久々に小ネタ出し

暗いニュースばっかりでうんざり・・・とお嘆きのホッケーファンの皆様に、少しでも笑っていただけるニュースを探してみました。

といっても、私の走る先は80年代NHLというちょっぴり懐古主義。80年代NHLに興味ない方は、前半部分は読み飛ばしてね。


NHL選手から航空会社パイロットへの転身
元NHL選手で、かつてはそのフィジカルなプレーで知られたアル・シコード(私は結構好きだった)が、なんと1998年からアメリカン航空のパイロットに転身していました(知らんかった〜!!!)。
というわけで、北米の空港でパイロットをみかけたら「アル・シコードと思え!」というのが、80年代NHLファンの正しき心得です。実際シコードは、トロントやシカゴではよく声をかけられるそうです。
元NHL選手が航空会社のパイロットか・・・あと10年もすると、アレクセイ・コバレフ(飛行機操縦免許アリ)がアエロフロートのパイロットになってたりする可能性もあるかな?
http://www.twincities.com/mld/pioneerpress/sports/10704823.htm


スウェーデン代表HCにグスタフソン
80年代前半にワシントン・キャピタルズのメンバーとして活躍したベングト・グスタフソンが、スウェーデン代表のヘッドコーチに就任しました。現役時代はかなりオフェンシブな選手でしたから、スウェーデン代表のホッケーにこれがどう影響するか楽しみです。
契約期間は2月14日から2年。グスタフソンは1997〜2001年までスイス代表のアシスタントコーチも担当していたんだとか(知らんかった〜!!!X2)。
ご存知の通り、昨年夏のワールドカップではスウェーデン代表は準々決勝でチェコに惨敗しており、その責任を取らされ代表HCハーディ・ニルソン(2002年ソルトレーク五輪での「トーピードでねーよ、ビッグアイスホッケーだべよ」発言はいまだ記憶に新しい)は解任に。で、そのニルソンは現在、フォースバーグ父に代わって、スウェーデンリーグ・モドのヘッドコーチに就任しているそうです。
http://www.washtimes.com/sports/20050128-122515-6805r.htm


フュア、切手の図案になる
80年代ホッケー愛好者垂涎アイテムがこれ。
カナダでグラント・フュア他、往年の名選手を配した切手が発行されました。過去にはホッケー殿堂で同様な選手たちの切手が発行されてたのですが(私は持ってるよん)、こっちもなかなかよさそう。
で、その図案を見たフュア本人の弁がまた笑える。
「オレがバタフライセーブしてる。オレのキャリアの中でもごく珍しい瞬間を捉えたね」
ご存知の通り、フュア独特のゴールテンディングスタイルは、バタフライスタイルとははっきり言って対極にある。図案練り直した方がいいんじゃないの? とツッコミ入れたくなりました(笑)。ただ、カナダ郵便局のサイトでその図案を見た限りではそれほどひどくない。バタフライセーブというよりは・・・という感じですな。ま、確かに両膝は氷面についてるけど。
で、グレ様つながりでフェニックスのGKコーチに就任したフュアの近況も記事には載ってました。最近はファームAHLユタ(AHL最下位を爆走中!)に出かけたりで、近頃はあんまりゴルフはしてないらしく、プロゴルファーへの夢は潰えそうになってる模様ですが「カナディアンツアー資格はまだ狙ってる」ともコメントしておりました。でもあの腹じゃ無理だと思うけどな・・・
http://www.canada.com/edmonton/edmontonjournal/news/sports/roadrunners/story.html?id=19ce3ed0-99c0-4aab-898a-76d514ba6ea3
http://www.rpsc.org/cp2005.htm


女性DF、CHLで試合出場。1アシストを記録
プロホッケーの女性進出というと、GK以外は難しいというのが過去の定説でした。
しかし遂に、DF選手が北米マイナーリーグCHLでデビューしました。アンジェラ・ルジエロさん(25歳、1998、2002年アメリカ五輪女子チーム代表)がその選手です。
昨季高橋朋成選手が在籍したことで日本のファンにも馴染みがあるタルサ・オイラーズのメンバーとして、彼女はデビュー戦で1アシストも記録。また同チームのGKビル・ルジエロは彼女の弟だそうで、姉弟での揃ってのプロホッケー試合出場も史上初と記録づくめでした。
同試合3回目のシフトで強烈チェックをもらったルジエロさんは、その直後に相手選手(もちろん男性)にボード際で強烈チェックをお見舞いしてお返ししたんだそう。なかなかの頼もしさですねっ。
これで北米プロリーグに出場を果たした女性選手は、マノン・レオーム(カナダ)、エリン・ホイッテン(アメリカ)に続き、彼女が3人め。北米以外では、2003年にフィンランドリーグでヘイリー・ウイッケンハイザー(カナダFW)が男性リーグで初ゴールを挙げています。
またオーストリアではバーバラ・ジーマンさん(6年前にホッケーを始めた銀行員GK)も昨年オーストリアのチームで試合出場を果たしましたが、デビュー戦で10失点とその出来は散々だったようです。その後はどうなったかな?
ルジエロさん、タルサ・オイラーズのHPに写真付きで出てます。なかなかカワイイ人ですね。
http://tsn.ca/nhl/news_story.asp?ID=112959
http://www.tulsaoilers.com/?doc=headlines.php&hl=3098
http://www.tulsaoilers.com/?doc=headlines.php&hl=3107


オーストラリア出身の14歳、トロントのミジェットAAAに挑戦
オーストラリアと聞いたら、ラグビーとか水泳王国とか想像しちゃいますよね。
そのオーストラリア出身の14歳が、ホッケーの本場トロントでミジェットAAA(この年齢ではトップレベルです)に挑戦するなんて記事がトロント地元紙に載ってました。
で、この選手ですが、もうすぐ15歳にして身長190cmっつ〜のがハンパじゃない。やっぱり体格の良さには勝てません。イアン・ソープみたいなのがみんなホッケーやり出したら、オーストラリアはすんごく強くなるでしょうね。
その他、この記事内で紹介されてましたが、ダーシー・タッカーのいとこがオーストラリアでホッケーやってるってのが笑える。そういえば、中島谷友二朗選手のノートルダム高校時の知り合いも、オーストラリア国籍取ってナショナルチーム入りだもんねえ。結構ホッケーでオーストラリアに流れているカナディアンは多そうです。
で、近い将来、野球同様にホッケーでも強くなったオーストラリアは、アジアリーグ参戦? ってことで、アジアリーグはいずれ「アジア・オセアニアリーグ」と改名されるのでは・・・なんて大予想打ってみる。
http://www.thestar.com/NASApp/cs/ContentServer?pagename=thestar/Layout/Article_Type1&c=Article&cid=1106693414939&call_pageid=1044442959412&col=1044442957278


「スタンレーを解放せよ!」
・・・って名前のサイトが立ち上がってます。
「今季NHLがシーズン全面中止ならば、スタンレーカップ当初の精神に則り、今季スタンレーカップはカナダのアマチュアや、北米マイナーリーグチームなど全ての頂点に立ったチームに与えられるべき」というのが、このおっさん3人たちの持論。
その持論を展開すべくHPを立ち上げるや、ニュースに飢えてる北米メディアから意外なる反響が。レクソルプレイス外グレツキー銅像前で記念写真を撮ってるこのおっさん3人、なんだかやけに楽しそうだ! いいな、いいな!!!
しっかし、AHL、ECHL優勝チームにアランカップ優勝チームもチャンスがあるのなら、最近アマチュアでプレーが認められたセオレン・フルーリーに、ECHLトップを争うベイカーズフィールド所属の福藤選手まで、スタンレーカップ獲得の可能性があるわけで・・・な〜んて、また私の妄想癖を思い切りくすぐる情報でした。
http://freestanley.com/
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-31 15:04 | NHL overall

NHL労使紛争その後の顛末

タイムリミットは刻々と迫り・・・ん? もう過ぎてるような気もしますが、無理矢理延ばしてるのかな?

