交渉はOTに突入。妥結の可能性浮上?

先週末が交渉期限とされたNHL労使交渉。しかし、ここに来てまた新たな展開が出て来たようなので、状況を解説したいと思います。

NHLPAはついにサラリーキャップを容認。NHLもそれまでこだわりを見せていた「リーグ収入と選手年俸の割合(53〜55%)」を提案から取り下げたのです。まあ、その内容を精査すると、それほど両者が軟化したというわけでもないのですが、「サラリーキャップ」という大きな概念的な壁をやっとクリアし、やっと金額的な部分の交渉に移行することができるのでは・・・という見方が強まっています。(ま、そこからが大変ではありますが)

現地2月14日、NHLとNHLPAは、ニューヨーク州ナイアガラフォールズにてデイリー&サスキンのナンバー2同士での秘密会合を実施。この会合は実に翌日15日未明までもつれこんだようです。

その長丁場もあってか、NHLはいったん14日深夜に「16日にベットマンコミッショナーの記者会見実施」を発表。メディアはまずこのニュースに食いつき「これで今季全面中止が確実に」と報道しました。(特に現地2月15日付の新聞報道は締め切りの都合上、ニュースの内容がここまでになっています)

しかし、会合終了後の15日未明、今度はNHLPAが「NHL側がリーグ収入と選手年俸の割合を盛り込むことを提案から取り下げた。そしてPA側からは、贅沢税、サラリーキャップ5200万ドル双方を盛り込んだ提案を提示した」との声明を発表。一転、妥結への期待が浮上してきたわけです。(NHLPAの声明文を読む)

TSNによると、PA側の提案内容は以下の通りです。(TSNの記事を読む)

*チーム年俸上限(ハードキャップ)を5200万ドルとする。ただし6年の新協定期間のうち3回まで、この10%増の額(つまり5720万ドル)まで費やすことができる。

*贅沢税を以下のチーム年俸に対して課す。
4000万ドル〜4400万ドル:25%
4400万ドル〜4800万ドル:50%
4800万ドル〜5200万ドル:75%
5200万ドル〜5720万ドル:150%

・・・というわけで、この案をNHLが受け入れるわけもなく、即拒否されたようです。24%一律ペイカットの後のキャップ額(10%超過の場合5720万ドル)って、現在7526万ドル使ってるチームまで当てはまる(爆)。ちなみに昨季年俸でいくと(2003年11月THN情報で申し訳ないのですが)、7526万ドル以上使ってるチームって、デトロイト(7783万ドル)、NYレンジャーズ(7701万ドル)の2チームのみ。この2チームだって、ちょっと買い控えしたら、このレベルはすぐクリアできるでしょう・・・ってことで、もう笑うしかない内容です。ま、この数字をPAが提示してきた背景には当然裏がありますので、それは後ほど説明することとしましょう。

ちなみに5720万ドル使ったチームが払う贅沢税を計算してみたところ、1380万ドルとなる。そのチームは、年俸分と合わせて計7100万ドル費やせばいいわけだから、下手すりゃ昨季年俸より安上がりってことで、そりゃその贅沢税だって払ってでも使うでしょう。収入分配策としても、そんなチームが3つ出現しても、計4140万ドルだから、低年俸チーム(たとえば10チーム)で割ったとしてもせいぜい400万ドルにしかなりません。

またこの日の会合では、NHL側から贅沢税を盛り込んだ提示がなされた模様です。
その内容は以下の通りです。

*チーム年俸上限(ハードキャップ)を4000万ドルに設置。

*3400〜4000万ドルに50%の贅沢税を設置。


・・・と両陣営まだ大きな開きはありますが、PAが形なりにもサラリーキャップという概念を公式に受け入れ、またNHL側も収入と選手年俸の割合導入を提案から落としたことで、歩み寄りの姿勢はある。一応進展があったことは認めます。な〜んで昨年夏の時点でこういう方向に話に持って行けなかったのかな〜とは思いますが、何にも起こらないよりはマシと考えるべきでしょう。

ただね、NHLはあんなに「Linkage」「Linkage」(リーグ収入と選手年俸割合リンクのことです。53〜55%という例の数字)と口が酸っぱくなるくらい叫んでたのに、あっさり引き下がった。一方、PAはなんでこの期に及んで一転、サラリーキャップを認める立場に切り替えたのか。そのあたりの裏事情をここで説明したいと思います。

それは以前にもちょっと説明したのですが、もしこのまま今季全面中止ということになれば、今後法廷で争われるの可能性もある背景にあるのです。で、その司法介入に至った場合、「両陣営のうち、交渉に応じる姿勢を見せていないのはどちらか?」というのが、裁定材料になると言われています。

そういう意味では、この時期にいずれかの陣営が持論にこだわりを見せれば見せるほど、いざ法廷での争いとなった場合にマイナス材料となる。よってこだわる意志はありませんとアピールする必要がここではあったらしいのです。同様な動きとして、NHLが連邦調停人を加えて交渉を実施したという報道もありましたが、これもひとつのアピールとしての動きだったのでは、とも指摘されています。

さらにPA提示の5200万ドルという額については、PAとしてもまさかこの数字で妥結できるなんて思ってもいないでしょう。おそらく4600万ドルあたりを妥結ラインとして考え、交渉術として5200万ドルという高めの数字をまずはオファーしたのだと思われます。

で、管理人個人の勝手な今後の予測ですが(あくまで成り行き予想です。希望は入ってません)、この両提案の中庸をとって妥結するんではないかと。つまりハードキャップ4600万ドルあたり。じゃあいつ妥結するの? という部分については、今後を見守るしかありませんというしかない。また妥結内容の善し悪しについては、実際妥結後にまた新たに議論したいと思っております。

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# by hockeyworldjapan | 2005-02-16 10:02 | CBA

期限の週末も終わり・・・

やっぱりそろそろ幕引きですかね?

