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ルール改正の全貌は?

で、結局、あの拡大版ゴールネットはハッタリだったわけ?

4月7、8日GM会議@デトロイト。
7日の議論では、GMだけでなく7人の選手(リンデン、ブロデューア、ターコ、ブレイク、ニーダーマイヤー、アイザーマン、シャナハン)も招かれ、6時間に渡ってハイスコアリング化への検討が行われたという。その前日の6日には、11人(15人説も)ものNHLゴーリーたちが事前にNHLホッケー部門部長コリン・キャンベルと会談し、NHLが着手しようとしているGK防具への規制やゴールネット拡大について意見したなんて報道もありました。

で、7日の議論に戻りますが、セイバーズGMダーシー・リギアがパワーポイントにて、拡大版ゴールネットのプレゼン実施。噂通り3種類のゴールネット規格が紹介されました。その詳細は以下の通りだったそうです。

1)現在同様長方形だが、幅を8インチ、高さを4インチ拡大する(現行サイズは高さ4フィート、幅6フィート)。これでゴールネット間口面積は21%広がる。
2)基底部の幅は6フィートのままだが、ポスト、クロスバーがともに弓なりに丸みを帯びており、中央が膨らんだ形。最大で幅が6フィート6インチ、高さが4フィート6インチに及ぶ。ゴールネット間口面積は13%増。
3)基底部の幅は6フィートのままだが、6フィート8インチまで外に広がる。高さも4フィート4インチまでアップ。ゴールネット間口面積17%増。

・・・とはいえ、この拡大版ゴールネット、この日は議論の対象にはされなかったそうです。10年前なら散々非難を受けたであろうこの提案。昨今の低得点化が進むNHLにおいて、割と参加者たちはすんなり受け入れていたらしいのですが、さすがにゴーリーたちからは猛反発を受けてしまった。よってこの拡大版ゴールネットについてのプレゼンは、今後を見据えてという意味らしく、どうも早期導入には至らない雰囲気です。

そう聞いて、胸をなでおろしているゴーリーの皆さんも多いのでは? だって、これまで車幅感覚同様にゴールの高さや幅を潜在意識に叩き込み、ミリ単位のプレーを突き詰めて来たゴーリーだっているはず。なのに「じゃ、来季からゴールネットの規格を変えますので、よろしく〜」なんて言われたら、絶句&腰砕け&号泣でしょう。もう1からゴーリー理論をやり直すしかないのですから。

考えてもみてください。間口21%増なんてことになったら、ジョゼ・テオドア、マーティ・ターコあたりの今のNHLゴーリーで小ぶりな部類では、もはや太刀打ちできんのは目に見えている(実際テオドアは拡大版ゴールネットのことをボロクソに語ってました)。そしてスティーブ・ウ゛ァリケットあたりが、NHLナンバーワンゴーリーへと君臨し、ロベルト・ルオンゴが50パウンド増量を目指す・・・ウ゛ァリケットが嫌いってわけじゃありません。でも、あんな巨体ばかりがNHLゴーリーの座を占めてしまったら、そりゃあNHLも凄まじいものがあるでしょう。以前、97年フィラデルフィア・フライヤーズのゴーリータンデム(ロン・ヘクストル&ガース・スノー)と同じエレベーターに乗り合わせた経験があるんだけど、エレベーター内の空気が急に薄くなったような気がしましたもんね。ロッカールームもさぞやし息苦しくなるだろうななどと、容易に予想が付くわけです。

拡大版ゴールネットの話題はこれくらいにして・・・。
7日の議論では、またまたゴーリーたちがターゲットに。今度はかねてから何度も議論されてきたゴーリー防具規制についてです。CCM社からプレゼンされた縮小版GK防具の概要はこんなんでした。

*ゴーリーパッド:現行の12インチ幅から10インチへと縮小。高さは現行36インチから35インチ(34インチ説もあり)へと縮小。
*ブロッカー:現在よりも1インチずつ縦横小さくする。
*グラブ:周囲を48インチから45インチへと小さくする。
*パンツ:1インチ幅狭にする。
*チェストプロテクター:角張りではなく丸形に。
*ジャージ:現行より2サイズ落として身体にフィットさせる。

