というカスパライティスのコメントが、公式コメントとして相応しい。

しかし、ここで一番注目すべきは、あのマンハッタンに位置するMSGで、欧州化が起こっているという事実。つまり明らかに、ヤーガー&カスパは「レンジャーズ文化の欧州化」の共犯者なわけです。いや、共犯者などというと語弊がありますが、チェコ人選手をはじめ、ゴーリー、ヘンリク・ランドクイストはスウェーデン人だし、ヨーロピアンの多い今季のレンジャーズでは、カルチャー自体が「新世界」から「旧世界」に傾いても何らおかしくはない。それにNYといえば元々人種の坩堝なのですから、こういうのもアリかな? と思うのです。

すなわち「レンジャーズに入れば、ヨーロッパ出身選手に従え」状態。これに対して、Aマークを付ける唯一の北米出身者、スティーヴ・ルーチンは「だせーよ」とカスパライティスに漏らしてるそうです。でもねえ、ルーチンがどう文句いおうと、これが実はグローバルスタンダードなのだよねえ・・・と、東洋の孤島に住む私は俯瞰する。(NHLらしくないといえばそれまでだけどね)

レンジャーズといえば、1月12日にマーク・メシエの永久欠番セレモニーを実施した。NY地区だけでなく、カナダからも多くのメディアが集ったこの舞台で、ヤーガーはOTゴールでレンジャーズに勝利をもたらし、「今のレンジャーズはヤーガーのチーム」という印象づけた。奇しくもヤーガーは、グレツキー引退試合(1999年4月18日、この時はまだヤーガーはピッツバーグ在籍)にもOTゴールを挙げている。

現在レンジャーズでは、依然としてキャプテンなしのA3人状態が続いているが、ヤーガーは「僕としてはCマークとつけていようとなかろうと、関係ない」と相変わらずの調子。ペンギンズでも5年Cを付け、2002年ソルトレークでもキャプテンを務めたが、それ以来チェコ代表のキャプテンは拒否しているそうです。

そういう側面もあってか、レンジャーズはブライアン・リーチ再獲得に乗り出しているとの噂もあり。12月にはすでにボストンに対し、トム・ポティを見返りに提示したらしいが、ブルーインズGMマイク・オコネルはこれをはねつけたらしい。リーチは今季ケガの多いシーズンを送っており、現在もふともも付け根故障と苦しいシーズン。トリノ五輪アメリカ代表からも漏れています。

ボストンの地元紙は「キャリアをボストンで終えたい」とリーチが語ったとしていますが、リーチの現契約は1年限り(年俸400万ドル)。よってリーチ獲得に出るチームには、来季以降の契約を背負うリスクはないわけで、なにかと後腐れがない。ちなみにレンジャーズ、サラリーキャップ上限までにはまだ若干の余裕があるようです。

リーチが来てくれれば、ルーチンにとっては貴重な援軍になるかも知れませんが・・・新しい儀式はそのまま続行に一票。そもそもこれまでは何事も一流を求め過ぎる「レンジャーズ主義」が、自縄自縛の根源であったと思う。それが、トム・レニーのヘッドコーチ就任で崩壊しつつある(決してレニーが二流だというわけではありません。ヘッドコーチ就任前にレンジャーズの基準に満たないと言われていただけの話)今、香ばしい伝統をぶちこわす破壊的エネルギーが地盤下に満ち満ちているのが、レンジャーズの昨今ではないかと思われます。
[PR]
by hockeyworldjapan | 2006-01-18 12:25 | NHL overall

アイルズファンの願いが叶った日

1月12日、NYアイランダーズのオーナー、チャールズ・ウォング氏は、自ら会見を開いて重大人事を発表しました。

まずは以前から噂されていた通り、スティーヴ・スターリングコーチが解任に。後任は今季からアシスタントコーチを務めるブラッド・ショーが暫定コーチとして昇格。そして、周囲を驚かせたのが、10年間アイランダーズのGMを務めた「マッドマイク」こと、マイク・ミルベリーが、自ら退陣を決めたという内容でした。ミルベリーに代わる後任GMを今後アイランダーズは探すとのことで、後任が見つかり次第ミルベリーはGM職から退くのだそうです。

ウォングオーナーによれば、以前からミルベリーと今後の彼の処遇について何度も話し合っていたのだとか。そして1月10日、ついにミルベリーの方からウォングオーナーについて「GM職から退きたい」との申し出があったという。

