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今季のNHLチームキャプテン(その2)

前日からの、今季NHLキャプテンにまつわるミニストーリー、後編です。

ミネソタ:NHLの中で唯一フルタイムのキャプテンを設けず、チーム創設以来月替わりでキャプテンを指名する方式はもうお馴染み。
今季10月のキャプテンはアレックス・ヘンリー。短いチームの歴史で実に13人めのキャプテン就任となった。ヘンリーは2003年ワシントンからウエーバーでワイルドが獲得した選手。恵まれたサイズを生かしたフィジカルなスタイルのDFであるヘンリーは「OHLでプレーすることすら難しいと言われた僕がここまで来れたとは・・・最高さ」と地元紙「スタートリビューン」にコメントしている。
で、ワイルドのチーム内キャプテン予想大会では、このヘンリー就任を唯一GKドゥエイン・ロロソンが見事的中。ただしチーム内ではまだ地味な存在のヘンリーだけに、トレーニングスタッフが「誰のジャージにCマークを縫ったか?」という㊙情報を、ロロソンを提供したのでは? との疑惑が沸いてるらしい。
Aマークはブライアン・ロルストン、ウェス・ウォルツが着ける。

ナッシュビル:グレッグ・ジョンソン。2002年10月9日にプレデターズのキャプテンに就任。現在ではエクスパンションドラフト時からチームに残る3人のうちのひとり(他スコット・パーカー、トーマス・ボクーン)となっており、プレデターズとしての通算出場試合記録を更新中。
ほぼ毎年キャプテンの顔触れが替わるアトランタとは異なり、1998年チーム創設のプレデターズにおいて、ジョンソンはトム・フィッツジェラルドに次いでまだ2代めのキャプテン。Aマークはスコット・パーカー、キモ・ティモネンが着けている。

ニュージャージー:キャプテン職は空席のままシーズン突入。2003−04年までのキャプテン、スコット・スティーブンスが引退を発表、その後継者と目されていたスコット・ニーダーマイヤーがアナハイムに移籍している。Aマークは、ジョン・マッデン、ブライアン・ラフォルスキー、アレクサンダー・モギルニーが着けている。

NYアイランダーズ:アレクセイ・ヤシン。これまでのキャプテン、マイケル・ぺカがエドモントンに移籍し、その後任としてスティーヴ・スターリングコーチはヤシンを指名した。Aマークはマーク・パリッシュ、ブラッド・ルコウィッチが着ける。
ヤシンはオタワ在籍時の1998−99年もキャプテンを務めていたが、そのシーズン終了とともにオタワとの契約が残っているにもかかわらず年俸アップを要求し、翌99ー2000年はプレーせずという経緯があった。そして2001年8月アイランダーズに移籍後は、10年9000万ドルという途方もない契約を結んだが、近年スコアリングは鳴りを潜めてしまった。
そのため、アイランダーズのオーナー、チャールズ・ウォング氏とGMマイク・ミルベリーは、今夏ヤシンをバイアウトすることも考慮に入れた。しかしヤシンとの契約はまだ向こう6年(5400万ドル)も残っており、バイアウトするには3600万ドルを要する。これは今季から導入された1チーム毎のサラリーキャップ(3900万ドル)、つまり1チームの年間選手予算に相当するもので、さすがにIT長者のウォング氏もこれを思いとどまった。代わりに、ヤシンのオフェンス起爆剤として、ミロスラフ・シャタンをFAで獲得している。
で、当のヤシンは、今季ここまで5試合では2ゴール2アシストという数字。プレシーズンでは5試合で3ゴール4アシストと好調だったが、さて今季復活なるか?

NYレンジャーズ:マーク・メシエが引退後はキャプテン職は空席に。現在はヤロミール・ヤーガー、ダリウス・カスパライティス、スティーブ・ルーチンがAマークを着ける。先にもお伝えしたが、ヤーガーにはキャプテン就任への白羽の矢が立ったらしいが、ヤーガー本人は「キャプテンはメディアやファンと話すのも仕事の一部なので、英語のネイティブスピーカーの方がいい」と、キャプテン職には興味なさげ。このヤーガーの論理でいくと、リトアニア出身のカスパライティスもキャプテンには向いていないことになる。ルーチンはアナハイムでキャプテンを務めていたが、今季移籍したばかりということで、Cマークについての決断は焦らずに・・・というのがコーチングスタッフのスタンスらしい。

