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こういうのを一縷の望みというんでしょうかね?
昨年の12月14日以来、まったく会談が行われていなかったNHLとNHLPAが、緊急に次回会合開催を予定しました。 NHLPA選手会会長のトレバー・リンデン(バンクーバー)は、NHLとの「小グループによる」会合を1月19日に実施するよう急遽呼びかけ。この会合には、両陣営から各3名のみ参加するもので、ベットマン、グッドナウのNHL、NHLPA両巨頭は出席しないとの内容になっています。会合場所は当初明らかにされていませんでしたが、その後の報道でシカゴでの開催が噂されています。 PA側からはリンデンの他、ナンバー2のテッド・サスキン、外部顧問のジョン・マケンブリッジ氏が参加、NHL側からは、NHL代表者会議議長を務めるハーリー・ホッチキス氏(カルガリーのオーナーのひとり)、NHLナンバー2のビル・デイリー、外部顧問のボブ・バターマン氏が参加の見込みとなっています。 この会合での具体的議題は明らかにされていませんが、特筆すべきはやはり両巨頭を含めない会合形式でしょう。これについてリンデンは「グッドナウ氏は問題ないと言っている。こういう会合は稀というわけじゃない。過去の労使交渉において、こうした形態をとったこともある」と説明しています。 さらにリンデンは「この会合はPR目的で招集したわけではない」ともコメント。つまり「見込みのないリーグ再開に向けて、NHLPAがその姿勢だけ一般世間に売り込んだ」と受け取られたくないという、リンデンの強いメッセージが感じられます。 この会合で双方がどこまで腹を割って話をするかが、大きな焦点であることは間違いありません。ベットマン、グッドナウという「番犬」不在の環境で、選手側、オーナー側ともに分裂が囁かれる中、双方の提案に関して各々が直接率直な意見を交換する機会になるのでは・・・と期待されています。ただしそれが労使妥結に直ちに結びつくとは、正直考えにくいわけで、今季開幕への可能性は依然として極めて少ないままといっていいと思います。 ただ、下手をすれば2005−06年シーズンまで危ぶまれるのではとの声も出て来た昨今、この種の会合はたとえ手探り状態に終わったとしても、持たれないよりはまったくマシと考えるべき。同様に1月17日には、ブレンダン・シャナハン(デトロイト)が、マンハッタンのレストランでNHLベットマンコミッショナーとお忍びで会談していたとの報道もありました。その会談内容は労使協定ではなく、今後のルール改正についてだったそうですが、これがリーグ側とPA側が少なくとも再び交渉の席につくための手がかりになれば・・・と願うわけです。 さてここで、前回の投稿からしばらく経ってますので、その間の経緯も少し説明しましょう。 まずは1月11日、カロライナ・ハリケーンズのオーナー、ピーター・カーマノス氏の「自分が思うにもう今季はない」発言。その一方で、同時期、フィラデルフィア、NYレンジャーズ、ダラス、トロント、デトロイト、コロラドといった高収入6チームが、ベットマンコミッショナーに対して「早くリーグを開幕するように」と不満をぶちまけたという報道もありました(フィラデルフィア・インクワイアラーの記事を読む)。そのため、NHLはこの分裂をカモフラージュするために、カーマノス氏と仕組んでNHL側のスタンスを明らかにさせたのではとの見解もあるようです。94−95年ロックアウトの際には、94年スタンレーカップを獲得したレンジャーズ首脳が、NHLに対して「早期開幕を」とプレッシャーをかけたという経緯がありますし、以前も説明した通り今回もこうした分裂から交渉妥結に向かう可能性は十分あります。 かと思えば、その翌日にはマイク・モダノ(ダラス)がカナダ全国紙のナショナルポストに「10月になって『今後も団結は固い』などと言うのは難しい。『オレたち何やってるんだ』という選手たちが出て来るだろう」と語ったと報じられましたが、これに対してモダノは後日「自分のコメントが心外な形で使用された」と反論していましたが、「団結」が伝えられていた高年俸選手からもこうした発言が出て来たというのは、選手側のさらなる団結崩れを現す証拠といっていいでしょう。 しかしこうした流れを抑えるように、1月15日にはNHLPA代表グッドナウ氏が「選手たちは今季および来季のNHLシーズン中止に備え、ヨーロッパなどでの仕事を探すように」と通告したとの報じられました。代理人によっては、すでにヨーロッパのチームと来季の契約話を進めているとか、また故障のため北米に戻ってきていた選手が再びヨーロッパに渡るなどという報道もちらほら。ヨーロッパリーグへの移籍期限は1月31日となっており、それまでにさらに多くの選手たちがヨーロッパ目指して旅立っていくことと思われます。 ところで、前回の投稿で「NHL今季開幕の可能性があるとすれば、オーナーと選手がクーデターを起こすしかない」と書きました。 「クーデター」という表現は、非常に野蛮だったとちょっぴり反省しています。自由主義社会じゃあ他にやり方はあるわけですから。親玉の逆鱗に触れることなくスマートにこの種の会合開催に至ったリンデンは、ある意味偉いと思います。 他にも、こんな提案をした人がいました。 1月12日、スタン・キャステン氏(元NHLアトランタ・スラッシャーズ、NBAアトランタ・ホークス、MLBアトランタ・ブレーブス社長)は、両巨頭にある提案書簡を送付。その内容は以下の通りです。 *NHLベットマンコミッショナーから選手たちに対して、NHLPAグッドナウ代表からオーナー陣に対して、最新の提案内容を直接説明する機会を設ける。 *説明会終了後、オーナー側、選手側それぞれ無記名投票を実施。その結果を公表する。 この提案、NHLとPAそれぞれから即座に拒否されたのですが、実現してもらって無記名投票の結果を見たかった。それに少なくとも、私の野蛮なクーデター案よりはずっとスマートな提案でした。 いずれにしても、現地19日の会合内容が気になります。 (19日の会合についての現地記事を読む) ご感想はHWJ掲示板まで ■
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by hockeyworldjapan
| 2005-01-19 14:42
| CBA
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