現地日曜の2月13日、NHL労使交渉は、ワシントンでアメリカ連邦調停人を交え、5時間に渡る会合を実施しました。しかし連邦調停人の介入もむなしく、こちらも進展はなしと終わったそうです(関連記事を英文で読む)

2月10日の会合が物別れに終わった後、かなりの要職にある連邦調停人の要請に基づき、この日は会合を実施したNHLとNHLPAだったそうですが、これには両サイドの巨頭(ベットマンNHLコミッショナー、グッドナウPA代表)は参加しておらず、そういう意味ではややテンションの低い会合だったのでは、と推測されています。

その一方で、NHLはその前日の土曜日の2月12日、30チームのオーナー、GMらに向けて以下のような書簡を送信しています(関連記事を英語で読む)

1)今後はメディアに対し、ロックアウト関連のコメントをしてもよい(注:それまではコメントを出した関係者に、最高25万ドルという巨額罰金が課せられていた)

2)今後は選手と接触してもよい(注:これまでは故障者、マイナーリーグでプレーすることを合意した選手を除き、一切の接触が禁じられていた)

これによってNHLは、GMと選手側がある意味での連帯を築き、それによってPAの立場を孤立化させようという目論んでるのではと考えられています。

で、現状を改めて説明すると、こんな感じです。

オーナー側は形勢有利ってことで、強硬な姿勢を緩めません。1994−95年には、その前のシーズンに優勝したNYレンジャーズや、同じく人気チームのデトロイトなどが、NHLのアメリカでの人気獲得に貢献していたこともあって、労使交渉では大きな発言力を持っていたのです。そうしたチームが「早くシーズンを開幕させろ」とプレッシャーをかけたことで、結局はオーナー側にとって納得のいかない提案内容で妥結させてしまったという前例がある。それゆえに今回の交渉では「前回の二の轍踏むな」という強い意志が、オーナー側に見られるという意見もあります。

逆に、弱みを握られてるのは、やはり選手側でしょうか。最近ではローニック発言にもあるように、条件付きならサラリーキャップに応じてもよい(といってもリーグ提案の実質4000万ドル(さらに今後は減少に転じる可能性大)の天井値でなく、4700万ドルでリーグ収入とは無関係に設置、あるいは贅沢税との混合型など)という風潮もかなり有力になりつつあるとは言われています。

早ければ現地時間2月14日(日本時間2月15日早朝)にでも、NHL今季全面中止が発表されるということですが・・・NHL本部のあるニューヨークでは、2月14日にも今季幕引きの段取りについて議論が交わされ、その後ベットマンコミッショナーが全面中止を発表すると噂されているようです(トロントサンの記事を読む)

シーズン全面中止となれば、北米4大スポーツでは初、スタンレーカップ優勝チームが不在なのは1919年以来(この年はスペイン風邪の大流行で決勝が途中でキャンセル)となります。

前回は、期限ギリギリになってPAの親玉グッドナウ氏が「再度提案」を提示し、妥結に至ったのですが・・・巷の声は「10年前とは違って、両陣営の考えに開きがありすぎ」。というわけで、妥結という奇跡が起こる可能性は、天文学的に少ないと言ってよさそうです。

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# by hockeyworldjapan | 2005-02-14 22:58 | CBA

交渉期限は今週末!

・・・って、宣言する意味があるのかどうか。

お騒がせ中でありますNHL労使交渉ですが、いよいよ今季幕引きのための交渉期限が「今週末」とNHL側から明言されました。仮にそれまでに妥結できたら、レギュラーシーズン28試合で開幕する。決裂となれば、翌2月14日にも今季全面中止宣言がなされるのでは、と見られています。

で、その期限までに交渉が妥結する確率ですが、相変わらずかなり厳しいといっていいでしょう。2月9日、10日の両日にも交渉が実施されましたが、その内容はある意味逆戻りでした。

2月9日の会合では、NHL側が噂通り新提案を提示しました。しかしその内容というのは、新提案でもなんでもない。12月9日のPA側提案(24%一律ペイカット、贅沢税、収入分配)をとりあえず実施し、その結果NHL側が提示する4つの条件のいずれかひとつにでもあてはまった場合は、2月2日のNHL提案に即移行するという内容でした。

NHL側の提示する4つの条件とは以下の通りです。

1)リーグ全体の選手総年俸支出が、リーグ収入の55%を超える
2)高額年俸チームのトップ3の平均額が、低額年俸トップ3の平均額を33%以上上回る。
3)高額年俸トップ3のいずれかが、4200万ドルを超える
4)平均チーム総年俸が3650万ドルを超える

PA側は、上記の条件のうち少なくとも1つは即座に該当すると主張し、この提案に意味なしとして、ばっさり拒否しています。

NHLベットマンコミッショナーは、2月9日に提案後、会見を通じ「今回の提案で我々は非常に寛容な提示をしたつもり。これが最大限の譲歩」とコメントしています。「PA側の提案を試行する機会を与えてやったのだから、我々ってな〜んて太っ腹」といいたげです。

う〜ん、確かにその論理は正しいし、ある意味完璧である。これが秘密裏に行われてる交渉だったら、やり込められた側はもう降参してるかも知れない。それで「ベットマンすごい! さっすがやり手弁護士」ってことになるんだけど。

でもこの提案は、PA側へのあてこすりと挑発に満ちている。だからPA側が折れるわけがない。それにファンに対して「NHL側はやることやりました。今季が潰れたら後はPAのせい」と今季全面中止となった場合の責任の所在をPAに押し付けるという要素も、多分にあるとは思います。

しかし問題は、メディアも、そして敏感なファンも、その辺のベットマン氏のトリックの胡散臭さを敏感に嗅ぎ取ってるってこと。そんな小細工は、ただでさえシラケ気味のホッケーファンを余計に呆れされる。

いっそのこと「申し訳ないが今季はもう全面中止にする。だが一刻も早く交渉妥結し、来季予定通りの開幕を死守するために今後も交渉を続ける」とコメントした方が潔いばかりか、よっぽど誠意がある。リーグ収入と選手年俸の割合を一定化するって理論だって、もっとうまくアピールできるはずではないか・・・私はそう思います。

現地2月10日の会談も3時間で物別れ。交渉にはアメリカ人仲裁者が加わったそうですがこれも効き目なし。PA側は「NHL側は真面目に交渉する気がない(PAナンバー2のテッド・サスキン)」と言い捨てるほど、交渉の雰囲気はかなり悪化している模様です。

まあ、そう言いつつも、私だって一縷の望みはまだ捨ててはおりませんが・・・(しつこい?)
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# by hockeyworldjapan | 2005-02-11 19:30 | CBA

NHL労使交渉。で、今の争点は何?