1月26日@トロント、1月27日@ニューヨークと、2日連続で会合を持ったNHLとNHLPA。前回の会合(1月19日@シカゴ、1月20日@トロント)の参加者6名に加え、今回はPA側の要請により、オーナー側からニュージャージー・デビルズGM兼社長のルー・ラモリエロがそのメンバー入りしていました。

でもその結果はむなしく「合意には至らず」。合意に至らずどころか、両陣営には依然として大きな隔たりがあるとも報じられています。

今回の会合でNHLは、書類ではなく口頭で以下の3種のサラリーキャップをPA側に提示したと伝えられています。
*各チーム年俸は3200万ドル以上4200万ドル以下に抑える。
*リーグ総年俸はリーグ総収入の54%以下に抑える
*選手個人の年俸は600万ドル以下に抑える(注:この選手個人キャップについては提案されなかったという報道も)

12月14日のリーグ提案では、チーム単位のサラリーキャップは3460万ドル〜3860万ドルの間とされていましたが、今回の提示では多少の融通が効くような内容には変更されています。これはNHL側のわずかな譲歩とは取れますが、大勢には影響がないでしょう。

ちなみに4200万ドルという上限は、選手側が24%ペイカットを了解後の額ですから、よくよく考えてみると寛容ではある(以前はペイカットの話題が出る前で3100万ドルが上限なんていわれましたから)のですが、この額にはどうも条件がある模様。NHL30チームの大半が、この4200万ドル上限ぎりぎりまで選手年俸を費やした場合、リーグ全体収入に対する総年俸の割合が54%を越えることは確実となる。そうなった場合は、4200万ドルという数字は今後引き下げ必至らしいのです。(「らしいのです」という曖昧な表現に留まっているのは、NHL、NHLPA双方とも、今回の提示についてはその内容を一切公表していないためです)

サラリーキャップ以外についても、NHL側から提示はあったようです。例えば年俸調停について、NHL側は「年俸アップ率の上限を25%と定める」と提示したとか。これには当然PA側は猛反発しました。例えばある選手がスコアリングの数字を前年比3倍アップしても、調停では最高25%アップしか貰えないという仕組みだからです。これだったら、選手としては調停に持ち込まない方がマシとなるでしょう。

またNHL側としては懸案のひとつになっていた収入分配策について、NHLから何らかの提示があったそうだが、PA側は「取るに足らない」とこれを批判したそうです。

というわけで、「ひょっとして今季中の妥結もアリか?」という淡い期待をもたらした両巨頭不在の一連の会合でしたが、どうも事態は大して進展していないというのが現状のようです。

「何をいまさら」を十分承知で報告しますが、今回の会合に先立っては、かなり明るい見通しも報道されていたのです。カナダのスポーツ専門ケーブルTV、ロジャーズスポーツネットでは、アメリカABC解説者としても知られるジョン・デビッドソン氏の見解として「NHLはサラリーキャップと贅沢税を組み合わせた案を提示するだろう」と報じていました。

ちなみにその内容とは以下の通りです。

*チーム総年俸3800万ドル〜5000万ドル:100%の贅沢税を課す
*チーム総年俸は5000万ドルを越えてはならない。

つまりソフトキャップ(贅沢税)と、ハードキャップ(5000万ドルの越えてはならないサラリーキャップ)の2層構造を、NHL側が提案するだろうというのが、デビッドソン氏の見解だったのですが、これはどうも実現しなかった模様。これが全くガセだったのか、あるいは一部オーナーから実際に提案されたものの合意に至らなかったのか、はたまた一部オーナーたちの案がNHL御大から却下されたのか。その真相は闇に葬られています。

そんなこんなで、相変わらずメディアの報道合戦がすごいったら。
1月26日トロントでは、NHLナンバー2ビル・デイリーが宿泊したサットンプレイスホテルに、メディアが50名ほどロビーに押し掛けてホテル側は大迷惑。両陣営とも会合の開催地を極秘にしたことが、この報道合戦の火に油を注いでしまったものと思われます。

さらに、トロントでの会合にマリオ・ルミューも加わるのではとの憶測もありました。マリオは、マイク・ウイアー(ご存知カナダが生んだUSPGAプレーヤー)とのゴルフ大会(ボブホープクラシック)でのラウンド予定を辞退し、その後トロント入りが目撃されていたようです。そのココロは「友人のタイ・ドミに会うため」のトロント訪問だったらしいのですが、マリオってドミと仲良しでしたっけ? マリオはご存知のようにNHL唯一の「オーナー兼選手」という特異な立場にありながら、これまで労使交渉の席では「招かれない客」だったわけです。が、しかし、ここに来てマリオが両陣営の架け橋役として期待されているのでは? との説も出て来ています。で、気になるマリオのドミ訪問の意図ですが、ドミを通じて、マリオはトロントで他のPAメンバーに会っていたのでは・・・などという噂があるようです。

いずれにしても、時はまた刻々と過ぎ去っていきます。

仮に今後バタバタと交渉が妥結を見たとして、例えばレギュラーシーズン20試合のみのNHLシーズンを皆さんは見たいですか? まあ20試合とはいえ今季シーズン開催に漕ぎ着ければ、来季はちゃんと10月から開幕できるという保証はある。そんな意味では、今季開催は大きなメリットはあるとは思うのですけどね。

ただその20試合シーズン、こわいもの見たさで惹かれたりもする。もちろん優勝チームは「ああ、あれは20試合のシーズンだったからさあ・・・」と永久に言われる。そしてリーグ記録には、例によって全て「*」が付く。たとえ20試合でもシーズンが成立すれば、NHLはアートロスやウ゛ェジナ、ハートなどの各賞を真面目に表彰するでしょうしね。そう考えると意外なる展開が待ち受けてる可能性があるわけです。20試合なら30ポイントもあればアートロス射程圏内ですから、今頃ヨーロッパで絶好調な伏兵がそのビッグタイトルを十分狙えます(モリソンあたり、いけるかもね)。

あ〜、ついに私の妄想癖もここまで来てしまった。まだ時差ぼけが直ってないせいでしょうか、どうかこの愚態ぶりをお許しください。

壊れついでに一言。ちなみにセルキは、例年のごとくジョン・マッデン予想ってことでお願いします。あくまでジョン・マッデンです。でも最近はクリス・マッデンの方が私的にはポイント高いかも。

(注:クリス・マッデンは、ECHLロングビーチのゴーリーです。セーブ率.950近い数字残してるのがスゴ過ぎ。NHL禁断症状に喘ぐ皆様、ECHL観戦もまた一興です。箸休め的存在として一度どうぞ!)

TSNの原文を読む
ご感想はHWJ掲示板まで
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-29 17:57 | CBA

日本で一番幸せなホッケーバカ?

いや〜、こんなに幸せでいいのでしょうか???

