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まだあのファイナルの興奮冷めやらぬ本日、アジアリーグ・アウォードが開催されました。
アウォード受賞者の詳細については、アジアリーグの公式HPを見て頂くこととして、こちらに足を運べなかった方たちのために、ちょっと小ネタをご紹介。 *場内から笑いを誘ったのが、2年連続MVPの菊地選手のスピーチ。まずはマイクを向けられて「あ・・・う・・・」と絶句。そして「正直僕よりもふさわしい選手がたくさんいるのに、こんな賞を貰ってしまって・・・恥ずかしい気持ちです」と、絞り出すような声でのコメントに、場内からは笑いが漏れていました。その後のファンへのメッセージで噛み噛み状態、さらにトロフィーを持っての記念撮影では、あまりの表情の固さに「もっと笑って下さい」とのリクエストが。それでさらに表情がこわばり、チームメートからさんざん冷やかされた菊地選手でありました。 *ベストレフェリー賞に2年連続で輝いた川村一彦レフェリー。受賞後のスピーチでは「試合中、応援してくださるのはうれしいのですが、名指しでヤジるのは勘弁してください」と語り、これまた場内爆笑。アウォード終了後には「経費節減のため、東京のレフェリーが選ばれてるだけですよ」と謙遜しながらも「来年また狙います!」と高らかに宣言していました。 *ベストプレーメイクFW、最多アシスト、最多ポイントと、表彰ずくめのデレク・プラント選手。トロフィーの授与は壇上で行われるので、受賞者は壇上中央でスタンバイしていればよいのですが、たまたま最多アシスト賞のプレゼンターがやや出遅れ気味で手間取っているのを見るやいなや、プラント選手は自ら壇上の端まで歩み出て、トロフィーを貰いに行ったのです。プラントにとって初めての日本でのアウォード出席で、勝手が分からずについ出てしまった珍プレー。これまた場内から笑いが漏れました。 *昨夜は悔しい酒をさんざんあおったであろうクレインズ陣営。伊藤賢吾キャプテンは、「今日、朝起きてもまだ負けたなんて信じられなくって・・・セミファイナルを3連勝して、釧路でも勝てていたから絶対に優勝できると思っていたんです」と、いまだに悔しそう。昨年は明らかに実力でコクドに負けたと思えたし、割とサバサバした感じで負けを受け入れられたそうだが、今年の負けはいまだに受け入れがたいものがあるのだとか。一夜明けて、日本製紙本社へ「敗戦報告」をチームスタッフとともに出向いた賢吾キャプテンだったが、本社ではGM含め多くの人たちが「よく頑張った」と逆に励ましてくれたのだそう。来季に向けて、会社側のバックアップもすでに取り付けているというクレインズは、いまやチーム財政面において日本では一番の安定性を誇っているといっても過言ではありません。「釧路ではできたことが、東伏見に来てできなかった。それはリンクコンディションのせいだけでないと思います。自分たちのプレーができなかった分、来季はしっかり底上げをしていきたい(田中監督)」というクレインズに期待しましょう! *ファイナル第5戦、最後の最後で底力を見せたコクド。ケガ人も出て、ベテランが多くスタミナ的にも心配されましたが、試合終盤は選手たちがあたかも「ホッケーハイ」にでもなっているかのような怒濤のプレーを披露してくれました。鈴木貴人キャプテンに言わせると、実際に選手たちはそういう「ハイ」な状況に入っていたようで、試合終了後ロッカールームでは、まだ勝利の美酒が入っていないのに皆「まるで酔っぱらってるみたいにハイでした(鈴木選手)」のだったとか。「試合が終わってもその酔いが醒めないんです。僕は記者会見に呼ばれていたので、このままではいけないと思い、いったん外に出て頭を冷やしていたほどです(鈴木選手)」。いわば、脳内快楽物質ドーパミンが出っぱなしだったということでしょうか? 普段クールな印象のある鈴木キャプテンですが、今までの優勝経験の中でも、これほどの感覚に襲われたのは今回が初めてだったそうです。 *残念だったのは、ハルラがアウォードに参加しなかったこと。セミファイナル第4戦での例の一件でしこりを残したのがその要因ではありました。ソンドンファン、ヤロスラフ・ネドベドがベスト6に選ばれ、チームも3位と、アジアリーグの中でも今や欠かせない存在だっただけに、やはりこのアウォードには参加して欲しかった・・・来季に期待します。 ▲
by hockeyworldjapan
| 2006-03-28 00:04
| アジアリーグ