・・・と言われそうなので、一応書いておきます。

もちろん「サラリーキャップ」の導入の有無もひとつの焦点であることは変わりないのですが、選手の中には「NHL提案の通りとはいかないが、キャップという概念は受け入れてもいいのでは?」「キャップ&贅沢税の双方をシステムとして取り入れたらどうか?」という人たちも出て来てはいるのです。ただしそういう選手たちが、全体の何%に相当するのか、またその選手たちであっても「キャップ容認派」と一括にしてしまうのは、実際に難しいというのが現状ではあります。

で、PA側として、NHL提案の中で一番の問題になっているのが、「リーグ総収入の53〜55%を、選手年俸総支出とする」という部分。理論だけをとってみれば、このNHLの主張は至極正当のように思われますし、各チームのキャップ額を算出するためにこうした技法を取るのは、基本中の基本ではあります。

ただし、これをNHLの現状と照らし合わせてみると、PAにとってはこのシステムの即座導入は非常に痛いタイミングなのです。というのも、NHLでは(1)アメリカでのTV放映権収入の大幅ダウン、(2)ロックアウトの余波によるその他の収入の激減、などの背景により、近々リーグ総収入が大幅ダウンする可能性が大であるからです。

ひとつの例をここで挙げておきます。

現在のNHL提案で妥結したとして、来季2005−06年はフルシーズンが戦われたとします。しかし、先に挙げた(1)、(2)の理由で、リーグ総収入は30%ダウンしたとしましょう。

2005−06年でのチーム別サラリーキャップ額は、3200万ドル〜4200万ドル(福利厚生費を除いた純粋な年俸額では、約3000万ドル〜4000万ドル)。しかしその翌シーズンのキャップ額は、リーグ総収入の30%ダウンを加味した額、つまり30%ダウンの2100万ドル〜2800万ドルとなるのです

もちろんリーグ総収入が実際に30%もダウンするのかどうか・・・という議論も必要だとは思われるのですが、キャップ上限2800万ドルというのはPAにとってはかなり低い数字であることは間違いありません。というわけで、PA側がこの「リーグ総収入の53〜55%を、選手年俸総支出とする」というコンセプトに猛反駁しているのは、そういう背景があるからなのです。

さらにPA側としては「選手たちはロックアウトされた方。ロックアウトによる収入減の責任はオーナー側にある」という議論もあるでしょうが、それは正直お互い様だと思う。逆にPA側としては、待てば待つほどリーグ総収入減の可能性が増えて行くわけだし、NHL側としてはPA側にプレッシャーをかける上でいい材料になっているような気がします。

いずれにしても、(1)このまま交渉しない日々が続き、タイムリミットを迎える →(2)今季全面中止宣言がなされる →(3)どうせ来季は9月までキャンプもないし・・・ってんで緊迫感が薄れる → (4)交渉がさらに膠着状態になる →(5)ファン置いてきぼり化がさらに進行する・・・といったシナリオを、私は一番恐れています。(「ホッケー食べて、飲んでる」カナダでもファン離れが進行してます)

この際はっきり言いましょう。
別に今季開幕しなくたっていいんです。
でも、これだけは言いたい。交渉だけは続けろと。

PA側がロックアウトの余波を気にするなら、NHL側は最初の2年は暫定的にキャップ額を据え置くとかの措置も提示してやれば? とも思う。それと引き換えにNHL側は他の条件で強く出られることでしょうから。そういうのが「交渉」ってもんじゃないかと思うのですが。

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# by hockeyworldjapan | 2005-02-09 14:27 | CBA

続・五輪&NHL

2010年のバンクーバー冬季五輪のカナダの放映権は、CTV、TSN、ロジャーズスポーツネットの民放混成チームが、国営放送のCBCを破って獲得したそうです。(これでCBCでは、さらなるレイオフが進むと予想)。

NHL労使交渉がここ数日全く新しい動きがないので、さすがのTSNもネタ切れしたのか、いきなり「2010年のチームカナダはどんな選手たち?」と気の早い話をしてました。ま、放映権獲得内輪盛り上げ企画で無理矢理突っ走ったという感じでしょうか?

そのあたりの内輪盛り上げの話はこれくらいにして、先日こんな話題がありました。

2月1日、IOC会長ジャック・ロゲ氏が、2010年五輪開催地のバンクーバーを訪問しました。その際に「五輪アスリートは、最低年俸600万ドルを求めてストライキなんかしない」と発言。場内500名以上の聴衆から大きな喝采を浴びたそうです。

ただし、後になって自分の発言に関するカナダ国内での反響の多さに驚愕したらしく、そこではかなりの弁解モードでした。自らもヨットで3回五輪出場で、ラガーマンというロゲ氏。ソルトレーク五輪では自ら選手村で寝起きするという「庶民派」を打ち出した彼らしい発言ではあったわけですが、例によってNHLロックアウトによりニュースに飢えてるカナダのメディアにとっては、実にツッコミ甲斐がある取材対象だったわけです。ベルギー出身の方なので、さすがにカナダでのNHL関連報道の凄まじさは予想できなかったか・・・という好例でした。

そしてかねてから「ベットマン嫌い」とお伝えしてきたIIHFルネ・ファーゼル会長も、このIOCロゲ会長とともにバンクーバー入り。到着当初は「NHL選手の2006年トリノ五輪参戦? ギリギリまで門戸を開くよ」と穏当な発言を残してたのです。しかしその翌日、NHL選手にチクリと刺したロゲ会長と同期化したのか、ファーゼル会長は猛然と掌返しに出ました。

「来季NHLシーズンが成立し、NHL選手参戦のために五輪ブレイクが設定されなくても、NHL選手がトリノ五輪に出場する手段はある」

この発言の状況説明をしたいと思います。
現在労使交渉が難航している状況を睨み、NHLベットマンコミッショナーは「たとえ労使交渉が妥結しても、来季レギュラーシーズン中に五輪ブレイクを設ける可能性は薄い」とコメント。ここには「NHLはトリノ五輪について配慮する用意はない」という意図が汲み取れます。