このニュースを受けて、地元紙「ニューズデイ」にはこんな見出しが躍ってました。

「Isles fans finally get their wish(アイランダーズファンの願い、ついに叶う)」

これ見て思わず笑ってしまいました。よほど地元では嫌われてたのね〜ミルベリーは。今季地元ナッソーコロシアムでは「FIRE STIRLING」コールが優勢だったというものの、「MIKE MUST GO」コールはここ数年の定番となっていたというから、その嫌われ方は尋常ではなかったはずです。80年代前半に黄金時代を送ったアイランダーズだけに、その頃を知るファンとしては現在のチームの惨状ぶりは目に余るものがあるのでしょう。その惨状をもたらした張本人が、このミルベリーといっても過言ではないわけですし。

そして「マッドマイク」とのニックネームでも知られたミルベリーの、過去における「マッド」ぶりをあげつらう地元紙記事。これに私個人の意見やリサーチを加えてちょっとまとめてみました。

その1:有望選手をさっさとトレード:
トッド・バーツージ、ロベルト・ルオンゴ、ズデノ・チャラ、ブライアン・マッケイブ、ウエイド・レッデン、オリ・ヨキネン・・・こいつらがいたら、今頃アイランダーズはどうなっていたか?

その2:10年GM在任期間にクビにしたコーチ:リック・ボウネス、マイク・ミルベリー(そう、ミルベリーは自分もクビにしているのです)、ビル・スチュワート、ブッチ・ゴーリング、ローン・ヘニング、ピーター・ラヴィオレット、スティーヴ・スターリング

その3:ボストンでの現役時代には、観客席にまで乗り込んで観客と乱闘経験あり。

その4:年俸調停では、かつてアイランダーズに在籍したGトミ・サロのプレーをボロカスにけなし、サロは調停会場で涙した。(調停ではGMと選手の泥仕合はよくあることだが、選手がGMの口撃のあまり泣いてしまったというのは、この一件くらい)

その5:2001年9月5日、アレクセイ・ヤシンと10年8890万ドル契約を交わす。
こんな契約を承認するオーナーもどうかとは思いますが・・・当時のヤシンの市場価格からして年俸ベースであの額は仕方ないにしても、10年はあり得ません。今季から新CBA下で24%ペイカットとなったけど、今季ヤシンの年俸は760万ドルとアイランダーズのペイロールに重くのしかかっている。ヤシンは今季ここまで43試合で39ポイント。いちおうチームのスコアリングリーダーですが、今季は突如働かなくなったりで4つめラインに落とされたりなんてこともちょくちょくあった。その一方、隣町ではヤーガーが67ポイント挙げてるのを見ると、やっぱり・・・ねえ。

・・・てなわけです。

ただこの後のミルベリーですが、アイランダーズにはシニアヴァイスプレジデントとして留まり、ウォングオーナーのアドバイザー的立場は変わらず。そもそもウォング氏のアイルズ買収(2000年)以前にチームGMとして存在していたミルベリーは、1990年代後半にチームオーナーが猫の目のごとく変わったどさくさに紛れ、チーム内権力をじわじわ膨らませていた。そして既得権からかウォング氏に対しても強い立場にあったようで、今回はクビになる前に自分から幕引きしたことで生き延びる姑息策に出たという感じです。

しかし、オーナーのアドバイザーであり続けるのなら、今後GMになった人間をまた解雇しまくるのかな? と考えると、アイルズファンが浮かばれない。ただし今後は、アイランダーズだけでなく、ウォング氏が所有するアリーナフットボールのチーム(ドラゴンズというチーム名です。中国から移民のウォング氏らしい)や、ウォング氏が燃えてる新アリーナ建設計画(奇天烈な60階建てタワー案で周囲を騒然とさせましたが、地元政府から不認可となった模様です。ウォング氏の他、NYメッツその他もアリーナ含むナッソー地区再開発案を提出中)など、どちらかと言うと、ウォング氏のスポーツ事業全般の仕事を任されることになる模様。もしそうなれば、やっとアイルズファンも溜飲が下がるというものです。

で、NHLのGM浪人、コーチ浪人にはこれは大きな朗報! アイランダーズに行けば今やGM、コーチ、あるいはGM兼コーチの仕事が待っているわけです。

そこで白羽の矢が立ったのは、デビルズも狙っているとされるブレント・サター。サターにとっては、アイランダーズは元選手として2回スタンレーカップ獲得。88−91年はキャプテンも務めている。ただし、前日も説明した通り、サターは現WHLレッドディアのオーナー、GM、ヘッドコーチであり、息子のブランドン、甥のブレット(兄ダリルの息子)もレッドディアに所属。少なくとも今季中はレッドディアを去るつもりはないことを明言しているんだとか。