アジアリーグ・プレーオフファイナル第5戦は、コクドが4−3と日本製紙クレインズを振り切り、2年連続優勝となりました。
試合をざっと振り返ると、クレインズがまず2−0と第1ピリオドに先制。PPのチャンスにプラントが元NHL選手の片鱗を見せる巧みなシュートで、コクドGK菊地は美味しいリバウンドを出し、そこをすかさず伊藤雅俊がグラブサイド上へ見事に決めて1−0。(余談ですが、この日の伊藤雅俊はいつにも増してデンジャラスでありました)さらにまたまたPPで、クレインズはゴール右から佐藤匡司がディフレクションで決め、2−0で第1ピリオドを終了しました。 しかし、コクドは第2ピリオド序盤、PPのチャンスを活かして攻め続け、クレインズのPKユニットは1分30秒間全くチェンジできず。足が止まったところで、ゴール裏鈴木貴人からゴール前のパーピックに渡って、1−2と反撃を開始しました。 クレインズとしては、この1点は仕方ないにしても、次の5オン5での失点は痛かったのではないでしょうか? Dゾーンでパックを奪ったパーピックからロングパスで相手ブルーライン手前のユールに繋ぎ、ブルーラインを越えたところでユールが鈴木貴人にドロップパス。そこから鈴木が放ったミドルシュートが決まり、第2ピリオド4分すぎにして2−2の同点に。 こうなると、コクドのイケイケ展開になるかと思われたのですが、コクドは再び自らのペナルティで自滅モードに。しかしその後のPPのチャンスで、コクドG菊地の要所要所の好セーブと、コクドの選手がリバウンドをがっちり拾う得意のプレーオフモード戦闘態勢に阻まれ、クレインズは勝ち越し点を挙げられませんでした。 そして第3ピリオドでは両チームともに1点を追加し、3−3の同点。コクドは15分すぎに得たPPで、河村のパスからキャプテン鈴木貴人が左サークル付近から叩いたシュートがゴールに収まり、これが決勝ゴールに。クレインズは終盤6人攻撃をかけるも、コクドゴールを破ることはできず。試合終了と同時に、ベンチにいたコクドの選手たちが雄叫びを挙げ、リンクになだれ込むセレブレーションを、うつろな瞳で見つめるクレインズの選手たち。 例年のプレーオフでは、困った時のベテラン主力頼みという傾向があるコクドでしたが、今季プレーオフ、殊にファイナルに関しては成長してきた若手や、渋め仕事人たちにある程度任せることができていました。例えば、プレーオフでは毎年かなりのアイスタイムを背負うことになる藤田がケガを抱えてのプレーとなっても、彼を4つめに配することで負担を軽減することができると同時に、クレインズにとっては4つめといえども全く気が抜けない布陣(好調の外崎、今に藤田。並のチームならトップラインも務められそう・・・)を相手にすることになっていたわけです。 もちろんクレインズの4つめも、ベテラン竹内を配していたわけで、それなりの豪華さはあったのです。しかし、今季クレインズのプレーオフでの数字を見てみると、サードライン以下の選手は守りに徹しているせいか、ほとんどスコアリングに絡んでいない(6試合で山野1ゴール、佐藤博史1ゴール、酒井1アシストのみ)。また、2つのラインから叩きだすゴールも、強力なPPで挙げるというケースが多かった。ちなみにファイナル5試合での計17点のうち、半数以上の9ゴールがPPでの得点によるものでした。 4つのFWラインを、はっきりオフェンシウ゛ラインとディフェンシウ゛ラインに分けるか否か? これも昨日書いた「ラインをシーズン通じて固定するか否か」と同様なお題目であって、それぞれにメリットとデメリットが混在します。よってどちらが優れているかなんて議論は所詮水掛け論であり、全てはケースバイケースである。ただし、ディフェンシウ゛なラインからゴールが生まれれば、そのチームにとっては大きなボーナスであることは間違いありません。 シリーズ敗退決定後、記者会見でクレインズの田中監督はこう語っていました。 「こういう結果になって、何をいっても言い訳にしかならないので、しっかり受け止めてチームを再建するしかないです。プレーオフで王手をかけても勝てなかったけれど、その差は小さな違いだったはず。ただ小さな違いといっても、それが一番の違いだったと思うのですが」 「釧路で3つ勝てていれば・・と気持ちがどこかでありました。で、本来の力が出せなくなって・・・それを乗り越えるだけの力が無かったということです」 その一方でコクドの選手が、ベテランから若手まで、最後の最後まできっちり動けていたのには、正直予想外でした(コクドの選手の皆さん、ごめんなさい)。