東伏見でのプレーオフ第2戦。思わぬ展開の試合となりました。
先制したのはアイスバックスでした。立ち上がりはペナルティを連発してPKの場面が続く苦しい展開だったのですが、まずは15分45秒。試合序盤からキナ臭い感じだったポディーンとパーピックが取っ組み合いになり、パーピックの怪力にポディーンが転倒。ポディーンはダブルマイナーペナルティを課せられ、バックスにPPのチャンスが訪れました。 そして、バックスはこのチャンスに、スロット上の木村ケビンからゴール左の井原にうまく繋いで1−0とリード。さらにそのわずか23秒後に、ゴール前に切り込んだ高橋が叩いて、あっという間に2点のリードを奪ったのです。 しかし、王者コクドもすかさず反撃。そのまた23秒後の18分11秒に鈴木、さらに18分54秒に佐々木圭司が決めて、試合を振り出しに戻しました。 第2ピリオド6分44秒、コクドは左サークル手前付近からの藤田のパスを、逆サイドにピンチインした宮内が叩いて、3−2とついに逆転。しかしバックスもその後踏みとどまり、第3ピリオド半ばまでこの1点差の膠着状態が続いていました。 試合が決定的になったのが、11分21秒。両チーム1人ずつペナルティボックスに入っての4オン4という局面で、オンアイスとなったジョエル・パーピック。この日は、元スタンレーカップ獲得のNHLコロラド・アバランチの先輩、ショーン・ポディーンに手を出したことも追い打ちとなり、バックスファンから激しいブーイングが彼には浴びせられていました。ここでニュートラルゾーンにてパーピックがパックを持ち、徐々に加速していくと、バックスファンのブーイングはより激しさを増していったのです。しかしそのブーイングを突き破るような見事なドライブを見せたパーピックは、スロットエリア好位置に入り込んだ鈴木に絶妙なフィード。そして、鈴木がこの日2ゴールめを春名のスティックサイドに放り込みました。粘るバックスを引き離す大きなコクド4点目。バックスの選手もファンにとっても、この失点はかなり堪えたに違いありません。その後緊張の糸がぷっつりと切れてしまったバックスは、第3戦に繋がらないまずいプレーを連発。最後は2−6というスコアで敗れたのです。 ジョエル・パーピックという選手、初めて日本で見たときにはスケーティングはゴツゴツだし、ゴールセンスがあるとは思えなかったし、外国人らしからぬ謙虚さと真面目さがあるとは聞いていたのですが、コクドで活躍するには正直「どーでしょうねえ・・・」と思っていました。北米時代の数字を見ても、明らかに「エンフォーサー」の部類。乱闘したらミスコンが待ってる日本のホッケー界において、果たして彼の獲得は有益なのだろうか? と首をかしげたものでした。 しかし、日本のプレーに慣れるにつれ、そのフェイスオフでの強さとか、そのハードワークとか、なによりそのサイズを利した各ゾーンでの圧倒的存在感とか(コクドFWの小粒化も起因していますが)、彼のよい部分がどんどん発揮されるではありませんか。そして、このパーピックの存在の大きさも相まって、日本に帰化していたクリス・ブライトをコクドは放出するまでに至ったわけです。 ここまで行くと、パーピック礼賛記事を書いてるようなのですが、この記事の趣旨はそうではありません。コクドファンならずとも、他チームファンの方もお気づきでしょうが、パーピックがキレると目に余る。それは、リンクで相手選手に吐きまくる言葉であるとか、小さい相手に対して唆す態度をとったり。まあこの手のアジテーションは、北米では日常茶飯事なのかも知れませんが、日本では大きなクエスチョンマークが付きがちなプレーであると言えるでしょう。 その行為を目のあたりにし、我慢ならないとばかりに「いい気になるなよ」と水を差しに行ったのが、なにを隠そうショーン・ポディーンだったのです。不思議なことに、試合中では対等にやり合って見えるポディーンとパーピックですが、試合後の2人とはかなりの好対照。試合中の自らの振る舞いを恥じ入り、反省心さえ表情に浮かばせたパーピックがそこにいるのです。つまり2人には、日本でいう先輩後輩のような階層の違いが歴然と存在しており、それはもうまざまざと北米ホッケー界のヒエラルキーが感じられるほどでした。 で、なにが言いたいかというと、パーピックのああいうプレーは勿体ないね、ということ。せっかくチームに貢献しているのに、日本のファンの前ではああいうラフプレーや振る舞いばかりがクローズアップされてしまう。彼がいつか日本を去って「ジョエル・パーピックとは?」と語り継がれるときには「ああ、あのグーンね」で終わってしまう。それじゃあ、ちと勿体ないんではないの? と思ったまで。 最後にバックスサイド情報なのですが、第1戦に続き、後悔先に立たずのシーンがあったかと・・・どこかでタイムアウト取ってほしかったのよね〜。2−1にされたシーンでも、2−4になった後でもいい。どーせ使わないよりも、使えるときに使ってほしかった。試合後、若林コーチは「プレーオフに出し惜しみは禁物ですね」とひとこと。まったくその通りかと思います。 さて余談ですが、レギュラーシーズンを堂々の2位でフィニッシュしたアニャンハルラは、東伏見に偵察要員を派遣しておりました。それもGMヤン・スンジュン氏自ら東伏見の階上に昇り、デジカメを回すという気合の入り様。しかもヤン氏、持参した三脚は使用せず、試合が白熱してくると立ち上がってビデオ撮影に没頭しておりました。 私も経験があるのですが、三脚を使用せずに1試合通しでデジカメを手回しなどすると、デジカメを支える手がしまいには疲労からぷるぷると震えてしまうもの。実際撮影した映像は、果たしてハルラのスカウティングにうまく運用できるのだろうか? と余計な心配をしてしまいました。今日もまた偵察でしょうかね?
by hockeyworldjapan
| 2006-02-19 13:16
| アジアリーグ
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