ゴーリーたちは、グラブ&ブロッカーのサイズ縮小については同意してるものの、ゴーリーパッドについては、上部にフラップも付いていないため、バタフライスタンスとなった場合に膝の部分がむき出しになる可能性があるのを恐れてるそう。特に前述のウ゛ァリケットのようなスーパーサイズな輩が、アルツールズ・イルベやマニー・レガシーのようなミニミー系と、防具規格を同じくするというのはあまりにも不公平。ってわけで、選手の身長に合わせた防具サイズ選びという基準も、当然考慮に入れるべきだと思う訳です。じゃないと、防具が「身体を守る」という本来の目的を果たせなくなってしまう。

とはいえ、確かに最近はこの本来の目的以上に「パックがゴールに収まるのを妨げる」という二次的な目的ばかりが追求されてきたという風潮がありました。パトリック・ロワの「携帯電話(ジャージの脇側に昔の携帯電話サイズの板が入ってた!)」、ガース・スノーの「ショルダーパッド@金物屋さんの父さん手作り」あたりが、その有名どころでありました。いかに現行ルールの抜け道を利用して、小細工するか。そのあざとい精神も、ゴーリー道の奥義を極めるステップのひとつだったわけです。そういう防具の工夫、決して嫌いでなかった私としては、そんな笑いのネタが今後は激減すると思うといささか淋しくもあります。(ま、スノーあたりのこだわりは、含羞とか矜持とかが著しく欠如してる感じがしたし、規制される前に嘲笑されるという感じではあった)

そんなゴーリーたちも防具縮小への動きに賛同せざると得なくなった。思えば、NHLはゴーリーをそう仕向けるために、あの拡大版ゴールネットを提案したんじゃないか? なんてのは、私の深読みでしょうか? 「お前ら、防具小さくしねーと、ゴールネット大きくしちゃうぞ」というNHLの脅しに、ゴーリーたちがしぶしぶ応じたような気がしてならんのです。
その他、この会合で議論対象となったのは、オブストラクション(NHL、まだ懲りなてない(笑))、タグアップオフサイド(IIHFルールでは「ディレイドオフサイド」の文言で知られてます)、ノータッチアイシングなどの、従来から議論されている内容が中心。またシュートアウト導入はほぼ決定とも言われております。

さらにルール改正とは別の議題もありました。

1)プレーオフ進出チームが、現在の16から20に拡大?
各カンファレンス6位までがプレーオフ進出。7位と10位、8位と9位がワイルドカードとしてベストオブスリーで対戦し、勝利チームが従来通りのプレーオフを戦うという提案あり。プレーオフ進出チーム数を増やすのと、各ディビジョン1位のシード制をやめるという2つの目的ありらしい。

2)2005年ドラフトの指名順序
シドニー・クロズビーという目玉選手の存在ゆえ、2003−4年シーズンの成績を基準としたウエイト制抽選か、もしくは30チームに公平に全体1位指名の確率を与えた抽選とするのか、白熱した議論が行われた模様。クロズビーは、今季QMJHLではレギュラーシーズンMVP、2年連続スコアリングリーダーなど5つのトロフィーを受賞。62試合で168ポイントは、昨季の135ポイントから大躍進の跡が見えてます。

3)コスト削減という意味から、現行の23人ロースターをさらにカットする(21人ロースター説あり)という案も、議論されたとか。

・・・てな感じですが、肝心のシーズンが始まらないことには意味はない。NHLは、いよいよ代理選手導入について議論するため、4月20日に代表者会議(いわゆるオーナー会議です)を実施するのですが、その前日にNHL&NHLPAの会合がNYで予定されています。なんらかの進展をその時お伝えできることを祈るしかありません。

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by hockeyworldjapan | 2005-04-15 20:40 | NHL overall


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