舞台はボイジからベイカーズフィールドに移し、私が取材する今回最後の試合vsフレズノ戦。福藤豊選手がなんと今季初完封を記録し、コンドルズは2−0で2連勝しました。

第1ピリオドから、コンドルズは順調な滑り出しでフレズノを圧倒。福藤選手にとっては物足りないような仕事量でした。とはいえ、第2ピリオドではともすればピンチというシーンも多々あったのですが、非常に冷静な福藤選手の守りが冴え渡り、本拠地センテニエルガーデンのファンを大いに沸かせていました。福藤選手がセーブを重ねるたびに、現地場内アナウンサーが「フ〜ジ〜!!!」という雄叫びを上げるという応援もあり。地元のファンからも「フジ!!!」という大きな声援が飛びまくっていました。ホームリンクということもあって、すでに「FUKUFUJI44」ジャージもスタンドにちらほら。徐々に地元での認知度がアップしているようです。

結局20セーブ完封で、2日前のボイジでの試合(サードスター)に続いて、この日はセカンドスターに選ばれた福藤選手。ボイジでは「(サードスターに選ばれた後)出て行くタイミングが分からなかった」ということで、ファーストスターの選手と一緒にリンクに現れるという事態で、チームメートからからかわれていたようでしたが、この日はちゃんとセカンドスターとしてファンの前でご挨拶。他の選手がリンクを大きく旋回して派手に手を振ったりする一方で、福藤選手は控えめにリンクの片側だけを滑り、シャイな笑顔を見せていたのがまたまた印象的でありました。試合後は、初完封記念のゲームパックをしっかりとチームメートから貰っていました。

それにしても2日前のボイジでの試合以上に、この日は前に出てのポークチェックを披露するなど、積極的に行く時には積極的にと、彼のプレーに多くのバリエーションが出て来たことがよく窺えました。7月の時点ではキレイなバタフライという印象が強かったのですが、現在の福藤選手はむしろハイブリッドバタフライという感じに変わりつつあります。

福藤選手によると、毎試合後、コンドルズでは2つの儀式があるそうです。
ひとつは、昨季NHLカルガリー・フレームスがやっていたことで一躍有名になった「ハードハット」授与の儀式。スリースターズに選ばれなかったものの、影のヒーローとしていい仕事をした選手が選ばれ、その選手が次の試合の影のヒーローを選ぶというこの慣習は、ここベイカーズフィールドでも生きていました。カルガリーで使用されていたのは、緑色の工事用ヘルメットでしたが、コンドルズのロッカールームにあったのは、消防士用みたいな銀色のヘルメットでありました。

そして2つめの儀式は、ヘッドコーチとアシスタントコーチが、毎試合いい活躍を見せた選手に、「スタープレーヤー」と文字の入ったTシャツをプレゼントするという内容。この日の福藤選手は、ヘッドコーチ、アシスタントコーチと両方からそのTシャツを貰っていました。そ、そしてなんと、日本のファンの皆様にビッグニュース!!! なんとその貴重なTシャツ(もちろん非売品です)の一枚に福藤選手のサインを頂いたものを、日本のファンの皆様のプレゼント用にゲットしてしまいました。今回の福藤選手関連取材映像は、スポアイの五輪予選放送時に披露できる予定ですが、その際のビッグプレゼントとしたいと思います。皆様どうぞ、奮ってご応募くださいね!!!

・・・というわけで、私の今季初の海外取材はこんな嬉しい形で一件落着ということに。それだけでも十分「日本一幸せなホッケーバカ」になれたのですが、さらに嬉しいことが試合後に待っていました。ロッカールーム外で待機していると、コーチ室の隣の小部屋に選手たちがある写真を抱えて長蛇の列を作っている。一体何が始まったのかと中を覗くと、なんと映画「スラップショット」でフレンチカナディアンGK役(デニ・ルミューという名前でした(笑))として出演した俳優さんが、コンドルズのロッカールームを訪れていたのでした。で、私までもが、コンドルズスタッフのご厚意もあって、まんまとサインをせしめてしまったのです・・・

ああ、こんなに一度に幸運がやって来てしまっていいのでしょうか?
こんな幸運を独り占めしてしまって、日本のファンのみなさんにとっても後ろめたい気分でもあります。今回はレポートのはずが、ただの自慢話になってしまったような・・・あ〜、そろそろフライトの時間が近づいてきたので、自慢話はこれくらいに留めておきます。

「NHL、今季開幕にまだ望み」とチェリオスが語るだって? 帰国後そっちの方もちゃんとフォローすることにします。それではまた!
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-26 01:12 | Fuku-chan report

福藤選手の勝利姿を皆様に成り代わってお見届け

日本全国1000万の福藤豊選手ファンの皆々様!

声を大にして言いたい。福藤選手は着実にこちらで進化していますよ〜!!!

前にもどこかに書いたかも知れませんが、コンドルズは決して守りは良くないチームです。しかしそうした状況は裏を返せば学べる環境でもある。そこで福藤選手は多くのものをこの数ヶ月で吸収したに違いないとお見受けしました。

ECHLにあって日本でないもの。例えば、ゴール前の混戦の厳しさであるとか、NHL規格の狭いコーナーからゴール近くに跳ね返ってくるパックの処理とか、素早いモーションからDFがスクリーンを使って打って来るシュートとか・・・いろんな要素があると思います。それらの要素は、日本で練習にて再現しようとしても出来ない類いのものであり、それに馴れるには実際に北米で実戦経験を積むしかないのです。

昨年7月のLA若手キャンプにて、福藤選手と他のGK(アメリカの大学リーグやメジャージュニアで揉まれてる選手ばかり)を比較した際に、そういう実戦で培ってきた経験やカンという部分で、福藤選手はリードされてるなという印象が正直ありました。それは5月の世界選手権でも、不意にゴール前に出て来たパックの処理に戸惑いを見せたりという部分に現れていました。福藤選手の場合、ゴールテンディングのスタイル完成度としては比較的高いものがあるし、反射神経やサイズも十分備えているだけに、そうした実戦的な部分での遅れをこの1シーズンでどれだけ克服できるのか? それが今季のひとつの焦点ではないかと私は読んでいたのです。

そんな彼にとっての課題のひとつは、パックハンドリングでした。パックハンドリングと一口に言っても、ゴール裏に回ってパスをフィードしたり、リムパックを止めたりすることに留まりません。ゴールの枠を外れていても、自分の危険範囲に及びそうなパックは未然に察知し、安全なエリアにクリアするという能力もその範疇に含まれるでしょうし、そうした能力はゴーリーにとっては大切な資産です。

正直、福藤選手の場合、日本でプレーしていた頃は、そうしたプレーは少なかったように思えます。コクドという日本でも強豪チーム内での環境においては、枠内に飛んで来たパックを確実に止めることにある程度集中すればよかったのです。よく日本でも、芋生ダスティ選手や菊地選手がゴール周りのパックをスティックでザクッとクリアしたりしますが、ああいったプレーは福藤選手には比較的少なかったという印象がありました。

そしてコンドルズに加入した福藤選手。シーズン序盤はまずまずの滑り出しを見せたものの、やや戸惑いも感じていたようです。11月上旬に一度電話で話を聞いた時には「リンクが狭いせいか、国際規格のリンクよりも展開が速いように思える」と不安を語っていました。

しかし今日の試合を見る限りでは、そういった部分を克服すべく、自分のプレーを進化させてきた跡が十分窺えました。

福藤選手はこう語ります。
「ウチはDFの守りが甘くなることがあるので、リバウンドをかなりコントロールしないとダメなんです」
「最初はパックハンドリングが全然できなくて、チームに迷惑をかけたんです。その後自分なりに練習してきたんで、最近はかなりできてると思います。それにこのアリーナは、パックがゴール裏やコーナーでヘンな跳ね返りをするので、高めから放り込まれた時にはあまりゴールから出ないように気をつけました」

もうひとつ、彼が進化した部分を挙げるとすれば、やはり精神面でしょうか。
いわゆるソフトゴール(容易いゴール)を与えた後でどう立ち直れるかという部分です。12月序盤のバンクーバー遠征時にはまさかの7失点という苦汁を味わった福藤選手ですが、その後見事に立ち直ってきました。もちろんバンクーバー遠征時には、もうひとりのGKペトルク故障のため、疲労という要素もあったのですが、それを差し引いても彼の精神的成長という部分を語らずにはいられません。

コンドルズのマーティ・レイモンドコーチはこう説明します。

「あの時期は彼がひとりでゴールを守らねばならないとう、若いGKにとっては酷な状況だった。我々スタッフとしては、まずペトルクが故障復帰後、彼に十分休養を取らせ、それから彼と話をする機会を持ち「悪い内容の試合は忘れるように」と伝えたんだ。以来、彼の集中力はアップしたよ。(1月上旬の)東海岸ツアーでは素晴らしいプレーを見せてくれたし、彼の自信レベルはさらに向上しつつある。今季この調子でいけば計20〜25勝は確実。これはルーキーGKとしては素晴らしい数字だ」