コクドとしては、チームスタッフ、選手にトレーナーが一丸となって、「シーズン中にピークをどこに持ってくるか」ということに、ひとつの焦点を置いていたとのこと。1回めのピークは試合スケジュールがキツかった11月、2回めのピークは全日本選手権。しかし、全日本選手権では無駄なペナルティを連発し、クレインズの強力PPにしてやられるはめになった。 ただこの全日本選手権での苦い経験をもとに、コクドの選手は「とにかく無駄なペナルティをしてはならない」と、コーチ陣も選手も心に言い聞かせていたわけです。本当にシンプルで当たり前のことだったと思うのですが、それを実践する方は大変だったと思います。ともすれば、氷上での沸点低すぎに思われるパーピックでさえも「とにかく冷静にプレーして、ペナルティを少なくすることがウチにとっては勝利のカギなんだ。相手にPPのチャンスをやらなければ、ウチは勝てるんだ」と、繰り返していたことからも、それは明らかでした。 コクドでは、シーズン中に主力が長期欠場していた間に、普段重要な局面でプレーする機会がない選手が成長しているという話を、こちらでも以前にお伝えしました。そういった逆境を肥やしにする精神も、今季のコクドには生きていたと思います。またケガで休んでいた選手にとっても、大きな意味のある優勝だったようです。 「ここ4年間で一番報われた優勝だった。クレインズは素晴らしいチームで、そのプレーには本当に脱帽する思いだけど、自分としてはケガで3ヶ月プレーしなかったシーズン。最後はゴールも挙げられて最高の気分だよ」 そう記者会見で語るパーピックの右手は、しっかりとテーピングされたままでした。 で、会見終了後は、恒例の祝勝ビール掛け。「ペペ」こと河村が褌一丁で登場、外崎は水着にスイミングキャップといういでたちで、異彩を放っていました。 (写真は#40藤田キヨシ選手(右)と、ずぶぬれになった岩崎監督(左)。我々メディアも何度か危ない目に遭いましたが、ガラス戸でシャットアウトして事なきを得ました) ![]() ▲
by hockeyworldjapan
| 2006-03-27 11:26
| アジアリーグ
ホームアドバンテージには、いろんな要素があります。
まずは地元ファンの前でプレーできるという心理的要素。次に本拠地のリンクでプレーできるということで、勝手知ったる我が家でプレーするホームチームがやりやすいことは言うまでもない。ルールでリンクの寸法はおおよそ決められているものの、リンクによってはコーナーのRの具合であるとか、ゴール裏のボードの跳ね返りであるとか、はたまたサイドのボードの高さなど、かなり違いがあります。 また、氷の質も、リンクによって大きく異なります。例えば今日の東京地方の最高温度は15度。NHLクラスのアリーナとは異なり、外気が遮断しきれない日本のリンクの多くでは、外の気温や湿度がアップすると氷の質低下にすぐ繋がってしまう。特に北海道の速いリンクから本州の遅いリンクにやってきた時、選手たちは一様に「脚に来た」と口にするわけです。 NHLのプレーオフなどでは、逆にホームがアドバンテージでなくなるケースも往々にして見受けられます。家族や友人から試合のチケットを頼まれたりと、選手たちがホームならではの喧噪に巻き込まれるのは、よくある話です。NHLチームによってはホームシリーズであってもホテルに選手たちを全員宿泊させ、そうした喧噪から隔離させようと策を練ったり。あるいは、ホームでの期待があまりにも高すぎるため、それが選手たちにとって心理的プレッシャーとなってしまうこともあります。 さらに、試合の細部へと言及すると、ホームアドバンテージ=最終マッチアップ権を意味します。つまり、相手チームが出して来たラインに応じて、氷上に送り込む選手をチェンジすることが可能であり、それがコーチの腕の見せ所になるというわけです。 前置きが長くなってしまいましたが、今日のアジアリーグ・プレーオフ決勝第4戦は、まさにそうしたホームアドバンテージを、コクドがよく掴んでの勝利だったと思います。 試合開始直後、5オン3のPKと自らピンチを招いて早々に失点したコクド。その後もクレインズは、コクドのニュートラルゾーンのギャップが開き気味になったところをえぐるようにパスを通したり、スピーディにパックを持ち込んだりと、押し気味に試合を進めていました。 しかし、そこからがコクドの見せ場でありました。プラントのラインにはパーピックのライン、ミタニのラインには佐々木のラインと、まずはきっちりマッチアップ。そしてセンターを基軸に、出場させるラインを小刻みに変えて来たのです。