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続・五輪&NHL

2010年のバンクーバー冬季五輪のカナダの放映権は、CTV、TSN、ロジャーズスポーツネットの民放混成チームが、国営放送のCBCを破って獲得したそうです。(これでCBCでは、さらなるレイオフが進むと予想)。

NHL労使交渉がここ数日全く新しい動きがないので、さすがのTSNもネタ切れしたのか、いきなり「2010年のチームカナダはどんな選手たち?」と気の早い話をしてました。ま、放映権獲得内輪盛り上げ企画で無理矢理突っ走ったという感じでしょうか?

そのあたりの内輪盛り上げの話はこれくらいにして、先日こんな話題がありました。

2月1日、IOC会長ジャック・ロゲ氏が、2010年五輪開催地のバンクーバーを訪問しました。その際に「五輪アスリートは、最低年俸600万ドルを求めてストライキなんかしない」と発言。場内500名以上の聴衆から大きな喝采を浴びたそうです。

ただし、後になって自分の発言に関するカナダ国内での反響の多さに驚愕したらしく、そこではかなりの弁解モードでした。自らもヨットで3回五輪出場で、ラガーマンというロゲ氏。ソルトレーク五輪では自ら選手村で寝起きするという「庶民派」を打ち出した彼らしい発言ではあったわけですが、例によってNHLロックアウトによりニュースに飢えてるカナダのメディアにとっては、実にツッコミ甲斐がある取材対象だったわけです。ベルギー出身の方なので、さすがにカナダでのNHL関連報道の凄まじさは予想できなかったか・・・という好例でした。

そしてかねてから「ベットマン嫌い」とお伝えしてきたIIHFルネ・ファーゼル会長も、このIOCロゲ会長とともにバンクーバー入り。到着当初は「NHL選手の2006年トリノ五輪参戦? ギリギリまで門戸を開くよ」と穏当な発言を残してたのです。しかしその翌日、NHL選手にチクリと刺したロゲ会長と同期化したのか、ファーゼル会長は猛然と掌返しに出ました。

「来季NHLシーズンが成立し、NHL選手参戦のために五輪ブレイクが設定されなくても、NHL選手がトリノ五輪に出場する手段はある」

この発言の状況説明をしたいと思います。
現在労使交渉が難航している状況を睨み、NHLベットマンコミッショナーは「たとえ労使交渉が妥結しても、来季レギュラーシーズン中に五輪ブレイクを設ける可能性は薄い」とコメント。ここには「NHLはトリノ五輪について配慮する用意はない」という意図が汲み取れます。

それまで「NHLにスリスリ」する姿勢を打ち出していたファーゼル会長なのですが、「さすがにそこまで舐められちゃあかなわん!」と、ロゲ会長(整形外科医@ベルギーです。歯科医@スイスのファーゼルさんにとっては、ベットマンコミッショナーより付き合いやすい相手に違いない)の後ろ盾に背中を押されたこともあってか、上記の掌返し発言に出たようです。まさに売り言葉に買い言葉とはこのこと。まあ、気持ちは分かります。

さらにファーゼル会長は「各国連盟は、選手たちにNHL契約を思いとどまらせ、五輪に出場させる案を持っている」とベットマンコミッショナーに対して宣戦布告とも受け止められる発言も。そして「NHL選手が参加しなくたって五輪は大丈夫」的な発言も残しています。そして2004−05年シーズンが全面中止になれば「(2005年)ウイーンでの世界選手権はとっても面白くなるだろうよ」と挑戦的。高額契約選手たちの保険が問題となりかねないが? と聞かれると「トップクラスの高額年俸選手を除き、現在ヨーロッパでプレーしている選手たちはみんな保険でカバーされているから、世界選手権でも同様に問題ない」と余裕をぶちかましていたそうです。

ただ、こうしたファーゼル会長の発言を尻目に、おそらくベットマンコミッショナーの腹の内は「トリノはどうでもいい。バンクーバーさえ参戦できれば」というとこではないかと察するのです。実際、1998年長野五輪の際もNHLとしては、「(2002年)ソルトレークの予行演習のつもりで」というノリでしたしね・・・仮にトリノに参戦するとなったとしても、また長野の時と同様に選手たちからは「時差ぼけうんぬん」でスケジューリングに苦情が出るのは目に見えてもいます。

そのトリノ五輪、各国は2005年10月までに選手リスト提出が求められ、2005年1月にさらにその詳細リスト提出が必要となります。ただし直前でのメンバー変更はアリらしい。ということで、かなり直前までバタバタすることが予想されます。

そして本日(2月10日)から、スイス・クロテンで日本代表がそのトリノの出場権を賭けて戦います。いい結果を期待したいものです。
by hockeyworldjapan | 2005-02-09 13:36 | NHL overall


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