この日の試合でも、1ピリ序盤に許した相手のPPゴール(ゴール前完全フリーとなった相手選手に叩かれたシュートはセーブ。しかしそのリバウンドが浮いたところを、またまたゴール前フリーになった別の相手選手に叩かれるという、仕方ない失点でした)の後、2ピリには5オン3は2分近く続くなどピンチもあったのですが、難なく乗り切り。結果、チームメートをうまく乗せることに成功して、逆転へと繋げました。ちなみにこの日の勝利で、福藤選手は今季すでに15勝。これはリーグ全体でも堂々3位の数字となっています。

数字に現れてきたこともあってか、福藤選手の名前は徐々にリーグ全体へと浸透してきたような気がします。アウェイの舞台であるここボイジでも、試合前の選手紹介で福藤選手の名前が先発GKとしてコールされると、場内から拍手と歓声がちらほら挙がっていました。また福藤選手によると、地元アイダホ在住の日本人男性が、2日連続で応援に駆けつけていたそうです。その男性は、今日の試合を十分堪能したに違いないでしょう。

そういう私も、今日は十分に堪能させてもらいました。

思えば2年前の2003年2月。私はNHL取材のため北米入りしていたのですが、当時ECHLシンシナティに所属しながらそれまで出番のなかった福藤選手がデビュー間近という噂を聞きつけ、「スケジュールを調整して絶対観る!」と意気込んでもいたわけです。

そして運命の2月7日。忘れもしない私の○回目の誕生日でございました。
体調極悪により私はあえなくピッツバーグにてダウン。こんなことは私の取材歴でも稀に見る珍事でした。なのでこの日、ピッツバーグからわずか100kmほど離れたジョンズタウンで福藤選手がECHLデビューし、見事勝利を挙げていたなんてことは知る由もなく・・・翌日そのニュースをECHLの公式HPで知った私の荒れ具合といったら、それはもう筆舌に尽くし難いものがありました。いずれにしても、そういうポカを過去にやらかした前科アリなので、今回の取材はいつもに増して気合が入っていたわけです。

は〜、そんなことを書いていたら、すでに午前3時を回ってる!
実は今日はこれから午前6時のフライトで、ベイカーズフィールドまで移動なのです。フライトの接続が極めて悪いため、1日かけての移動になってしまうので、明日はブログにアップできるかどうか微妙です。どうぞご了承下さい。

24日(月)は、ホームのベイカーズフィールドでの試合を取材します。
また続きはこちらのブログにて!
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-23 19:35 | Fuku-chan report

アイダホ州ボイジとは?

ホッケーのお陰で、いろんなところに出張している私であります。

今回やってきたのは、アイダホ州ボイジ。昨季ECHLチャンピオンとしてケリー・カップを獲得したアイダホ・スティールヘッズの本拠地です。

小さなダウンタウンの中心にあるバンクオブアメリカセンターが、そのスティールヘッズのホームリンク。宿泊するホテルと隣接していて、ホテルから直接アリーナのスタンドに通じているという便利さです。アリーナの観客席サイズは長野ビッグハットのそれと同等。8年前にオープンしたという点でもビッグハットに通じるものがあります。ただひとつ大きな違いを述べるとすれば、このアリーナにはちゃんとラグジュアリースイートが設けられていることでしょうか。

で、なんでここにやって来たかというと、他でもない福藤豊選手(ECHLベイカーズフィールド・コンドルズ所属)の取材であります。私にとっては今季初の海外取材。成田〜サンフランシスコ〜ボイジと乗り継ぎ、その足でアリーナに直行といういつもに違わぬ強行軍ですが、疲れなんて感じるもんですか。もうそれはバリバリに覚醒してました。

ただし、ウオームアップで最初にシュート練習を受けたコンドルズのGKは、44番(注:福藤選手)ではなく、31番(ペトルク選手)。ホッケー観戦歴の長い方ならもうお分かりでしょうが、これはこの日の先発はペトルクであるというサインになるのです。満ち満ちていた気合が脆くも崩れかけたものの、プレスボックスでベイカーズフィールドのPR部長兼ラジオ実況を務めるケビンに「明日は福藤が先発だよ」と言われ、「おっしゃ〜あ!!!」とリチャージ。少しは気を取り直しました。

が、しかし。
コンドルズ、1ピリはボロかった・・・
GKペトルクがそれほどひどい訳でもないのに、第1ピリオドにいきなり4失点してしまったのです。とにかくチーム全体がひどいプレーをしてました。ケガ人が多いということもあるのでしょうが、これでよくディビジョントップを走ってられるなという展開でした。FWは小粒な選手が多く、スピードを生かせないと厳しい。アグレッシブに行かずに怠慢なスティックチェックに出るとペナルティ多発に繋がる(真面目にコンドルズ、ペナルティ多すぎ。チームPIM総計はリーグ4位で、マイナーペナルティだけに限局するとリーグ2位の多さ。特に福藤選手の出番の試合になぜだか多発傾向にあり)。DFはベテランが多いせいか動きが緩慢で、ゴール前で相手のマークを外したり、リバウンドを先にクリアできなかったり・・・という状況でした。おそらく悪い時のコンドルズ(11月の不振時とか)も、きっとこんな具合だったのね・・・と容易に想像できるような内容でした。

試合の流れを変えるという意味で、2ピリに福藤選手の出番があるのかもと思っていたのですが、残念ながら今日はそんな機会はなし。でも試合後、そのことを福藤選手に聞いたら「当然出たかったです。あの失点はGKの責任じゃないですけど、4点とられたところで、僕の番かな? とも思いました。でも自分で決められることではないので、我慢しました」。

そうは言いつつも、東海岸でのツアーでは好調を維持していた福藤選手。ホームに戻ってのvsラスベガス戦では「ゴール前になだれ込まれてマスクが脱げ、顔にすり傷、歯が欠けた」そうですが、比較的明るい表情でした。

トリノ五輪予選出場に関しては、今日コンドルズのマーティー・レイモンドコーチから話を切り出されたそうです。

実はコンドルズには、福藤選手同様、今回の五輪予選に出場するであろう選手がもうひとり所属しているのです。ノルウェー出身のラース・ペダー・ナグルがその選手。ナグルはここまで35ポイントと、チームトップの数字を残していますが、ポジションがセンターであるため「ウチはセンターが5人いるから大丈夫」ということで、すでに五輪予選出場を許可されたらしいのです。ただし、福藤選手はレイモンドコーチから「ただGKは2人しかいないから・・・」と渋い顔をされたそうで、五輪予選出場に関しては依然微妙な感じです。

日ア連としても、なんとか福藤選手を五輪予選に参加させようと、福藤選手の代理人や、コンドルズ・レイモンドコーチと接触しているようなのですが、まだその最終回答は得られていません。コンドルズとしては「NHL今季全面中止が決定になれば、福藤選手が五輪予選出場期間にNHLのGKと契約することも可能」という考えを持っているらしいのですが、果たしてそんなアテがすでにあるのかどうか。

ちなみに福藤選手は「五輪出場がかかった大事な試合だし、そんな舞台でプレーできれば自分の成長に繋がりますからね」と語っていました。強豪スイスとの対戦は、おそらくECHLレベルよりも数段高い内容になると想定されます。そういう意味では、日ア連関係者としても、福藤選手をドラフト指名したNHLロサンゼルス・キングズに「彼がこの五輪予選に出場できれば今後のキャリアアップにつながる経験ができる」と説明しているようです。

しかし、この五輪予選の前後は、かなりのハードスケジュールがコンドルズを待ち構えているのです。そんな難局が分かっていて、果たしてコンドルズは福藤選手の五輪予選参加を許可してくれるのか? コンドルズにとっては、かなり難しい判断が必要となりそうです。

それにしても、私にとっては昨季のシャーロット取材以来となったECHLホッケー。そういえば、このリーグのスキルレベルとは、この程度だったなあ・・・というのを思い出しました。確かにパスやシュート、ボディチェックなどのパワーは凄いですが、だからといってみんな上手いわけではない。まあ逆に言えば、ゴール前の混戦からのゴールとかが増えるため、GKにとっては防ぎにくい失点も増えてくわけですが。

いずれにせよ、こんなシチュエーションで某日本人選手がいたら、スルスル抜けてゴールを決め、会場を沸かせるんじゃないか・・・なんてことを何度も想像してしまいました。真面目にこのレベルだったら、日本のトップレベルの選手は問題なくプレーできるんですけどね。

さあて明日は午前練習取材に、夜はいよいよ福藤選手出場予定試合取材です!!!
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-22 18:25 | Fuku-chan report

トロントでの会合物別れと、ガセネタ続出

あ〜! またまた空しさの嵐が襲って来た!!!