状況に応じて選手を厳選し、緻密に組み替えられるライン。大事なフェイスオフの場面では、ウイングに代わってセンターの藤田を送り込み、フェイスオフでチェンジを命じられた時にもセンター2人で備えるような「スコッティ・ボウマン方式」の戦術も冴え渡っていました。 レギュラーシーズンを通して、ファーストライン、セカンドラインをある程度固定してきたクレインズに対し、ケガ人が出たこともあって絶えずライン構成の変更を迫られてきたコクドはある意味好対照です。どちらがいいとは一概には言えないと思います。ラインを固定すればコンピネーションに深みが出るでしょうし、ライン構成が日替わり状態だと選手はやりにくさを感じることもあるでしょう。しかし今日のコクドは、そうした経験が柔軟性という形で生きたようです。あれだけ、複雑にライン構成が入れ替わると選手が混乱し、メンバーオーバーのペナルティを起こすケースなど、NHLでもちょくちょく観受けられるのですが、この日のコクドに限ってそういうことはなし。コクドのチームスタッフ、選手たちの試合巧者ぶりが存分に発揮された場面でした。 そして、コクドは第1ピリオド4連続ゴールであっさり逆転します。 1点目はブルーラインを越えたところで、今がゆっくり状況を見極めて川口に横パス。二瓶次郎が守るゴールの空いたスペースを、川口がハーフスピードで流し込んだシュートが決まって、1−1の同点。 コクド2点目は、クレインズが攻撃していたところからのカウンター。コクド側ブルーラインからパックがこぼれるやいなや、増子、佐々木が素晴らしい飛び出しで、あっという間に2オン1。増子から佐々木へとパックが渡ってゴールが決まり、2−1と逆転。 その後もコクドの勢いは止まらず。ゴール前で外崎が倒れながらシュート、そのリバウンドを藤田が決めて3−1。さらに外崎がセミブレイクアウェイから、ゴール前左に切りんでのゴールで4−1。第1ピリオドにして、ほぼ試合を決めてしまったのです。 ただし、今季のクレインズはこれでしょげ返るようなチームでは決してない。第2ピリオド立ち上がり5オン3を含むPKを守りきると、佐藤博史のゴールで2−4に。 その後もクレインズは、DF選手が果敢にピンチインするプレーの連続で、コクド陣内を脅かしていました。しかしコクドもこのピリオド後半にパーピックがゴールを決め、再びリードは3点差。このパーピックのゴールはいろんな意味で凄かった。ユールがひとり持ち込んで放ったシュートのリバウンドがこぼれ、リムをつたって転がったところを、パーピックが押さえるやいなや振り向きざまに放ったシュートは、二瓶次郎が守るゴールのトップコーナーに突き刺さっていた。東伏見に詰めかけたファンから大きなどよめきが起こったのは、言うまでもありません。 しかし、3点のビハインドを背負ったクレインズは、第3ピリオドに意地を見せました。西脇がドライブして放ったシュートを、コクドGK菊地がブロッカーでセーブ。そのリバウンドを拾った伊藤雅俊が角度の悪いところから放ったシュートを菊地が止めきれずに、ゴールイン。さらにその後もゴール裏の桑原から、ゴール前に詰めたプラントへと繋ぎ、クレインズがあっという間に1点差に詰め寄りました。 試合終盤はコクドのペナルティあり、6人攻撃ありで、大攻勢をかけたクレインズでしたが、最後はパーピックのエンプティネットゴールで万事休す。コクドが6−4で第4戦を勝利し、これでシリーズは2勝2敗のタイに。明日(3月26日)東伏見17時開始の第5戦での決着と持ち越されたわけです。 第5戦もコクドにホームアドバンテージがあるわけで、コクドとしては自分たちの底力を見せる舞台が整ったという感じ。一方のクレインズは、チャレンジャーであるはずの立場が、やや横綱相撲に走ったきらいもありました。しかし試合後半では激しい追い上げを見せてくれましたし、第5戦ではまた違ったクレインズを出してくるはずだと期待しております。 最初にホームアドバンテージの話をしてしまいましたが、東伏見のリンクの遅さを考慮した上でも、脚の動きはクレインズの方がまだ余裕があるように窺えました。しかしコクドも主力はフル回転、ケガを押してプレーする選手もいたりと苦しい中で、外崎や佐々木、小原、神野といったメンバーがいい働きをしていたし、ベテラン主力FWたちもDFをカバーするために素晴らしい守りを見せていた。 「ウチは今季層が薄くなったとか言われていましたが、FW12人、DF8人を見てみても、一番選手が揃っているのはウチだと自負しているんです。