1月10日、タンパベイ・ライトニングはキャプテンのデイヴ・アンドレチャクをウエーバー扱いにしました。
この前日の1月9日、アンドレチャクは、ライトニングGMジェイ・フィースター、ジョン・トートレラコーチと55分に渡るミーティングを実施。その上で、チームはアンドレチャクをウエーバー扱いとすることを決めたという。これで23年に渡るアンドレチャクのNHLキャリアは実質上終わりを迎えたことになりました。 アンドレチャクは翌1月11日にウエーバーを通過。まだ現役にこだわるのであれば、AHLスプリングフィールドでのプレーが待っているが、おそらくそれは彼のプライドが許さないので、このまま引退が予想されています。アンドレチャクは2005年夏にライトニングと2年契約を結び、今季に臨んでいました。 2004年プレーオフでは素晴らしい活躍を見せてチームを優勝に導いたアンドレチャクでしたが、今季は11月8日にヘルシースクラッチになるなど苦悩のシーズン。ここまで6ゴール12アシストを挙げていましたが、マイナス13はチーム最悪の数字。スローダウンしたベテランは、新ルール下のでNHLではもはや通用しなくなっていたのだそうです。ロックアウトという空白の1年間も、アンドレチャクにとっては不利に働いたはずです。 アンドレチャクの輝かしいキャリアは、NHL22年めにして初のスタンレーカップ獲得に加え、NHL史上トップのPPゴール(274)、通算試合出場(1639、史上4位)と素晴らしいものがあります。ただアンドレチャク自身のコメントを見る限りだと、こうなったのはもちろん非常にショックでもあるが、スタンレーカップバナー掲揚は見届けたし、今季も現役としてスタートして燃え尽きた。つまり納得ずくでの結論、という風にも見受けられます。 現役時代はそのオフェンス面での存在感だけでなく、フェイスオフの強さも光っていました。若い頃はオフェンス中心の選手だったけど、年を重ねることに攻守両面に優れた選手にも成熟していった典型例でもありました。そしてライトニングにもたらしたあのリーダーシップ。ライトニングのロッカールームのロゴを「踏んではいけない!」と位置付け、尊重するように仕向けた仕掛人でもありました。 それにしても、これもサラリーキャップ時代ならではのトレンドなのか、 チームの精神的支柱という存在感だけでは、もはやチーム所属も許されない時代になってきたのかな〜と思う今日この頃。ただし、トートレラコーチは「年俸の問題ではない。純然にリーダーシップの要因だ」と断言しております。 そのあたりは、ライトニングの今季のチーム事情を知っていれば、頷けないこともない。 前年チャンピオンのライトニングだが、ここまでのチーム成績はなかなか勝ち星をつかめず、プレーオフ進出ラインを行ったり来たり。その厳しい戦いの中で追い打ちを掛けるように、アシスタントコーチのクレイグ・ラムジーが前立腺がん治療のため、チームを離れることになった。ラムジーは治療後復帰可能とされており、早期発見というのはなによりの朗報だが、なにかと強硬派のトートレラコーチと選手の繋ぎ役の好々爺、ラムジーが休養するのは、ライトニングにとってかなりの痛手でもあるという。そんな状況でのアンドレチャク、ウエーバー扱いのニュースであったのです。 ライトニングにしてみれば、アンドレチャクがチームを離れた後は、誰がリーダーとなるのか? という大問題が残ります。GMフィースターによると、この後Cマークはしばらく空き屋となり、これまでの2人のAマーク(フレドリック・モディン、ヴィニー・ルカヴァリエ)に加え、3人めを指名する(リチャーズ、テイラー、サンルイが候補)予定だそうです。 このニュースが報道されてひとつ感じたのは、あれだけリーダーとして活躍したアンドレチャクに対し、わざわざウエーバー扱いという屈辱的な形を取らねばならなかったのか? という疑問。アンドレチャクという名選手の最後が、ウエーバーというのは淋しすぎる。