前回お伝えした通り、NHL&NHLPAのフィーリングカップル3対3・・・ではなくって(あ〜!!!)、両巨頭を除いた幹部3名同士による会合は、1月19日、シカゴ・オヘア空港にて5時間近く実施されました。その詳細については明らかにされなかったものの「いい雰囲気の中で対話がもたれた」と参加者の弁。よってその翌日20日もトロントにて会合を続けることになったのです。(場所をシカゴからトロントに移したのは、この会合の参加者のひとりでPAナンバー2として知られるテッド・サスキン氏の母がトロントで逝去したことを配慮したからだそうです)

しかしこのトロントでの2日目、会合の席では楽観的雰囲気が消え失せてしまったらしいのです。

「2日間いい対話ができたが、考え方の開きは依然として大きい(NHLナンバー2のビル・デイリー氏)」

結局議論はまた「サラリーキャップありき(byオーナー側)」「贅沢税でなんとか(by選手側)という概念的レベルに戻ってしまったのでは? と伝えられています。

今後も話し合いは続くとのことですが、サスキン氏の状況を考慮して、翌日1月21日には会合予定はなし。サスキン氏、そんな状況でも過去2日間は仕事を優先してきたんですかね・・・いくら要職にあるとはいえ、なんか同情してしまいます。

さて、その過去2日間において「NHL今季開幕目前!」の誤報が飛び交うという悩ましい状況がありました。

まずはアメリカのTVネットワーク局であるFOXが、「8年契約で最初の4年は選手側が年俸カット、その後4年は贅沢税という内容で妥結目前」と報じたそうです。しかしこれは、FOXの担当者がカナディアンプレスの記事の一部『業界関係者が8年間のハイブリッド契約を提案した』という内容を、完全にはき違えて報じた誤報であることが分かったそうです。さらにオタワサン紙も「NHLPA側が6年契約(最低3年間はサラリーキャップなし)を提示した」と報じたり、はたまた「ダックスとコヨーテズの選手たちがもう用具を準備して開幕に備えろと言われた」とか報じるメディアもあり・・・しかし全てがガセネタと判明したようです。

あ〜、もう空しさ倍増。心が荒みます、真面目に。

これから福藤選手取材で、ちょっくらリフレッシュしてきます。
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-21 12:50 | CBA

NHL今季開幕最後の望み?

こういうのを一縷の望みというんでしょうかね?

昨年の12月14日以来、まったく会談が行われていなかったNHLとNHLPAが、緊急に次回会合開催を予定しました。

NHLPA選手会会長のトレバー・リンデン(バンクーバー)は、NHLとの「小グループによる」会合を1月19日に実施するよう急遽呼びかけ。この会合には、両陣営から各3名のみ参加するもので、ベットマン、グッドナウのNHL、NHLPA両巨頭は出席しないとの内容になっています。会合場所は当初明らかにされていませんでしたが、その後の報道でシカゴでの開催が噂されています。

PA側からはリンデンの他、ナンバー2のテッド・サスキン、外部顧問のジョン・マケンブリッジ氏が参加、NHL側からは、NHL代表者会議議長を務めるハーリー・ホッチキス氏(カルガリーのオーナーのひとり)、NHLナンバー2のビル・デイリー、外部顧問のボブ・バターマン氏が参加の見込みとなっています。

この会合での具体的議題は明らかにされていませんが、特筆すべきはやはり両巨頭を含めない会合形式でしょう。これについてリンデンは「グッドナウ氏は問題ないと言っている。こういう会合は稀というわけじゃない。過去の労使交渉において、こうした形態をとったこともある」と説明しています。

さらにリンデンは「この会合はPR目的で招集したわけではない」ともコメント。つまり「見込みのないリーグ再開に向けて、NHLPAがその姿勢だけ一般世間に売り込んだ」と受け取られたくないという、リンデンの強いメッセージが感じられます。

この会合で双方がどこまで腹を割って話をするかが、大きな焦点であることは間違いありません。ベットマン、グッドナウという「番犬」不在の環境で、選手側、オーナー側ともに分裂が囁かれる中、双方の提案に関して各々が直接率直な意見を交換する機会になるのでは・・・と期待されています。ただしそれが労使妥結に直ちに結びつくとは、正直考えにくいわけで、今季開幕への可能性は依然として極めて少ないままといっていいと思います。

ただ、下手をすれば2005−06年シーズンまで危ぶまれるのではとの声も出て来た昨今、この種の会合はたとえ手探り状態に終わったとしても、持たれないよりはまったくマシと考えるべき。同様に1月17日には、ブレンダン・シャナハン(デトロイト)が、マンハッタンのレストランでNHLベットマンコミッショナーとお忍びで会談していたとの報道もありました。その会談内容は労使協定ではなく、今後のルール改正についてだったそうですが、これがリーグ側とPA側が少なくとも再び交渉の席につくための手がかりになれば・・・と願うわけです。

さてここで、前回の投稿からしばらく経ってますので、その間の経緯も少し説明しましょう。

まずは1月11日、カロライナ・ハリケーンズのオーナー、ピーター・カーマノス氏の「自分が思うにもう今季はない」発言。その一方で、同時期、フィラデルフィア、NYレンジャーズ、ダラス、トロント、デトロイト、コロラドといった高収入6チームが、ベットマンコミッショナーに対して「早くリーグを開幕するように」と不満をぶちまけたという報道もありました(フィラデルフィア・インクワイアラーの記事を読む)。そのため、NHLはこの分裂をカモフラージュするために、カーマノス氏と仕組んでNHL側のスタンスを明らかにさせたのではとの見解もあるようです。94−95年ロックアウトの際には、94年スタンレーカップを獲得したレンジャーズ首脳が、NHLに対して「早期開幕を」とプレッシャーをかけたという経緯がありますし、以前も説明した通り今回もこうした分裂から交渉妥結に向かう可能性は十分あります。

かと思えば、その翌日にはマイク・モダノ(ダラス)がカナダ全国紙のナショナルポストに「10月になって『今後も団結は固い』などと言うのは難しい。『オレたち何やってるんだ』という選手たちが出て来るだろう」と語ったと報じられましたが、これに対してモダノは後日「自分のコメントが心外な形で使用された」と反論していましたが、「団結」が伝えられていた高年俸選手からもこうした発言が出て来たというのは、選手側のさらなる団結崩れを現す証拠といっていいでしょう。

しかしこうした流れを抑えるように、1月15日にはNHLPA代表グッドナウ氏が「選手たちは今季および来季のNHLシーズン中止に備え、ヨーロッパなどでの仕事を探すように」と通告したとの報じられました。代理人によっては、すでにヨーロッパのチームと来季の契約話を進めているとか、また故障のため北米に戻ってきていた選手が再びヨーロッパに渡るなどという報道もちらほら。ヨーロッパリーグへの移籍期限は1月31日となっており、それまでにさらに多くの選手たちがヨーロッパ目指して旅立っていくことと思われます。


ところで、前回の投稿で「NHL今季開幕の可能性があるとすれば、オーナーと選手がクーデターを起こすしかない」と書きました。

「クーデター」という表現は、非常に野蛮だったとちょっぴり反省しています。自由主義社会じゃあ他にやり方はあるわけですから。親玉の逆鱗に触れることなくスマートにこの種の会合開催に至ったリンデンは、ある意味偉いと思います。

他にも、こんな提案をした人がいました。
1月12日、スタン・キャステン氏(元NHLアトランタ・スラッシャーズ、NBAアトランタ・ホークス、MLBアトランタ・ブレーブス社長)は、両巨頭にある提案書簡を送付。その内容は以下の通りです。

*NHLベットマンコミッショナーから選手たちに対して、NHLPAグッドナウ代表からオーナー陣に対して、最新の提案内容を直接説明する機会を設ける。
*説明会終了後、オーナー側、選手側それぞれ無記名投票を実施。その結果を公表する。

この提案、NHLとPAそれぞれから即座に拒否されたのですが、実現してもらって無記名投票の結果を見たかった。それに少なくとも、私の野蛮なクーデター案よりはずっとスマートな提案でした。

いずれにしても、現地19日の会合内容が気になります。

(19日の会合についての現地記事を読む)
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-19 14:42 | CBA

国立代々木競技場で最後の試合?