今日も4つめまでちゃんと回せれば勝てると思っていました。外崎のゴールは大きいです。彼は今季クレインズ戦ではいい働きをしてるんです。ゴールに向かう気持ちがあるし、あとはチャンスを決めるだけだったところが、今ちゃんと決めてくれている。なのでチームにとってはいいプラスになっています(若林クリスコーチ)」 クレインズの方は、1−4となった場面で点を取りにいかねばならなくなって終始前掛かりな感じでプレーしていたため、この日の守りについては評価するのは妥当ではないかも。なので両チームの守りを比較対照するつもりは金輪際ないけれど、そうしたファクターを差し引いてもコクドのFWはよく守りに入っていたと思います。クレインズは、第2ピリオドにDF中島谷が故障退場。心配されましたが「大事をとっただけ。大丈夫です(中島谷)」とのことで、第5戦の出場は問題なさそうでした。 それにしても、両チームともトランジションの速いこと、速いこと。ファイナルなのですから当たり前といえば当たり前なのですが、試合としては本当に見応えのある内容でした。首都圏在住の皆様、明日(あ、もう今日ですが)は是非是非、東伏見にお運びください! ▲
by hockeyworldjapan
| 2006-03-26 00:59
| アジアリーグ
先日はWBC日本vsアメリカで微妙な判定というのがありましたが、まさにアジアリーグ・プレーオフセミファイナル第4戦ハルラvsコクドも、残念ながらそうした微妙な判定に左右される内容となってしまいました。
私としては、本当に口惜しくて仕方ない。というのもこの試合、途中まで内容にぐぐっと引き込まれて身体が思わず前のめりになるような、スリリングで素晴らしい展開だったのです。 ここまで、コクドの2勝1敗。もう負けられないハルラは、出足からアグレッシブに展開します。コクドも負けじと応戦し、序盤からエンドトゥエンドの非常に速い試合の動きが楽しめました。 実は今季、あまりハルラのホッケーをじっくり観る機会に恵まれなかった私ですが、この日の彼らは本当に素晴らしいプレーを見せておりました。ハルラのPPは、オタカー・ウ゛ェイウ゛ォダコーチのクラドノ方式とでもいうのでしょうか、チェコ人選手を中心に日本チームにないタイプのプレーを見せてくれるので、私は序盤からもう興奮しっぱなしでありました。自陣で味方DFがパックを持ってリグループしてる時に、すでにファーサイドにおいてひとりストレッチしている選手が、相手陣内ブルーライン上で必ずロングパスを待ち受けてたり。はたまた、アンブレラ陣形で、巨漢DFネドウ゛ェドが強烈スラップショットをズドーン、ズドーンと放ったり・・・。チェコ人選手だけではありません。いつの間にか、韓国人選手たちもチェコ人選手のスキルとパワーに引っ張られるような形で、個々の力をぐんぐん伸ばして来てるのが明らかでした。 その後のPKもすごかったです。コクドは5オン3の絶好のチャンスを1分以上貰っていたのですが、その間に一度もハルラGKキム・ソンベまで届くシュートを放つことができませんでした。というのも、ハルラの選手がみな身を挺して、どんどんシュートブロックに飛び交っていたからなのです。あれだけ必死の守りは、日本リーグ、アジアリーグを通してウン十年観ている私でも、そうお目にかかれる代物ではありません。 逆にコクドがSHとなった際に、カウンターで2オン0の絶好のチャンスを迎えた時も、パーピックから鈴木貴人とゴール前でパスが渡ったのにもかかわらず、GKキム・ソンベが体勢を崩しながらスティックで、鈴木が浮かせたパックをクリアしたのには、思わず息を飲みました。また、コクド#33パーピック、ハルラ#55ネドウ゛ェドの巨漢同士のマッチアップには、東伏見のファンから大きなどよめきが聞かれてもいました。 第1ピリオドは0−1とリードされて終わったハルラですが、第2ピリオド序盤は流れをつかんで、いい攻撃を展開していました。コクドはプレーオフでは例年通り、スロットエリアの守りをぎっちり固めてきているのですが、それでもハルラは何度も分厚い攻めでコクドGK菊地を責め立てました。しかし、この日の菊地はスーパーと言っていい出来でした。何度もハルラの決定的なチャンスを止めまくったのです。 そして、コクドは神野のゴールで追加点。コーナーの宮内からフィードされたパックを、神野はハルラGKキム・ソンベのグラブサイド上を狙いすまして決めていました。コクドのシューターたちは、かなりこのキム・ソンベのグラブサイド上をウイークポイントとして狙っていたようでした。 