兄ダリル曰く「彼の興味はゼロだと思う。アイランダーズとの繋がり? それはビル・トーリーと、アル・アーバーの時代で終わってる」。ビル・トーリー&アル・アーバーといえば、アイランダーズ黄金時代を支えたGMとヘッドコーチです。ナッソーコロシアムには、数枚のバナーがかかっていますが、トーリーについては背番号の代わりに彼のトレードマーク、蝶ネクタイ柄のバナーが掲揚されていることでも有名であります。ダリル氏の言葉はごもっともで。それならそれで、地元紙は「ならばブレント獲りのために、ビル・トーリーをチームアドバイザーとして復活させろ! 」との声もあるほど。

その他、地元紙ニューズデイは、元アイランダーズ選手としてGM候補:スティーブ・タンベリニ(現バンクーバーのフロント)、デニ・ポトヴァン(まじかい?、現フロリダ解説者)、ピーター・シアレリ(オタワのアシスタントGM。ミルベリーとの繋がりあり)、ジム・ニル(デトロイトのアシスタントGM)、ジョン・ウェスブロド(ダラススカウト、ロングアイランド出身、元NBAオーランドGM)の名前を挙げています。ウェスブロドの名前は、確かアナハイムの後任GMとしてもまことしやかに噂に出ていましたっけね。

それにしても、後任GMってすんなり見つかるんでしょうか? ブレント・サターでなくても「ヤシンがいるうちは嫌」とみんな尻込みしそうな・・・やっぱり2005年夏にヤシンをバイアウトしとくべきだったのかも。そのお金をケチったことで、来季以降5年もヤシンの年俸はサラリーキャップ内にカウントされてしまうわけです。一番いいのはトレードすることでしょうが、引き取り先がない。おそらくアイランダーズがヤシンの年俸の70%くらい負担しないと、欲しがるチームはいないでしょう。それだったら、残り年俸の3分の2支払ってバイアウトした方がお得だったと思うのですが・・・もう遅いですね。

ヤシンはウエーバーにかけられても、おそらく引き取り手はない。なのに、地元紙に「ヤシンなんてウエーバーにかけちゃえ!」と書かれる有り様。まあ、これも当時ホッケー初心者で、ミルベリーの助言を鵜呑みにし、見栄もあって大枚はたいてしまったウォング氏の自業自得ってことでしょうか。それにしても、ウォング氏、NBAネッツを買おうとしたり、故郷中国でのホッケー振興に力を入れたり(アジアリーグの会議@北京にも、なぜか参画していたという話ですこのお方)。いろいろ活動しています。

最後に、暫定コーチとなったブラッド・ショー。隣町レンジャーズでは、トム・レニーが暫定コーチから正式にヘッドコーチに就任しているし、ショーが同じ道を辿る可能性は皆無ではない。ただ、チームカナダでコーチ道一筋で来たレニーとは、経験が違い過ぎるかな?

ショーは、今季アイランダーズのアシスタントコーチとして就任。かつて現役時代はDFとして活躍、地味に守る選手という印象でした。過去3年間はAHLシンシナティでヘッドコーチを務めた後、アイランダーズへ。1999−2000年はタンパのアシスタントコーチを務めていました。そこで気づいたのですが、アイランダーズのアシスタントコーチが、ダン・バイルズマだったとは知らなかった(爆)。昔から「引退したらコーチ目指す」って言ってたのは知ってたけどね! 

こうして見ると、NHLのコーチも世代交代が進んでいるのですね。あぶれてる人がいるようで、実は人材不足なのがこのコーチなのかも知れません。
[PR]
by hockeyworldjapan | 2006-01-14 13:54 | NHL overall

アリーナ改名、もうヤメテ!