国立代々木競技場には、それなりに思い入れはあります。
83年に開催された世界選手権には、ほとんど毎日足繁く通いました。日本リーグや全日本選手権での盛り上がりも知ってるし、NHL開幕戦でのあの昂揚感はいまでもはっきりと覚えています。

でも3年ぶりにホッケーの試合の取材に来てみて、真っ先に感じたのは現在の日本における閉塞感ってやつ。はっきり言います。場内は暗くて寒い。また観客席が遠浅状に広がってるせいで、試合が非常に観づらい。背番号はよく分からないし、選手の顔が完全に逆光になってしまって顔でも識別しずらい。併設された売店だって小さい。

代々木との最初の出会いからはや20年以上が経過した今、私はその間に多くの最新設備を海外で目にしてきました。最新のアリーナといえば、可動式の座席で競技間の早変わりなんてお手のもの。アリーナ上部にはコンピュータグラフィックを駆使したスコアボードが下がり、スイート席から通じるスタイリッシュなレストランは、お洒落人間の社交場と化す。アリーナによっては、無線LANとかも完備してたりする。

そんな知恵をつけた後、改めて代々木の現状を見ると、寂しい気持ちを通り越して諦めモードになったりもするのです。

しかし、かくいう私も代々木と同じ60年代生まれ。
いわば「糟糠の妻」状態の代々木を、「過去の遺物」呼ばわりするのは、まるで自分がそう呼ばれてるような気がして非常に辛いのです。

国立代々木競技場は、今シーズンをもって冬季アイススケート場としての営業を終了することを決定。ゆえに、日本のアイスホッケーの数々の舞台を提供してきたこのアリーナでの、今後のアイスホッケーの試合の開催が非常に厳しくなってしまいました。1月15、16日の両日、代々木で開催された集結シリーズが最後になってしまうのかも。試合の熱戦をよそに、これまでの代々木で経験してきた思い出への感傷と、日本のアイスホッケーにおける危機感を一段と強めた関係者やファンの方も多かったのではないでしょうか?

そんな私なんかより、ずっとずっと辛い思いをされているのが、君塚晋氏(日本アイスホッケー連盟常務理事・事業本部長)。古くからこの代々木で氷作りや大会運営を支えて来た君塚氏とのインタビューを、こちらに掲載したいと思います。


HWJ:今回の競技場側の決定はどう受け止められましたか?

君塚氏:代々木は僕が育った場所。ここで氷作りを覚えたんです。思い入れが強いだけに、ここがもう営業しなくなるのは寂しいです。イベントやコンサートでの利用もいいが、スポーツの拠点としても今後もっと使って欲しい。収益面だけを見るのではなく、こうしてホッケーでも盛り上がる大会があるのだから、今後も残して欲しい。夜中寝ないで氷を作った頃のことを考えると、なおさらそう思います。

世界選手権(’77年)の時はここが満員になったんです。階段や通路のところまで人が埋まっってました。東京からこうした大きなリンクが消えてしまうのは、アイスホッケーにとって実に大きなマイナスです。

その知らせを聞いた後、私は何度かお願いに出向いたのですが、私と(競技場側)場長さんのやりとりのレベルでは、それ以上話が進まない。上から「採算が合わない」と言われたら辞めるしかないの一点張りです。

昨日(1月15日)、この話題が(日ア連)常任理事会で出ました。このまま黙って引き下がるわけにはいきません。世界選手権(ディビジョン1)をここに誘致すべく、日ア連で動こうじゃないかと、富田会長(日ア連)もおっしゃってくれた。ここでもう一度大きな大会を開催し、その存在が認知されるようにするのも連盟の仕事です。可能かどうかは別として、我々が努力しないとダメです。

HWJ:代々木でのアイススケート場営業終了の知らせはいつご存じでしたか? その決定に至る具体的問題点とは?

君塚氏:冬季リンク営業を中止すると聞かされたのは、1年ほど前でした。現在代々木の経営は、文部科学省から独立行政法人として切り離されてるのです。つまり、ここだけで収益を上げないと成り立たない。国からの補助金はありませんから、事業を見直す必要があったそうです。実際のリンクの一般営業は、1日に10人程度しか入らない。当然維持費も赤字です。そこで「もうリンクの一般営業はやらない。イベント主催者側が経費を負担するのであれば、リンクの設営はもちろんしていただいて構いませんし、会場はお貸します」というスタンスを打ち出してきたのです。

これについては「もう決定事項です」というのが競技場の見解でした。つまり、大会を開催したければ、氷やフェンスの設営は自前で全部やれとということです。ただ2日間の大会を実施するのに、現在の代々木のシステムだと氷などの準備期間が2週間かかる。さらに大会終了後、撤収するのに3、4日はかかります。よって2日間の試合のために、数週間会場を押さえる費用も発生します。NHLチームのホームアリーナなどは、一晩あればリンクから他イベント設営へと早変わりができるのですけどね。

自前で設営まで負担するとなると、世界選手権レベルの試合を誘致しないと代々木での開催は厳しいです。アリーナ賃料以外にも、入場料の数%を競技場側に支払うことになりますし、設営のための労働力に対しても報酬が発生します。観客席下の倉庫からフェンスなどの資材を台車で全部運ぶ作業だけでも、40〜50人の人手が必要。いったんフェンスが固定できればその半分の人数で済みますが、フェンスのボルト締めなどは全て手作業なので、非常に時間がかかる作業なんです。

HWJ:先程NHLのホームアリーナの話が出ましたが、施設としての代々木の実力についてはどうお考えですか?

君塚氏:まず代々木でのリンク設営は、非常に多くの経費がかかるという問題があります。新横浜や東伏見のように、コンクリートの上にアイスマットが敷いてあるのではなく、リンクの下が空洞なんです。その空洞の上にまず板を張って、その上に冷媒用パイプを通しているため、どうしても下部分から暖まってしまう。なので他リンクと同じ具合に冷やしても、氷の固さが異なってしまうんです。しかし冷やしすぎると、下が何もないので重みで氷にひびが入って割れてしまう。ゆえに氷を維持するのにも大変なリンクです。冷凍機も東京五輪当時からの備え付けのものを使用している状況です。

ファンに対し、観てて楽しいものを提供するには、観戦する環境をよくしていかないとダメです。観客席にしても傾斜をつけて見やすくするよう改修できればいいのですが、建築家(丹下健三氏:国立代々木競技場他、東京都庁の設計者として世界的に知られる)の承認がないと、手直しできないと言われるのです。また公式の水泳大会を開催する予定がないのなら、空洞の部分を埋める工事をすればいいのですが、経費削減が叫ばれる昨今はそんな支出はなかなか許可されません。

ただ、できないと諦めてしまってはダメなんです。その現状を変えないといけませんし、ホッケーの大会を開催しないことには、リンクとしての存在意味もアピールできないし、収益も上がらない。今年の国体東京開催(代々木、東伏見、東大和と3カ所で同時開催)で、今年は全国から代々木に人が集まって来ますから、そこで多くの人に代々木の必要性を分かってもらいたいとも思っています。東京での冬季国体は初のことですし、大きな意味があると期待しています。