それまで「NHLにスリスリ」する姿勢を打ち出していたファーゼル会長なのですが、「さすがにそこまで舐められちゃあかなわん!」と、ロゲ会長(整形外科医@ベルギーです。歯科医@スイスのファーゼルさんにとっては、ベットマンコミッショナーより付き合いやすい相手に違いない)の後ろ盾に背中を押されたこともあってか、上記の掌返し発言に出たようです。まさに売り言葉に買い言葉とはこのこと。まあ、気持ちは分かります。

さらにファーゼル会長は「各国連盟は、選手たちにNHL契約を思いとどまらせ、五輪に出場させる案を持っている」とベットマンコミッショナーに対して宣戦布告とも受け止められる発言も。そして「NHL選手が参加しなくたって五輪は大丈夫」的な発言も残しています。そして2004−05年シーズンが全面中止になれば「(2005年)ウイーンでの世界選手権はとっても面白くなるだろうよ」と挑戦的。高額契約選手たちの保険が問題となりかねないが? と聞かれると「トップクラスの高額年俸選手を除き、現在ヨーロッパでプレーしている選手たちはみんな保険でカバーされているから、世界選手権でも同様に問題ない」と余裕をぶちかましていたそうです。

ただ、こうしたファーゼル会長の発言を尻目に、おそらくベットマンコミッショナーの腹の内は「トリノはどうでもいい。バンクーバーさえ参戦できれば」というとこではないかと察するのです。実際、1998年長野五輪の際もNHLとしては、「(2002年)ソルトレークの予行演習のつもりで」というノリでしたしね・・・仮にトリノに参戦するとなったとしても、また長野の時と同様に選手たちからは「時差ぼけうんぬん」でスケジューリングに苦情が出るのは目に見えてもいます。

そのトリノ五輪、各国は2005年10月までに選手リスト提出が求められ、2005年1月にさらにその詳細リスト提出が必要となります。ただし直前でのメンバー変更はアリらしい。ということで、かなり直前までバタバタすることが予想されます。

そして本日(2月10日)から、スイス・クロテンで日本代表がそのトリノの出場権を賭けて戦います。いい結果を期待したいものです。
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# by hockeyworldjapan | 2005-02-09 13:36 | NHL overall

NHL選手たち@ヨーロッパ

労使交渉妥結の見込みのないまま、NHL選手は現在半数以上がヨーロッパに流出中です。その中で気になる人の流れがあったので、ご報告します。

マリアン・ホッサ&マリアン・ガボリク:
スロバキアの誇る強烈FW2人ですが、スウェーデンリーグのチームから、故郷スロバキアのトレンチンに移籍しています。ガボリクはスウェーデンでの試合で、トーマス・スティーンの息子、アレクサンダーからスラッシングを受けて左手小指を負傷したらしいけど、その後は大丈夫だったのかしらん? ガボリクのスウェーデンリーグ・ファージェスタッズとの契約はどうも1ヶ月のみという条件だったそうです。
一方、ホッサもガボリク同様、シーズン開幕時はトレンチンでプレー、その後弟マルセルと一緒にプレーするためにスウェーデンリーグ・モラに所属していましたが、モラ移籍前に「プレーオフ前にはトレンチンに戻ってくる」と宣言していたそうです。で、そのトレンチンには、パボル・デミトラ(今はスロバキアリーグ断トツのスコアリングリーダーだそう)も在籍しており、今季序盤はデミトラとマリアン2人が一緒のラインがプレーしていた模様。う〜ん、豪華です。ぜひ観てみたいものです。

*ヴェサ・トスカラ:スウェーデンHV71から故郷フィンランド・タンペレに移籍。

*オリ・ヨキネン:スウェーデンリーグから故郷フィンランド・IFKヘルシンキに移籍。

*フランティセク・カベルレ:故郷のチェコリーグ・クラドノから、スウェーデンリーグ・モドに移籍。

*ロスティスラフ・クレスラ:故郷チェコリーグから、フィンランドリーグHPKに移籍。
(なんかチェコ人だけが、故郷→他国と動きが逆行してるのですが、なんででしょうか?)

*ジョージ・ララック:
日本でも王子製紙の若手留学先、もしくは二瓶兄弟がジュニア時代に過ごしたことでしられる知られるスウェーデン・ストックホルムの名門AIKに移籍。ただ名門といっても最近のAIKはかなりの不振を極め、現在はなんと3部リーグ(現地ではディビジョン1Bと呼ぶそう)まで降格しているそうです。
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# by hockeyworldjapan | 2005-02-09 13:06 | NHL overall

まだまだ引っ張る? いえ、もう限界?

2月3日、4日の連日の会合もむなしく、NHLとNHLPAは決裂してます。

こうなると「じゃあシーズン全面中止宣言はいつよ?」という報道が今度は過熱するわけです。

まずは、ESPNマガジンのEJラデック記者が「あるオーナーが『今後48時間以内にシーズン全面中止になる』と語った」と報じました。が、まだいまのところ中止宣言は出されていません。ただし「そうなるのも時間の問題」というニュアンスの記事が後続を断たないことも確かです。

はたまた、JRことジェレミー・ローニックは、ESPNとのインタビューで「サラリーキャップ制の下でも、NHL選手たちは生き延びることができるかも(「現在提示されているような甚だしいレベルでないものだが」と、JRは付け加えてはいましたが、これが選手によるキャップ容認宣言と受け止められてみな大騒ぎ)」「個人的には選手投票に賛成」と発言。これが呼び水となって、今度は「選手全員による、NHL提案についての投票を実施しろ」という後続記事が後を断たず、さらには「ベットマンをクビにしろ(トロントサン紙の記事:「ビル・デイリーの株が上がってる。デイリーはウイニペグ出身ででホッケーに馴染みあり。でも一番の後任候補はルー・ラモリエロ」だってさ)」「グッドナウをクビにしろ」系の記事も続出。こうなるとどさくさに紛れてやりたい放題、混乱の極みです。

さらにバンクーバー地元紙は、「世論調査によるとトレバー・リンデンの好感度がアップした」と報道。1月28〜2月2日に339人を対象とした面接調査で、コアなNHLファンのうち41%、ホッケーファンでない人のうちでも30%が、以前よりもリンデンに敬意を抱くようになったとか。逆に「敬意を失った」としたコアファンは18%、非ホッケーファンは17%だったらしい。日本のプロ野球でいう、古田敦也の人気がアップしたのと似たような現象でしょうか?(争点は全く違うんですが)