2−0として、いったんはコクドが試合の流れを掌握したかにみえた第2ピリオド後半。コクドはペナルティ続きでSHという場面で、ハルラはまたまた分厚い攻めを展開。ここでいったんゴールを決めたかに思われた。ハルラの選手たちはゴールが決まったと認識し、両手を掲げて喜ぶ仕草を見せたが、ゴールランプはつかないし、レフェリーもゴールのシグナルを見せず。試合はそのまま続行され、ルースパックを拾ったコクドは一気に2オン0の形でカウンターアタック。最後は今洋祐が決めて、試合は一気に3−0と開いてしまいました。 ここで、猛然と抗議に出たハルラベンチ。ハルラ側の主張としては、ゴールネットに穴が空いており、そこからパックがゴールの外に抜けてしまったとのこと。しかしゴールジャッジもレフェリーも、ノーゴールを宣告しているという理由で、この判定は覆されることはなかった。その後は試合再開となったが、ハルラ側は選手たちを氷上に送り込まずに、「まずはゴールネットの穴を確認して欲しい」と訴えた。しかし外国人レフェリーとの意志疎通の問題もあってか、このハルラ側の行為は試合遅延と見なされ、ハルラは2回のマイナーペナルティを課されてしまいました。 その後、この試合の清野勝スーパーバイザーが氷上に降り立ち、まずはハルラベンチに状況を説明。そして「このままでは、放棄試合になってしまう」との旨を通告したそうです。その後、コクド側のゴールネットの穴を確認。そしてオフィシャル席に戻り、清野氏は「いったん製氷して、試合が止まった第2ピリオド19分4秒から再開する」との決定を下したのです。 製氷機がリンクを走る間に、オフィシャル陣は憤然としているハルラ陣営に説明を続けていました。これには日本アイスホッケー連盟会長富田正一氏までが説明に乗り出す姿も目撃されていました。最悪、この判定を不服として、自ら試合を放棄するという選択肢もハルラには残されてはいましたが、製氷が終わった後にハルラ選手たちがリンクに現れた時には、東伏見のファンからは大きな声援が飛んでいました。 しかし、ハルラにとっては、抗議の際に課されてしまった試合遅延のペナルティ2つは重かった。結局このマイナーペナルティ2つで1回ずつ失点を許してしまい、スコアは5−0に。これで試合の行方は決まってしまいました。 にもかかわらず、最後の力を振り絞って攻撃を仕掛けるハルラの動きには、これまた心を揺さぶられるものがありました。しかし再三のハルラのチャンスに対しても、コクドGK菊地は、読みも動きも冴えまくっていました。この菊地の守りがなければ、こうした試合展開であっても、この日のスコアはかなり競り合いだったかも・・・と思うほど、菊地は冴えていたのです。 ですが、最後の最後でその菊地が守る砦を、ソン・ドンファンがこじ開けました。コクドDFにびっちりマークされながらも、そのDFを道連れにするかのように力を振り絞ってのゴール。今季以降は、兵役で向こう2年間チームを離れることが決まっているソン・ドンファンだけに、その思いのたけを預けるようなゴールでした。ハルラには、他にキム・キョンテとチャン・ジョンムンの2人が兵役でチームを離れることになるそうですが、ソン・ドンファンの場合は実戦演習ではなく、ほぼ公務員のような形でのオフィスワークとなるため、たまのホッケー練習は可能でもアスリートとしてトレーニングを継続していくことは不可能に近い、と言われているそうです。 結局試合は5−1でコクドが勝利。コクドはプレーオフファイナルへと駒を進めました。 それにしても、なんと後味の悪い試合でしょうか。試合後、清野氏は中断時の一連の動きを報道陣に説明した後、こう語りました。 「こういう時のために、ビデオジャッジがあれば・・・と思いますよ。しかし経費の都合上、なかなかそういうわけにもいきませんでした。ただ来季からはこうした事態も考慮して、プレーオフだけでもビデオジャッジの導入を検討したい」 また清野氏自身が確認したゴールネットの穴(2カ所空いていたという説もあり)については、「実際に穴は空いていました。各ピリオドの頭には、必ずラインズマンがゴールネットに穴はないかチェックをしていますが、ゴールネットは選手のスケートやスティックで破けることがあります。ネットが切れていたことは事実ですが、ゴールジャッジにレフェリーがちゃんと確認をしてゴールを宣告したからには、ゴールは認められることになります」と説明していました。 もちろん、ビデオリプレイが利用できれば、それに越したことはありません。ただ一見万能に思えるビデオリプレイも、プレー内容と撮影角度によっては判断できない状況もあることも事実です。