その他、ひとつの糸口として考えられるのは、文部科学省で始まったスポーツくじの収益金で「スポーツの拠点作り」という事業。各スポーツにとって「甲子園」的存在になる拠点をつくろうという動きで、そういう資金を代々木改修につぎ込むことは可能なはずなのです。しかし代々木の独立法人側がその気にならない。スポーツ団体として我々連盟側からプッシュはしていますが、東京都などからの支援がないと厳しいです。

HWJ:今後代々木での開催が断念せざるを得ない場合、代案として大きな会場はどこが考えられるのでしょうか? また一連のコクド・西武鉄道グループの不祥事から、同グループ下のリンクの営業存続も懸念されていますが・・・

君塚氏:他の競技場でもリンク設営は可能です。例えば東京体育館でも理論的には可能ですが、問題は冷凍機やフェンスを他所から持ち込むという部分。その点代々木にはすでに備え付けのものがあるし、その機材も長期間使用しないと傷みが激しくなるので、年に1度は使ってやらないといけないのです。さいたまスーパーアリーナ(2000年NHL日本開幕戦開催)については、構造上の問題があるため、再びアイスリンクを設営するのは非常に難しいと考えられます。

都内のリンク減少については、日ア連、東京都アイスホッケー連盟が東京都とタイアップし、自治体所有の多目的アリーナを作って欲しいと思います。また都内ではないですが、現在千葉市で新リンクを建設中です。清掃工場の余熱を利用できるので維持費は軽減できるのですが、観客席がないため試合開催ができないという難点があります。成田からも近い千葉市ですから、外国から招待したチームはすぐ寄れるという立地の良さもあるわけですから、大きなものを建設して欲しかったのですが。

ただ我々の過去の反省として、これまで連盟側が「もっと大きなものを」という考えが最初からなさすぎたと思うのです。堤義明氏(前日本アイスホッケー連盟会長)の下、連盟関係者は「堤氏がいるから、なんとかしてくれるはず」という依頼心が強すぎたlこともありました。今後はもっと我々が何事も積極的に関与していかなればと自覚し、そう動いていくべきなのです。


アジアリーグ公式HPでは、国立代々木競技場アイススケート場史についての記事が掲載されています。ぜひこちらも合わせてご覧下さい。)
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-17 12:21 | その他

トリノ五輪最終予選 日本代表発表

代々木集結1日め、行かれた方は楽しまれましたか?
ちなみに外見気にせずとにかく厚着しまくった私は、めでたく3試合完走です。
長いコートに、足元はジーンズをブーツの中に入れる。これが鉄則かな?

その本日、トリノ五輪最終予選グループA@スイス・クロテン(2月10日〜2月13日)に出場する日本代表メンバーが発表されました。以下はそのリストです。

団長:信田憲司
監督:マーク・マホン
コーチ:坂井寿如
GK:菊地尚哉、春名真仁、福藤豊、荻野順二
DF:宮内史隆、小堀恭之、キャラー・アーロン、河村正博、伊藤賢吾、大澤秀之、山口和良、高橋淳一
FW:藤田キヨシ、鈴木貴人、今洋祐、ユール・クリス、内山朋彦、神野徹、小原大輔、桜井邦彦、岩田康範、齋藤毅、奥山章文、伊藤雅俊、酒井隆行、石岡敏、西脇雅仁

今回のメンバーは初代表入りが9人と、非常にフレッシュな顔ぶれとなっています。
このうち、DFは7人、FWは13人、GKは3人が最終エントリーとなります。
このメンバーについて、マホン監督は「今回選出した選手は、ウチがやりたいスタイルを国際舞台で発揮できるようなメンバーだと自負している。若さと経験がうまく備わったチームとなるだろう。代表チームの趣旨として若い選手を育てることが必要だし、彼らが成長するできるよう押し上げていきたい。五輪予選は大きなチャレンジだがこの機会を楽しみにしている。長野カップなど、いいスケジュールが整ったし、いい準備ができると思う」と語っています。

GKについては、福藤選手の合流についてまだ現在「交渉中(坂井コーチ)」という段階のため、現在は4人を選出したという説明でした。福藤選手は長野カップの出場は無理。現在は最終予選になんとか間に合うように、現在福藤選手が在籍するECHLベイカーズフィールド、福藤選手を指名したNHLロサンゼルス・キングズと、日本代表スタッフが交渉している最中だそうです。マホン監督の話では「現在ロックアウト中のNHLが今季シーズン全面中止となれば、福藤が最終予選に出場できる確率は増えるかも。彼の成長のためには、これらの試合に出ておく必要があるとキングズには説明しておいた。ECHLはいいリーグだが、五輪予選の方が彼にとってより高いプレッシャーを経験して成長できる機会になる」とコメントしていました。

日本代表の今後の主なスケジュールは、以下の通りです。
1月19日〜25日:軽井沢にて合宿
1月26日:vsカナダ戦@東伏見(19:00)
1月28日:長野カップvsカナダ@ビッグハット(18:30)
1月29日:長野カップでのイベント、キッズアイスホッケークリニック
1月30日:長野カップvsロシア@ビッグハット(14;30)
2月3日:スイスへ移動
2月5日:強化試合vsチューリッヒ・ライオンズ
2月6日:強化試合vsクロテン・フライヤーズ
2月10日:最終予選vsスイス
2月12日:最終予選vsデンマーク
2月13日:最終予選vsノルウェー

対戦相手について、マホン監督はこう語っています。
「スイスが一番の強敵。ここ5、6年で非常に向上しているし世界ランクが9位。NHLロックアウトのおかげでGK2人がNHL選手(アービシャー、ガーバー)となる。デンマークはよく知った相手で、昨年の世界選手権では3−4で負けた。ノルウェーは今年世界選手権で対戦する相手。スケーティングがうまくスカンジナビアのチームだが、組みし易しと思っている」
「日本のスピードを生かしたい。昨季の世界選手権では非常に守りにいい基本ができていたと思う。ハードワークと守りは今後も主軸としたいが、攻撃面でもっと効率よくしたい。守りで頑張る必要があるが、試合に勝つには攻撃面が必要。チャンスをもっと作ってゴールを挙げたい。デンマークとは再戦になるし、ノルウェーは今年の世界選手権@ハンガリーでも対戦するので、その意味でもいい戦いをしたい。スイスについても、厳しい相手ではあるが1試合勝負だから分からない。相手は地元開催でプレッシャーもかかることだろう。」
「スイスについてはドイチェランドカップの試合をテープで観た。各国内リーグの休み期間に開催された大会だから、そこで出場していたメンバーがおそらく代表メンバーに近いと考えられる。デンマークについてはケガ人が続出しない限り顔ぶれは変わらないと思う。ノルウェーは、昨季デンマークをスカウトしたテープの相手がずっとノルウェーだったから情報は十分と見ている。」

この記者会見には、富田正一日ア連会長も同席し、アジアリーグの今後について以下のように語りました。

1)韓国の新チーム来季参画(カンウォンランド)が決定。
2)今年ロシア沿海州ウラジオストクに新リンクが建設されるので、今後極東からもう1チーム参画する可能性もある。
3)中国は今後強化が必要。中央政府がいくら予算を黒竜江省に出すかで今後が決まる。
4)ハバロフスクの選手、日本の大卒の選手を含め、外国人選手制度を見直す必要がある。それによってリーグのレベル均一化をできるだけ経済的に実施したい。

さらに富田会長は、日光アイスバックスの新オーナー就任の件にも触れ、「日ア連としては承認の方向で考えている。今後は兵庫県連盟との折衝が必要」ともコメントしていました。

そのバックスは、現在アジアリーグトップを走るコクドに3−1と快勝。
なんと私ごとですが、古河電工から日光アイスバックスへと生まれ変わって以来、バックスがレギュレーションタイムで勝利した試合を、私はやっと目撃することができました。これでもう疫病神扱いされずに済みそうです!
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-15 22:36 | その他