ま、そのあたりの報道は、「あ〜、やってるな〜」と適当に流しておいてよろし。

ただし、この報道だけには、ついに眉間に皺を寄せてしまった(寄せたくな〜い!)私なのでありました。

このままNHLが開幕せずに今季全面中止となった場合、アメリカの労働法によりNHLは2004年9月のロックアウト宣告以来12ヶ月後の2005年9月には、トレーニングキャンプを実施し代理選手を送り込むことになる。
(注:カナダの労働法はアメリカのそれと異なる。ケベック、BCの2州では代理勤務者を立てることは禁止されているが、両州での労働局関係者によるとNHLPAは労働組合として公的に認められていないとの話も)

そうなると今度はNHLPAがこのNHLの行為を「不当」とアメリカ全国労働関係委員会(労働条件を監視する独立機関)に訴えることになるだろうと、法律専門家は予測。そうなってしまうと、この問題解決には非常に長い時間を要するであろうということなのです。つまり、公的機関に裁定を仰げば仰ぐほど、法廷でケリがつくのに時間がかかってしまうという意味であります。

この記事にはこんな記述もありました。

1994−95年MLBのストライキ時には、オーナーは95年春のキャンプに代理選手を導入しようとしたが、この全国労働関係委員会(NLRB)へ選手たちが訴えたことで、結局オーナーは再び交渉の席に付く事になった。逆にNFLの場合は、1987年にNFL側がNLRBに「PAがちゃんと交渉に応じようとしない」と訴えた。ただNLRBによる審議が長引く間に、NFLは合意の得られぬままサラリーキャップを導入した上で、代理選手も雇用した。そしてついにPAが音を上げてストライキを止めたという一件もあったそうです。

つまり、この法的介入というのは、どっちに転ぶか分からんという代物らしいのです。いずれにしても決着するまでに、時間がかかり過ぎるのがイタイ。そんなことしてたら、今季だけでなく2005−06年シーズンも危ぶまれてしまうかも・・・というわけです。


・・・で、NHLはそんなんですが、マスコットはちゃんと仕事してますからっ!
君、レイオフされなくってよかったね。この記事内にある「偽物巨大スタンレーカップ優勝リング」ってのを早く観たいです。

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# by hockeyworldjapan | 2005-02-06 18:45 | CBA

ブラックバーンの挑戦

ブラックバーンが、曲がったシャケになりました。
(注:ブラックバスが、新巻シャケになったのではありません)

「ブラックバーン」とは、ダニエル・ブラックバーンのことです。「曲がったシャケ」とは、ECHLヴィクトリア・サーモンキングズのこと。そのチームロゴを見て頂ければ一目瞭然かと思います。

ブラックバーンは、2001年ドラフトでNYレンジャーズに全体10位で指名されました。そして2001年10月10日にいきなりNHLデビューを果たし(18歳143日でのGKとしてのNHLデビューは、リーグ史上4位という若さでした)、このシーズンは1軍定着して12勝をマーク。翌2002−03年も1軍で活躍するという順風満帆なキャリアを送っていた選手です。

しかし悲劇は2003年夏に訪れます。

体力アップが今後の課題とされていた彼は、ウエイトトレーニング中に左肩を痛めてしまったのです。その後手術でその負傷を直そうとはしたのですが、結局完治には至らなかった。左肩に問題ということは、左腕の動きに制約があるという意味であり、ゴーリーにとってはグラブハンドの動きに影響してしまう。ましてや、ポジショニングなどの技術よりはむしろ、反射神経に依存するスタイルだったブラックバーンにとっては、これは致命傷となります。(以前にNHLでは、ダレン・プッパというGKがおりました。ライトキャッチングだったプッパの場合、痛めたのは右肩でしたが、右腕が肩より上に動かなかったとか。そのせいかキャリア終盤はかなりボロかったです)

そのブラックバーンが今、苦境から這い上がろうとしているのです。

彼が辿り着いたのは、な、なんとブロッカースタイルのグラブ(通常はスティック持つ方に付けるグラブです)をグラブハンドに付けるという離れ業。通常のキャッチンググラブではうまくパックを掴めないという問題に直面したブラックバーンは、「それならグラブハンドでパックを弾いてしまえばいい」という発想でこのアイデアに至ったそうです。「そんな改造用具、NHLの用具Gメンが許さんだろうか!」とつい考えてしまうのですが、実はすでに2週間前にNHLからも承認されたんだそう。これでブラックバーンが好成績を残せば、新しいGKスタイルの誕生となるかも知れませぬ。う〜ん、興味深いです。

彼の努力は新用具開発だけに留まりません。2004年夏は、自己のゴールテンディングスタイル研鑽に勤しむべく、NHLでも有数のGKコーチであるイアン・クラーク(現カナックスGKコンサルタント、福藤選手もECHLシンシナティ時代に教わったことがあります)の下で練習実施。その後はレンジャーズ新GKコーチのベノワ・アレールにも師事し、スキルアップに励んだのだそうです。

さてこれでECHLヴィクトリア・サーモンキングズのNHL選手獲得は、3人め(デイル・ピュリントン:ラフプレーのため残り試合出場停止、マイク・スミス)となりました。サーモンキングズはご存知の方もいらっしゃると思いますが、福藤選手の所属するECHLベイカーズフィールド・コンドルズにとって同ディビジョンチーム。これまでは弱小チームとして知られていますが、ヴィクトリア遠征時にはコンドルズはケガ人などが祟ってチーム絶不調で失点が嵩んだという苦い経験がある上に、ここに来て戦力アップでやな感じです。

で、なんでみんなシャケ軍団の一味、もとい一員になるかというと、サーモンキングズはECHLで唯一のカナダのチーム。よってカナダ人選手は労働ビザ取得の必要なく、契約のみですぐ出場が可能になるというお手軽さがあるようです。ただしNHLでは85万ドル稼ぐ彼も、ECHLでは週給750ドル生活です。

ブラックバーン、シャケと契約に至る前には、ECHLシャーロット(NYレンジャーズ傘下チームでもあります)で3週間練習済らしいですから、すぐ試合に出場できるかな〜と思ってたら、すでに試合出場を果たしています。2月5日vsフレズノ戦は5−4でPS勝利。いや〜、現地はかなり盛り上がったことでしょうね。