オタワ:ダニエル・アルフレッドソン。前述のアレクセイ・ヤシンが契約上の不満を訴えてセネターズに合流しなかった1999−2000年シーズンに、セネターズの暫定キャプテンとして活躍。翌2000−2001年、ヤシンはセネターズに戻ってプレーしたがキャプテンの称号を剥奪されたため、アルフレッドソンがそのままキャプテンを務めた。
そのアルフレッドソン自身も、2001年秋には契約交渉のもつれでチーム合流が遅れた。セネターズには一時「アルフレッドソンを放出し、手薄なセンター獲得に至るのでは?」というトレード話まで出たが、結局アルフレッドソンは9月21日1年300万ドルに合意。この一連の問題ゆえに、アルフレッドソン本人はCマーク返上も考えたらしいが、当時のジャック・マルタンコーチ(現フロリダ)やチームメートとの話し合いにより、そのままキャプテンの座に留まったという経緯あり。Aマークはズデノ・チャラ、ウエイド・レッデンの2人で定着。

フィラデルフィア:キース・プリモー。2001年10月23日、エリック・デジャーデンが突然プレッシャーに耐えかねて自らCマークを返上。その後、プリモがキャプテンとしてフライヤーズを引っ張ることになった。
キャプテン就任後は素晴らしいリーダーシップを発揮している。2002年プレーオフファーストラウンド惨敗後には、当時のビル・バーバーヘッドコーチについて「選手との関係に致命的な亀裂があった」とチームオーナーのエド・スナイダーに直訴。結果、バーバーコーチは解任となった。
当時は、選手が自らの権限の枠を飛び越えてオーナーに直訴し、ヘッドコーチをクビにするとは何事か? と論議を呼んだものだった。
しかし近年、プリモーは自ら素晴らしいプレーで、リンクの外だけでなくリンクの中でもチームにとってかけがいのないリーダーだいう事実を見せつけた。相手のトップラインを抑える仕事を請け負いながら、すごい気迫でここぞという局面でゴールを決めるそのプレーは、頼もしさに溢れている。
Aマークはシモン・ガニエ、キム・ヨンソンとフレッシュな顔触れに、デリアン・ハッチャーが着ける。

フェニックス:シェーン・ドーン。2003年9月10日コヨーテズのキャプテンに就任。ウイニペグ時代から数えて通算15代め、96年フェニックス移転以来3代めのキャプテンとなった。現在のコヨーテズのメンバーで、ウイニペグ時代を知る唯一の選手でもある。
Aマークは、ブレット・ハルとショーン・オドネル、デレク・モリス、マイク・リッチが着けているが、リッチが故障、ハルが突然の引退宣言なんてニュースもあって今後はどうするのだろうか?

ピッツバーグ:マリオ・ルミュー。ペンギンズ加入4年目のトレーニングキャンプでキャプテンに指名されて以来、途中病気療養(1994−95年:ホジキン病の放射線治療の後遺症のため欠場。ロン・フランシスが代わりにキャプテンを務める)、そして現役引退(1997−2000年:ロン・フランシス、ヤロミール・ヤーガーがキャプテンを務める)のブランクはあったものの、ペンギンズのCマークを長年務めている。Aマークはマーク・レッキ、ジョン・ルクレアとベテランで固める。

サンノゼ:パトリック・マーロー。2004年1月5日からキャプテンを務める。当時、オーウェン・ノーラン、テーム・セラニとベテランが去ったシャークスの中で、マーローは静かなるリーダーとして台頭。当初マーローのキャプテン就任は10試合限定であったが、以降チームが好調だったことから、その後も継続就任となった。24歳でのキャプテンはチーム史上最年少。マーロー自身、キャプテンに任命されたのは実にピーウィー時代以来だったとか。Aマークはアリン・マコーリー、スコット・ハナンが着ける。

セントルイス:ダラス・ドレイク。トレーニングキャンプ突入前の9月14日に、ドレイクのキャプテン就任が発表された。アル・マキニスが引退し、マキニス負傷後にキャプテンに戻っていたクリス・プロンガーもトレードでエドモントンに移籍。この2人の後を継ぐというのは大役ではあるが、チームメートから好かれ相手から嫌われるタイプのドレイクのキャプテン就任には、チームメートが皆納得というところ。Aマークはバレット・ジャックマン、ダグ・ウエイトが着ける。
ドレイクに難くせつけるつもりは毛頭ないが、本来ならこのキャプテン職にキース・カチャックが収まるはずだったのでは? と考えるファンも多いのではないだろうか? ご存知の方も多いだろうが、今季カチャックは、トレーニングキャンプにオーバーウエイトで参加し、体力測定で不合格。ブルースから出場停止処分を言い渡された後は、個人トレーナーと別メニューをこなしていた。そして9月29日、再び体力測定を実施し今度は合格。その後はロッカールームでチームメートに謝罪した。
今季はリーグ最高レベルの760万ドルという年俸をもらっているカチャックだけに、メディアの矛先はそれは鋭いもので、「カチャンキー(Tkachunky)」だの「カチャビー(Tkachubby)」だの、様々な呼ばれ方で揶揄されていた(注:chunkyもchubbyも、ともに「太っている」の意。多少ニュアンスは違いますが・・・)。
そんな一件があったブルースだけに、カチャックともフェニックス時代から仲良しという意味でも、ドレイクのキャプテン就任はまずまずの人選ではなかろうか?