NHLとスポーツ弱者スパイラル

う〜ん、空しい。空しいです。

なにがそんなに空しいかというと、TSNで「いつまでに妥結すれば今季はまだ成立するか?」という議論をしてたのです。

グレン・ヒーリー:「2月に食い込んでも大丈夫。トレーニングキャンプなんて不要だ。どうせ選手たちはもうよそでプレーしてるじゃないか」
エリック・デュハチェク:「現実問題2月1日頃までに妥結すれば、1週間のトレーニングキャンプ期間を経て開幕に繋げることは可能」

ヒーリーの「トレーニングキャンプは不要。どうせ選手たちは・・・」発言に対して突っ込みたい欲求を抑えつつ、話を続けることにします。

「今季成立のための妥結期限」。これは、仮に妥結しそうな雰囲気が高まってる状況下であれば、議論としてひたすら盛り上がるお題でしょうね。しかし、いかんせん、現状は暗すぎる。全く両陣営の話し合いが持たれる様相のない今となっては、所詮虚空を切るよな議論に終わってしまう。

デュハチェク氏は冷静に続けます。
「ただし、それまでに交渉が妥結するとは思えません」

これを言い終えたデュハチェク氏、空しかっただろうな。

10年前に、NHL労使交渉が妥結したのが95年1月11日。すでにこの1月11日という指標日を踏み越えようとする今季、「まだ間に合う。40試合スケジュールで行ける」という記事を書く記者さん(トロントサン紙の記事を読む)もありました。

それは筋書きでは確かに可能です。でもそれはあくまで筋書き上の話。書いた本人も、たとえ交渉が再開したとしても、両陣営が話す具体的内容なんてもはや皆無なのは、おそらく分かってて書いてるはずです。でもこの記事によって「今すぐ交渉の席につけ!」と、両陣営をけしかけたい・・・などという願望が、そこには潜んでいたのだと察します。

もちろん今季開幕への希望への糸口が、全くないわけではありません。
内情を暴くまでもなく、NHLが仕切るオーナー側だって、PAがかろうじてまとめようとしてる選手側だって、かなりの分裂の様相を示してるのです。

ただし、それを妨げようとするのが両陣営の長たる人物たち。オーナー側が不平を公に示せば、NHLから25万ドルという膨大な制裁金が課せられる。PAにたてつけば、背信行為としてその選手(言わずと知れたロブ・レイの一件です)はPAから一方的に引退選手扱いとされ、ロックアウト中の給付金の対象外とされてしまうなんてこともありました。こうなるとどっちも包囲網ずくめの恐怖政治です。しかも、どっちのリーダーたちも、寒くなった自分のクビを守るために依怙地になっている。これでは発展的な交渉は望めません。

それでもまだ今季開催が実現するとすれば、以下のシナリオのみで可能でしょう。

オーナー側&選手側がともにクーデターを企てて、両陣営ボスを失脚に追い込む。本当の意味での両陣営の統一見解を早急に練り直し、「Take it or leave it」じゃなくって、お互いの主張を取捨選択し譲歩の必要があれば譲歩するという、本当の意味でのネゴシエーションに入る。そして奇跡的に両陣営は妥結に至る。

ただしこの「クーデター」案は、現実離れした戯言であり、戦略的には飛び道具。実際権力者が君臨しているうちには、それに阿るのが人間の性というやつ。よってこれが天文学的レベルで不可能に近いことは分かっていますし、私はそれを両陣営にけしかけるつもりは毛頭ないし、そんな力など私ごときにはありません。ほぼ妄想の世界です。それを承知で書いてますので、ツッコミ無用ということでよろしく。敢えて今季可能性があるとすればそれしかない、それほど無理めな状況だということです。

ただ先程のTSNの議論よろしく、ついついそういったあり得もしない方向に考えを馳せてしまう。そんな自分が一番空しい。

もちろん、別に今季無理矢理シーズンを開幕する必要はないという声もあります。
両陣営とも団結に綻びが見えているのだから、それが自然崩壊するのを待てばいいと。94−95年の時もそういう糸口からの妥結でしたし。

なので私も以前はこう思ってたのです。
「どうせ揉めるのなら、1シーズン無駄にする覚悟でとことんやれ!」と。
途中開幕して、レギュラーシーズン40試合程度でお茶を濁されるのも、ちょっとツライかも・・・とも思っていましたから。

でもね、それは、ここまでひどい交渉展開になるとは予測してなかった頃の話。
このまま無為に過ごす時間が増えれば、中止になるのは今季1シーズンでは済まなくなる可能性も大いにあり得る今、そんな悠長なことはもう言ってられません。

さらにUSAトゥデイの記事が、警鐘を鳴らします。

「今季NHLシーズンが労使紛争のため全面中止になった場合、残念に思いますか?」という問いに対し、50%のスポーツファンが「全く残念に思わない」と回答したとか。「とても残念(12%)」、「ある程度残念(20%)」、と答えた割合を大きく上回っています。

ある程度予期していたものの、それでも改めて考えさせられる結果でもありました。
半数の人が「全く残念に思わない」。「あまり残念に思わない(17%)」と含むと、3分の2以上の人が「NHL? 別にどうだっていい」と思ってるわけです。

90年代には「北米スポーツの中で最も高い成長度を誇るスポーツ」として、もてはやされたNHL。当時、将来はバラ色に見えたものです。アメリカの景気回復に後押しされて、チーム数の増加に、五輪へのNHL選手参戦、新アリーナの建設ラッシュに、米TVネットワークとの放映権契約などなど。「日本ではなかなかホッケー人気が向上しなくって・・・」などとアメリカで話をすれば、「そりゃあマーケティング手法が間違ってるしかないでしょう」と、ホッケーをろくに知らなそうな人にまで指摘を受けたものでした。

そのNHLが近年失速し、過去に積み上げた財産を蕩尽してしまっている。原因は、年俸高騰と逼迫したチーム経営によるチケット価格の高騰、他スポーツとの厳しい競合、試合の低得点化による一般スポーツファンへの魅力減退、ホッケー新興地域でのファン獲得に苦戦・・・などなど、挙げ出したらキリがありません。試合の熱戦ぶりがTVで伝わりにくく視聴率がとれないため、TV局側はその契約金や露出さえも控えてしまうという悪循環もあるでしょう。そして古参記者たちは、形だけ先走ってビッグビジネスに成り上がったNHLは、選手のメンタリティまで変えてしまった、とまで嘆く有様です。

ひとつ言っておきますが、私は「ホッケーは世界一魅力のあるスポーツ」と信じてやまない人間です。誰も好きなスポーツの恥部を、好んで自ら晒したりしたくない。でもそれを覆い隠して現実逃避するのはもっと罪深い。さらに言えば、現在の問題を正すには、過去の経緯を明らかにする必要もある。だからこうしてクドクドと書いてるわけで。

ゆえに、たとえ奇跡が起こり、近い将来に晴れて労使妥結の運びになったとしても、NHLにとっては課題は山積です。以前から打撃を受けていたNHLのマーケティング的価値なのですから、ロックアウトが長引けば長引くほど、その価値はさらに目減りして行くだけ。ダウンした価値を再び高めるのは、容易な仕事ではないでしょう。

NHL労使交渉の実態。それは、トンネルの向こうが見えないという暗黒状態を呈しているだけでなく、そのスポーツ自体をも確実にスポーツ弱者スパイラルに突き落としているのです。

ちなみにUSAトゥデイのこの記事を書いた記者さんは、ホッケーが専門の方。厳しい内容の調査結果を掲載することによって、NHL界全体に鞭打つ決意で書いてるはずです。そのメッセージが、リーグにも選手にも届いていればいいのですが。

あ、繰り返しになりますが、私の妄想案は、他の記者さんたちとはそもそもの目的が違いますので、ひとつの読み物として楽しんでいただければと。くれぐれも取り扱いにご注意ください。
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# by hockeyworldjapan | 2005-01-12 19:25 | CBA