またECHL、見たくなっちゃいました。

ちなみにECHL、来季フェニックス(名前はかつてのマイナーリーグチーム同様、ロードランナーズに決定、NBAサンズのオーナー所有で、アメリカウエストアリーナ。チーム社長にクロード・ルミューが就任ですって!)、また来季からアトランティックシティがカリフォルニア州ストックトンに移転する予定です。

ブラックバーンの「ブロッカーグラブ」はこちらでチェック
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# by hockeyworldjapan | 2005-02-06 18:10 | その他

NHL提案の全貌

2月2日のNHL提案の全貌(あくまで概要ですが)を、こちらに書き込んでおきます。

TSNすっぱ抜き内容と、多少相違点もあるかと思いますので、じっくり読んでみてください。私もあれこれ言いたいことはあるのですが、他にお知らせしたいこともあるので、今日はこれくらいでやめときます。

で、現在のNHL労使交渉なのですが、現地2月3日には遂にNHLベットマン、NHLPAグッドナウの両巨頭が復帰して、なんと9時間近くもミーティングを実施。2月4日も引き続き会合を実施するとのことです。


2月2日のNHL提案
1)適用期間:2005年シーズン残りと、その後6年間(2010−11年まで)

2)NHLPAの契約再交渉権:NHLPAは発効4年目(2008−09年)終了後に契約再交渉権を有する。この権利はNHLPAのみが有する(@つまりNHL側からの再交渉権は提案されていない)。

3)エントリーレベルシステム(@すなわちルーキーサラリーキャップ)
*ツーウェイ契約で4年間を義務とする(@従来は3年間)
*85万ドルを最高年俸とする。この年俸には基本給、出場試合数見合ボーナス、契約料を含む。
*契約料の最高額は以下の通り。
ドラフト全体1〜5位選手:10万ドル
ドラフト6位〜15位選手:7万5000ドル
ドラフト16〜30位選手:5万ドル
ドラフト31位以上の選手:4万ドル
*ボーナスA類の最高額は合計で25万ドルとする(ボーナスA類とは?:FWなら滞氷時間、ゴール、アシスト、ポイント、プラスマイナス、オールスターゲーム出場。DFなら滞氷時間、ゴール、アシスト、ポイント、プラスマイナス、オールスターゲーム出場。GKなら出場時間、防御率、セーブ%、勝利数、完封、オールスターゲーム出場)
*NHLアウォード投票に関連した個人ボーナス(従来のボーナスB類)は、NHLによって支払われる(例:各個人賞(ハート、ノリス、ヴェジナ、セルキ)では1位に50万ドル、2位に40万ドル、3位に30万ドル、4位に20万ドル、5位に10万ドル。その他個人賞獲得者については、コンスマイス(50万ドル)、アートロス(25万ドル)、リシャール(25万ドル)、レディビング(25万ドル)、カルダー(25万ドル)が支払われる。さらにシーズン終了後選出されるオールスターチーム(ベストシックス)のファーストチームに選ばれた選手は、50万ドル、セカンドチームに選ばれた選手には25万ドルが支払われる。

4)制約付きFA
*年俸80万ドル未満の選手に対しては、Qualifying Offer(@権利保有のための最低提示額)は前年年俸の100%とする。年俸80万ドル以上の選手に対しては、前年年俸の75%とする。
*制約付きFA選手が他チームと契約に至った場合、その選手を取り戻すための提示額、あるいは放出を決めた際の見返りについては従来CBAに準ずる。
*選手、チームは、トレーニングキャンプ開幕後14日以内に契約に至らねばならない。契約に至らなかった場合はシーズン残りはプレーできない。

5)年俸調停
*選手側、チーム側いずれも年俸調停申請権を有する。
*グループ2FA選手は全て年俸調停権を有する(すなわちエントリーレベルの4年間を満了した選手で、制約なしFAに該当しない選手)。
*非申請側は以下の方法で年俸調停を1度だけ回避することができる。
ー選手はQualifying offerを受け入れることで年俸調停を回避できる
ーチームはその選手の前年比5%アップの1年契約を受け入れることで、年俸調停を回避できる。
ただしこの回避権は、エントリーレベルを満了したばかりの選手については、選手側、チーム側ともに行使できない。
*非申請側が契約期間を選択できる(1〜3年間)。
*年俸調停において、双方は比較基準となる選手5名(あくまでグループ2区分の選手)までのリストを提出する。そして双方は相手側のリストから2名までの選手の名前を削除することができる。
*調停結果受け入れ拒否権については以下の通り。いずれの拒否権も、非申請側のみが行使できる。
ーチーム側は調停結果を拒否することによって選手は即座にFA権を得る。だがその選手が別のチームと合意に至った契約額が、調停額の90%以下の場合は、チーム側はその同額を提示することによってその選手の放出を食い止めることができる。
ー選手側は年俸調停結果を拒否する場合、Qualifying offerの90%の額を受け入れるという選択肢もある。
*NHLは、この協定期間内のいかなる時にでも、FAグループ3資格を28歳まで引き下げることで、この年俸調停制度を廃止することができる。

6)制約なしFA
*2006−07年からグループ3FA区分は、30歳以上とする。
*グループ5、6は廃止する。

7)選手契約について
*NHL最低年俸は30万ドルに引き上げる。
*NHL最高年俸については、今後の交渉で議論される可能性あり。ここでは具体的数字は提示されていない。
*保証付き契約については従来と変更なし(バイアウト行使の場合、スキル不足なら残り契約期間の2/3、もしくは1/3を支払う。ケガの場合は100%を支払う)。
*契約期間は最高3年間とする(それ以上の期間に及ぶ既存の契約は除く)。

8)NHL選手年俸総支出割合
*選手年俸総支出は、リーグ総収入の53%以上、55%未満とする。
*毎シーズン、各チームの選手年俸のうち15%が第三者によってプールされる。各シーズン終了後の会計結果によって、このプールされた金額から選手側、もしくはチーム側、さらには選手側とチーム側双方に適正額が支払われることで、55%の枠内に収めることとする。また会計作業の結果、選手年俸総支出がリーグ総収入の53%を下回った場合、チーム側から選手側プールに追加金額が支払われることになる。