自主的に引退という形で花道を飾らしてやれば? と思うのが人情なのですが、その辺は地元紙記事を読んで、自己解決。自らの浅学ぶりを反省いたしました。 実は、ウエーバー扱いとしたのはライトニングの思いやりでもあったのだそうです。アンドレチャクが自主的に引退すると、今季残り年俸を放棄したとみなされ、ライトニングがたとえ今季残り年俸を功労金的に彼に支払いたくてもできなくなるんだとか。あ、なるほどね。 ちなみに今季分残りのアンドレチャクの年俸(33万5000ドル)は、サラリーキャップ加算分から差し引かれるそうです。ただし、ライトニングがバイアウトであろう来季年俸分(52万5000ドル)は、サラリーキャップ分に加算されるということです。新CBAでは35歳以上の選手の複数年契約の場合、引退後も年平均年俸が加算される、ということでした。いやいや、勉強になりました。 実際ライトニングは、アンドレチャクに敬意を表し、ライトニングは引退後の仕事をアンドレチャクに提示をしているそうです。またウエーバー扱いとする前週に、フィースターGMは他29チームのGMに対し、アンドレチャク獲得に興味はないかとEメールを出していたんだとか。つまり、アンドレチャクに対しては、ライトニングとして考えられる誠意が尽くされたといっていい。 1月5日には、アレクサンダー・モギルニーをウエーバーを通過。こっちは34試合で12ゴール25ポイントと仕事はそれなりだったのですが、年俸175万ドル、来季は350万ドルが重過ぎた。数年前からモギルニーは臀部故障に悩まされており、持ち味の快脚は戻らなかったのがウエーバーの要因だそうで。 それにしても、サラリーキャップ提唱者のひとりで、NHLきっての吝嗇家GMとして知られたデビルズGMルー・ラモリエロ(現在はヘッドコーチも見つからず、コーチ兼任です)。キャップ導入後はいいチーム作りをするであろうと思われていたのですが、このモギルニーへの高額契約も含め、今季はやりくり下手だと、地元ではかなり叩かれています。実際今季のデビルズは、モギルニーだけでなく、マラコフ、マギリスと、大枚はたいては切りまくってる。モギルニー、マラコフ、マギリスで1860万ドル突っ込んで、1人引退、2人はマイナー送り。株で言ったら大損出している感じですね。 それにしてもモギルニー。ヘルシースクラッチになっていたという話は聞いていたのですが、彼の場合、あの御し難さゆえ、その気にさえさせればまだ働くのでは? との期待(幻想?)を私は抱いてました。まだまだいけると思っていたのですが・・・今季のブレット・ハル引退といい、モギルニー、アンドレチャクの一件といい、寂寞の感は否めません。まあモギルニー&マラコフの場合、給料高過ぎて若手に悪影響はあるわ、ラモリエロGMはオーナーに自己責任を表明し、次の手段を講じるべくこう動かざるを得なかったのでしょうけどね。 ちなみに混迷しているデビルズのヘッドコーチ探し。ポール・モリースを希望していたらしいが、トロントから接触を断られ(そりゃそうだ! シーズン途中だし、なにせモリースはパット・クインの後釜候補でしょうが)、現在はブレント・サター(ご存知サター兄弟のひとりで、世界ジュニア・カナダ代表ヘッドコーチでも知られる)に興味を示しているそう。でもサター兄弟って、やっぱりアルバータが好きなのよね(笑)。というか、アルバータで輝くというべきか。ブレントは、WHLレッドディアのコーチ職と、世界ジュニア代表コーチで結構財政的にも満足しているようなので、デビルズの勝算は薄そうです。ちなみに立候補者として寄ってきたのは、NHLコーチ万年浪人、テッド・ノーランのみという惨状であります。 まだまだ、デビルズねたについては語りたいのですが、今日はこの辺で・・・
by hockeyworldjapan
| 2006-01-12 10:21
| NHL overall
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