あ〜、もうついてけません。正直言って。

オタワ・セネターズの本拠地(現名称は「コレルセンター」)が、スコシャバンクプレイスと改名されるそうです。スコシャバンクとは、カナダ国内2位の大手銀行。名称権は向こう15年間有効だとか。

セネターズの本拠地であるこのアリーナは、オタワの郊外カナタ市に1996年1月15日オープン。当時は「パラディアム」という名称でしたが、その後カナダのソフトウェア会社が名称権を買い、同年2月27日に「コレルセンター」と改名されました。

当時、業績好調だったコレル社は、アリーナ名称権に2600万ドルを支払う契約を交わしたそうなのですが、近年になって権利の放棄についてセネターズ関係者と議論していました。とはいうものの、今後も何らかの形でスポンサーシップは継続していくそうで、アリーナ外部の「コレルセンター」の文字はしばらくそのまま、アリーナ内のスコアボードに入った「コレル」の文字も、今後3年間は存続するんだとか。ただし、アリーナ名称は1月12日vsサンノゼ戦を最後に、早くも1月19日vsアナハイム戦から新名称に変更されるということですから、みなさん要注意です。

以前にもどこかで話題にしましたが、最近元気なカナダドルのお陰か、カナダの銀行の元気さがNHLの世界でも目立ちます。すでにこのスコシャバンクのライバルにあたるカナダの銀行2行(ロイヤルバンク、トロントドミニオンバンク)が、アメリカにてアリーナ名称権を保有。ロイヤルバンクは、カロライナ・ハリケーンズの本拠地RBCセンター、トロントドミニオンバンクはボストン・ブルーインズ、NBAセルティックスの本拠地TDバンクノースガーデン、さらにNBAオーランド・マジックの本拠地TDウォーターハウスセンターに、その社名を冠しているわけです。

この相次ぐアリーナ改名。ボストンの場合、そもそもオープン前はショーマットセンターと命名されたのですが、この冠スポンサーとなったショーマット銀行がフリート銀行に買収されて、完成時には「フリートセンター」となっていた逸話あり。時代とともに改名されるのはもはや運命なのかもしれません。その後フリート銀行がバンクオブアメリカに吸収合併され、今後は「バンクオブアメリカセンター」と呼ばれることになるかと思いきや、バンクオブアメリカは違約金を支払ってスポンサー権利を放棄(すでに他スタジアムやアリーナの名称権を持ってます)。その後、ボストン地区に知名度を得たいTDバンクがこの名称権に飛びついたのでした。

チームにとって大切な資金源というのは分かります。これが時代の趨勢とはいえばそれまでですが、正直もうヤメテ・・・という感じです。私のような古い人間はついて行けません。エドモントンの「ノースランズコロシアム」が「レクソルプレイス」へ改名された時も、しばらく「何それ?」という感じでしたし・・・一番の問題は、相次ぐ改名によってアリーナのアイデンティティが失われることでもあると思う。

フロリダのバンクアトランティックセンター(ちょっと前まで、ナショナルカーレンタルセンター、オフィスデボセンターと呼ばれてました。みんな忘れてるかも)、フィラデルフィアのワコヴィアセンター(かつてコアステイツセンター、ファーストユニオンセンターと呼ばれてました)、ピッツバーグのメロンアリーナと、バッファローのHSBCアリーナ(以前はマリーンミッドランドアリーナ)と、金融系の名称は多いです。

まあ、ボストンの場合、ずっと銀行がスポンサーゆえに「Vault(金庫)」の愛称は変わらないわけですが、これだけ銀行のスポンサーが雨後のタケノコのように増えると、「Vault」だらけになってしまうわけで、それもいかがなものかと。

いずれにしても、スコーシャバンクプレイスという名前は長過ぎる。そのうち略称が使われることでしょうね。

で、話題は変わって連日のデビルズねたですが・・・こっちもアリーナ関連情報で。

数年間に渡るすったもんだの末に、やっとニューアーク市に新アリーナを建設することになったデビルズですが、どうやらまだ問題があるらしいのです。

新アリーナ建設費3億1000万ドルのうち、ニューアーク市が2億1000万ドルを負担。残りの1億ドルはデビルズが拠出という合意だったらしいのですが、どうもデビルズがこの公約を果たせていないらしい。デビルズは今季チーム不調もあって、現アリーナ(コンチネンタルエアラインズアリーナ、ってこの名前も長いといつも思ってます)の入りも悪いのです。

すでに新アリーナ建設用地では、古い建物の取り壊しを実施して更地にする作業が行われており、これにニューアーク市は2500万ドルを費やしたとか。アリーナの基礎工事にも着手しており、数週間後には鉄骨も立ち上がるという時期に来てのこのひと悶着。ニューアーク市側は「基礎工事にもう2500万ドル使っちゃったから後戻りはできないぞ!」と、デビルズに睨みをきかせているようです。

で、デビルズとしては、なんとか建設費負担を最小限に抑えたいと、大手建設会社数社と今も交渉中だそう。当初予算を超えた分を建設会社が負担するという、デビルズにとって有利な契約を引き出そうとするあまり、合意に至れないというのがその遅延の理由らしい。有利な契約はいいんだけど、構造計算はちゃんとやってくれる会社に依頼してよね? と思う今日この頃。アメリカの建築基準って、そのあたりはちゃんとしてるんでしょうか? アメリカは日本のような地震国じゃないから、使用する鉄骨は細い、あるいは少ないんでしょうか? 教えて詳しい方!