9)チーム総年俸枠(@つまりチーム別サラリーキャップ)
*チーム別年俸枠(下限)の決定基準:2003−04年のチーム別総年俸のうち、まず上位5チーム、下位5チームを除外する。下限額は、チーム年俸額16〜25位の数字を平均し、さらに24%ペイカットを考慮した数字とする。この計算式により新協定1年目の下限額は、2980万ドルとなる(福利厚生費を合わせて3200万ドル)。いずれのチームもこの額以上を選手年俸に費やさねばならない。
*チーム別年俸枠(上限)の決定基準:上限額は、チーム年俸額6〜15位の数字を平均し、さらに24%ペイカットを考慮した数字とする。この計算式により新協定1年目の上限額は、4000万ドルとなる(福利厚生費を合わせて4220万ドル)。
*このチーム別年俸枠は、リーグ総収入額の増減により毎年調整が実施される。
*収入分配案については、各30チームがチーム別年俸枠の選手年俸支出を満たすべく、このチーム別年俸枠内にて設置される(@よく分からない文章だが、収入分配案については策がないので、わざと分からないような文章にしているに違いない。平たくすると「年俸枠下限を払えなくなるチームが出ると困るのでそれなりに救済はするが、かといって上限を超えるレベルに贅沢税をかけるとかいう意図ははありません」という意味だとは思うが、その具体策は提示されていない)。

10)贅沢税について
NHLは贅沢税には反対。しかしPA側は贅沢税でも機能すると主張しており、NHLはチーム別年俸枠という意味において、贅沢税の導入を検討する用意はある。具体的には、税率1段階、もしくは2段階の贅沢税を、前述の年俸枠内にて導入することは可能。しかしその税率や、課税対象となる年俸額については今後の交渉を要する。
(@言語明瞭意味不明に思われるが、その裏に潜む意図は明らか。NHLはこれまで確固とした収入分配案を提示してこなかったが、実は贅沢税を導入すればその問題がある程度解決できることが分かってる。ただこれまで「贅沢税はNHLでは機能しない」とはねつけて来ただけに、素直に「じゃ、贅沢税でいきましょ!」という訳にもいかず、「PAがそんなに言うならば、部分的に贅沢税を導入してやってもいいぜ」とここで申し出ているのである。すなわち「贅沢税を収入分配案に利用することはやぶさかではない」というリーグ側の意図が見え隠れしている)

11)利益分配
選手側とチーム側は、リーグ全体利益額を50%ずつ分配する。

12)チーム収入についての共同監査
*各年度の会計報告は、NHL、NHLPA合意の下で選出された会社によって実施される。
*必要な財政情報の報告を怠ると、初めての違反の場合は200万ドルの罰金に1巡目ドラフト指名権剥奪、2度目の違反の場合は500万ドルの罰金に1巡目ドラフト権3つを剥奪される。

13)オーナー側と選手側共同評議会の設置(@詳細は述べられていない)

14)2005年プレーオフについて
2004−05年のレギュラーシーズンが短縮されたのを補う意味で、2005年プレーオフでの収入の一部を選手年俸に分配する。これによって、リーグ総収入の53%以上に選手年俸支出が届くように調整する。

15)年俸カット
*NHLPA側の「24%一律年俸カット」案をそのまま適用する。


NHL提案を原文で読む
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# by hockeyworldjapan | 2005-02-04 20:53 | CBA

まだ望みあり? NHL側提案の全貌とは???

しつこくCBA関係のネタです。

まずはNHL開幕って、いつまで待てんの? という疑問について。

この後に及んで、2月21日妥結期限説というのが出て来ました。

この説によると2月21日までに妥結後、3月上旬開幕。30試合を2日で1試合ペースでこなして(カンファレンス内対戦に留まるでしょう当然)5月上旬にプレーオフ突入。4つのラウンドのプレーオフもちゃんとやる・・・というのがその案であります(詳しくはUSAトゥデイ紙の記事を見てね)

ちなみに前回労使交渉が紛糾した1995年は、1月25日にレギュラーシーズン開幕。プレーオフ開幕が5月6日で、6月24日にシーズン終了しました。ですが、そんときはデビルズのスイープだったので、この日にちにようやく留まったという感ありでした。

しかし30試合開催となると、選手たちの年俸は当然30/82になります。そして、PAの提示から行くと、そこからおそらく24%のペイカットがある。そうなると、その選手のサラリーはかなり例年よりは少ないことになり(といっても一般庶民にとっては大金ですが)、それを貰うために今季妥結を希望するのか? という問題があります。

さらにまだ昨夏FAとなったまま、契約していない選手が大勢いる。この彼らを含め、サラリーキャップ内に抑えるため各チームはいつまでに契約を完了するのか? という別の問題もあるわけです。通常シーズンなら3月上旬に「トレード期限」というのが到来し、その期限以降に契約に至った選手は、そのシーズン中にはそのチームでプレーできないというルールがあるのだけど、今年はそんな期限をどう設けるのかという難しさがあるわけで。ああ、そんな細部を考えただけでもクラクラしてしまう私なのでした。

実際、現在のところ730人のNHL選手のうち、ついに半数以上の370人がヨーロッパに流出しております。その中にはFAになったままヨーロッパに渡った選手も当然いるわけで、そういう選手との契約交渉は現在禁止されている状態。晴れて労使協定が整ったとしても、新CBAの下(ハードキャップになるかソフトキャップになるかはまだ分かりませんが)そうした選手たちと短い間に契約更改したりなど、GMらチームスタッフは殺人的スケジュールに見舞われることが予想されます。

で、肝心の労使交渉の最新情報ですが、現地時間の2月2日、NHL&NHLPAはNYで会合を予定しております。今回は双方2人(ナンバー2+顧問弁護士)ずつという少人数で、ちゃんとした書面での提案提示を双方が用意するという話もあるようです。

で、その提案内容(NHLの方ね)が、またTSNにすっぱ抜かれてるんだわこれが(笑)。
それがどこまで正しい内容だかは保証できませんが、いちおうその内容をここでご紹介。