NHLの場合でも、ビデオジャッジに持ち込まれたけれど、結局ゴールなのかノーゴールなのか判定不可能とされて、その結果ノーゴールとされているゴールもあるということだけ、付け加えておきましょう。 ゴールラインを割ったか否かは、基本的にはゴール真上のカメラの映像による判定になるのですが、ゴールラインを割る瞬間に選手の身体がパックに覆いかぶさってきた場合は、その判定は難しくなります。またNHLでは、シュートがハイスティックによって決まったのか、あるいは選手のキックモーションによって決まったのか、というところまでビデオ判定に持ち込まれるのですが、それだけの設備を整えるとなると、かなりの経費が必要になります。NHLの場合、場内数十カ所のカメラポジションがあるからこそ、そうしたジャッジが可能になるのですが、これをアジアリーグで再現しようとすると、かなりの妥協案による実施となることは否めません。そこだけは、留意しておくべきだと思います。 で、結局何が言いたかったかと言うと、ハルラのホッケーがここまで進化を遂げたのには敬服したいということ。今回のジャッジの一件については、ハルラにとっては不運としか言いようがない(コクドにも「あれはゴールだった」と発言している選手たちがいました)のですし、ゴールネットの穴の確認や、会場のファンへの説明も含め、今後の対応策が不可欠ということ。さらに、この一件が注目を浴びすぎてしまうことで、ハルラの素晴らしいホッケーがその影に隠れてしまわないように、の3点でした。 長い試合で疲れ気味のため、乱文お許しください。(バタッ) ▲
by hockeyworldjapan
| 2006-03-15 01:53
| アジアリーグ
まずは、全日本選手権でのクレインズ優勝、おめでとうございます。
十条製紙時代からして成し遂げることのできなかった貴重なタイトルですね。アジアリーグも含め、今年こそはクレインズの年になるのでは? との声が強かっただけに、プレッシャーもかなりあったと思いますが、見事な勝利でした。 で、トリノ五輪も終了し、すでに再開したNHL。3月9日にトレード期限を控え、新CBA下で初のプレーオフ前の補強合戦が火ぶたを切ろうかという状況であります。 で、今週のスポアイは、現地2月28日(五輪ブレイク後初試合です)のワシントン@トロント。現在、いずれのチームもプレーオフ圏外となっておりますが、それぞれに見所はあるかと思うので、ここでご紹介を。 え〜と、まずはプレーオフ争いから大きく離れてしまったキャピタルズ。 2003−04年にスター選手をどんどん放出したくせに、多くのチームがサラリーキャップ導入後に補強を進めた2005年夏にも、あまり積極的に選手獲得に行きませんでした。ボンドラ獲得に失敗し、新たに獲得したキャッスルズは不振のためシーズン途中で放出、その後に獲得したフリーゼンはすでにトレード要員として名前がリストアップされるというていたらく。さらに、コルジグと並んでチーム内に2名だけ残った98年ファイナル経験者のウイットは、今季序盤からトレード志願・・・と、目も当てられない雰囲気が漂います。そこで今季はもうチームに残された若手が頼り。よって経験不足が祟っている感じです。 そこに現れたのが、ご存じロシア出身のスーパールーキー&救世主、アレクサンダー・オヴェチキン。NHL公式戦最初のシフトでは、MCIセンターのボードをフィジカルプレーで破壊し、金属の支柱部分を吹っ飛ばしたために3分試合中断に至りしめ、そしてこの試合でいきなり2ゴールを挙げてチームの勝利に貢献・・・と超弩級のデビューを果たしました。そしてそれ以来チームのスコアリングトップを走る活躍。今季の最優秀ルーキーはもちろんのこと、リーグMVP候補としても推す声すら最近は高まっているのです。 とはいいものの、そのオヴェチキンへの負担増大もキャピタルズの問題のひとつとなっています。この試合前までの36ゴールはチームトップの数字でチーム全体の25%を占めるわけで、相手チームはオウ゛ェチキンに容赦ないシャドーイングを仕掛けてきます(有名どころでは、ボストンのPJアクセルソンとかね)。よって、五輪ブレイク直前にはさすがのオヴェチキンも、10試合でたったの3ゴールと苦しんでいたのです。 今季の成績不振もあって、オヴェチキンの加入を持ってしても、地元MCIセンターの観客動員は定員の7割程度と苦戦しているそうです。ただし、新CBA下のサラリーキャップと収入分配策の恩恵を受けて、今季のキャピタルズのチーム収支は500万ドルの赤字にとどまる予定だとか。