そうこうしてるうちに、アイランダーズの首脳陣が解任ですか。あ、ついに「マッド・マイク」が退陣です。詳報はまたアイランダーズねたとともに、後日にでも。

追記:デビルズの新アリーナ案、なんとか妥結したそうです。
詳しくはこちらをご覧下さい。
[PR]
by hockeyworldjapan | 2006-01-13 11:23 | NHL overall

ベテランがNHLを去る時

1月10日、タンパベイ・ライトニングはキャプテンのデイヴ・アンドレチャクをウエーバー扱いにしました。

この前日の1月9日、アンドレチャクは、ライトニングGMジェイ・フィースター、ジョン・トートレラコーチと55分に渡るミーティングを実施。その上で、チームはアンドレチャクをウエーバー扱いとすることを決めたという。これで23年に渡るアンドレチャクのNHLキャリアは実質上終わりを迎えたことになりました。

アンドレチャクは翌1月11日にウエーバーを通過。まだ現役にこだわるのであれば、AHLスプリングフィールドでのプレーが待っているが、おそらくそれは彼のプライドが許さないので、このまま引退が予想されています。アンドレチャクは2005年夏にライトニングと2年契約を結び、今季に臨んでいました。

2004年プレーオフでは素晴らしい活躍を見せてチームを優勝に導いたアンドレチャクでしたが、今季は11月8日にヘルシースクラッチになるなど苦悩のシーズン。ここまで6ゴール12アシストを挙げていましたが、マイナス13はチーム最悪の数字。スローダウンしたベテランは、新ルール下のでNHLではもはや通用しなくなっていたのだそうです。ロックアウトという空白の1年間も、アンドレチャクにとっては不利に働いたはずです。

アンドレチャクの輝かしいキャリアは、NHL22年めにして初のスタンレーカップ獲得に加え、NHL史上トップのPPゴール(274)、通算試合出場(1639、史上4位)と素晴らしいものがあります。ただアンドレチャク自身のコメントを見る限りだと、こうなったのはもちろん非常にショックでもあるが、スタンレーカップバナー掲揚は見届けたし、今季も現役としてスタートして燃え尽きた。つまり納得ずくでの結論、という風にも見受けられます。

現役時代はそのオフェンス面での存在感だけでなく、フェイスオフの強さも光っていました。若い頃はオフェンス中心の選手だったけど、年を重ねることに攻守両面に優れた選手にも成熟していった典型例でもありました。そしてライトニングにもたらしたあのリーダーシップ。ライトニングのロッカールームのロゴを「踏んではいけない!」と位置付け、尊重するように仕向けた仕掛人でもありました。

それにしても、これもサラリーキャップ時代ならではのトレンドなのか、 チームの精神的支柱という存在感だけでは、もはやチーム所属も許されない時代になってきたのかな〜と思う今日この頃。ただし、トートレラコーチは「年俸の問題ではない。純然にリーダーシップの要因だ」と断言しております。

そのあたりは、ライトニングの今季のチーム事情を知っていれば、頷けないこともない。

前年チャンピオンのライトニングだが、ここまでのチーム成績はなかなか勝ち星をつかめず、プレーオフ進出ラインを行ったり来たり。その厳しい戦いの中で追い打ちを掛けるように、アシスタントコーチのクレイグ・ラムジーが前立腺がん治療のため、チームを離れることになった。ラムジーは治療後復帰可能とされており、早期発見というのはなによりの朗報だが、なにかと強硬派のトートレラコーチと選手の繋ぎ役の好々爺、ラムジーが休養するのは、ライトニングにとってかなりの痛手でもあるという。そんな状況でのアンドレチャク、ウエーバー扱いのニュースであったのです。