*契約期間は6年(今季残りは含まず)。しかし4年経過後NHLPAは一方的にその内容を期間完了とすることができる。

*サラリーキャップ:リーグ総選手年俸は、リーグ全収入の55%とする。各チーム別キャップ額としては、3200万ドル〜4200万ドルの間に収める(この数字には、選手の福利厚生費も含める。福利厚生費を除くと実質チーム総年俸キャップは3000万ドル〜4000万ドルとなる見込み)。30チームの総年俸の合計がリーグ収入の55%を越えた場合には、その超過分をNHLPAがNHLに返却する。逆に55%を割った場合には、NHLからNHLPAにその不足分を返却する。また先に報道された「選手1人の年俸は600万ドル以内とする」という項目は、この提案からは除外された模様。

*贅沢税:NHL側から提案する予定はなし。ただしPA側から提案があれば交渉する用意はある。しかしPA側はコスト制限策(=サラリーキャップ)が存在する環境での贅沢税には関心がない模様。(ただし「PA側から提案があれば交渉する用意がある」という部分を、「NHLが贅沢税を受け入れる姿勢を見せている」と報道する向きもあり)

*利益分配:これまで触れられていなかった新しい要素。全利益をオーナーと選手とで50%ずつ分けるというコンセプト。これを可能にするために、NHLはPAとの合意の上で監査役を任命する。収入、利益を過小計上したチームは、罰金、ドラフト指名権剥奪などにより、厳重に罰せられる。
(HWJ管理人のコメント:フォーブス記事が以前暴いていたように、オーナーの計上する収入に関してはその透明性と正当性が大いに疑われていました。そしてそうした問題を追及するための第3者による監査システムはNHLには不在。その必要性をNHLが気づいたのは正直遅過ぎという感もあるが、それを敢えてNHL側から提案するつもりなら評価したいです)

*収入分配:またもや具体案なし。小市場チームが3200万ドルのキャップ底値を捻出できるようにするとだけ触れられてるそうだが、詳しい説明はないらしい。予想では、やはり噂通りプレーオフでの収入を分配することが主流になるらしい。
(HWJ管理人のコメント:プレーオフ収入分配という策は、以前にも書いたが反対である。もちろんプレーオフでの成功だけがフランチャイズの成功ではないが、チームにとって大きな成果物であるプレーオフでの収益を収入分配にもっていかれるのはどうか? と思う。収入分配策を明らかにしていないこと、これがここまでのNHL提案の一番の罪だと思う。その私の考えは当初から変わっていない。エクスパンションから設立年数の浅いチームがあることも確かだが、エクスパンションチームの多く(除:コロンバス&アトランタ)はすでにプレーオフ進出を果たしているのだから「成熟度の浅いチームを救うためにもプレーオフ収入を分配すべき」という議論は通用しないと思う。このあたりはまた後日ゆっくり説明したい)

*年俸調停:チーム、選手双方から調停に持ち込める(現行CBAでは選手側からのみ申請可能)。調停額に制限は設けられないが、チーム側は1人の選手について一定期間内のうち一度の調停結果受け入れを拒否することができる。その場合その選手は制約なしFAとなる。同様に選手も調停結果の受け入れを拒否することが可能だが、その場合その選手はチームからのQualifying offer(権利保有のための最低額提示)を受け入れる必要がある。

*Qualifying offer(制約つきFA選手権利保有のための最低額提示):制約つきFA選手の場合、前年年俸の75%を提示することにより、チームはその選手の権利を保有することができる。
(HWJ管理人コメント:現行CBAでは100%(平均年俸以上)か110%(平均年俸以下)という数字だった。これは年俸高騰防止に直結する策だとは思う。しかし現在制約つきFAとなってる選手は、この案が通ると、PA提案の一律24%ペイカットに加え、さらに25%ペイカットを被ることになりかねない。するとその選手の年俸は前年比の半額近く(57%)になってしまうわけで・・・選手側はこの数字には猛反駁するでしょう)

*ルーキーサラリーキャップ:現行の3年間から4年間へと延長。その年俸額は85万ドル以内とする。これに加えて2段階のボーナスの設定(10万ドル、25万ドル)が可能で、これを合わせると最高120万ドルの年俸が可能となる(現在は基本年俸こそキャップ額が明記されているが、ボーナスは実質無制限となっている)。

*Guaranteed contract(保証付き契約)
バイアウト、つまりダメ選手の残り契約買い叩きについては、現行CBAに準ずる。つまり残り契約の2/3を支払う。
(HWJ管理人コメント:NHLがNFLスタイルのハードキャップを望むなら、NFL同様にGuaranteed contractを無効にしないと実施が難しい。というのは、ハードサラリーキャップを設定してしまったら、その枠内に選手を収められないチームが当然出現する。その場合の措置として、NHLは分配ドラフト(DispersalDraft)を実施すればよいとPA側に提示したそうですが、それは多分機能しない。例えば、働きの悪い5年4500万ドル契約男(誰とはいいませんがね、ええ)を欲しがる他チームがあると思いますか? 放出する方のチームは「貰ってもらえればしめたもの」と思うだろうけど、そんな選手の引き取り手があるとは思えません)

*制約なしFA:現行の31歳から30歳へと引き下げ。
(HWJ管理人コメント:ま、NHLとしてはこれくらいの譲歩はPA側にくれてやれ! ってことなんでしょうけど、94−95年交渉で大きな焦点のひとつだったこのFA権は、今回の労使交渉では大勢に影響ない分野に成り下がりました。なんか時代の流れを感じるわ)。


あくまでこれは、TSN及びボブ・マッケンジー氏のスクープ内容であり、彼の主観によるところが多いかも知れませんと断っておきます。なので「紛らわしいことは読みたくない」という方は、この内容を忘れてください。そして妥結後のCBA内容だけ読んでいただければと・・・(「っつっても、もうここまで読んじまっただろうがっ!!!」という方が大半ですね。すみません)。

あ〜〜!!! まだまだ言いたいことはいっぱいある。NHLPA提案が出て来たら、そっちにもいろいろツッコミ入れたい。その他「なんでMLBでは贅沢税が機能してないのか?」「 なんでNFL型サラリーキャップはNHLにそのまま引用不可なのか?」その理由もクドクド書きたいのですが、それはまた改めて後日。

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# by hockeyworldjapan | 2005-02-02 20:04 | CBA