タンパベイ:デイウ゛・アンドレチャク。2004年プレーオフでは「まだまだやれる」というところを見せつけ、チームをカップ獲得に導いたアンドレチャクは、今夏8月25日に2年契約延長にサイン。夏の間はバッファロー地区で他のNHL選手たちとスケーティングを毎日実施していたとあって、コンディションは良好とか。
9月に42歳となり、今季NHLではクリス・チェリオス(デトロイト)に次ぐ年長プレーヤー。10月8日の試合出場で史上7人めのNHL通算1600試合を記録しており、これは現役選手では最多の数字でもある。
Aマークはヴァンサン・ルカヴァリエ、フレデリック・モディンが着ける。

トロント:マッツ・サンディン。しかし今季開幕戦vsオタワでパックを顔面に受け、現在は左目負傷と眼窩骨折で欠場中。現在は外見上の腫れは収まりつつあり、骨折部分の手術は不要と診断されているが、まだ視力が十分に戻っていない状態とか。このサンディンの負傷が、現在のNHLでのバイザー着用義務化についての論議を再沸騰させたことは間違いない。Aマークはトーマス・カベルレ、ブライアン・マッケイブが着ける。

バンクーバー:マーカス・ナズランド。カナックス全体でスウェーデンにトレーニングキャンプに出かけた2000年の9月15日、故郷スウェーデンでマーク・クロフォードコーチからキャプテン就任のニュースを聞いた。マイク・キーナンがカナックスのヘッドコーチを務めていた時代は、キーナンがあまり起用してくれずトレードを申し出たこともあったほどのナズランドだが、1998−99年に36ゴールと爆発。以来カナックスには不可欠な存在となっている。
今夏はスウェーデンに戻ってプレーするのではとの憶測や、幼なじみのピーター・フォースバーグとセットで同じチームでプレーしたいとの願望もあったそうだが、8月3日にカナックスと契約延長(3年1800万ドル)。ご存知のようにフォースバーグは、同日8月3日にフィラデルフィアと契約に至っている。
Aマークはブレンダン・モリソン、トレウ゛ァー・リンデン、トッド・バーツッジ、エド・ジョウ゛ァノフスキー、リチャード・パークが着ける。

ワシントン:ジェフ・ハルパーン。9月23日キャピタルズの12代めキャプテンに就任したハルパーンは、地元ポトマック出身で、子供時代から「リトルキャピタルズ」で少年ホッケーをプレー。父メルは1974年からキャピタルズのシーズンチケットホルダーという、筋金入りの家族揃ってキャピタルズファン。1999年にFAでキャピタルズと契約した際には、地元でプレーできるということで他チームの高額オファーを蹴っていた。
このハルパーンのキャプテン就任は、キャピタルズのファンの集いで発表されたもの。その一方でAマークは、ラインナップ表を見る限り発表されていない。2003−04年途中では、6人の「A」(ピーター・ボンドラ、ブレンダン・ウイット、セルゲイ・ゴンチャー、ロバート・ラング、マイク・グリアー、ヤロミール・ヤーガー)を抱えていたキャピタルズなのだが・・・(新しい情報お持ちの方、お待ちしています)。
話はハルパーンに戻そう。ユダヤ系選手として知られるハルパーンは、10月12日vsカロライナ戦は、ユダヤ教の教えによる最も神聖かつ厳粛な1日(Yom Kippur 贖罪日)にあたり、断食を守るため欠場している。ちなみにNHLでの過去5シーズンは、この贖罪日には試合が入っていなかったのだそう。過去に同じくユダヤ系選手のマシュー・シュナイダーも、この贖罪日には欠場した経験ありとか。
by hockeyworldjapan | 2005-10-16 16:53 | NHL overall


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