1999年に現オーナーのテッド・リオンシスがチームを買収後、1年に3500万ドルの赤字を計上したシーズンもあったキャピタルズだけに、この数字は財政状況上の大きな改善と言えましょう。 ただNFLレッドスキンズ、NBAウイザーズがともにプレーオフ進出を果たしている上、2005年にMLBワシントン・ナショナルズが創設されて以来、ワシントン地区でのホッケー人気はさらに厳しくなっているという現状も指摘されています。現在のシーズンチケット販売は8750席で、NHLのリーグ財政下で損益分岐点にあたる11000〜12000席にはかなり不足している状態とか。 要するに、オウ゛ェチキンだけじゃあまだ勝てない。サポーティングキャストはどうよ? ということなんでしょうが、まずは守護神オリー・コルジグと2年契約延長。DFは、昨季まで3シーズン、スイスでプレーしていたジェイミー・ヒュワードが結構いい拾い物だったようですが、それ以外の選手はまだ経験不足(除:ウイット)。 FWも、セカンドライン以降、特にサードラインで活躍しそうな選手はたくさんいるのだけど、トップライン候補が厳しいのです。ちなみにオウ゛ェチキンは今季、ダイナス・ズブラス(トップラインというよりはセカンドライン候補だろうか?)、クリス・クラーク(カルガリーのファンはびっくりしていることでしょうねえ。典型エナジーガイかと思っていたが)の2人と組むことが多いようです。ただ、コロラドでポイされたブライアン・ウイルジーが自己ベストのシーズンを送り、サードライン(クライマー、ブラッドリー、サザビーのイニシャルを取って「CBSライン」)の3人の働きも悪くないようです。 そんな感じなので、やはりPRツールとしてオウ゛ェチキンを最大に利用しない手はない。ってんで地元TV局もオウ゛ェチキン効果で試合を盛り上げようと「Ovechkam」というコーナーを設け、彼のファインプレーの数々をカメラの角度を変えてスローモで出しているのが笑えます。まあオウ゛ェチキンが、そうしたスローモに堪えうるだけの素質の持ち主だけに、そんな企画も許されるのだけどね。 それになんと言ってもあのオウ゛ェチキンのスマイル! ヤーガーがNHLにデビューしたての頃のスマイルを連想させるというか、久々にホッケーしながらあんなに嬉しそうにしてるヤツを見たって感じ。そのせいか、試合後リーフスの選手たちは「キャピタルズの選手が試合終盤、にやにやしていやがった」と言いがかりをつけたそうだが、それは見当違いというもんだと、私は思います。 で、試合の最後には、キャピタルズのグレン・ハンロンコーチのインタビュー付きというサーヴィスもあり。試合が終了して、ロッカールームが記者たちに開放される前に、まずヘッドコーチがこうやって地元記者を中心に質問に答える様子が収録されています。ホームアリーナだと、いちおう記者会見室みたいなところが用意されるケースもありますが、この試合はキャピタルズにとってアウェーということで、ロッカールーム近くの通路のようなところでハンロンコーチは記者の質問に応じています。そうした雰囲気もどうぞお楽しみあれ! 一方のリーフスは・・・なんか敢えてここで語るのも気の毒な感じ。キャプテンのマッツ・サンディンなどは、五輪優勝のセレブレーション後に夜行フライトで、翌朝トロントに到着、昼頃アリーナ到着というタイトスケジュールだったとか。デトロイトの同胞金メダル選手たちが28日の試合では休みを貰ったのにもかかわらず、この日も「もう負けられない」ってんで、いきなりの試合出場でしたが結果は無惨。 細かいことを言えばキリないんだけど、ベテランが動けなさすぎなのかなリーフスは。迫力あるのは、動きがスローダウンしたPPの時だけ? と思って観てたら、そのPPでマッケイブがやらかしてるし・・・あ、この試合はリンドロスが久々にプレーした貴重な映像でもあります。この後の試合でリンドロスは再負傷してしまったので、次に彼のプレーを観られるのはいつのことやら。 追伸:最近、NHL情報についてこんなの始めました。体裁はまったく気にしておりません。それゆえお見苦しいのをお許しください。あくまで情報を、うざいほど書き散らしてるだけですのでね。お好きな方だけお越しください。コメント、トラバはご自由に! ▲
by hockeyworldjapan
| 2006-03-06 14:02
| NHL overall
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