ライトニングにしてみれば、アンドレチャクがチームを離れた後は、誰がリーダーとなるのか? という大問題が残ります。GMフィースターによると、この後Cマークはしばらく空き屋となり、これまでの2人のAマーク(フレドリック・モディン、ヴィニー・ルカヴァリエ)に加え、3人めを指名する(リチャーズ、テイラー、サンルイが候補)予定だそうです。

このニュースが報道されてひとつ感じたのは、あれだけリーダーとして活躍したアンドレチャクに対し、わざわざウエーバー扱いという屈辱的な形を取らねばならなかったのか?  という疑問。アンドレチャクという名選手の最後が、ウエーバーというのは淋しすぎる。自主的に引退という形で花道を飾らしてやれば? と思うのが人情なのですが、その辺は地元紙記事を読んで、自己解決。自らの浅学ぶりを反省いたしました。

実は、ウエーバー扱いとしたのはライトニングの思いやりでもあったのだそうです。アンドレチャクが自主的に引退すると、今季残り年俸を放棄したとみなされ、ライトニングがたとえ今季残り年俸を功労金的に彼に支払いたくてもできなくなるんだとか。あ、なるほどね。

ちなみに今季分残りのアンドレチャクの年俸(33万5000ドル)は、サラリーキャップ加算分から差し引かれるそうです。ただし、ライトニングがバイアウトであろう来季年俸分(52万5000ドル)は、サラリーキャップ分に加算されるということです。新CBAでは35歳以上の選手の複数年契約の場合、引退後も年平均年俸が加算される、ということでした。いやいや、勉強になりました。

実際ライトニングは、アンドレチャクに敬意を表し、ライトニングは引退後の仕事をアンドレチャクに提示をしているそうです。またウエーバー扱いとする前週に、フィースターGMは他29チームのGMに対し、アンドレチャク獲得に興味はないかとEメールを出していたんだとか。つまり、アンドレチャクに対しては、ライトニングとして考えられる誠意が尽くされたといっていい。

1月5日には、アレクサンダー・モギルニーをウエーバーを通過。こっちは34試合で12ゴール25ポイントと仕事はそれなりだったのですが、年俸175万ドル、来季は350万ドルが重過ぎた。数年前からモギルニーは臀部故障に悩まされており、持ち味の快脚は戻らなかったのがウエーバーの要因だそうで。

それにしても、サラリーキャップ提唱者のひとりで、NHLきっての吝嗇家GMとして知られたデビルズGMルー・ラモリエロ(現在はヘッドコーチも見つからず、コーチ兼任です)。キャップ導入後はいいチーム作りをするであろうと思われていたのですが、このモギルニーへの高額契約も含め、今季はやりくり下手だと、地元ではかなり叩かれています。実際今季のデビルズは、モギルニーだけでなく、マラコフ、マギリスと、大枚はたいては切りまくってる。モギルニー、マラコフ、マギリスで1860万ドル突っ込んで、1人引退、2人はマイナー送り。株で言ったら大損出している感じですね。

それにしてもモギルニー。ヘルシースクラッチになっていたという話は聞いていたのですが、彼の場合、あの御し難さゆえ、その気にさえさせればまだ働くのでは? との期待(幻想?)を私は抱いてました。まだまだいけると思っていたのですが・・・今季のブレット・ハル引退といい、モギルニー、アンドレチャクの一件といい、寂寞の感は否めません。まあモギルニー&マラコフの場合、給料高過ぎて若手に悪影響はあるわ、ラモリエロGMはオーナーに自己責任を表明し、次の手段を講じるべくこう動かざるを得なかったのでしょうけどね。

ちなみに混迷しているデビルズのヘッドコーチ探し。ポール・モリースを希望していたらしいが、トロントから接触を断られ(そりゃそうだ! シーズン途中だし、なにせモリースはパット・クインの後釜候補でしょうが)、現在はブレント・サター(ご存知サター兄弟のひとりで、世界ジュニア・カナダ代表ヘッドコーチでも知られる)に興味を示しているそう。でもサター兄弟って、やっぱりアルバータが好きなのよね(笑)。というか、アルバータで輝くというべきか。ブレントは、WHLレッドディアのコーチ職と、世界ジュニア代表コーチで結構財政的にも満足しているようなので、デビルズの勝算は薄そうです。ちなみに立候補者として寄ってきたのは、NHLコーチ万年浪人、テッド・ノーランのみという惨状であります。

まだまだ、デビルズねたについては語りたいのですが、今日はこの辺で・・・
[PR]
by hockeyworldjapan | 2006-01-12 10:21 | NHL overall